
建築の寸法と納まりとは|寸法はどこから来るか
- 建築の「納まり」とはどういう意味?
- 建物の寸法は何をもとに決まっているの?
- 建築の寸法の基準を知りたい
図面には、柱の間や天井の高さ、窓の大きさなど、たくさんの寸法が並びます。しかし、値のもとを知らないと、間取りを変えたときに何が変わるのかが読めません。
この記事で解説するのは、寸法と納まりの意味、寸法を決めるもの、納まりで見ること、寸法と納まりを学ぶ10の記事です。読むと分かるのは、図面の寸法が何をもとに決まっているかです。
建物の寸法には、人の体・材料の大きさ・構造・法規といった、値を決めるもとがあります。部材どうしが出会う所の取り付け具合は、納まりと呼びます。
建築の寸法と納まりとは

寸法は、物の長さのことです。図面では、柱の間・部屋の広さ・天井の高さ・壁の厚み・窓の大きさなどを寸法で表します。
取り合いは、部材と部材のつぎ目や、接する所のことです。床と壁、壁と天井、窓枠と壁など、違う部材が出会う所はどれも取り合いと呼びます。
納まりは、部材どうしの取り付け具合や、取り合わせの状態のことです。業界では「収まり」ではなく「納まり」と書きます。
うまく取り合っていることを「納まりがよい」、そうでないことを「納まりが悪い」と言うのが現場の言い方です。
寸法を決めるもの

図面の寸法の値には、それぞれもとになるものがあります。ここで取り上げるのは、次の4つです。
- 人の体
- 材料の大きさ
- 構造
- 法規
人の体
人の体と動きの大きさは、部屋や通路の寸法のもとになります。目安は、1人が正面を向いて歩くのに 60cm、テーブルから椅子を引くのに 75cm です。
寸法をそろえる基準の大きさ(モジュール)も、人の体や動作、家具の寸法に合うことが求められます。
材料の大きさ
材料の大きさも、寸法のもとの1つです。建築の部材を量産するには、部材どうしを入れ替えて使えることが求められ、寸法の単位がそろえられてきました。
日本の部材の多くは、90cm と、そこから出る 30cm・45cm の倍数で寸法が決められています。住宅では、関東で約910mm の尺モジュールと、1,000mm のメーターモジュールがあります。
構造
構造が決める寸法の例が、建物を支える柱や梁の大きさです。柱と柱の間(スパン)が長いほど梁の高さ(梁せい)は大きくなり、梁の下の端が下がって天井の高さにも影響します。
法規
建築基準法施行令は、居室の天井の高さや、いちばん下の階の居室の床が木造のときの床の高さに、いちばん低い値を決めています。
階段の幅や段の寸法にも、決まりがある形です。これらは守らなければならない値で、図面でよく見る値とは別のものです。
納まりで見ること

納まりで見るのは、図面どおりにいかない所を、部材のつぎ目でどう逃がすかです。現場では、壁や床が完全に真っ直ぐにはならず、図面どおりにいかない所が出ます。
たとえば、枠と壁の面をわざとずらす、床と壁の隙間を巾木(壁のいちばん下に張る横木)で隠す、といった納め方がその例です。

寸法の基本

ここから先は、寸法と納まりを学ぶ10の記事を読む順に並べた案内です。
最初に、寸法をそろえる単位と、人の体、材料の大きさを見ます。部屋と通路の記事では、モジュールの記事の柱の間隔を使って、廊下の実際の幅を出します。
寸法の基本で読む記事は、次の3つです。
- 建築のモジュール
- 部屋と通路の寸法
- 材料の大きさと割付
建築のモジュール
図面に 910 の倍数が並ぶのは、モジュールで寸法をそろえているためです。尺モジュールとメーターモジュールで柱の間隔や廊下の幅がどう変わるかは、次の記事で解説しています。
部屋と通路の寸法
廊下や出入口の幅は、人の体と動きの大きさから考えるのが基本です。歩く幅や椅子を引く幅の目安と、住宅の通路と出入口の幅の基準は、次の記事で解説しています。
» 寸法設計と物の寸法|人・家具・物の大きさから決める部屋と通路
材料の大きさと割付
ボードや合板には決まった大きさ(定尺)があり、並べる位置と間隔を先に決めないと(割付)、端に半端が残ります。材料の大きさと割付の考え方は、次の記事で解説しています。
高さと厚み

次に、建物の高さと、梁、壁と床の厚みを見ます。梁の記事では、高さの記事で見た見本の家の階高 2,900 と天井高 2,400 を使います。
高さと厚みで読む記事は、次の3つです。
- 高さのよくある値
- スパンと梁せい
- 壁と床の厚み
高さのよくある値
断面図の高さが普通かどうかは、よくある値と比べると見当が付きます。天井高・階高・1階の床の高さ・窓とドアの高さで、公開されている住宅の図面に多かった値は、次の記事で解説しています。
スパンと梁せい
天井を梁より下に張る部屋で柱の間を広げると、天井を下げるか階高を上げることになります。スパンと梁せいの関係と、木造の梁の大きさの確かめ方は、次の記事で解説しています。
壁と床の厚み
公開されている住宅の図面は、壁の厚みの合計を書かず、層ごとの厚みを書いていました。木造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造の壁と床の層と厚みは、次の記事で解説しています。
開口部と仕上げの納まり

続いて、窓やドアなどの開口部と、仕上げ材の境目の納まりを見ます。枠の記事では、厚みの記事で見た壁の厚さに合わせて、枠の見込みを決めます。
開口部と仕上げの納まりで読む記事は、次の3つです。
- 建具の標準寸法
- 見込み・見付け・チリ
- 巾木・廻り縁・見切り・目地
建具の標準寸法
木造の新築の住宅の窓と玄関ドアは、サッシの業界団体が決めた標準の大きさでそろっています。サッシの大きさを表す5桁の数字(呼称)の読み方と、窓とドアのよくある大きさは、次の記事で解説しています。
見込み・見付け・チリ
窓やドアの枠の納まりは、見込み・見付け・チリという言葉で言い表します。枠の奥行き・正面の幅・壁との段差を指す3つの言葉と、わざと枠と壁の面をずらす理由は、次の記事で解説しています。
巾木・廻り縁・見切り・目地
床と壁、壁と天井、違う仕上げ材の境目は、巾木・廻り縁(天井と壁の境に付ける横木)・見切り(仕上げ材の変わり目や端を納める部材)・目地で納めるのが基本です。
それぞれの役目と、高さなどの寸法の例は、次の記事で解説しています。
敷地の高さ

最後に、建物の外の敷地の高さを見ます。敷地の高さは、動かない基準の点(BM)からの差で書くのが基本です。
建物ができたあとの地面の高さ(設計GL)と法令の地盤面の違い、道路から1階の床までの段差は、次の記事で解説しています。
寸法のもとと納まりを考えて図面を読もう

建物の寸法には値を決めるもとがあり、部材どうしが出会う所の取り付け具合が納まりです。この記事の要点は、次の4つです。
- 寸法を決めるもの:人の体・材料の大きさ・構造・法規など
- 納まり:部材どうしが出会う所(取り合い)の取り付け具合や状態
- 納まりで見ること:図面どおりにいかない所を、つぎ目でどう逃がすか
- 読む順:寸法の基本、高さと厚み、開口部と仕上げの納まり、敷地の高さ
図面の寸法を1つ選び、その値が何をもとに決まっているかを、人の体・材料の大きさ・構造・法規の例と照らして考えてみてください。
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