
建築図面を読む順番|共通ルールから施工図まで
建築図面は、どの図面から、どんな順番で読めばよいのでしょうか。
編集部が勧めるのは、どの図面にも出てくる決まりを先に知り、図面を1種類ずつ読み、次に骨組みと設備の図面、最後に何枚もの図面を合わせて扱う話へ進む順番です。
前に読む図面が、後の図面を読むときの手がかりになるように並べています。
建築図面の読み方は、どんな順番で学ぶのか
共通ルール(どの図面にも出てくる決まり)と寸法、1種類ずつの図面、骨組みと設備の図面、図面一式をまとめて扱う話の、4段の順に読みます。
図面一式は、1つの工事のための何枚もの図面の組です。
「1種類ずつの図面」は、図面を種類ごとに1つずつ読む段です(下の表の3〜8)。
編集部は、この4段に、図面を読むための15のまとまりを並べました。

上の図のように順番を決めておくのは、1つの建物の工事に、種類のちがう図面がたくさんあるためです。
国土交通省の建築工事設計図書作成基準では、1つの工事の図面が、表紙などの書類を含めて32の名前に分かれます(建築工事設計図書作成基準 4.2)。
この基準は、図面の書き方と表し方をそろえることを目的にしています(建築工事設計図書作成基準 1.1)。
この基準は、国の建物の工事のために国土交通省が決めたものです(建築工事設計図書作成基準 1.2)。
ふつうの家の図面が、この基準と同じ形とは限りません。
この記事で「国の工事の基準」と書くのは、次の3つです。
- 建築工事設計図書作成基準
- 建築工事設計図書作成基準の資料(この基準の資料として、国土交通省が出しているもの)
- 建築設備工事設計図書作成基準(設備の図面について、同じように国の建物の工事のために決めた基準。建築設備工事設計図書作成基準 1.2)
出典に書く「1.1」「4.2」のような数字は、基準などの中の項の番号で、「資料2(8)」は資料の中の項の番号です。
「同」と書いた所は、すぐ前と同じ出典によります。
基準は、図面と特記仕様書をまとめて「図面等」と呼び、32の名前を表紙から順に並べています(建築工事設計図書作成基準 1.1・4.2)。
仕様書は、材料や工事の方法を文章で決めた書類です。
特記仕様書は、工事ごとに作る仕様書です。
32の名前には、図面のほかに、表紙や、図面の順序と名前を並べた図面目録も入っています(建築工事設計図書作成基準の資料 資料2(1)(2))。
32の図面と書類の中には、ほかの図面を先に知っていないと読めない図面があります。
たとえば、建物を縦に切った断面図は、平面図(建物を水平に切って、真上から見た図面)に書いた線に合わせて描く図面です(同 資料2(10))。
15のまとまりには、図面の種類のほかに、どの図面にも使う決まり(共通ルールと寸法)と、何枚もの図面を合わせて扱う話(読み方・描き方)も入れています。
32の名前の全部は入れておらず、表紙などの書類は外しています。
それぞれのまとまりの中身は、次の表のとおりです。
| 段 | まとまり | 中身 |
|---|---|---|
| 最初に | 1 共通ルール | 線の種類と太さ、縮尺(実物を何分の1に縮めて描いたか)、壁の材料や戸の開き方を表す記号など、どの図面にも同じ決まりで出てくるもの |
| 最初に | 2 寸法 | 図面に書かれた長さの数字と、その長さの範囲を示す線 |
| 1種類ずつ | 3 平面図 | 各階を水平に切った切り口を、真上から見た図面。壁・柱・戸や窓の位置と、部屋の名前などを描く |
| 1種類ずつ | 4 立面図 | 建物の外観と形を表す図面。外から見える面は、どの面も描く |
| 1種類ずつ | 5 断面図と矩計図 | 建物を縦に切って、地面との関係や各階の高さを表す断面図と、縦に切った所の材料・形・寸法などを表す矩計図(かなばかりず)。断面図は1/100か1/200、矩計図は1/30か1/50で、矩計図のほうが大きく描く |
| 1種類ずつ | 6 展開図と天井伏図 | 部屋の中の壁の面ごとに、戸や窓・作り付けの家具などの並びを表す展開図と、天井の面を下から見上げた形で表す天井伏図(てんじょうぶせず) |
| 1種類ずつ | 7 仕上表と建具表 | 床・壁・天井などの表面の材料(仕上げ)と、戸や窓(建具)ごとの仕様(つくりや中身)を、表の形でまとめた図面。国の工事の基準の図面の一覧には、表も図面と同じように並んでいる。2つとも表の形なので、1つのまとまりにした |
| 1種類ずつ | 8 配置図と外構図 | 敷地(建物を建てる土地)と建物の位置を表す配置図と、門・塀など建物の外まわりのつくり(外構、がいこう)を表す外構図 |
| 骨組みと設備 | 9 構造図 | 建物を支える骨組み(基礎・柱・梁・床・屋根)を表す図面。基礎は、建物のいちばん下で、重さと力を地面に伝える部分。梁(はり)は、柱などに支えられて横に渡し、床や屋根の重さを支える材。法律の定義では、床と屋根の板の部分(床版・屋根版)も骨組みに入る |
| 骨組みと設備 | 10 電気設備図 | 照明・コンセント・通信・防災などの電気の設備を表す図面 |
| 骨組みと設備 | 11 空調・換気設備図 | 空調・換気・排煙(中の煙を外に出すこと)など、空気を扱う設備を表す図面 |
| 骨組みと設備 | 12 給排水衛生設備図 | 給水・排水・給湯・ガス・消火の設備と、便器・洗面台・浴槽など衛生設備に使う器具を表す図面 |
| 図面一式をまとめて | 13 図面一式の読み方 | 建物の形の図面(平面図から配置図まで)・構造図・設備図を並べて、食い違いがないかを確かめながら読むこと |
| 図面一式をまとめて | 14 描き方 | 製図(図面をかくこと)の決まりと、かく順番 |
| 図面一式をまとめて | 15 施工図 | 設計する人が描いた図面(設計図)をもとに、工事をする人が工事のために細かく描き起こす図面 |
上の表の説明の出典は、次のとおりです。
- 図面の決まり:建築工事設計図書作成基準 3.3〜3.6・4.1・4.2、同 資料2(5)〜(23)、建築設備工事設計図書作成基準 6.1・7.1
- 施工図:公共建築工事標準仕様書 建築工事編 1.1.2
- 基礎と骨組み:建築基準法施行令 第38条第1項・第1条第三号
- 梁・仕様・外構・製図・排煙・衛生設備の器具の言い換え:家とインテリアの用語がわかる辞典「梁」、デジタル大辞泉「仕様」「外構え」「製図」「排煙」「衛生陶器」
外構は、辞典では「外構え」の項に、同じ意味の語として載っています。
この記事で何度も使う言葉は、何を指すのか
図面は、建物・機械・土木工事などの構造や工程を細かく示した図です(デジタル大辞泉「図面」)。
建築図面は、そのうちの建物の図面のことです。
建物の図面は、設計する人と、工事をする人が作ります。
設計する人が描く図面は、法律で「建築物の建築工事の実施のために必要な図面」と書かれています(建築士法 第2条第6項)。
工事をする人が工事のために描く施工図も、この記事では建築図面に入れました。
共通ルールは、線の種類と太さ・縮尺・記号など、図面の種類を問わず同じ決まりで使うもののことです。
縮尺は、図面を実物より縮めて描くときの、一定の比率です(デジタル大辞泉「縮尺」)。1/100 なら、実物の100分の1の大きさで描いてあります。
縮尺は、分母の数が小さいほど「大きい」といいます(日本大百科全書(ニッポニカ)「縮尺」)。
1/50 は 1/100 より大きな縮尺です。同じ物が大きく描かれます。
図面一式は、1つの工事のために作る何枚もの図面を、全部まとめた組のことです(デジタル大辞泉「一式」)。
名前から1枚の大きな図面を思い浮かべるかもしれません。
けれども、指しているのは何枚もの図面の組です。
共通ルールと寸法は、なぜ最初に読むのか
共通ルールと寸法を最初に読むのは、どの種類の図面にも出てくる決まりだからです。
線の種類は、実線・破線・点線・一点鎖線・二点鎖線の5種類と、国の工事の基準で決まっています(建築工事設計図書作成基準 3.3)。
線の太さは、極太線・太線・細線の3種類です(同 3.3)。
図の大きさの比率は、原寸と縮尺を合わせて、1/1 から 1/600 までの13種類です(同 3.4)。
原寸は、実物と同じ寸法のことで、図面では 1/1 と書きます(デジタル大辞泉「原寸」、建築工事設計図書作成基準 3.4)。
寸法の書き方と、壁の材料や戸の開き方などを表す記号も、決まりの1つです(建築工事設計図書作成基準 3.5・3.6)。
設備の図面の基準にも、線・縮尺・寸法の決まりがあります。線の種類の5つと、寸法の単位の決まりは、建築工事設計図書作成基準と同じです(建築設備工事設計図書作成基準 3.3・3.5)。
そのため、線・縮尺・寸法にどんな決まりがあるかを先に知っておくと、どの種類の図面を読むときにも使えます。
たとえば寸法は、長さの範囲を示す線(寸法線)に、数字を添えて書きます(建築工事設計図書作成基準 3.5)。
その数字には、ふつう単位が付いていません。
下の図は、平面図の一部です。灰色の帯が、真上から見た壁にあたります。

上の図の「1,260」に単位が無いのは、図面の長さの単位はミリメートルで、単位の記号は書かない決まりだからです(建築工事設計図書作成基準 3.5)。
「1,260」は、1,260ミリメートル(1メートル26センチ)を表します。
この図では、2本の壁の中心の線のあいだの長さです。
ミリメートル以外の単位を使うときだけ、「103.7m」(mはメートル)のように記号を書きます(建築工事設計図書作成基準 3.5)。
この決まりを知らないと、数字が何の長さなのかが読み取れません。
線と記号の決まりは、「建築図面の共通ルールとは|どの図面にも出てくる約束事」の記事で解説しています。
寸法の読み方は、「建築図面の寸法とは|寸法線・寸法値・引出線」の記事で解説しています。
図面の種類は、なぜ平面図から読むのか
国の工事の基準では、断面図・矩計図・展開図・天井伏図が、平面図に書いた柱の位置の線と記号に合わせて描かれるからです。
その線が基準線です。基準線は、柱の中心に引く線で、一点鎖線(長い線と点をくり返す線)で描きます(建築工事設計図書作成基準 3.5)。
基準線には、図の左下から順に、①②③やⒶⒷⒸの記号を付けます(建築工事設計図書作成基準 3.5)。
この記号が、柱列記号です。
平面図には、この基準線と柱列記号を書きます(建築工事設計図書作成基準の資料 資料2(8))。
断面図・矩計図・展開図・天井伏図の基準線と柱列記号は、平面図に合わせて描きます(同 資料2(10)(11)(13)(14))。
平面図
断面図上の図で、「断面図」の①の線は、「平面図」の①の線と同じ柱の中心を指しています。
そのため、平面図で①②③の位置を知っていれば、断面図に描かれた部分が、平面図のどの柱の位置にあたるかが分かるでしょう。
断面図が建物のどこを切った図かは、平面図に「断面図の切断箇所」として書くこともあります(建築工事設計図書作成基準の資料 資料2(8))。
平面図には、ほかの図面につながる印を書くこともあります。
1つは展開記号です。部屋の中に a・b・c・d の文字を書き、展開図がどの向きの壁を描いたものかを示します(建築工事設計図書作成基準の資料 資料2(13))。
展開記号は、展開図を作るときに、平面図か平面詳細図に書きます(同 資料2(8)(13))。
平面詳細図は、平面図などでは表しきれない部分の材料・形・寸法などを、平面の形で詳しく表す図です(同 資料2(12))。
もう1つの印には、建具符号があります。
符号は、物事を探したり指したりするために付けておく、簡単な文字や図形のことです(デジタル大辞泉「符号」)。
建具符号は、戸や窓に付けるこの印で、建具表に書く事項の1つです(建築工事設計図書作成基準の資料 資料2(15))。
建具位置図(戸や窓の位置と建具符号を示す図)を別に作るときは、平面図に建具符号を書かなくてよいことになっています(同 資料2(8))。
作らないときは、建具符号を平面図に書きます(同 資料2(8)(15))。
建具位置図は、この記事の15のまとまりには入れていません。
平面図の戸や窓と、建具表の中の同じ建具をつなぐのが、同じ建具符号です。
平面図の読み方は、「建築図面の平面図とは|水平に切った間取りの図面」の記事で解説しています。
建具表は、「建築図面の仕上表と建具表とは|表で表す図面」の記事で解説しています。
矩計図・展開図・天井伏図・建具表は、なぜ平面図・立面図・断面図のあとに読むのか
国の工事の基準では、展開図や詳細図は、一般図で表しきれない所を描く図面だからです。
一般図は、平面図・立面図・断面図のように、詳細図より小さい縮尺で描く図のことです(建築設備工事設計図書作成基準 3.4)。
縮尺が小さい図では、1/100 や 1/200 のように分母が大きく、物が小さく描かれます。
平面図・立面図・断面図は1/100か1/200、矩計図・詳細図・展開図は1/30か1/50で描きます(建築工事設計図書作成基準 4.2)。
詳細図は、図の一部を大きな縮尺で描いた図です。一般図では表せない部分について、材料・工法・形・寸法を表します(建築工事設計図書作成基準の資料 資料2(12))。
矩計図は、部分の断面の詳細図を兼ねることができます(同 資料2(11))。
詳細図は、この記事の15のまとまりには入れていません。
展開図は、一般図や詳細図では表しきれない部屋について、壁の構成を表します(同 資料2(13))。
壁の構成は、壁の面に現れる戸や窓・作り付けの家具・設備の器具などの形と並びのことです(同)。
作る段階もちがいます。
建物をつくるときは、設計が先で、工事はそのあとです。
設計には、建物の全体を決める初めの段階(基本設計)と、それをもとに細かく決める後の段階(実施設計)があります(令和6年国土交通省告示第8号 別添一 1)。
告示は、国などが決めたことを、公式に広く一般に知らせるものです(デジタル大辞泉「告示」)。
この告示は、それぞれの段階の仕事の結果として作る図面と書類を、成果図書と呼んで並べています(令和6年国土交通省告示第8号 別添一 1 一 ロ・1 二 ロ)。
配置図・平面図・断面図・立面図は、設計の初めの段階(基本設計)の成果図書に入っている図面です(令和6年国土交通省告示第8号 別添一 1 一 ロ(1))。
矩計図・展開図・天井伏図・建具表は、後の段階(実施設計)の成果図書で初めて出てきます(同 1 二 ロ(1))。
天井伏図と建具表を、平面図・立面図・断面図の後ろに置いたのは、この作る段階のちがいに合わせた編集部の並べ方です。
ただし、段の中には、この理由では説明できない並びもあります。
仕上表と配置図は、平面図と同じく、初めの段階から作る図面です(建築工事設計図書作成基準 4.2)。
国の工事の基準の図面の一覧には、図面ごとに、初めの段階と後の段階のどちらで作るかの印が付いています。
仕上表は、両方に印がある図面です(建築工事設計図書作成基準 4.2)。
告示の初めの段階の成果図書にも、仕上げのあらましを表にした仕上概要表が入っています(令和6年国土交通省告示第8号 別添一 1 一 ロ(1))。
この2つを段の後ろに置いたのは、編集部の並べ方です。立面図を断面図より先にした順も、編集部の並べ方です。
初めの段階と後の段階で作る図面のちがいは、「設計の段階と図面|基本設計と実施設計で描く図面の違い」の記事で解説しています。
構造図と設備図は、なぜ建物の形の図面のあとに読むのか
国の工事の基準では、構造図も設備図も、平面図などの建物の形の図面に合わせて描くからです。
この記事で「建物の形の図面」と書くのは、1種類ずつの段の図面(平面図から配置図まで)のことです。
表の形の仕上表と建具表も、ここに入ります。
構造図の1つに、柱と梁の組み方(架構)を表す軸組図があります。軸組図の基準線と柱列記号は、平面図に合わせて描く決まりです(建築工事設計図書作成基準の資料 資料2(23))。
設備図は、もっと直接に、建物の形の図面を使います。
設備の図面を作図するときは、建物の形の図面から、設備の図面に要らない線と表現を消して使います(建築設備工事設計図書作成基準 4.1)。
設備の図面の線の太さは4種類で、写した建物の形の図面は、その中でいちばん細い極細線で描く決まりです(建築設備工事設計図書作成基準 3.3)。
平面図
設備図上の図の「設備図」で、細い線の壁や部屋は、建物の形の図面を写したものです。
建物の形の図面を先に読んでおけば、設備がどの部屋のどこにあるかを読み取れます。
なお、構造図と設備図を、矩計図などの詳しい図面より後ろに置いたのは、編集部の並べ方です。構造図を設備図より先にした順も同じです。
構造図に出てくる骨組みの言葉は、「建物の構造の種類|木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造」と「建物の骨組みの部位名|基礎・柱・梁・床」の記事で解説しています。
図面一式の読み方・描き方・施工図は、なぜ最後に読むのか
どれも、前の段までの図面を1種類ずつ読めることを前提にしているからです。
1つ目の図面一式の読み方では、何枚もの図面を並べて、食い違いがないかを確かめます。
国の工事の基準では、図面どうしで書くことが重ならず、食い違わないように図面を作ります(建築工事設計図書作成基準 4.1)。
図面どうしを突き合わせるには、それぞれの図面が読めていなければなりません。
公共建築工事標準仕様書は、公共の建物の工事の材料と方法を、国土交通省が決めた仕様書です(公共建築工事標準仕様書 建築工事編 表紙・1.1.1)。
この標準仕様書は、図面一式の32の名前には入っていません(建築工事設計図書作成基準 4.2)。
それでも、図面や特記仕様書と一緒に、工事で従う書類の1つです(公共建築工事標準仕様書 建築工事編 1.1.1)。
図面と仕様書は、互いに補い合う関係です(公共建築工事標準仕様書 建築工事編 1.1.1)。そのため図面は、仕様書とも合わせて読みます。
2つ目の描き方は、最初の段で読む共通ルールを、描く側から使う話です。
共通ルールは、もともと図面を作るときに守る決まりとして書かれています(建築工事設計図書作成基準 1.1)。
読むときに知った決まりが、そのまま描くときの決まりになります。
3つ目の施工図は、工事をするために描く詳しい図面です(公共建築工事標準仕様書 建築工事編 1.1.2)。
施工図は、工事を請け負った人が、工事を始める前に作ります(公共建築工事標準仕様書 建築工事編 1.2.3)。
国の工事では、1つの建物でも、いくつかの工事に分けて契約することがあります(建築工事設計図書作成基準の資料 資料2(3))。
図面も、その工事の区分ごとにまとめる決まりです(建築工事設計図書作成基準 4.1)。
施工図を描くときは、関係するほかの工事との納まりを調整します(公共建築工事標準仕様書 建築工事編 1.2.3)。
納まりは、部材(柱や梁のように、建物を組み立てている部分品)どうしの、取り付け方や組み合わせ方の具合のことです(家とインテリアの用語がわかる辞典「納まり」、デジタル大辞泉「部材」)。
形・骨組み・設備の図面が読めないと、その調整はできません。施工図を最後に置いたのは、そのためです。
工事が終わったあとの図面もあります。
竣工図(しゅんこうず)は、工事が終わったときの建物の形や構造を描いた図面です(精選版 日本国語大辞典「竣工図」)。
竣工図は、この記事の15のまとまりには入れていません。
設計図・施工図・竣工図のちがいは、「設計図・施工図・竣工図|図面の段階」の記事で解説しています。
この読む順番は、図面一式を綴じる順番と同じなのか
同じではありません。この記事の順番は、図面を学ぶための並びです。
図面一式を綴じる(順に重ねて留める)順番は、別に決まっています。
綴じる順番は、図面の書き方と並べ方をそろえるために、国の工事の基準で決まっています(建築工事設計図書作成基準 1.1・4.2)。
一方、学ぶ順番は、前の図面が後の図面を読む手がかりになるように、編集部が並べたものです。
ちがいがはっきり出るのは、配置図と仕上表の位置です。
その綴じる順番では、配置図が8番目、仕上表が10番目で、どちらも11番目の平面図より前に来ます(建築工事設計図書作成基準 4.2)。
学ぶ順番では、どちらも平面図より後ろに置いています。

上の図の左の工事区分表は、複数の工事が同じ部分にかかわるときに、工事ごとの範囲を分けて示す表です(建築工事設計図書作成基準の資料 資料2(3))。
左の工事中の図面は、工事のあいだの囲いの範囲や工事用の出入口などを描く仮設計画図です(同 資料2(19))。
右の8の外構図は、左の20〜23の中にある外構詳細図にあたります(建築工事設計図書作成基準 4.2)。
左の一覧は建物の工事の図面の並びで、設備の図面の並びを決めているのは、建築設備工事設計図書作成基準です(建築設備工事設計図書作成基準 4.2)。
綴じる順番は、「建築図面一式の並び|表紙・図面目録から設備図まで」の記事で解説しています。
まとめ
建築図面は、共通ルールと寸法、平面図から1種類ずつの図面、骨組みと設備の図面、図面一式の読み方・描き方・施工図の順に読みます。
共通ルールと寸法が最初なのは、どの種類の図面にも出てくる決まりだからです。
図面の種類を平面図から読むのは、国の工事の基準では、断面図や展開図などが平面図の基準線と柱列記号に合わせて描かれるからです。展開図の向きを示す記号と建具符号も、平面図の中に書くことがあります。
展開図や詳細図は、平面図などの一般図で表しきれない所を描く図面です。構造図と設備図も、平面図などの建物の形の図面に合わせて描きます。
最後の段の3つは、どれも1種類ずつの図面が読めることが前提です。
この順番は学ぶための並びで、図面一式を綴じる順番とは、配置図と仕上表の位置が違います。
確かめの問い
読み終えたら、次の4つに答えてみましょう。
- 平面図の寸法に「1,260」とだけ書かれています。単位は何ですか。
- 断面図の下に①②③の記号が付いた線があります。この線は、どの図面の線に合わせたものですか。
- 設備図の中に、壁や部屋が細い線で描かれています。これは何を写したものですか。
- 配置図は、学ぶ順番と綴じる順番のそれぞれで、平面図の前と後ろのどちらにありますか。
答え
- ミリメートルです。1,260ミリメートル(1メートル26センチ)を表します。
- 平面図です。平面図の基準線と柱列記号に合わせて描きます。
- 建物の形の図面です。設備の図面に要らない線を消して写します。
- 学ぶ順番では平面図の後ろ、綴じる順番では平面図の前です。
続けて読む記事
15のまとまりは、それぞれ次の記事で解説しています。「(準備中)」と付いた記事は、まだ公開していません。
最初に:共通ルールと寸法
- 「建築図面の共通ルールとは|どの図面にも出てくる約束事」:図面の線・縮尺・記号には、どんな決まりがあるのか
- 「建築図面の寸法とは|寸法線・寸法値・引出線」:寸法の線と数字は、どこからどこまでの長さを表すのか
1種類ずつの図面
- 「建築図面の平面図とは|水平に切った間取りの図面」:平面図は、建物をどこで切って、何を描いた図面なのか
- 「立面図の読み方と考え方|建築図面で何を見るかを整理」:立面図は、建物の外側をどの向きから見た図面なのか
- 「断面図の読み方と作図前提|建築図面で高さ関係を迷わず判断するための基礎」:建物の高さの関係は、どの図面にどう表すのか
- 「建築図面の展開図と天井伏図とは|室内の壁と天井の図面」(準備中):部屋の壁と天井は、どんな図面に表すのか
- 「建築図面の仕上表と建具表とは|表で表す図面」:仕上げと戸・窓の仕様を、表の形でどうまとめるのか
- 「建築図面の配置図と外構図とは|敷地の図面」:敷地と建物の位置、門や塀などの外まわりは、どの図面に表すのか
骨組みと設備
- 「建築図面の構造図とは|骨組みを表す図面」(準備中):建物の骨組みは、どんな図面に表すのか
- 「建築図面の電気設備図とは|電気の設備と図面」(準備中):照明やコンセントなどの電気の設備は、どんな図面に表すのか
- 「建築図面の空調・換気設備図とは|空気を扱う設備の図面」(準備中):空調や換気など、空気を扱う設備は、どんな図面に表すのか
- 「建築図面の給排水衛生設備図とは|水とガスの設備の図面」(準備中):水やガスの設備と、トイレなどの器具は、どんな図面に表すのか
図面一式をまとめて
- 「建築図面一式の読み方とは|図面同士の突き合わせ」(準備中):何枚もの図面を並べて、食い違いをどう確かめるのか
- 「建築図面の描き方とは|製図の決まりと順番」(準備中):図面は、どんな決まりと順番で描くのか
- 「建築図面の施工図とは|工事のために描く図面」(準備中):工事をする人は、設計図をもとにどんな図面を作図するのか
あわせて読む記事
- 「建築図面とは何か|なぜ必要か・誰が使うか」:建築図面は何のためにあり、誰が使うのか
- 「設計の段階と図面|基本設計と実施設計で描く図面の違い」:設計の初めの段階と後の段階で、どの図面を作るのか
- 「建築図面一式の並び|表紙・図面目録から設備図まで」:図面一式は、どんな順に綴じるのか
- 「建物の構造の種類|木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造」:建物の骨組みには、どんな種類があるのか
- 「建物の骨組みの部位名|基礎・柱・梁・床」:基礎・柱・梁・床は、建物のどこで何をしている部分なのか
*2026年9月29日と30日に、原文と辞典で確かめた内容です。
図面の決まりは国土交通省の「建築工事設計図書作成基準(令和2年改定)」と「建築工事設計図書作成基準の資料(令和2年改定)」「建築設備工事設計図書作成基準(令和6年改定)」、設計の段階は「令和6年国土交通省告示第8号」の別添一、施工図と図面・仕様書の関係は「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」、建築図面の定義は「建築士法」、基礎と骨組みは「建築基準法施行令」によります。
語の意味は、コトバンクで開いた辞典によります。
小学館「デジタル大辞泉」(図面・縮尺・一式・原寸・仕様・外構え・製図・排煙・衛生陶器・告示・符号・部材)、「精選版 日本国語大辞典」(竣工図)、講談社「家とインテリアの用語がわかる辞典」(梁・納まり)、小学館「日本大百科全書(ニッポニカ)」(縮尺)です。
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この記事について
PERSC編集部が、建築の制作に関わる知識を実務目線で整理しています。内容は公開・更新日時点の情報にもとづきます。誤りや古い情報にお気づきの場合はお問い合わせよりご連絡ください。

