1. 建築の寸法と納まりとは|寸法はどこから来るか

建築の寸法と納まりとは|寸法はどこから来るか

編集部 読了 約8分

  • 建築の「納まり」とはどういう意味?
  • 建物の寸法は何をもとに決まっているの?
  • 建築の寸法の基準を知りたい

図面には、柱の間や天井の高さ、窓の大きさなど、たくさんの寸法が並びます。しかし、値のもとを知らないと、間取りを変えたときに何が変わるのかが読めません。

この記事で解説するのは、寸法と納まりの意味、寸法を決めるもの、納まりで見ること、寸法と納まりを学ぶ10の記事です。読むと分かるのは、図面の寸法が何をもとに決まっているかです。

建物の寸法には、人の体・材料の大きさ・構造・法規といった、値を決めるもとがあります。部材どうしが出会う所の取り付け具合は、納まりと呼びます。

建築の寸法と納まりとは

見本の家の断面の一部に、天井の高さ・窓の高さ・柱の間の寸法と、床と壁・壁と天井・窓枠と壁の取り合いの場所を示した図
見本の家(編集部が作図した木造2階建ての住宅の例)の断面の一部。値は例。編集部が作図

寸法は、物の長さのことです。図面では、柱の間・部屋の広さ・天井の高さ・壁の厚み・窓の大きさなどを寸法で表します。

取り合いは、部材と部材のつぎ目や、接する所のことです。床と壁、壁と天井、窓枠と壁など、違う部材が出会う所はどれも取り合いと呼びます。

納まりは、部材どうしの取り付け具合や、取り合わせの状態のことです。業界では「収まり」ではなく「納まり」と書きます。

うまく取り合っていることを「納まりがよい」、そうでないことを「納まりが悪い」と言うのが現場の言い方です。

寸法を決めるもの

人の体・材料の大きさ・構造・法規の4つを、見本の家の寸法と結んだ図
寸法を決めるもとと、見本の家の寸法の例。値は例。編集部が作図

図面の寸法の値には、それぞれもとになるものがあります。ここで取り上げるのは、次の4つです。

  • 人の体
  • 材料の大きさ
  • 構造
  • 法規

人の体

人の体と動きの大きさは、部屋や通路の寸法のもとになります。目安は、1人が正面を向いて歩くのに 60cm、テーブルから椅子を引くのに 75cm です。

寸法をそろえる基準の大きさ(モジュール)も、人の体や動作、家具の寸法に合うことが求められます。

材料の大きさ

材料の大きさも、寸法のもとの1つです。建築の部材を量産するには、部材どうしを入れ替えて使えることが求められ、寸法の単位がそろえられてきました。

日本の部材の多くは、90cm と、そこから出る 30cm・45cm の倍数で寸法が決められています。住宅では、関東で約910mm の尺モジュールと、1,000mm のメーターモジュールがあります。

構造

構造が決める寸法の例が、建物を支える柱や梁の大きさです。柱と柱の間(スパン)が長いほど梁の高さ(梁せい)は大きくなり、梁の下の端が下がって天井の高さにも影響します。

法規

建築基準法施行令は、居室の天井の高さや、いちばん下の階の居室の床が木造のときの床の高さに、いちばん低い値を決めています。

階段の幅や段の寸法にも、決まりがある形です。これらは守らなければならない値で、図面でよく見る値とは別のものです。

納まりで見ること

窓枠と壁の取り合いを大きくした断面図。枠と壁の面の段差と、境目に付ける部材を示す
窓まわりの取り合いの例。値は例。編集部が作図

納まりで見るのは、図面どおりにいかない所を、部材のつぎ目でどう逃がすかです。現場では、壁や床が完全に真っ直ぐにはならず、図面どおりにいかない所が出ます。

たとえば、枠と壁の面をわざとずらす、床と壁の隙間を巾木(壁のいちばん下に張る横木)で隠す、といった納め方がその例です。

建ったばかりの家の室内で、若い人が窓枠と壁の境目に顔を近づけて見ている場面
窓枠と壁の境目を確かめる場面のイメージ

寸法の基本

寸法の基本の3つの記事(モジュール、部屋と通路、材料の大きさと割付)を順に並べた図
寸法の基本を学ぶ3つの記事。編集部が作成

ここから先は、寸法と納まりを学ぶ10の記事を読む順に並べた案内です。

最初に、寸法をそろえる単位と、人の体、材料の大きさを見ます。部屋と通路の記事では、モジュールの記事の柱の間隔を使って、廊下の実際の幅を出します。

寸法の基本で読む記事は、次の3つです。

  • 建築のモジュール
  • 部屋と通路の寸法
  • 材料の大きさと割付

建築のモジュール

図面に 910 の倍数が並ぶのは、モジュールで寸法をそろえているためです。尺モジュールとメーターモジュールで柱の間隔や廊下の幅がどう変わるかは、次の記事で解説しています。

» 建築のモジュール|寸法の基準の単位

部屋と通路の寸法

廊下や出入口の幅は、人の体と動きの大きさから考えるのが基本です。歩く幅や椅子を引く幅の目安と、住宅の通路と出入口の幅の基準は、次の記事で解説しています。

» 寸法設計と物の寸法|人・家具・物の大きさから決める部屋と通路

材料の大きさと割付

ボードや合板には決まった大きさ(定尺)があり、並べる位置と間隔を先に決めないと(割付)、端に半端が残ります。材料の大きさと割付の考え方は、次の記事で解説しています。

» 規格寸法と割付|定尺・目地割り

高さと厚み

高さと厚みの3つの記事(高さのよくある値、スパンと梁せい、壁と床の厚み)を順に並べた図
高さと厚みを学ぶ3つの記事。編集部が作成

次に、建物の高さと、梁、壁と床の厚みを見ます。梁の記事では、高さの記事で見た見本の家の階高 2,900 と天井高 2,400 を使います。

高さと厚みで読む記事は、次の3つです。

  • 高さのよくある値
  • スパンと梁せい
  • 壁と床の厚み

高さのよくある値

断面図の高さが普通かどうかは、よくある値と比べると見当が付きます。天井高・階高・1階の床の高さ・窓とドアの高さで、公開されている住宅の図面に多かった値は、次の記事で解説しています。

» 高さの寸法|階高・天井高・床高のよくある値

スパンと梁せい

天井を梁より下に張る部屋で柱の間を広げると、天井を下げるか階高を上げることになります。スパンと梁せいの関係と、木造の梁の大きさの確かめ方は、次の記事で解説しています。

» 構造が決める寸法|スパン・階高・梁せい

壁と床の厚み

公開されている住宅の図面は、壁の厚みの合計を書かず、層ごとの厚みを書いていました。木造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造の壁と床の層と厚みは、次の記事で解説しています。

» 壁と床の厚み|構造ごとの壁厚と仕上げの層

開口部と仕上げの納まり

開口部と仕上げの納まりの3つの記事(建具の標準寸法、見込み・見付け・チリ、巾木・廻り縁・見切り・目地)を順に並べた図
開口部と仕上げの納まりを学ぶ3つの記事。編集部が作成

続いて、窓やドアなどの開口部と、仕上げ材の境目の納まりを見ます。枠の記事では、厚みの記事で見た壁の厚さに合わせて、枠の見込みを決めます。

開口部と仕上げの納まりで読む記事は、次の3つです。

  • 建具の標準寸法
  • 見込み・見付け・チリ
  • 巾木・廻り縁・見切り・目地

建具の標準寸法

木造の新築の住宅の窓と玄関ドアは、サッシの業界団体が決めた標準の大きさでそろっています。サッシの大きさを表す5桁の数字(呼称)の読み方と、窓とドアのよくある大きさは、次の記事で解説しています。

» 建具の標準寸法|ドアと窓の幅と高さ

見込み・見付け・チリ

窓やドアの枠の納まりは、見込み・見付け・チリという言葉で言い表します。枠の奥行き・正面の幅・壁との段差を指す3つの言葉と、わざと枠と壁の面をずらす理由は、次の記事で解説しています。

» 開口部の納まり|見込み・見付け・チリ

巾木・廻り縁・見切り・目地

床と壁、壁と天井、違う仕上げ材の境目は、巾木・廻り縁(天井と壁の境に付ける横木)・見切り(仕上げ材の変わり目や端を納める部材)・目地で納めるのが基本です。

それぞれの役目と、高さなどの寸法の例は、次の記事で解説しています。

» 仕上げの納まり|巾木・廻り縁・見切り・目地

敷地の高さ

道路・敷地・建物の1階の床の高さを、BMからの差で並べた断面の図
敷地の高さを学ぶ記事。値は例。編集部が作成

最後に、建物の外の敷地の高さを見ます。敷地の高さは、動かない基準の点(BM)からの差で書くのが基本です。

建物ができたあとの地面の高さ(設計GL)と法令の地盤面の違い、道路から1階の床までの段差は、次の記事で解説しています。

» 敷地の高さ|GL・設計GL・段差

寸法のもとと納まりを考えて図面を読もう

この記事のまとめの表。寸法を決めるもの、納まり、納まりで見ること、10の記事の読む順
この記事のまとめ。編集部が作成

建物の寸法には値を決めるもとがあり、部材どうしが出会う所の取り付け具合が納まりです。この記事の要点は、次の4つです。

  • 寸法を決めるもの:人の体・材料の大きさ・構造・法規など
  • 納まり:部材どうしが出会う所(取り合い)の取り付け具合や状態
  • 納まりで見ること:図面どおりにいかない所を、つぎ目でどう逃がすか
  • 読む順:寸法の基本、高さと厚み、開口部と仕上げの納まり、敷地の高さ

図面の寸法を1つ選び、その値が何をもとに決まっているかを、人の体・材料の大きさ・構造・法規の例と照らして考えてみてください。

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