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SketchUpのフォローミー応用モデリング|幅木・手すり・複雑形状の作り方

編集部 読了 約14分

SketchUpで壁や床までは作れても、幅木や手すりのように「決まった断面が線に沿って続く部材」で手が止まる方は多いはずです。一本ずつ角材を並べて曲げていくと時間がかかり、入り隅もきれいに揃いません。こうした部材を一手で走らせるのがフォローミー(Follow Me)です。

この記事では、フォローミーで幅木・廻り縁・雨樋・手すり・回転体を作る手順と、押し出しが失敗する原因の潰し方を解説します。さらに交差(Intersect Faces)とソリッドツールを使い、入り隅のくり抜きや開口の切り欠きといった複雑形状を効率よく作る方法まで、建築モデリングの実務目線でまとめました。

壁・床・建具といった基本形状の作り方や、曲面地形の作り方は扱いません。造形の幅を広げる応用テクニックに絞って進めます。

フォローミーの基本|断面をパスに沿わせて形を作る

フォローミーは、断面(プロファイルとも呼ぶ、押し出したい形の輪郭面)を、パス(連続したエッジの並び)に沿って走らせて立体を作るツールです。壁や床のような単純な押し出しではなく、一定の断面が線に沿って続く部材を作りたいときに使います。

フォローミーでできること

フォローミーが得意なのは、外周を一周する見切り材と、円を軸にした回転体の2系統です。SketchUp公式は用途例として、廻り縁(crown molding、天井と壁の境目に回す装飾見切り)や雨樋(gutters)のような外周の見切り材、支柱や花瓶のような回転体を挙げています(SketchUp公式ヘルプ、2026年7月時点)。

壁や床のような基本形状は、面を描いてプッシュプル(面を押し引きして厚みを出す操作)で作ります。フォローミーはその先の段階で、幅木や手すりのように「同じ断面が線に沿って続く部材」を一手でまとめて作るための道具だと考えると使い分けやすくなります。

線を描いて面を押し出す基本操作がまだ手になじんでいない場合は、SketchUpの建築モデリング入門|壁・屋根・建具の基本操作を先に読むと、この記事の手順がスムーズに追えます。

断面とパスという2つの部品

フォローミーで作る形は、断面とパスという2つの部品の組み合わせで決まります。断面は「どんな輪郭を走らせるか」、パスは「どこを通って走らせるか」を担います。

幅木なら、断面は幅木の高さと出っ張りを表す小さな面、パスは部屋の床の外周エッジです。手すりなら、断面は笠木の輪郭、パスは階段やスロープに沿った線になります。この2部品さえ用意できれば、あとはフォローミーが断面を一気に押し出して立体を生成します。どちらか一方でも整っていないと形が破綻するため、次の基本操作で正しい作り方を押さえていきます。

フォローミーの基本操作|パスを先に選んで断面をクリック

フォローミーで失敗しないコツは、パスを先に選択してから断面をクリックする手順を守ることです。この順番なら長い曲線パスでも一発で走り、意図しない面まで巻き込む事故が減ります。

手順|断面を描き、パスを選び、断面をクリックする

SketchUpが推奨する進め方は、パスを先に選んでおく「パス先選択」方式です。次の4ステップで進めます(SketchUp公式ヘルプ、2026年7月時点)。

  1. パスに対しておおむね垂直になる位置に、走らせたい断面を描く
  2. 選択ツールで、通したいパス(連続したエッジ)をまとめて選択する
  3. フォローミーツールを起動する
  4. 断面をクリックすると、選んでおいたパスに沿って一気に押し出される

パスを先に選んでおくと、複雑な曲線でも迷わず一発で走ります。もう一つの方法として、フォローミー起動後に断面をパスに沿って手動でドラッグするやり方もあります。この場合はパスが赤くハイライトされたのを確認しながら終端まで動かし、終点でクリックします。手動ドラッグは短くて単純なパス向けで、長い経路ではパス先選択のほうが確実です。

失敗の2大原因|垂直ルールとパスの隙間

うまく押し出せないときは、断面の向きとパスの連続性という2点をまず疑ってください。この2つがフォローミーのつまずきの大半を占めます。

1つ目は垂直ルールです。断面はパスに対しておおむね垂直でなければ、押し出した形がねじれたり潰れたりします。SketchUp公式も、断面とパスは接していなくてよいが、断面がパスに垂直であることは必須条件だと明記しています。断面がパスと平行に近い向きになっていないか、最初に確認しましょう。

2つ目はパスの隙間です。パスの途中でエッジが途切れていると、そこで押し出しが止まってしまいます。押し出せないときは画面を拡大して線のつながりを確認し、隙間があれば線ツールでつなぎ直します。これも公式が挙げている基本的な対処です。

完成した部材は、グループまたはコンポーネント(複数の面やエッジを1つの部品としてまとめる機能)にしておくと、あとで動かしたり複製したりする作業が楽になります。グループとコンポーネントの違いと使い分けは、SketchUpのグループとコンポーネントの使い分け|再利用と軽量化の基本で解説しています。

幅木・廻り縁・雨樋を一周させる|見切り材の作り方

部屋を一周する見切り材は、床や天井の外周エッジをそのままパスにすれば一手で作れます。建築モデリングでフォローミーが最も活躍する場面です。

断面を作り、床(または天井)の外周をパスにする

幅木を例にすると、まず壁の隅に幅木の断面を垂直に描きます。断面は「高さ」と「壁からの出」を持つ小さな輪郭で、寸法は数値入力で正確に決めます。断面が数ミリずれるだけで一周分の見え方が変わるため、目分量ではなく数値で確定させるのが実務のやり方です。正確な寸法入力の手順はSketchUpで正確に作図する方法|寸法・数値入力の基本で解説しています。

断面が用意できたら、床面の外周エッジを選択ツールで一周ぶん選び、フォローミーで断面をクリックします。これだけで部屋の外周に沿った幅木が一度に生成されます。天井と壁の境目に回す廻り縁や、軒先に付ける雨樋も考え方は同じで、天井外周や軒のエッジをパスに取れば同じ手順で作れます。公式が用途例に挙げる廻り縁や雨樋は、まさにこの「外周一周」の使い方です。

たとえば住宅のリビングで、床の四辺と入り隅を含む外周を一周選択して幅木を走らせれば、角の留めまで自動でつながった見切りが数秒で仕上がります。1本ずつ角材を配置して角を合わせる手間がなくなるため、内装プレゼン用のモデルを短時間で整えられます。

開口部・入り隅できれいに回すコツ

ドア開口や入り隅で見切りが乱れるときは、パスの取り方と面の向きを見直すと解決します。ここが崩れると一周分がやり直しになりやすいため、次の2点を先回りで確認します。

ドアの位置で幅木を切りたい場合は、開口の始点と終点でパスのエッジをあらかじめ分割し、幅木を走らせたい区間だけをパスに選びます。開口部分を外して選択すれば、そこだけ幅木が途切れた自然な仕上がりになります。

入り隅や出隅は、フォローミーが自動で留め(マイター、角で断面同士を斜めに突き合わせる処理)状に処理してくれます。もし角で断面が乱れる場合は、断面がパスに垂直になっているか、床面の表裏が反転していないかを確認します。面が裏返っていると押し出し方向が乱れる原因になります。

手すり・柱・回転体を作る|フォローミーの応用造形

フォローミーは、傾いたパスに沿わせる手すり笠木と、円をパスにした回転体という2つの応用でさらに造形の幅が広がります。どちらも建築の装飾部材やエクステリアで頻出します。

手すり笠木をスロープや階段に沿わせる

階段やスロープの手すりは、傾いた笠木のラインをパスにして笠木断面を走らせれば作れます。水平でないパスでもフォローミーは問題なく通せるため、勾配のある手すりも一手でモデリングできます。

まず笠木の断面(手で握る部分の輪郭)を、階段の傾きに合わせた線の起点に垂直に描きます。次に階段の段鼻をつないだラインや、補助線で引いた手すりの通り芯をパスに選び、断面をクリックします。支柱や親柱は笠木とは別に作り、コンポーネント化して等間隔にコピーすると、モデルが軽くなり本数の修正も一括でできます。等間隔コピーは、1本置いてから距離を数値入力し、必要本数を掛けて配列する方法が実務的です。

円をパスにして柱頭・ボラード・花瓶形を作る

左右対称の回転体は、円をパスにして断面を回せば旋盤のように作れます。柱頭(柱の頭部の装飾)、手すりの親柱の飾り、車止めのボラードなど、軸を中心に回した形はこの方法が最短です。

作り方は、まず回転体の底面になる円を描き、これをパスとして使います。次に断面(回転させたい輪郭の半分、カットアウト)を円に対して垂直に立て、断面の下端を円の中心に合わせます。円のエッジを選択してフォローミーで断面をクリックすると、断面が円を一周して回転体が生成されます(SketchUp公式ヘルプ、2026年7月時点)。

このとき仕上がりの滑らかさと重さを決めるのが、パスにした円のセグメント数(円を構成する直線の分割数)です。分割数を増やすほど滑らかになりますが、面数が増えてモデルが重くなります。プレゼンで寄りのカットに使う装飾柱は分割数を上げ、遠景の量産部材は控えめにするといった使い分けが、モデルを軽く保つコツです。

交差(Intersect Faces)で形を削る・くり抜く

交差(Intersect Faces)は、面が交わる位置に新しいエッジを作る機能です。それ自体は形を削りませんが、生成されたエッジを手がかりに不要な面を消すことで、くり抜きや切断を表現できます。無料版を含む全エディションで使えるのが大きな利点です。

交差の基本|重なりにエッジを作って手動で削る

交差の第一歩は、「これは削る機能ではなく交差線を作る機能だ」と理解することです。ここを取り違えると、実行しても何も起きていないように見えて戸惑います。

使い方は、切り取りに使う形状を対象に重ねてから、その形状を右クリックし、メニューの「交差(Intersect Faces)」を選びます。すると2つの形状が交わるラインに新しいエッジが生成されます。あとは不要になった面とエッジを消しゴムツールで手動削除すれば、くり抜きや切り欠きの形が現れます(SketchUp公式ヘルプ、2026年7月時点)。

たとえば壁に円柱を貫通させて丸い開口を作りたい場合、壁に円柱を重ねて交差を実行すると、壁面に円形のエッジが生まれます。その円の内側の面と、埋まっている円柱を消せば、きれいな丸窓の開口が残ります。工程は数手かかりますが、追加ツールなしでこうした加工ができます。

With Model / Selection / Context の使い分け

交差を右クリックから選ぶと、対象範囲の違う3つのオプションが並びます。どれを選ぶかで、どの面と交差させるかが変わります。複雑なモデルでは、この選択を誤ると意図しない場所にまでエッジが走ってしまいます。

オプション交差させる範囲向いている場面
With Model選択したジオメトリとモデル全体を交差させるシーンに要素が少なく、全体に対して切りたいとき
With Selection選択した面同士だけを交差させる複雑なモデルで、対象を絞って高速に処理したいとき
With Context編集中のグループ・コンポーネント内の面同士を交差させる部品の内部だけで加工を完結させたいとき(グループ・コンポーネント編集中のみ選択可)

ソース: SketchUp公式ヘルプ / SketchUp Community(いずれも2026年7月時点)

実務では、あらかじめ切りたい面と切る側の形状だけを選んでおき、With Selectionを使うのが基本になります。範囲を絞っておくと、離れた場所の面に余計なエッジが乗る事故を防げて、あとの手動削除もぐっと楽になります。

ソリッドツールで複雑形状を効率よく作る

ソリッドツールは、形同士の足し引きをワンクリックで処理する機能群です。入り隅のくり抜きや開口の切り欠きを、交差+手動削除より少ない手数で正確に作れます。ただし対象が「閉じた立体」であることと、一部の機能が有料版限定である点を押さえておく必要があります。

ソリッドとは|閉じた体積のグループ/コンポーネント

ソリッドツールを使う前提は、対象が「閉じた有限体積」を持つソリッドになっていることです。ここが満たせていないとツールがグレーアウトして選べず、多くの人がここでつまずきます。

ソリッドとは、面の抜けやエッジの閉じ忘れがなく、内部が完全に囲まれた立体を指します。しかもグループまたはコンポーネント化されている必要があります(SketchUp公式ヘルプ、2026年7月時点)。対象を選んだときに右クリックの「エンティティ情報」で「ソリッド」と表示されれば条件を満たしています。「ソリッド」と出ない場合は、どこかに穴や余分なエッジが残っているので、面を張り直すか不要な線を消して閉じた状態にします。

各ツールの役割と、無料/有料の違い

ソリッドツールは6種類あり、無料版で使えるのは外殻(Outer Shell)だけで、残りはPro・Studioの有料版限定です。無料版ユーザーは、有料機能を交差で代替できるかどうかで作業手順が変わります。

ツール何をするか対応エディション
外殻(Outer Shell)重なる複数のソリッドの、外側の面だけを残して1つに結合するFree含む全エディション
交差(Intersect/ソリッド)2つのソリッドの重なった部分だけを残すPro・Studio
結合(Union)複数のソリッドを1つにまとめる(内部の仕切りが残りうる)Pro・Studio
減算(Subtract)先に選んだソリッドで後のソリッドを削る。削る側は消えるPro・Studio
トリム(Trim)一方で他方を削る。減算と違い削る側は残るPro・Studio
分割(Split)重なるソリッドを交差線で分割するPro・Studio

ソース: SketchUp公式ヘルプ(2026年7月時点)

この表で実務上いちばん出番が多いのが減算です。減算は選択の順番が結果を左右します。先に選んだソリッドで後のソリッドを削り、削る側は消える仕様です。たとえば壁のソリッドを残して窓の開口を空けたい場合、開口の型になる箱を先に選び、次に壁を選んで減算すると、壁に窓の切り欠きが正確に空きます。トリムは削る側が残るので、同じ型を複数の壁に使い回したいときに向いています。

無料版で減算が使えない場合は、交差(Intersect Faces)で同じ結果を出せます。切り取る型を対象に重ねて交差を実行し、生成されたエッジを頼りに不要な面を手動で消せば、減算と同じ開口が作れます。SketchUp公式も、この手動削除を伴う手順を有料ソリッドツールの代替として案内しています。工程は数手増えますが、無料版でも複雑形状の加工は十分こなせます。

各エディション(Free / Go / Pro / Studio)で使える機能の全体像は、SketchUpのエディション・ライセンスの違い|Free・Go・Pro・Studioの選び方で解説しています。

フォローミーと交差を編集部が試してみた所感

公式ドキュメントと実際の建築モデリングの流れを照らし合わせると、この3つの機能は「役割の切り分け」を覚えるほど手が速くなる、というのが編集部の見立てです。フォローミーは連続部材、交差は無料でのくり抜き、ソリッドツールは有料の一括加工と、担当を頭の中で分けておくと、目の前の形をどれで作るか迷わなくなります。

つまずきやすいのは、やはり垂直ルールとソリッド条件の2点です。公式ヘルプでも垂直が必須条件として繰り返し明記されており、断面の向きさえ意識すればフォローミーの失敗は大きく減ります。ソリッドツールがグレーアウトする問題も、エンティティ情報で「ソリッド」表示を確認する習慣がつけば自然に回避できます。海外フォーラムでも、この2点が初心者の質問として繰り返し挙がっています。

無料版ユーザーにとっては、減算が使えなくても交差で代替できる点が実務上の救いになります。有料版の一括処理ほどの手軽さはありませんが、丸窓や入り隅のくり抜きといった建築で頻出する加工は、無料の交差だけでも問題なく形にできます。まずは無料版で交差に慣れ、加工の頻度が上がってきたら有料ソリッドツールを検討する、という順序が現実的だと考えます。

造形力を上げたこれからのモデリング

フォローミー・交差・ソリッドツールを使い分けられるようになると、SketchUpで作れる形の範囲が一気に広がります。ここから制作の景色がどう変わるかを描いておきます。

これまで角材を並べて手作業で組んでいた幅木や手すりが数秒で走り、丸窓や入り隅のくり抜きも型を重ねるだけで抜けるようになります。基本の押し出しだけで止まっていた人が造形の応用まで進むと、内装プレゼン用のモデルに廻り縁や框(かまち、建具まわりの見切り材)といった細部が加わり、図面だけでは伝わらない実物感が出せるようになります。細部が作り込めるほど、打ち合わせでクライアントがイメージを固めやすくなり、手戻りも減っていきます。

次の一歩は、作った形に質感を与えることです。造形が整っても、木・金属・ガラスといった素材感が付いていないと、プレゼンでの見栄えは頭打ちになります。SketchUpの標準機能でここまで造形できるようになったら、マテリアルとライティングで仕上げの完成度を引き上げる段階に進みましょう。

まとめ|造形はSketchUp、仕上げは連携で

SketchUpの応用造形は、3つの機能の役割を押さえれば手早く形にできます。フォローミーは断面をパスに沿わせる押し出しで、断面がパスに垂直であることが成功の絶対条件です。交差(Intersect Faces)は面の交わりにエッジを作り、不要面を手動で消してくり抜きを表現する機能で、無料版でも使えます。ソリッドツールは閉じた立体を前提に足し引きを一括処理し、外殻は無料、減算やトリムなどはPro・Studioの有料版で使えます。

幅木や手すりの反復、丸窓や入り隅のくり抜きといった建築で頻出する加工は、この3つを使い分ければ標準機能の範囲で十分こなせます。無料版でも交差で代替できるため、まずは手を動かして垂直ルールとソリッド条件に慣れることが上達の近道です。造形の幅が広がったら、次は質感とライティングで見栄えを決める段階に進みます。