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3DCG · SketchUp

SketchUpでCAD平面図(DWG)から建物を作る5手順|下敷き固定・壁立ち上げ・屋根まで

編集部 読了 約13分

手元にCAD(設計・製図に使うソフト)の平面図があるのに、それを一から3Dで打ち直すのは時間の無駄です。SketchUp(建築プレゼンでよく使われる3Dモデリングソフト)なら、DWG(AutoCAD系CADの標準図面形式)の平面図をそのまま取り込み、その線をなぞって建物を立ち上げられます。図面という正確な寸法のガイドを「下敷き」にできるため、寸法を打ち直すより速く、しかも正確です。

この記事では、DWG平面図をSketchUpに取り込むところから、図面を固定し、壁・床・開口・階段・屋根までを一棟の躯体(建物の骨組み)として立ち上げる通し手順を、5つの工程に分けて解説します。

取り込みオプションの網羅的な解説やCADへの書き出し・往復ワークフローは扱いません。躯体を一棟作り切るまでの実践に集中します。2026年7月時点のSketchUpの仕様をもとにまとめています。

下敷きモデリングとは何をすることか

下敷きモデリングとは、CADの平面図を寸法の正しいガイドとして床面に敷き、その線をなぞって3Dの建物を立ち上げる作り方です。ゼロから寸法を入力するのではなく、既にある図面資産を3Dの出発点にできる点が実務での利点になります。

下敷きモデリングの考え方と向いている場面

実測図や意匠図のDWGがある案件では、下敷き方式が正確さと速さの両方で有利です。図面には各部の寸法がすでに正しく入っているため、その線をなぞるだけで寸法を打ち直さずに躯体を起こせます。

基本の発想はシンプルです。平面図を床の高さ(Z=0の水平面)に置き、その線を基準にして壁や柱を垂直に立ち上げていきます。平面図が「間取りの地図」、立ち上げた壁が「その地図の上に建てた建物」という関係になります。

たとえば木造2階建て住宅のリフォーム案件で、既存の平面図DWGを支給されたとします。この図面を下敷きにすれば、部屋の寸法を1つずつ測って入力し直す必要がなく、支給図の壁ラインをなぞるだけで正確な間取りの3Dが立ち上がります。手入力による寸法の打ち間違いも防げます。

この記事のスコープと前提

この記事の対象は、DWG平面図を取り込み、壁・床・開口・階段・屋根までの躯体を一棟立ち上げる通し手順です。取り込みの要点には触れますが、細かなオプションの網羅解説はしません。

DWG/DXFの取り込みオプションの詳細や、CADへの書き出し・Jw_cad/AutoCADとの往復ワークフローはSketchUpとCADの連携で解説しています。取り込み設定を細かく詰めたい方はそちらもあわせてご覧ください。

線を引く・面を押し出すといった基本操作は、SketchUpの建築モデリング入門で解説している内容を前提にします。この記事では操作そのものの再解説はせず、「図面をなぞって立ち上げる」という文脈で必要な要点だけを扱います。

手順1|DWG平面図を正しく取り込む

DWGの取り込みは、単位の設定さえ間違えなければ難しくありません。ここを誤ると取り込んだ図面が桁違いのサイズになるため、実寸で入っているかの検算までを1セットにします。

取り込みの起点となるオプションを整理します。

項目内容
メニューFile > Import →ファイル種別で「AutoCAD Files (*.dwg, *.dxf)」を選択
対応形式.dwg / .dxf
スケール(単位)Model Units / Millimeters / Centimeters / Meters など元図面の単位を選択
Preserve Drawing OriginCAD側で定義された原点にジオメトリを配置する
Import Layers as GroupsCADのレイヤーをグループとして取り込む
Import Linework Flattened取り込んだ線のZ値を0にして床面にフラット化する
エディション要件DWG/DXFインポートはSketchUp Pro / Studio(サブスクリプション)で利用可

ソース: SketchUp Help「Importing and Exporting CAD Files」(2026年7月時点)

File > Import で読み込む

取り込みは File > Import から始めます。メニューを開き、ファイル種別で「AutoCAD Files」を選ぶと、.dwg / .dxf ファイルを読み込めます。ファイルを選択したあと、右下の「Options」ボタンから取り込み設定のダイアログを開きます。

DWG/DXFの取り込みはSketchUp Pro / Studio(有料サブスクリプション版)の機能です。無料のSketchUp Free(ブラウザ版)ではCADファイルの取り込みに制約があるため、下敷きモデリングを本格的に行うなら有料版が前提になります。エディションごとの違いはSketchUpとCADの連携で解説しています。

単位を合わせて実寸で取り込む

取り込みで最初に確認すべきは単位です。Optionsのスケール設定で、元の図面と同じ単位を選びます。日本の建築図面はミリメートル(mm)で描かれていることが多いため、その場合は「Millimeters」を選びます。

なぜここが重要かというと、単位が食い違うと取り込み後のサイズが桁でズレるからです。mmの図面をメートル扱いで読み込むと、建物が1000倍の巨大サイズで取り込まれてしまいます。読み込んだ瞬間に「やたら大きい/小さい」と感じたら、まず単位設定を疑ってください。

取り込んだ直後は、必ず一辺の寸法を巻尺ツール(Tape Measure、距離を測るツール)で測って検算します。たとえば「玄関の間口が1,820mmで入っているはず」という箇所を測り、想定どおりの数値が出れば単位は正しく入っています。単位・テンプレートの基本設定はSketchUpの初期設定ガイドにまとめています。

最低限おさえる取り込みオプション

下敷き用途で効くオプションは数個だけです。まず「Import Linework Flattened」にチェックを入れると、取り込む線のZ値がすべて0になり、平面図が床面にフラットに乗ります。DWG側で高さ情報がバラついている図面でも、これで水平な下敷きとして扱えるようになります。

次に「Import Layers as Groups」を有効にすると、CADのレイヤー構造がSketchUpのグループとして取り込まれます。壁・建具・寸法線などがレイヤーで分かれている図面なら、あとの整理がしやすくなります。「Preserve Drawing Origin」は取り込み位置を原点にそろえるかどうかの設定です。

これ以外の細かなオプション(面の向きをそろえるOrient Faces Consistentlyや、マテリアルの取り込みなど)は、下敷きモデリングの入口では触らなくても進められます。オプションの全解説はSketchUpとCADの連携に譲ります。

手順2|下敷きを固定して作業できる状態にする

取り込んだ図面は、そのまま立ち上げに入ると必ず動いたり誤編集されたりします。壁を起こす前に、図面をひとまとまりにして固定し、触れない状態にしておくのが事故を防ぐコツです。

図面をグループ化して軸に整列する

取り込んだ図面は、まず全体を1つのグループにまとめます。理由は、バラバラの線のままだと壁をなぞるたびに図面の線を巻き込んで選択してしまい、作業がしづらいからです。図面をグループ化しておけば、下敷きは「1つのかたまり」として扱えます。

次に、図面の主要な通り芯(建物の基準線)が、SketchUpの赤軸・緑軸と平行になるように回転してそろえます。軸に沿っていると、線を引くときに軸方向へ吸い付く推定機能(点や線を自動で認識する補助機能)が効き、寸法を打たなくても水平・垂直を正確に拾えるようになります。斜めにずれたまま作業すると、この補助が効かず立ち上げが一気に難しくなります。

グループとコンポーネントの基礎はグループとコンポーネントの使い分けで解説しています。再利用や軽量化の考え方も含めて押さえておくと、この先の作業が楽になります。

専用タグを付けてロックする

図面グループには「下敷き」専用のタグ(表示・非表示を切り替える分類ラベル、旧称レイヤー)を付けます。3Dの躯体には別のタグを付けておくと、下敷きだけを表示したり隠したりできるようになります。完成後に下敷きタグを非表示にすれば、プレゼン用に3Dモデルだけをきれいに見せられます。

さらに、図面グループは必ずロックしておきます。ロックとは、そのグループを選択・編集できない状態に固定する機能です。下敷きモデリングで初心者がいちばん多く踏むのが「立ち上げ作業中に、気づかず下敷きの図面を動かしてしまう」事故で、これをやると壁と図面の位置がずれて作り直しになります。ロックしておけば、間違えてクリックしても図面は動きません。

たとえばマンションの1住戸をモデリングしている途中で、壁面を移動しようとしたつもりが下敷き全体を掴んでしまう、という場面はよく起こります。図面をロックしておけば、この操作ミスそのものが発生しなくなります。

手順3|壁と床を立ち上げる

躯体づくりの中心は、下敷きの壁線をなぞって面を作り、プッシュプル(面を押し引きして立体にするツール)で垂直に立ち上げる作業です。壁・床はそれぞれ独立したグループにして進めます。

壁の輪郭をなぞって面をつくる

最初に、線ツール(Line、直線を引くツール)で下敷きの壁ラインをなぞり、輪郭を閉じて面を発生させます。SketchUpは線で囲まれた閉じた領域を自動で面に変換するため、壁の外周をぐるりとなぞって始点に戻ると、その内側に面が張られます。

壁厚のある図面では、壁の内側の線と外側の線の両方をなぞります。こうすると壁の厚みぶんの帯状の面ができ、あとで立ち上げたときに実際の壁厚を持った壁になります。

線をなぞるときは、下敷きの端点や交点に吸い付く推定機能を活用してください。図面上の角に近づけるとカーソルがその点を認識するので、寸法を数値で打たなくても正確な位置を拾えます。数値入力を併用した正確な作図の作法はSketchUpで正確に作図する方法で解説しています。

プッシュプルで壁を垂直に立ち上げる

面ができたら、プッシュプルツールでその壁面を上へ押し出します。壁面をクリックして上方向へ動かし、階高(床から天井までの高さ)を数値で入力します。たとえば「2400」と打ち込めば、2,400mmぶん壁が垂直に立ち上がります。

同じ高さで複数の壁を立ち上げたいときは、押し出したい面をダブルクリックすると、直前に入力した押し出し量がそのまま繰り返されます。住宅1フロアの壁をすべて同じ階高で起こす場合、この繰り返しを使うと1面ずつ数値を打ち直す手間がなくなります。

床スラブを張る

壁と並行して、床スラブ(各階の床の板)も作ります。部屋の外周をなぞって床の面を作り、必要ならプッシュプルで床の厚み(スラブ厚)を与えます。RC造(鉄筋コンクリート造)の建物なら150mm前後のスラブ厚を与えると実物に近い断面になります。

壁と床は、それぞれ別々のグループにして独立させておくのがポイントです。理由は、あとで壁だけ位置を直したい、床だけに素材を貼りたいといった編集が発生したときに、片方だけを安全に触れるからです。グループを分けずに1つの塊で作ると、1か所直そうとして周囲を巻き込んでしまいます。

手順4|開口・階段・屋根を作る

躯体を一棟として仕上げるには、壁に窓・ドアの穴を抜き、階段と屋根を立ち上げます。ここでも下敷きの位置情報をそのまま使えるため、実寸で正確に作れます。

窓・ドアの開口を抜く

窓やドアの開口は、壁に穴を貫通させて作ります。下敷きの建具位置に長方形ツールで開口のサイズの四角形を描き、それをプッシュプルで壁の反対側まで押し切ると、壁を貫通した開口ができます。

窓の場合は、床からの高さも数値で与えると正確に抜けます。窓台(窓の下端の高さ)とまぐさ(窓の上端の高さ)を実寸で入力すれば、図面どおりの位置に窓が開きます。たとえば掃き出し窓なら床から、腰窓なら床上800mm前後から、といった具合に案件の値を入れます。

建具そのもののはめ込みや、より詳しい開口の作り方はSketchUpの建築モデリング入門で解説しています。ここでは躯体に穴を通すところまでを扱います。

階段を作る

階段は、1段分を作ってから複製すると効率よく組めます。下敷きの階段位置に段板(1段の踏み板)を1つ作り、それをコンポーネント(再利用できる部品)にします。その段板を移動ツールで持ち上げつつ、蹴上げ(1段の高さ)と踏面(1段の奥行き)の寸法だけ移動させてコピーします。

続けて「段数ぶんコピー」を指示すると、等間隔で段板が積み上がって階段になります。蹴上げと踏面を数値で決めておけば、法規や実務の寸法に沿った階段が作れます。たとえば住宅なら蹴上げ200mm・踏面225mm前後といった値を入れると、実際に歩ける勾配の階段になります。

屋根を立ち上げる

屋根は形状によって作り方を変えます。陸屋根(傾斜のない平らな屋根)なら、屋根面を作ってパラペット(屋上端の立ち上がり壁)の高さぶんプッシュプルで立ち上げるだけで形になります。

勾配屋根(傾斜のある屋根)の場合は、軒線(屋根の下端のライン)と棟線(屋根の頂点のライン)を描き、棟の位置の面を持ち上げて傾斜をつけます。寄棟や切妻といった屋根形状も、この軒線・棟線の取り方で作り分けられます。

軒回りの複雑なモールディング(装飾的な見切り材)や雨樋のような断面の一定な部材は、フォローミー(断面を経路に沿って押し出すツール)で作れます。フォローミーの詳しい使い方はSketchUpのフォローミー応用モデリングで解説しています。

下敷きモデリングについての編集部の見解

下敷きモデリングは、CAD図面が手元にある建築案件では最短ルートになる、というのが公式ドキュメントと実務ワークフローを読み解いた編集部の見立てです。取り込み機能と推定機能を組み合わせれば、寸法を打ち直す作業がほぼ消えるためです。

コスト・実用面では、有料サブスクリプションが前提になる点をどう見るかがわかれ目です。DWG/DXFの取り込みはSketchUp Pro / Studioの機能で、無料のFree(Web)では扱えません(SketchUp Help、2026年7月時点)。ただしCAD図面を日常的に扱う実務者なら、図面をなぞって躯体を起こせる時短効果は費用に見合いやすいといえます。

一方で、下敷き方式にも向き不向きがあります。取り込み直後は面が張られず線だけの状態のため、面貼りと立ち上げは手作業になります。図面が整理されていない(レイヤーが混在している、線が閉じていない)ケースでは、取り込み前のCAD側の整理が結局は近道です。海外レビューでも、図面の下ごしらえの良し悪しが立ち上げ速度を左右すると指摘されています。

推奨できるのは、実測図や意匠図のDWGが支給される住宅・小規模建築の案件を数多くこなす方です。図面という正確な資産を毎回3Dの出発点にできるため、下敷き方式を身につけた効果がいちばん大きく出ます。

つまずきやすいポイントとこれからの一手

下敷きモデリングで初心者が詰まるのは、ほぼ「サイズがズレる」「面が張れない」「図面が動く」の3つに集約されます。原因と直し方を先に知っておけば、手が止まりません。

よくあるトラブルと直し方

サイズが桁でズレる場合、原因はほぼ取り込み時の単位設定です。mmの図面をメートルで読むと1000倍になります。取り込みをやり直して単位を選び直すか、すでに立ち上げてしまったなら尺度ツール(Scale、拡大縮小するツール)で既知の寸法に合わせて調整します。

線をなぞっても面が張れないときは、線がわずかに閉じていないか、同一平面に乗っていないのが原因です。図面のZ値がバラついていると面は発生しません。この場合、取り込みオプションの「Import Linework Flattened」にチェックを入れて読み込み直すと、線がすべて床面にそろって面が張りやすくなります。

作業中に下敷きが動いてしまうトラブルは、図面グループのロックで防げます。もし動いてしまったら、元に戻す操作で位置を復帰させ、あらためてロックをかけてください。手順2の固定を徹底しておくのがいちばんの予防策です。

躯体ができた先に広がる作業

躯体が一棟立ち上がったら、次は仕上げと展開の工程に進みます。ここまでで「建物の骨組み」ができているので、そこに素材や光を与えて見せる画に育てていく段階です。

まず素材付けとレンダリング(3Dモデルから写真のような画像を生成する処理)で、プレゼン用のビジュアルに仕上げます。壁にコンクリートやタイル、床にフローリングといった質感を貼り、光を当てれば、線だった図面が一気に「見せられる建物」に変わります。下敷きから躯体を起こした人と、図面のまま止まっている人とでは、提案の場で見せられるものがまったく違ってきます。

内装まで詰めるなら、間取りに家具や什器を配置するSketchUpで内装をモデリングする実践手順へ進みます。躯体をCADへ書き出したり図面と往復させたりするワークフローはSketchUpとCADの連携で解説しています。躯体という土台ができていれば、そこからどの方向にも展開できます。

まとめ

CAD平面図を下敷きにしたSketchUpの建物モデリングは、5つの工程で一棟を立ち上げられます。図面という正確なガイドを使うことで、寸法を打ち直すより速く、しかも正確に躯体を起こせるのが最大の利点です。

要点を振り返ります。DWGは単位を合わせて実寸で取り込み、取り込んだ直後に一辺を巻尺で測って検算します。下敷きはグループ化・専用タグ・ロックの3点で固定し、3Dモデルと分けて触れない状態にします。壁は線をなぞって面を作りプッシュプルで立ち上げ、床・開口・階段・屋根の順に組んで一棟にまとめます。サイズズレは単位、面が張れないときはフラット化で対処できます。

取り込みオプションの詳細やCADとの往復、線やプッシュプルの基本操作、数値入力の作法は、それぞれの記事に委ねています。この記事の手順で躯体を作り切ったら、素材付けとレンダリング、あるいは内装へと自分の案件に合わせて進めてください。