
建築図面の投影法|複数の図面で1棟を表す理由
*2026年9月29日に確認した内容です。投影法の説明は、武蔵野美術大学「造形ファイル」の「正投影図法」によります。ほかは、「建築基準法施行規則」と、国土交通省の「建築工事設計図書作成基準」「建築工事設計図書作成基準の資料」(どちらも令和2年改定)によります。国土交通省の基準は、国の建物の工事(官庁営繕)のための図面の決まりです。
建物は立体ですが、図面は平らな紙です。立体を平らな紙に表すために、建築図面では、同じ建物を見る向きや切る位置を変えて、平面図・立面図・断面図など何枚かの図に分けて描きます。この記事では、立体を平面に表す決まり(投影法)の考え方と、平面図・立面図・断面図がそれぞれ何を表すか、図の向きと並べ方の決まりを載せています。
立体を平らな紙に表す決まりが、投影法
武蔵野美術大学の「造形ファイル」は、投影法を「三次元の物体を二次元上で表現するための規則」と説明しています。三次元は幅・奥行き・高さのある立体、二次元は平らな面のことです。同じ説明の中で、投影法は大きく分けて透視投影と平行投影があり、正投影図法は平行投影の考え方の1つとしています。透視投影は遠くのものほど小さく写す方法、平行投影は遠近をつけずに、平行な線のまま写す方法です(この2文の言い換えは編集部)。
正投影図法は、2つ以上の面に物を写して表す方法で、物の形(高さ・幅・奥行き)を正確に表せる、としています(同じ「造形ファイル」)。1つの面では形を表しきれないので、見る向きを変えた何枚かの図を組み合わせます。
見本の家を、立体の姿と、平面図・立面図・断面図の3つの図で並べると、次のようになります。
見本の家の立体の姿
平面図・立面図・断面図遠くのものほど小さく見えるように描く透視投影の図(透視図)は、「透視図(パース)とは|平面図・立面図との違い」の記事で解説しています。
平面図は、各階を水平に切って上から見た図
国土交通省の「建築工事設計図書作成基準」は、国の建物の図面の書き方を定めた基準です。この基準の資料は、平面図を「各階の水平断面を表現する」としています(資料2 の(8))。水平断面は、建物を床と平行に切った切り口のことです。平面図では、部屋の並び(間取り)や、壁・柱・窓・ドアの位置が分かります。
建物を建てる前に、計画が法律に合っているかを役所などに確かめてもらう手続き(確認申請)があります。建築基準法施行規則の第1条の3 は、確認申請に添える各階平面図に、縮尺・方位・間取・各室の用途・床面積・壁と筋かい(柱と柱の間に斜めに入れる部材)の位置などを書くとしています。
平面図の読み方は、「建築図面の平面図とは|水平に切った間取りの図面」の記事で解説します(準備中)。
立面図は、建物の外側を横から見た図
基準の資料は、立面図を「建物の外観及び形状を表現する」としています(資料2 の(9))。外観は、建物を外から見た姿です。立面図では、外から見た形や、窓の並び、外壁の仕上げ(外壁の表面に張ったり塗ったりする材料)が分かります。
施行規則の第1条の3 は、確認申請に「二面以上の立面図」を添え、縮尺・開口部(窓や出入口)の位置などを書くとしています。
立面図の読み方は、「建築図面の立面図とは|東西南北4面」の記事で解説します(準備中)。
断面図は、建物を縦に切って横から見た図
基準の資料は、断面図を「建物各部と地盤との関係、建物の階高、階数等を表現する」としています(資料2 の(10))。地盤は建物の下の地面、階高は、ある階の床から上の階の床までの高さです。断面図では、床や天井の高さ、屋根の形が分かります。
施行規則の第1条の3 は、確認申請に「二面以上の断面図」を添え、縮尺・地盤面・各階の床と天井の高さ・軒(屋根が外壁から外に出た部分)やひさし(窓や出入口の上に出た小さな屋根)の出・建物の各部分の高さなどを書くとしています。
断面図の読み方は、「建築図面の断面図と矩計図とは|建物を縦に切った図面」の記事で解説します(準備中)。
3つの図は、表すものが分かれている
平面図・立面図・断面図が表すものを、施行規則の第1条の3 の「明示すべき事項」から並べると、次のとおりです。
| 図 | 見る向き | 主に表すもの(施行規則の明示すべき事項から) |
|---|---|---|
| 各階平面図 | 水平に切って上から | 方位、間取、各室の用途と床面積、壁と筋かいの位置、開口部の位置 |
| 立面図(2面以上) | 外側を横から | 開口部の位置、延焼のおそれのある部分の外壁と軒裏(軒の下側の面)の構造 |
| 断面図(2面以上) | 縦に切って横から | 地盤面、各階の床と天井の高さ、軒とひさしの出、各部分の高さ |
「見る向き」は、資料2 の説明を編集部が短く書いたものです。表のとおり、高さは断面図、部屋の並びは平面図と、図ごとに表すものが分かれています。造形ファイルは、正投影図は物の形を判断できる最小限の面があればよいので、多くの場合は正面図・平面図・側面図の3つの面の図で表す、としています。建築図面では、この考え方で、平面図・立面図・断面図などを組み合わせます(組み合わせ方の言い換えは編集部)。
図の向きと並べ方の決まり
基準の3.1(5) は、図の向きを次のように決めています。
- 平面図・配置図(敷地の中の建物の位置の図)・案内図(敷地の場所の図)などは、図の上を北とする
- 立面図・断面図などは、建物の上下を図面の上下に合わせる
3.1(6) は、1枚の用紙に2面以上の図を描く場合の並べ方を決めています。平面図は、最下階から上の階へ、左下・左上・右下・右上の順(図の番号の1〜4)に並べます。立面図は、任意の立面図を1の位置に描き、そのあとは北・西・南・東の順です。

方位の読み方は、「建築図面の方位の読み方|方位記号と北の向き」の記事で解説しています。
まとめ
投影法は、立体を平らな面に表す決まりです。建築図面では、同じ建物を、各階を水平に切って上から見た平面図、外側を横から見た立面図、縦に切って横から見た断面図に分けて描きます。平面図では部屋の並び、立面図では外の形、断面図では高さが分かり、組み合わせて1つの建物を読みます。確認申請には、各階平面図と、2面以上の立面図・断面図を添えます。
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