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  1. 寸法設計と物の寸法|人・家具・物の大きさから決める部屋と通路

寸法設計と物の寸法|人・家具・物の大きさから決める部屋と通路

編集部 読了 約5分

  • 住宅の廊下の幅は何cmあればいいの?
  • 車いすでも使える廊下の幅はどのくらい?
  • 人の体の大きさから通路の寸法を考える方法を知りたい

住宅の廊下の実際に使える幅(有効幅)は、柱の中心の間隔を約910mm にする尺モジュールなら、約780mm です。しかし、何と比べれば足りると言えるのかを知らないと、図面を見ても判断できません。

この記事で解説するのは、部屋の中と通路で動くときに要る幅の目安と、住宅の通路と出入口の幅の基準、図面で廊下の有効幅を確かめる手順です。読むと、廊下の寸法を何と比べればよいかが分かります。

部屋や通路の寸法のもとになるのは、人の体と動き、家具の大きさです。

人の体の大きさを尺度にする

大人の男性と女性の立った姿を並べ、身長の平均の値を添えた図
人体寸法のデータベース(2003年・20〜35歳の97名)の身長の平均。編集部が作図

人の体の大きさを尺度にして、物や空間の大きさを考えることを、ヒューマンスケールと呼びます。住宅の住みやすさのように、人と空間の関係を考えるときの言葉です。

人の体の大きさは、計ったデータが公開されています。2003年に計られた日本人の人体寸法のデータベースでは、身長の平均が男性 1,696.7mm、女性 1,578.3mm でした。

動きに要る幅の目安

平面の図。1人が正面を向いて歩く幅60cm、テーブルから椅子を引く空き75cm、座る人の後ろを歩くときのテーブルから壁まで100cm
通路と食卓まわりの例。値は目安。編集部が作図

人が歩いたり、椅子を引いたりするときには、体の大きさより広い幅が要ります。目安としてよく挙げられる値は、通路と、部屋の中の食卓まわりの次の3つです。

  • 1人が歩く幅
  • 椅子を引く空き
  • 座る人の後ろを歩く幅

1人が歩く幅

大人1人が正面を向いて歩くには、60cm ほどの幅が要ります。両側が壁の廊下でも、この幅があれば正面を向いたまま進めるという値です。

椅子を引く空き

部屋の中では、家具のまわりにも動くための空きが要ります。食卓で椅子を引いて座るには、テーブルの端から 75cm ほどの空きが目安です。

座る人の後ろを歩く幅

座っている人の後ろを歩くなら、テーブルの端から壁まで約100cm が目安です。

住宅の通路と出入口の幅の基準

住宅性能表示の高齢者等への配慮の基準で、等級ごとに通路と出入口の幅をまとめた表
住宅性能表示の等級ごとの値を表にした。編集部が作成

住宅性能表示は、新築住宅の性能を分野ごとの等級などで表す制度で、受けるかどうかは住宅ごとに選びます。高齢者等への配慮の等級では、日常生活空間の通路と出入口の幅が、次の表のとおりです。

等級通路の有効幅出入口の幅
等級5850mm 以上(柱などの所は 800mm 以上)800mm 以上
等級4780mm 以上(柱などの所は 750mm 以上)750mm 以上(浴室は 650mm 以上)
等級3780mm 以上(柱などの所は 750mm 以上)750mm 以上(浴室は 600mm 以上)

表の等級5 が最も上の段です。どの等級の通路の値も、1人が歩く 60cm より広い値になっています。

日常生活空間は、高齢者などが使うと考える玄関・トイレ・浴室・寝室・食事室などと、それらを結ぶ主な経路のことです。「柱などの所」は、柱などが出っ張って通路が狭くなる所を言います。

高齢者が住む住宅について国が出している設計の指針は、廊下と出入口に、歩行補助具や介助用の車いすの使用に配慮した幅を、できる限り確保するとしています。

指針の通路の有効幅の目安は、基本のレベルで 780mm(柱などの所は 750mm)以上、推奨のレベルで 850mm(同 800mm)以上です。

図面で廊下の有効幅を確かめる

見本の家の廊下の平面を大きくした図。柱の中心の間が910、両側の壁の分の65ずつを引いた有効幅が780
見本の家(木造2階建て)の1階の廊下。値は例。編集部が作図

廊下の有効幅は、柱の中心の寸法から、両側の壁が廊下の側へはみ出す分を引いて確かめます。廊下の柱の中心どうしの間は 90cm がよく用いられる寸法で、尺モジュールでは 910mm です。

柱 105mm の両側にせっこうボード 12.5mm を張った壁は、柱の中心から廊下の側へ 65mm(52.5mm+12.5mm)出ます。廊下の両側の壁の分で、引くのは 130mm です。

住宅の廊下で、若い設計者が両腕を横に広げ、廊下の幅を体で確かめている場面
廊下の幅を体で確かめる場面のイメージ

尺モジュール(柱の中心の間隔を約910mm にする決め方)では、910mm から 130mm を引いて、有効幅は 780mm です。

この 780mm は、住宅性能表示の等級4・等級3 の通路の 780mm に当たり、等級5 の 850mm には届きません。

メーターモジュール(1,000mm にする決め方)なら、有効幅は 870mm になります。870mm は、等級5 の 850mm も上回る値です。

人と動きの大きさから通路の幅を確かめよう

この記事のまとめの表。動きに要る幅の目安と、住宅の通路と出入口の基準の値、有効幅の確かめ方
この記事のまとめ。編集部が作成

通路の幅は、人の体と動きの大きさから考え、図面では有効幅で確かめます。動きに要る幅の目安は、次の3つです。

  • 1人が歩く幅
  • 椅子を引く空き
  • 座る人の後ろを歩く幅

住宅性能表示の通路の有効幅は、等級3・4 で 780mm 以上、等級5 で 850mm 以上です。

図面を開いたら、廊下の柱の中心の寸法から両側の壁の分を引いて有効幅を出し、住宅性能表示の基準の値と比べてみてください。

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