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  1. 建物の骨組みの部位名|基礎・柱・梁・床

建物の骨組みの部位名|基礎・柱・梁・床

編集部 読了 約23分

建物の骨組みとは何で、基礎・柱・梁(はり)・床は、それぞれ何をする部分なのでしょうか。

骨組みは、建物の重さと、地震や風の力を受け止めて、地面まで伝える部分です。

基礎・柱・梁・床といった名前は、骨組みの中でどこを受け持つかによって分かれています。
こうした建物の部分を、部位(ぶい)と呼びます。

部位は、全体の中で、ある位置を占める部分のことです(デジタル大辞泉「部位」)。

建物の骨組みとは、どこのことか

骨組みは、外壁や屋根の内側にあって、建物の重さや、雪・風・地震などの力を支える部分です。

家ができあがると、骨組みは外壁や屋根に覆われて、外からは見えません。
骨組みだけを描くと、次の図のようになります。

骨組みだけの2階建ての木造の家に、基礎・柱・梁・2階の床・屋根の骨組みの番号を付けた図
1 基礎、2 柱、3 梁、4 2階の床、5 屋根の骨組み(小屋組、こやぐみ)の順に見る。木造の家の例。番号と名前は編集部が付けた。編集部が生成AIで作成

上の図の番号4の2階の床は、人や家具の重さを受ける、骨組みの部分です。
この記事で書く「床」は、この骨組みとしての床のことです。

法律の定義では、この床を床版(しょうばん)と呼びます。
床版は、このあとの節で説明します。

建物は、重さや、雪・風・地震などの力に対して、安全な構造にしなければなりません(建築基準法 第20条)。
建築基準法は、建物の敷地・構造・設備・使い道について、最低限守る基準を決めた法律です(建築基準法 第1条)。

こうした力を支える部分を、法律の上では「構造耐力上主要な部分」(こうぞうたいりょくじょうしゅようなぶぶん)と呼びます(建築基準法施行令 第1条第三号)。
建築基準法施行令は、建築基準法の細かい決まりを定めた政令です。

政令は、内閣が定める命令です(デジタル大辞泉「政令」)。

この記事で言う骨組みは、この部分を指します。
定義の全文は次のとおりです。

基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。

長い言葉ですが、定義を短く言うと、建物にかかる重さや力を支える部位のことです。

定義の前半は部位の名前を、後半は骨組みが支える力を並べています。
前半の名前は、このあとの節で1つずつ説明します。

後半に出てくる荷重(かじゅう)は、構造物の全体や部分に加わる力のことです(デジタル大辞泉「荷重」)。
下の表に出てくる構造計算は、建物を設計するときに、安全かどうかを数値で確かめる計算です(デジタル大辞泉「構造計算」)。

後半の言葉の意味を、次の表にまとめました。

定義の言葉意味
自重(じじゅう)建物そのものの重さ。構造計算では、屋根・天井・床・壁など建物の各部分の重さを、「固定荷重」という名前で数えます(建築基準法施行令 第83条・第84条)
積載荷重(せきさいかじゅう)建物の中の人や家具、物の重さ。住宅の居室など室の種類ごとに、床1平方メートルあたりの数値が決まっています(建築基準法施行令 第85条)
積雪荷重(せきせつかじゅう)屋根に積もった雪の重さ。屋根の面積と、その地方で積もる雪の深さから計算します(建築基準法施行令 第86条第1項)
風圧風が建物を押す力
土圧・水圧地下室の壁のように地面の下に入る部分を、まわりの土や水が押す力
地震その他の震動・衝撃地震などの揺れや衝撃

上の表の「意味」の列の最初の文は、定義の言葉を編集部が短く言い換えたものです。
風圧・土圧・水圧は、辞典の説明にもとづいています(デジタル大辞泉「風圧」「土圧」「水圧」)。

骨組みには、どんな向きの力がかかるのか

骨組みには、上から下へかかる重さと、横からかかる地震や風の力の、2つの向きの力がかかります。

1つは、上から下へかかる重さです。
前の節の表の自重・積載荷重・積雪荷重は、どれもこちらに入ります。

梁や柱のように、構造物を組み立てている部分品を、部材(ぶざい)と呼びます(デジタル大辞泉「部材」)。

柱や梁は部位の名前でもあり、この記事で部材と書くのは、1本ずつの材として言うときです。
基礎や床版のように1本の材ではない部位は、「部分」と書きます。

梁は、柱などに支えられて横に渡し、その上の床や屋根の重さを支える部材です(家とインテリアの用語がわかる辞典「梁」)。
最初の骨組みの図では、番号3が梁です。

屋根や床にかかった重さは、梁に渡り、柱を通って基礎へ下ります。
そして基礎が、重さを地面に伝えます(建築基準法施行令 第38条第1項)。

もう1つは、横からかかる力です。
地震の揺れや風は、建物を横から押します。

横向きにかかる力を、法律では水平力と呼びます(建築基準法施行令 第36条の3第2項)。
骨組みは、この水平力に耐えるように、釣り合いよく置かなければなりません(同)。

木造の建物では、この置き方がもっと具体的に決まっています。
各階で、建物を上から見たときの縦と横の2つの向きに、それぞれ壁を設けたり筋かいを入れたりして、釣り合いよく置きます(建築基準法施行令 第46条第1項)。

筋かい(すじかい)は、2本の柱と、その上と下をつなぐ横の材で囲まれた四角の中に、対角線の向きに入れる部材です(日本大百科全書(ニッポニカ)「筋かい」)。
四角の枠よりも、筋かいを入れて三角形を組み合わせた枠のほうが形が変わりにくく、地震や風の横からの力に強い建物になるのです(同)。

壁のうち、建物の重さと、地震や風の横からの力に耐える、構造の上で大事な壁を、耐力壁(たいりょくへき)と呼びます(デジタル大辞泉「耐力壁」)。

2階建て以上か、延べ面積が50平方メートルを超える木造の建物には、もう1つ決まりがあります。
壁や筋かいのつくり方と置き方を、国土交通大臣が決めた方法や基準に合わせることです(建築基準法施行令 第46条第4項)。

延べ面積は、建物の各階の床面積を合わせた面積をいいます(建築基準法施行令 第2条第1項第四号)。

下の図は、木造の家を縦に切った例です。
縦の矢印の道すじと、横の矢印を受ける壁と筋かいを見てください。

木造の家を縦に切った図に、重さが屋根から基礎・地面へ流れる矢印と、横から当たる地震・風の矢印を描いた図
縦の矢印が重さの流れ、横の矢印が地震と風の力。木造の家の例。2階の床と梁は1本の帯で表し、筋かいは1階の1か所だけを示す。編集部が作成

上の図で、基礎・柱・梁・床は、縦の矢印が示す上から下への流れの途中にある部位です。
壁と筋かいは各階に入れ、それぞれの階で横からの力を受け止めます(建築基準法施行令 第46条第1項)。

基礎と基礎ぐいとは、何をする部分か

基礎は、建物のいちばん下で、建物にかかる重さと力を地面に伝える部分です(建築基準法施行令 第38条第1項)。
基礎ぐいは、地面の下の土が弱いときに、下の硬い層まで打ち込み、その上に基礎をのせるくいです(精選版 日本国語大辞典「基礎杭」)。

地面が沈んだり形を変えたりしても、構造が安全なようにつくることも決まっています(建築基準法施行令 第38条第1項)。
骨組みが受けた力は、基礎を通って最後は地面に伝わるからです。

最初の骨組みの図では、番号1が基礎です。

基礎ぐいは、使う場合と使わない場合があります。
くいを使わずに、建物の重さを基礎から直接地面に伝える形の基礎が、直接基礎です(世界大百科事典(旧版)「基礎」)。

基礎と基礎ぐいは、骨組みの定義でも別々の部位として挙がっています(建築基準法施行令 第1条第三号)。

基礎の配置を描く図面の決まりは、国土交通省の建築工事設計図書作成基準にあります。
この基準は、国の建物の工事のために国土交通省が決めたものです(建築工事設計図書作成基準 1.2)。

ふつうの家の図面が、この基準と同じ形とは限りません。
この記事の「国の工事の基準」は、この基準のことです。

国土交通省は、この基準の資料として「建築工事設計図書作成基準の資料」も出しています。
資料には、略号の表(資料1)や、図面ごとに書く事項(資料2)が載っています。

出典に書く「1.2」「4.2」は基準の中の項の番号で、「資料1」「資料2 (21)」は資料の中の項の番号です。

伏図(ふせず)は、上から見下ろした形に描いた図面です(精選版 日本国語大辞典「伏図」)。
国の工事の基準では、基礎の配置を、基礎伏図(きそふせず)という伏図に描きます(建築工事設計図書作成基準の資料 資料2 (21))。

基礎伏図に書く項目には、基礎ぐいや直接基礎などがあります(同)。

基礎の形の1つが、布基礎(ぬのぎそ)です。
布基礎は、壁や柱の下に、帯のように続けてつくる基礎です(デジタル大辞泉「布基礎」)。

最初の骨組みの図では、基礎の形を描き分けていません。
番号1の基礎が布基礎かどうかは、この図からは分かりません。

家の基礎の図面は、「木造の基礎伏図の読み方|基礎の配置・幅・人通口・アンカーボルト」(準備中)の記事で解説します。

柱とは、何をする部材か

柱は、縦に立てて、屋根・梁・床など上の重さを支える部材です(デジタル大辞泉「柱」)。
重さの流れの中では、梁から受けた重さを基礎まで運ぶ役目にあたります。

最初の骨組みの図では、番号2が柱です。

名前に「柱」が入っていても、柱とは役目の違う部材があります。
間柱(まばしら)は、柱と柱の間に立てる小さい柱で、壁をつくる板などを取り付けるためのものです(デジタル大辞泉「間柱」)。

略号(部位の名前を表すローマ字の短い記号)も、国の工事の基準では、柱は C、間柱は P と分けてあります(建築工事設計図書作成基準の資料 資料1)。

平面図は、建物を水平に切って、真上から見た図です(デジタル大辞泉「平面図」)。
伏図と同じく上から見た図ですが、国の工事の基準では、2つが表すものは違います。

平面図が表すのは各階を水平に切った切り口、伏図が表すのは骨組みの部位の配置です(建築工事設計図書作成基準の資料 資料2 (8)・(21)・(22))。
平面図での柱の描き方は、「平面図の壁と柱の表し方|切断面の線と材料の記号」の記事で解説しています。

壁は、どれも骨組みに入るのか

壁のうち、重さや力を支える壁は骨組みに入り、部屋を仕切るだけの壁は入りません。

定義の文は、部位の名前のあとに「〜を支えるもの」と続く形です(建築基準法施行令 第1条第三号)。
そのため、壁という名前だけでは決まらず、支えているかどうかで決まります。

壁なら、どれも建物を支えていると思うかもしれません。
けれども、定義が骨組みとするのは、支える壁だけです。

建物の中を分けることを主な目的にした壁を、間仕切壁(まじきりかべ)と呼びます(家とインテリアの用語がわかる辞典「間仕切り壁」)。
支える役目を持たない間仕切壁は、骨組みに入りません。

支える壁の例が、前の節で出てきた耐力壁です。
木造の家で各階に置く、横からの力に備える壁(建築基準法施行令 第46条第1項)も、耐力壁の1つです。

国の工事の基準では、耐力壁と同じ壁を、耐震壁(たいしんへき)と呼びます(デジタル大辞泉「耐震壁」、建築工事設計図書作成基準の資料 資料1)。
耐震壁は、柱・梁・壁・床版などの配置を描く各階床伏図(かくかいゆかふせず)に、はっきり書くことになっています(同 資料2 (22))。

図面を読む人が、支える壁を見分けられるようにするためです。

梁とけたとは、何をする部材か

梁は、横に渡して床や屋根の重さを受け、柱などへ伝える部材です(家とインテリアの用語がわかる辞典「梁」)。

最初の骨組みの図の番号3が、この梁にあたります。

けた(桁)は、柱の上に横に渡して、屋根を支える長い木材(垂木、たるき)を受ける部材です(デジタル大辞泉「桁」「垂木」)。
けたは、梁と交わる向きに渡します(デジタル大辞泉「桁」)。

最初の骨組みの図は、梁とけたを描き分けていないので、けたには番号を付けていません。

法律では、はり・けたのように横に架け渡す部材をまとめて、横架材(おうかざい)と呼びます(建築基準法施行令 第1条第三号)。

国の工事の基準の略号の表には、次の4つの梁が並んでいます(建築工事設計図書作成基準の資料 資料1)。

  • 大梁(おおばり、G):小梁を受ける大きな梁
  • 小梁(こばり、B):大梁の上にあって、床を直接受ける小さい梁
  • 基礎梁(きそばり、FG):建物にいくつかある基礎どうしをつなぐ、横の材
  • トラス梁(T):部材を三角形に組んだ骨組み(トラス)でつくる梁

かっこの中のローマ字は、その略号です。
説明は、大梁・小梁・基礎梁が精選版 日本国語大辞典、トラスがデジタル大辞泉によります。

小梁が受けた重さは大梁へ、大梁が受けた重さは柱へ渡ることになります。
最初の骨組みの図は、大梁と小梁も描き分けていません。

基礎梁は、名前に「基礎」と付きますが、梁の1つです。
各基礎にかかる重さをならし、建物全体の変形しにくさを高める働きがあります(精選版 日本国語大辞典「基礎梁」)。

床版(スラブ)と屋根版は、何を受ける部分か

床版(しょうばん)は、床の水平な面をつくり、上からの重さを受ける部分で、スラブとも呼びます(家とインテリアの用語がわかる辞典「スラブ」)。
床版が受けるのは、人や家具の重さ(積載荷重)などです。

屋根版(やねばん)は屋根になる板状の部分で、積もった雪の重さ(積雪荷重)を受けます。

屋根版と、屋根を支える骨組みの小屋組は、骨組みの定義の中で別々の名前として並んでいます(建築基準法施行令 第1条第三号)。
最初の骨組みの図の番号5は小屋組で、屋根版は描いていません。

床版や屋根版が受けた重さは、梁へ渡ります。

最初の骨組みの図では、番号4が2階の床です。

床版は、国の工事の基準では「床版(スラブ)」という名前で挙がり、略号は S です(建築工事設計図書作成基準の資料 資料2 (22)・資料1)。

木造の骨組みには、ほかにどんな部位の名称があるか

木造の家には、ここまでの部位に加えて、土台・小屋組・筋かい・方づえ・火打材(ひうちざい)などの部位があります。
どれも、骨組みの定義に名前が挙がっている部位です(建築基準法施行令 第1条第三号)。

  • 土台:木造の骨組みのいちばん下で柱を受け、柱の根もとをつなぐ横の材。建物の重さを基礎に伝える(デジタル大辞泉「土台」)
  • 小屋組:屋根を支える、屋根裏の骨組み(デジタル大辞泉「小屋組」)
  • 斜材(しゃざい):斜めに入れる部材。筋かい・方づえ・火打材がこれにあたる(建築基準法施行令 第1条第三号)
  • 筋かい:柱と横の材で囲まれた四角の中に、斜めに入れる部材
  • 方づえ(ほうづえ):柱などの縦の材と、梁などの横の材が交わる角に、補強のために入れる斜めの材(デジタル大辞泉「方杖」)
  • 火打材:床や屋根の骨組みのような水平な面の上で、直角に交わる2本の材の角に、ゆがみを防ぐために斜めに渡す補強の材(デジタル大辞泉「火打ち」)

いちばん下の階の柱の下には、原則として土台を設け、土台は基礎につなぎとめます(建築基準法施行令 第42条)。
どちらの決まりにも例外があります。

たとえば、柱を基礎にしっかりつないだ場合は、土台が要りません(建築基準法施行令 第42条第1項第一号)。

平屋で延べ面積が50平方メートル以内の建物には、土台を基礎につなぎとめる決まりが当てはまりません(同 第2項)。
ただし、地面の土が軟らかい区域として指定された所に建つ平屋は、この例外から除かれます(同 第1項第二号)。

筋かいは、横からの力に備えて、壁と同じように各階に入れるものです(建築基準法施行令 第46条第1項)。

最初の骨組みの図には、土台を描いていません。
下の図で、土台・柱・筋かい・小屋組の場所を見てください。

木造の骨組みに、土台・柱・筋かい・小屋組の番号を付けた図
1 土台、2 柱、3 筋かい、4 小屋組の順に見る。4 は屋根の下の骨組み全体を指す。土台は、基礎と柱のあいだの横の木材。1階の床の高さの格子は床を支える木の骨組みで、番号は付けていない。火打材は床や屋根の骨組みの中にあり、この絵では見分けにくいので番号を付けていない。番号と名前は編集部が付けた。編集部が生成AIで作成

上の図は、木造の骨組みの例です。
木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の違いは、「建物の構造の種類|木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造」の記事で解説しています。

木造の床の骨組みには、床板を支える横木の根太(ねだ)と、いちばん下の階でその根太を支える横の材の大引(おおびき)があります(デジタル大辞泉「根太」、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「大引」)。

軸組図(じくぐみず)は、柱や梁などを組み立てた骨組み(架構)を表す図面です(建築工事設計図書作成基準の資料 資料2 (23)、デジタル大辞泉「架構」)。

床と壁の骨組みを描いた木造の図面は、「木造の床伏図の読み方|土台・大引・梁・根太」「木造の軸組図の読み方|柱・梁・筋かいの組み方」(準備中)の記事で解説します。

建物の部位の名称は、図面にどう書かれるのか

国の工事の基準では、骨組みの部位は伏図に配置を描き、名前を略号で書きます。

基礎の配置を描くのは基礎伏図、柱・梁・壁・床版などの配置を描くのは各階床伏図です(建築工事設計図書作成基準の資料 資料2 (21)・(22))。

小屋伏図(こやふせず)は、屋根を支える小屋組を描いた伏図です。
国の工事の基準の図面の一覧では、各階床伏図の欄に「小屋伏図を含む」と書かれていて、小屋伏図は各階床伏図の1つとして扱います(建築工事設計図書作成基準 4.2)。

伏図には、部位ごとに位置・形状・寸法・略号などを書きます(建築工事設計図書作成基準の資料 資料2 (21)・(22))。

基礎伏図と各階床伏図は、実施設計で作る図面です(建築工事設計図書作成基準 4.2)。

基本設計と実施設計でする仕事は、国土交通省の告示に書かれています(令和6年国土交通省告示第8号 別添一)。
告示は、国などが決めたことを、公式に広く一般に知らせるものです(デジタル大辞泉「告示」)。

基本設計は、建物を建てる人の要求などを、設計の条件として整理する段階です(令和6年国土交通省告示第8号 別添一 1 一)。
その条件から、建物の配置、間取りと空間の組み立て(平面と空間の構成)、各部の寸法、主な材料などを検討してまとめます(同)。

実施設計は、基本設計に基づいて、設計の意図をより詳しく具体化する段階です(同 1 二)。
工事をする人が図面を正確に読み取って工事ができ、工事費を適正に見積もれるようにするための段階です(同)。

基本設計と実施設計の違いは、「設計の段階と図面|基本設計と実施設計で描く図面の違い」の記事で解説しています。

部位ごとの略号は、次のとおりです(建築工事設計図書作成基準の資料 資料1)。

部位略号部位略号
基礎F柱C
布基礎CF間柱P
基礎梁FG壁W
大梁G耐震壁EW
小梁B土圧を受ける壁RW
トラス梁T土圧を受け、かつ耐震壁ERW
床版(スラブ)S筋かいBR

上の表の略号は、基準の資料にある表から、骨組みの部位のものを抜き出したものです。

資料1 略号の構造の欄。部位の略号が並ぶ
資料1 の構造の略号。基礎の F、大梁の G、柱の C などを見る。この記事で説明するのは上の表に抜き出した部位の略号だけで、材料・鋼材・鉄筋・寸法の略号は説明しない。出典:国土交通省「建築工事設計図書作成基準の資料(令和2年改定)」資料1 の構造の欄を切り出して編集部が作成

上の図の出典の資料1には、同じ文字が2つの意味で使われている略号もあります。
S は鉄骨(構造の材料)の略号にも、W は木(構造の材料)の略号にも使われています(建築工事設計図書作成基準の資料 資料1)。

鉄骨(てっこつ)は、柱や梁など、建物の骨組みに使う鉄材です(家とインテリアの用語がわかる辞典「鉄骨」)。
資料1には、図面の S や W がどちらの意味かを見分ける方法は書かれていません。

骨組みを表す図面の種類は、「建築図面の3つの種類|意匠図・構造図・設備図」の記事で解説しています。

骨組みの部位は、伏図のほかに、建物を縦に切った図面にも描かれます。
その1つが矩計図(かなばかりず)で、地面・床・窓・軒・天井などの高さの関係を示す断面図です(精選版 日本国語大辞典「矩計図」)。

断面図は、建物などを垂直に切ったと考えて、その切り口を表した図をいいます(デジタル大辞泉「断面図」)。
軒(のき)は、建物の屋根が、壁や柱より外側へ出ている部分です(家とインテリアの用語がわかる辞典「軒」)。

矩計図にも、基礎や床が描かれます。
矩計図は、「矩計図とは何か|断面図との違いと建築図面の読み方・作図前提を整理」の記事で解説しています。

「主要構造部」は、骨組みと同じものか

主要構造部は、骨組みとは指す部位が違う別の言葉で、基礎が入っていません。

「主要構造部」(しゅようこうぞうぶ)という言葉を見て、骨組みのことだと思うかもしれません。
けれども、主要構造部は、壁・柱・床・はり・屋根・階段を指す言葉です(建築基準法 第2条第五号)。

そこから除くものには、間仕切壁・間柱・最下階の床・小ばり・ひさし・屋外階段などがあります(同)。
法律の文では、これらの前に「建築物の構造上重要でない」という言葉が付いています(同)。

ひさしは、窓や出入り口などの上に張り出す小さな屋根です(デジタル大辞泉「庇」)。

主要構造部には、骨組みの定義に無い階段が入り、骨組みの定義にある基礎や土台は入りません。

主要構造部は、たとえば耐火建築物(火災に強い建物)の条件を決めるのに使われます(建築基準法 第2条第九号の二)。
骨組みを指す構造耐力上主要な部分は、この記事で見た第36条の3・第42条・第46条のような、構造の決まりで使われる呼び名です(建築基準法施行令)。

2つの呼び方の違いは、「主要構造部と構造耐力上主要な部分|防火の規定と構造の規定での違い」(準備中)の記事で解説します。

まとめ

建物の骨組みは、建物の重さと、地震・風の力を受けて、地面まで伝える部分です。
法律の上での呼び名は「構造耐力上主要な部分」です。

重さは上から下へ、屋根や床から梁と柱を通って基礎へ下り、地面に伝わります。
地震と風の力は横からかかり、木造では壁や筋かいが受け止めます。

基礎・柱・壁・梁・床版・屋根版という名前の違いは、この流れのどこを受け持つかの違いです。
部位の配置は、国の工事の基準では伏図に描き、F(基礎)・C(柱)・G(大梁)・S(床版)のような略号で書きます。

確かめの問い

読み終えたら、次の4つに答えてみましょう。

  1. 最初の骨組みの図で、番号3の部材は何ですか。受けた重さを、どこへ渡しますか。
  2. 部屋を仕切るだけの壁は、骨組みに入りますか。
  3. 国の工事の基準の略号で、G と C は、それぞれどの部位ですか。
  4. 骨組みには入るのに、主要構造部には入らない部位を1つ挙げてください。

答え

  1. 梁です。床や屋根の重さを受けて、柱へ渡します。
  2. 入りません。骨組みに入るのは、重さや力を支える壁です。
  3. G は大梁、C は柱です。
  4. 基礎です。土台も、骨組みには入り、主要構造部には入りません。

続けて読む記事

部位の名前が出てくる図面と法律の言葉は、次の記事で解説しています。

骨組みの材料

骨組みを描いた図面

  • 「建築図面の3つの種類|意匠図・構造図・設備図」:骨組みを表す構造図が、建築図面の中でどんな種類か
  • 「建築図面の構造図とは|骨組みを表す図面」(準備中):構造図に何が描かれ、どんな順に読むか
  • 「木造の基礎伏図の読み方|基礎の配置・幅・人通口・アンカーボルト」(準備中):木造の家の基礎を、上から見た図でどう読むか
  • 「木造の床伏図の読み方|土台・大引・梁・根太」(準備中):木造の家の床の骨組みを、上から見た図でどう読むか
  • 「木造の軸組図の読み方|柱・梁・筋かいの組み方」(準備中):柱・梁・筋かいの組み方を、壁の面ごとにどう読むか

ほかの図面に出てくる骨組み

法律の言葉

  • 「主要構造部と構造耐力上主要な部分|防火の規定と構造の規定での違い」(準備中):2つの呼び方が、それぞれどの決まりで使われるか

建築図面の記事をどの順に読むかは、「建築図面を読む順番|共通ルールから施工図まで」の記事にまとめています。


*2026年9月29日と30日に、原文と辞典で確かめた内容です。

法律は「建築基準法」「建築基準法施行令」、国土交通省の資料は「建築工事設計図書作成基準(令和2年改定)」と「建築工事設計図書作成基準の資料(令和2年改定)」、設計の段階は「令和6年国土交通省告示第8号」の別添一によります。

語の意味は、コトバンクで開いた辞典によります。
小学館「デジタル大辞泉」(部位・政令・荷重・構造計算・風圧・土圧・水圧・部材・耐力壁・布基礎・柱・間柱・平面図・耐震壁・桁・垂木・トラス・土台・小屋組・方杖・火打ち・根太・架構・告示・断面図・庇)、「精選版 日本国語大辞典」(基礎杭・伏図・大梁・小梁・基礎梁・矩計図)、講談社「家とインテリアの用語がわかる辞典」(梁・間仕切り壁・スラブ・鉄骨・軒)、小学館「日本大百科全書(ニッポニカ)」(筋かい)、「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典」(大引)、平凡社「世界大百科事典(旧版)」(「基礎」の項、直接基礎のページ)です。

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この記事について

PERSC編集部が、建築の制作に関わる知識を実務目線で整理しています。内容は公開・更新日時点の情報にもとづきます。誤りや古い情報にお気づきの場合はお問い合わせよりご連絡ください。

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