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  1. 建物の構造の種類|木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造

建物の構造の種類|木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造

編集部 読了 約20分

木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造は、何が違うのでしょうか。

違うのは、建物を支える骨組みを、何の材料でつくるかです。

木造は木で、鉄骨造は鉄骨(骨組みに使う鉄の材料)で、鉄筋コンクリート造は鉄の棒(鉄筋)とコンクリートで骨組みをつくります。

材料が違うと、骨組みを丈夫に保つために守る決まりも変わります。図面に描かれるものも、構造の種類によって違うのです。

建物の構造の種類は、何で分けているのか

「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」は、骨組みを何の材料でつくるかで分けた、構造の種類の名前です。

「構造」は、ふだんは物の組み立て方を広く指して使う言葉でしょう。

この記事の「構造」は、建物の重さや、雪・風・地震などの力を支える骨組みを指します(建築基準法施行令 第1条第三号)。木造や鉄骨造などの分け方は「構造の種類」と書きます。

建築基準法施行令は、建物の決まりを定めた建築基準法を行うための、細かい決まりを定めたものです(精選版 日本国語大辞典「施行令」)。ここからは、短く「施行令」と書きましょう。

施行令の中身は、番号の付いた1つずつの決まり(条)に分かれています。条の中をさらに分けたものが項で(デジタル大辞泉「項」)、条や項の中に一・二・三と番号を付けて並べた事柄が号です。

括弧の中は出典です。「第1条第三号」は、施行令の第1条の中の、三番目の号を指します。

骨組みには、基礎・柱・梁(はり)・壁・床・屋根の骨組み・斜めに入れる材(筋かいなど)などがあります(施行令 第1条第三号)。いちばん下で建物を支えるのが基礎、縦に立つのが柱、柱と柱の間に横に架け渡すのが梁です。

ここでの壁や床は、建物の重さや力を支えるものだけです(施行令 第1条第三号)。骨組みの床は上に乗る重さを支える床の板で、施行令では床版(しょうばん)と呼びます。

柱や梁のように、骨組みをつくっている1つ1つの部分を、部材と呼びます(デジタル大辞泉「部材」)。部位は、全体の中である位置を占める部分のことで(デジタル大辞泉「部位」)、基礎・柱・梁などは骨組みの部位の名前です。

部位の名前は、「建物の骨組みの部位名|基礎・柱・梁・床」の記事で解説しています。

下の絵は、工事中の3つの構造の種類の骨組みを並べたものです。左の木造は木の柱と梁、中の鉄骨造は鉄骨の柱と梁でできています。

工事中の木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の骨組みを左から並べた姿
左から木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造。木・鉄骨・鉄筋とコンクリートという、3つの骨組みの材料の違いを見る。名前の札は編集部が付けた。編集部が生成AIで作成

右の鉄筋コンクリート造は、工事の途中の姿です。木の板の色に見えるのは、柱や梁を囲む板の枠です。

構造の種類ごとに、決まりはどう分かれているのか

材料で分けた構造の種類ごとに、骨組みの決まりも分かれています。

骨組みの決まりがまとまっているのは、施行令の第3章「構造強度」です。第3章の条は、いくつかずつ「節」というまとまりに分かれています。

第一節は全体に共通の決まり(総則)、第二節は構造部材などの決まりです。そのあとの第三節から第七節が、構造の種類ごとに分かれています(施行令 第3章)。

「第四節の二」のように「の二」が付く節は、第四節と第五節のあいだに置かれた節です。そのため、第三節から第七節までに、次の7つの節があります。

節構造の種類骨組みを何でつくるか
第三節木造木
第四節組積造(そせきぞう)れんが・石・コンクリートブロックなどを積み上げる
第四節の二補強コンクリートブロック造コンクリートブロックを積み、鉄筋を入れて補強する
第五節鉄骨造鉄骨
第六節鉄筋コンクリート造鉄筋とコンクリート
第六節の二鉄骨鉄筋コンクリート造鉄骨・鉄筋とコンクリート
第七節無筋コンクリート造鉄筋を入れないコンクリート

表の右の欄は、編集部が短く書いたものです。組積造の行は施行令 第51条を、補強コンクリートブロック造の行は第62条の6をもとにし、ほかの行は構造の種類の名前から書きました。

「第62条の6」の「の6」も、節の「の二」と同じように、第62条と第63条のあいだに置かれた条を表します。

それぞれの節にあるのは、その材料で気をつける所の決まりです。

たとえば木造の第三節には、木材に、ふしや腐れなど、強さを落とす欠点がないこととする条があります(施行令 第41条)。ここでの「ふし」は、木材に残る、枝が出ていたあとです(デジタル大辞泉「節」)。

鉄筋コンクリート造の第六節には、コンクリートの材料に、鉄筋をさびさせる酸や塩などを含めないとする条があります(施行令 第72条第一号)。

1つの建物で、2つ以上の構造の種類を組み合わせることもあるでしょう。たとえば鉄骨造と鉄筋コンクリート造を組み合わせた建物では、部分ごとに節を分けて当てはめます(施行令 第63条・第71条)。

鉄骨造の部分には鉄骨造の節、鉄筋コンクリート造の部分には鉄筋コンクリート造の節です。

第63条と第71条は、それぞれの節の決まりをどこに当てはめるかを定めた条です。木造の節にも、同じ役目の条があります(施行令 第40条)。

木造は、何で骨組みをつくる構造か

木造は、柱や梁などの骨組みを木でつくり、横から押す力には壁や筋かいで耐える構造です。

筋かいは、地震や風などによる変形を防ぐために、骨組みの間に斜めに入れる材をいいます(デジタル大辞泉「筋違い」)。施行令では、斜材(斜めに入れる部材)と呼ばれる部分の1つです(施行令 第1条第三号)。

木造の建物では、どの向きから横に押す力にも耐えられるように、各階に壁を設けるか筋かいを入れて、釣り合いよく置きます(施行令 第46条第1項)。横に押す力は水平力と呼ばれ、風や地震などで建物を横向きに押す力です(改訂新版 世界大百科事典「火打」)。

壁や筋かいは、建物を上から見て直角に交わる2つの向きの、どちらにも置きます(施行令 第46条第1項)。施行令では、建物の長さの向き(桁行方向)と、それに直角な向き(張り間方向)と書かれています(同、デジタル大辞泉「桁行」)。

2階建て以上か、床の面積の合計が50平方メートルを超える木造の建物で、壁や筋かいの置き方の基準を定めるのは、国土交通大臣です(施行令 第46条第4項)。

いちばん下の階の柱の下には、原則として土台を入れます(施行令 第42条第1項)。土台は、木造の骨組みのいちばん下で柱を受け、建物の重さを基礎に伝える横材です(デジタル大辞泉「土台」)。

土台は、原則として基礎にしっかりつなぎとめます(施行令 第42条第2項)。国の工事の基準では、土台を基礎に取り付けるのに、アンカーボルトを使います(公共建築工事標準仕様書(建築工事編)12.2.2(2))。

アンカーボルトは、骨組みを基礎につなぎとめるボルトです(施行令 第66条)。土台に使うものは、前もって基礎のコンクリートに打ち込むか、あとから取り付けます(公共建築工事標準仕様書(建築工事編)12.2.2(2))。

この基準は、国の建物の工事のために国土交通省が決めたものです(公共建築工事標準仕様書(建築工事編)表紙)。ふつうの家の工事が、この基準と同じやり方とは限りません。

木の部材どうしのつなぎ目も、ボルトなどでしっかりつなぐ決まりです(施行令 第47条)。筋かいの両端は、柱や、梁などの横に架け渡す材(横架材)に、ボルト・かすがい・くぎなどの「金物」で留めます(施行令 第45条第3項)。

横架材は、梁や桁のように、横に架け渡す部材をいいます(精選版 日本国語大辞典「横架材」)。金物は、ボルト・かすがい・くぎのように、部材どうしを留める金具をまとめた呼び方です(施行令 第45条第3項)。

コンクリートの基礎の上に土台、土台の上に2本の柱、柱の上に梁があり、柱の間に斜めの筋かいが入った木造の骨組み。筋かいの両端を柱に留める金物と、その拡大
木造の骨組みの一部。基礎の上の土台、斜めの筋かい、筋かいの端の金物を見る。右の丸は、左下の金物を大きくしたもの。部材の形は例

鉄骨造は、何で骨組みをつくる構造か

鉄骨造は、柱や梁などの骨組みを鉄骨でつくり、部材どうしをボルトや溶接でつなぐ構造です。

鉄骨に使う鉄は、焼き鍛えて強くした鉄で、鋼(こう)と呼びます(デジタル大辞泉「鋼」)。鋼を板・棒・管などの形に加工したものが、鋼材です(精選版 日本国語大辞典「鋼材」)。

骨組みの材料は、鋼(炭素鋼)かステンレス鋼、または鋳物に使う鉄(鋳鉄)に限られます(施行令 第64条、デジタル大辞泉「鋳鉄」)。施行令での「鋼材」は、炭素鋼とステンレス鋼をまとめた呼び方です(施行令 第64条)。

炭素鋼の部材どうしは、高力ボルト接合・溶接接合・リベット接合でつなぎ合わせます(施行令 第67条第1項)。国土交通大臣が、これらと同じ以上の効き目があると認めた方法でもかまいません(同)。

規模の小さい建物など決まった条件に合う建物では、緩まないようにしたボルトでつなぐこともできます(同)。

高力ボルトは、ふつうのボルトより強さの高いボルトです(東建コーポレーション「建築士用語辞書」「高力ボルト接合」)。溶接は、2つの金属のつなぎ目を高い熱で溶かしてつなぐことをいいます(デジタル大辞泉「溶接」)。

リベットは、重ねた鋼材の穴に差し込み、余った軸の端をつぶして留める金属の部品です(デジタル大辞泉「リベット」)。

柱の脚部(きゃくぶ)は、柱のいちばん下の部分です(精選版 日本国語大辞典「脚部」)。下の絵の左の「柱の脚」が、これに当たります。

柱の脚部は、アンカーボルトなどで基礎にしっかりつなぎとめる決まりです(施行令 第66条)。

国の工事の基準では、アンカーボルトを、基礎のコンクリートに前もって埋め込んでおきます(公共建築工事標準仕様書(建築工事編)7.10.3)。

下の絵の右は、柱と梁のつなぎ目です。柱に付いた短い梁の部分と、その先の梁を、両側から当てた板に高力ボルトを並べてつないでいます。

左は、コンクリートの基礎から出たアンカーボルトとナットで、鉄骨の柱の足もとの板が留まっている所。右は、鉄骨の柱に付く梁のつなぎ目で、当てた板に高力ボルトが並んでいる所
鉄骨造の柱の脚と、柱と梁のつなぎ目。基礎から出たアンカーボルトと、つなぎ目のボルトの並びを見る。部材の形は例

鉄筋コンクリート造は、何で骨組みをつくる構造か

鉄筋コンクリート造は、鉄筋を組んで、そのまわりにコンクリートを流し込んで固め、骨組みをつくる構造です。鉄筋を包むコンクリートの厚さを決めて、鉄筋のさびを防ぎます。

最初の絵の右の鉄筋コンクリート造で、柱の上に突き出ていたのが鉄筋です。

柱を囲んでいた木の板の枠は、型わくです。型わくは、コンクリートを決まった形に打ち込むために、木や金属で組む仮の枠を言います(デジタル大辞泉「型枠」)。

枠のすき間から見える灰色の所は、固まったコンクリートです。床の下に何本も立つ細い棒は支柱で、物を支えるために用いる柱です(デジタル大辞泉「支柱」)。

型わくと支柱は、コンクリートが十分な強さになるまで外してはいけません(施行令 第76条第1項)。十分な強さとは、自分の重さや工事中にかかる重さで、大きく変形したりひびが入ったりしない強さのことです(同)。

外してよい時期の細かい決まりは、国土交通大臣が別に定めています(施行令 第76条第2項)。

鉄筋コンクリート造の第六節には、鉄筋を包むコンクリートの厚さ(かぶり厚さ)の決まりもあります。

かぶり厚さは、柱や梁では3センチメートル以上、床では2センチメートル以上です(施行令 第79条第1項)。

壁は、地震などの力に耐える耐力壁なら3センチメートル以上、それ以外の壁なら2センチメートル以上になります(同)。耐力壁は、建物の重さや、地震・風の力に耐える、構造の上で大事な壁です(デジタル大辞泉「耐力壁」)。

地面の下などで土に直接接する壁・柱・床・梁では、4センチメートル以上になります(施行令 第79条第1項)。

この厚さは、鉄筋のさびを防ぎ、鉄筋とコンクリートをしっかりくっつけるためのものです(施行令 第79条第2項)。

ただし、この厚さを当てない部材もあります。国土交通大臣が定めた方法を使う部材と、国土交通大臣の認定を受けた部材です(施行令 第79条第2項)。

どちらも、水・空気・酸・塩による鉄筋のさびを防ぎ、鉄筋とコンクリートをくっつけて、この厚さと同じ以上の長持ちと強さを持つものです(同)。塩は、酸と並んで、鉄筋をさびさせるものとして施行令に挙がっています(施行令 第72条第一号)。

下の絵は、四角い鉄筋コンクリートの柱を横に切った切り口(断面)です。断面は、物を切った切り口をいいます(デジタル大辞泉「断面」)。

点に見えるのは、柱の中に縦に入っている鉄筋です。点のまわりを囲む四角い線も鉄筋で、縦の鉄筋を横から帯のように巻いて固定する帯筋です(デジタル大辞泉「帯筋」)。

四角い鉄筋コンクリートの柱を横に切った断面。コンクリートの中に縦の鉄筋の点が並び、そのまわりを四角い帯筋が囲む。帯筋の外側からコンクリートの表面までに、かぶり厚さの矢印が付いている
鉄筋コンクリートの柱の断面。点が縦の鉄筋、四角い線が帯筋。いちばん外側の帯筋からコンクリートの表面までが、かぶり厚さ。鉄筋の数と太さは例

木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造のほかに、どんな構造の種類があるのか

3つの種類のほかに、次の4つの構造の種類にも施行令の節があります。

  • 鉄骨鉄筋コンクリート造:鉄骨のまわりに鉄筋を組み、コンクリートで包む構造です。鉄骨造と鉄筋コンクリート造の節の決まりの多くを、この構造にも当てはめます(施行令 第79条の4)
  • 補強コンクリートブロック造:コンクリートブロックを積み、鉄筋を入れて補強した構造です。コンクリートブロックは、コンクリートを箱型に固めた建築材料で(デジタル大辞泉「コンクリートブロック」)、中に空洞があります。鉄筋を入れた空洞は、モルタルかコンクリートで埋めます(施行令 第62条の6)。モルタルは、セメントや石灰と砂を混ぜて、水で練ったものです(デジタル大辞泉「モルタル」)
  • 組積造:れんが・石・コンクリートブロックなどを積み上げてつくる構造です。補強コンクリートブロック造には自分の節(第四節の二)があるので、組積造の節からは除きます(施行令 第51条・第62条の2)
  • 無筋コンクリート造:鉄筋を入れないコンクリートの構造です。この構造の節は、組積造の節と、鉄筋コンクリート造の節の一部の決まりを当てはめると定めています(施行令 第80条)

構造の種類は、書類や図面にどう書かれるのか

国の工事の基準では、特記仕様書に「鉄筋コンクリート造」のような構造の種類の名前を書きます。図面で使う略号は、RC や S のような記号です。

略号は、ある事物を簡単に表すために定めた記号です(デジタル大辞泉「略号」)。

特記仕様書の書き方は、国土交通省の建築工事設計図書作成基準で決まっています。この記事では「作成基準」と書きましょう。

この作成基準も、国の建物(官庁施設)の工事のために国土交通省が決めたものです(作成基準 前書き・1.2)。ふつうの家の図面や書類が、この基準と同じ書き方とは限りません。

基準の名前にある設計図書は、工事のために必要な図面と仕様書のことです(建築士法 第2条第6項)。仕様書は、工事の内容や手順を説明した書面をいいます(デジタル大辞泉「仕様書」)。

特記仕様書は、図面といっしょに作る仕様書で、その工事だけの決まりを書く書類です。作成基準では、図面と特記仕様書を合わせて「図面等」と呼んでいます(作成基準 1.1)。

国の工事で、新しく建てる工事などに共通して使う決まりをまとめたものが「標準仕様書」です(公共建築工事標準仕様書(建築工事編)1.1.1(1))。特記仕様書には、そこに無い材料や工事のしかたを使うときなどに、そのことを書きます(作成基準 2.1(2))。

作成基準に付いているのが、図面に書く事項や書き方の例をまとめた「建築工事設計図書作成基準の資料」です。

特記仕様書の工事概要(工事の場所や、何を建てるかを書く所)には、工事種目の欄があります。工事種目は、その工事で何をつくるかの一覧です。

建物は、名称・構造・階数の順に書きます(作成基準 4.3(2)2)①)。

出典の「4.3(2)2)①」は、作成基準の中の項目の番号です。

その資料にある書き方の例で、1行を読んでみましょう。

「宿舎 鉄筋コンクリート造 ○階建」の行は、名称が「宿舎」、構造が「鉄筋コンクリート造」、階数が「○階建」です(建築工事設計図書作成基準の資料 資料3)。

宿舎は、公務員などに提供される住宅です(デジタル大辞泉「宿舎」)。「○」は例なので、階数の数字を伏せてあります。

工事種目の中の構造は、この例のように名前で書き、略号は使いません(作成基準 4.3(2)3)②)。

特記仕様書の読み方は、「特記仕様書の読み方|工事概要・適用する仕様」の記事で解説しています。

図面の中で略号を使う場合の書き方は、建築工事設計図書作成基準の資料の「資料1 略号」で決まっています。

構造の材料の略号は次のとおりです。

材料略号
鉄骨鉄筋コンクリートSRC
鉄筋コンクリートRC
鉄骨S
木W
軽量鉄骨LGS
コンクリートブロックCB

上の表の LGS は、軽量鉄骨の略号です。作成基準の構造の書き方の例にも、「軽量鉄骨造」があります(作成基準 4.3(2)3)②)。

軽量鉄骨(軽量形鋼)は、薄い鋼を加工してつくった鉄骨で、重さが軽いわりに強いものです(デジタル大辞泉「軽量形鋼」)。

施行令には、軽量鉄骨造だけの節はありません。鉄骨でつくる骨組みには、鉄骨造の第五節が当てはまります(施行令 第63条)。

S と書いてあれば、いつも鉄骨のことだと思うかもしれません。

ところが同じ表で、床版(スラブ)の略号も S、壁の略号も W です。床版は、建物などに使う、鉄筋コンクリートの厚い床板を言います(デジタル大辞泉「スラブ」)。

資料1 略号の構造の欄。鉄骨鉄筋コンクリートの SRC から筋かいの BR まで
資料1 の構造の略号。左の列の上の6行が材料の略号。同じ列の下の床版(スラブ)の S と壁の W を見比べる。出典:国土交通省「建築工事設計図書作成基準の資料(令和2年改定)」資料1 の構造の欄を切り出して編集部が作成

上の画像の、上の6行は材料の略号で、その下の行は、床版・壁・柱・筋かいなど、骨組みの部分の略号です(作成基準の資料 資料1)。同じ S でも、材料の行なら鉄骨、床版の行なら床版を指します。

この表で見るのは、上の6行と、床版の S・壁の W です。ほかの行の語は、読まなくてもこの記事の話は分かります。

図面によく出るほかの略号は、「建築図面の略語の読み方|FL・CH・GL・SL」の記事で解説しています。

構造の種類によって、図面の何が変わるのか

変わるのは、構造図(建物の骨組みを表す図面)に描くものです。国の工事の基準では、鉄筋コンクリート造と比べて、鉄骨造と木造ではアンカーボルトが、木造ではさらに金物と火打ちが、描くものに加わります(作成基準 4.1(7))。

火打ち(ひうち)は、火打材とも呼ばれる短い部材です。木造の床や屋根の骨組みで、水平に交わる材の隅を斜めに結んで固め、風や地震などによる変形を防ぎます(改訂新版 世界大百科事典「火打」)。

筋かいと同じく、斜材の1つです(施行令 第1条第三号)。

構造図がほかの図面とどう分かれるかは、「建築図面の3つの種類|意匠図・構造図・設備図」の記事で解説しています。

違いがよく分かるのは、CAD のレイヤの表です。CAD は、コンピューターを使って設計や製図をするしくみやソフトウエアです(デジタル大辞泉「CAD」)。

レイヤは、CAD のソフトで設計図を分けて描く、重ねたり別々に直したりできる仮のシートを言います(デジタル大辞泉「レイヤー」)。

レイヤは描くときの分け方なので、紙に印刷した図面では、どれも1枚に重なって見えます。それでも、どのレイヤがあるかを見れば、その構造の図面にどんな物を描くかが分かるでしょう。

レイヤの分け方も作成基準で決まっていて、骨組みを描くレイヤ(表では「構造要素」)は3つの構造の種類に分かれています(作成基準 4.1(7))。

下の画像では、3つの構造の種類に、それぞれ4つのレイヤが1行ずつ並んでいます。表の左の9・10・11は、レイヤの分類の番号です。

1行目と3行目は3つの種類で同じで、違うのは2行目と4行目です。1行目と3行目の語は、読まなくても違いは分かります。

建築工事設計図書作成基準のレイヤ分類のうち、構造要素の9 鉄筋コンクリート造・10 鉄骨造・11 木造の行
レイヤ分類の構造要素。3つの構造の種類の2行目(木造だけ火打ちがある)と4行目(鉄筋/鉄筋、アンカーボルト/鉄筋、アンカーボルト、金物)の違いを見る。出典:国土交通省「建築工事設計図書作成基準(令和2年改定)」のレイヤ分類の表から構造要素の行を切り出して編集部が作成

上の画像の2行目では、木造にだけ「火打ち」が入っています。

4行目は、鉄筋コンクリート造が「鉄筋」、鉄骨造が「鉄筋、アンカーボルト」、木造が「鉄筋、アンカーボルト、金物」です。

このうちアンカーボルトは、木造の土台と鉄骨造の柱の脚部で見たボルトです。骨組みを基礎につなぎとめるのに使います(施行令 第66条、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)12.2.2(2))。

4行目のレイヤには、鉄筋コンクリート造の絵の鉄筋、鉄骨造の絵のアンカーボルト、木造の絵の金物が、まとめて描かれます(作成基準 4.1(7))。

木造の図面でアンカーボルトがどう描かれるかは、「木造の基礎伏図の読み方|基礎の配置・幅・人通口・アンカーボルト」の記事で解説する予定です(準備中)。基礎伏図は、基礎の配置を表します(作成基準の資料 資料2(21))。

まとめ

木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の違いは、骨組みを何の材料でつくるかです。

施行令の決まりも構造の種類ごとに節が分かれていて、材料ごとに気をつける所が決まっています。

木造は、横から押す力に壁や筋かいで耐え、つなぎ目を金物で留める構造です。鉄骨造は、鋼の部材をボルトや溶接でつなぎ、柱の脚部をアンカーボルトなどで基礎に留めます。

鉄筋コンクリート造は、鉄筋をコンクリートで包み、かぶり厚さで鉄筋のさびを防ぐ構造です。

国の工事の特記仕様書では、構造の種類を名前で書きます。図面の略号では、鉄筋コンクリートが RC、鉄骨が S、木が W です。

アンカーボルトと金物の有無は、作成基準のレイヤの表でも、構造の種類ごとに違っています。

確かめの問い

読み終えたら、次の6つに答えてみましょう。

  1. 最初の絵の右の鉄筋コンクリート造で、柱のまわりを囲む板の枠は何と呼びますか。
  2. 木造の建物で、横から押す力に耐えるために、各階に釣り合いよく入れるものは何ですか。
  3. 特記仕様書の工事種目に「自動車車庫 鉄骨造 平屋建」と書かれています。構造はどれですか。平屋建は、1階建てのことです(デジタル大辞泉「平屋」)。
  4. 3の構造の種類で骨組みに使う材料を、資料1 の材料の略号にすると何ですか。
  5. レイヤの表で、木造にだけある要素を2つ挙げてください。
  6. かぶり厚さは、何のための厚さですか。

答え

  1. 型わくです。固まる前のコンクリートの形を決める枠です。
  2. 壁か筋かいです。
  3. 「鉄骨造」です。
  4. 材料の略号では、鉄骨は S です(同じ S でも、床版の行の S は床版を指します)。
  5. 火打ちと金物です。
  6. 鉄筋のさびを防ぎ、鉄筋とコンクリートをしっかりくっつけるための厚さです。

続けて読む記事

この記事で名前だけ出た事柄は、次の記事で解説しています。

どの記事から読めばよいか迷ったら、「建築図面を読む順番|共通ルールから施工図まで」の記事を開いてください。施工図は、建築の工事を実際に行うために、現場で使う図面です(精選版 日本国語大辞典「施工図」)。


*2026年9月29日と30日に原文で確かめた内容です。法律は「建築基準法施行令」「建築士法」、国土交通省の資料は「建築工事設計図書作成基準」「建築工事設計図書作成基準の資料」(どちらも令和2年改定)と「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」によります。

語の意味は、コトバンクの「デジタル大辞泉」(項・部材・部位・節・筋違い・桁行・土台・鋼・鋳鉄・溶接・リベット・型枠・支柱・耐力壁・断面・帯筋・コンクリートブロック・モルタル・略号・仕様書・宿舎・軽量形鋼・スラブ・CAD・レイヤー・平屋)と「精選版 日本国語大辞典」(施行令・横架材・鋼材・脚部・施工図)、「改訂新版 世界大百科事典」(火打)、東建コーポレーション「建築士用語辞書」(高力ボルト接合)で確かめました。

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この記事について

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