SketchUpで内装をモデリングする手順6ステップ|間取り・壁・什器配置まで
SketchUpは、平面図をなぞってプッシュプル(面を押し引きして立体にする操作)で立ち上げるだけで、間取りを短時間で3Dの部屋に変えられる3Dモデラーです。建築士やインテリアの現場で広く使われているのも、この直感的な操作の速さが理由です。ところが実際に内装を組み始めると、面がくっついて動かせない、窓の穴が開かない、家具が床に埋まるといった小さなつまずきで手が止まりがちです。
この記事では、SketchUpで室内空間を組み立てる手順を、間取りの下準備から什器配置までの6ステップで解説します。
つまずきやすい箇所を先回りで潰しながら進めるので、はじめての内装モデリングでも迷わず最後まで組み上げられます。躯体や質感づくりは別の工程に切り分け、ここでは「室内を組む順番」に集中します。
SketchUpの内装モデリングは「組み立てる順番」で決まる
内装モデリングでつまずく原因の多くは、機能を知らないことではなく、作る順番が定まっていないことにあります。間取り→壁→開口→床天井→什器の一本道で組めば、後戻りがほとんど発生しません。
SketchUpで内装を作る作業は、大きく6つの工程に分かれます。全体像を先に地図として持っておくと、いま自分がどの工程にいるかがわかり、迷子になりません。
| 工程 | やること | 使う主なツール |
|---|---|---|
| ステップ1 | 間取りを下敷きにして原寸をそろえる | インポート/Tape Measure |
| ステップ2 | 壁を厚み付きで立ち上げる | Offset/Push/Pull |
| ステップ3 | ドア・窓の開口を空ける | 矩形/Push/Pull |
| ステップ4 | 床・天井と仕上げ面を用意する | 矩形/Push/Pull |
| ステップ5 | 什器・家具を配置する | コンポーネント/移動 |
| ステップ6 | モデルを整理し、室内を見渡せるようにする | タグ/断面 |
内装モデリングで作るもの・作らないもの
この記事が扱うのは、室内側の内壁・床・天井・建具の開口・什器配置です。室内空間を組み立てる部分に絞ることで、手順を一本道で追えるようにしています。
建物一棟(躯体・屋根・外形)を図面から起こす作業は、内装の前段にあたる別の工程です。外周や構造をどう立ち上げるかはCAD図面(DWG)を下敷きにSketchUpで建物をモデリングする手順で解説しています。すでに外周がある状態から内装に入りたい場合は、そちらを先に済ませておくと、この記事の手順にそのまま接続できます。
什器の入手と質感づくりも、それぞれ独立した工程として切り分けています。家具や植栽をどこで手に入れてどう軽くするかはSketchUp 3D Warehouse活用ガイドで、床材や壁紙などの質感を付ける方法はSketchUpのマテリアル・テクスチャの貼り方で解説しています。この記事は什器の「置き方」と、質感を貼る前の下地づくりまでを担当します。
全体の流れをつかむ6ステップ
6つの工程は、間取りの下準備から始まり、壁・開口・床天井・什器・整理へと進みます。前の工程の結果を次の工程が使う積み上げ式なので、順番を飛ばさないことが破綻を防ぐ鍵になります。
具体的には、(1)間取りの下準備、(2)壁の立ち上げ、(3)建具の開口、(4)床・天井と仕上げ面、(5)什器配置、(6)モデル整理の順で進みます。軽く速く組み上げて、質感やライティングは後の工程に渡すのがSketchUpらしい進め方です。細部を作り込みすぎると動作が重くなり、後の質感づけやカメラ設定がやりにくくなるためです。
ステップ1|間取りを下敷きにして原寸をそろえる
最初の工程で決まるのは、モデル全体の精度です。ここで平面図を正しい寸法に合わせておかないと、このあと作る壁厚も家具のサイズもすべてずれます。
内装を実寸で組むには、平面図(間取り図)を下敷きとして読み込み、それを正しい大きさに直してからなぞっていきます。下敷きがあると、壁の位置や部屋の広さを自分で測らずに済むので、作業が速く正確になります。
平面図(画像・PDF・CAD)を取り込む
下敷きにする図面があれば、それをなぞるだけで部屋の輪郭を描けます。手元の平面図をSketchUpの中に読み込むところから始めましょう。File > Import を開き、画像・PDF・CAD図面のいずれかを選んで取り込みます。
手描きのスケッチをスキャンした画像や、PDFの間取り図でも下敷きになります。より精密に合わせたい場合はCAD図面(DWG/DXF)を使いますが、その詳しい取り込み手順とスケール調整はCAD図面(DWG)を下敷きにSketchUpで建物をモデリングする手順で解説しています。ここでは画像を下敷きにする簡易な流れに絞ります。
Tape Measureで原寸にスケール合わせ
取り込んだ図面は、多くの場合そのままでは正しい寸法になっていません。画像やPDFは縮尺の情報を持たないため、SketchUp上では実際の大きさとずれた状態で読み込まれるからです。この状態で作業を進めると、壁も家具も間違ったサイズになってしまいます。
Tape Measure(メジャー:2点間の距離を測るツール)を使うと、この縮尺を一発で直せます。寸法が分かっている2点、たとえば壁の実長がわかっている辺の両端をクリックし、正しい数値(例: 3000mm)を入力します。すると「モデル全体をリサイズしますか」と確認が出るので、承認するとモデル全体が原寸にスケールされます。
このスケール合わせを飛ばすと、あとの工程がすべて狂います。壁厚を100mmで作ったつもりでも図面が2倍サイズなら実質200mmになってしまうため、内装に入る前に必ず最初に合わせておきましょう。なお建築では単位をmm(ミリメートル)に設定して作業するのが基本ですが、この初期設定は済んでいる前提で進めます。
ステップ2|壁を厚み付きで立ち上げる
このステップが内装モデリングの中心です。「輪郭をなぞって面を作る」「Offsetで厚みを出す」「Push/Pullで高さを与える」の3手で、平面の間取りが立体の部屋に変わります。
平面図を下敷きにして部屋の輪郭をなぞり、その線に厚みと高さを与えていく流れになります。SketchUpは平面を押し引きするだけで立体になるため、この3手さえ押さえれば壁は一気に立ち上がります。
床面をなぞってOffsetで壁厚を作る
壁づくりは、下敷きの上に部屋の外周をなぞって、壁の中心線となる面を作るところから始まります。線ツールや矩形ツールで輪郭を閉じると、内部が面になります。この面を基準に壁の厚みを出していきます。
厚みを作るのがOffset(オフセット)ツールです。Offsetは、面の輪郭を内側や外側に一定の距離で複製し、二重の線を引く機能です。この二重線のすき間が、そのまま壁の厚みになります。Offsetを起動して面の輪郭をクリックし、厚みの距離(例: 100mm)を数値で入力してEnterを押すと、正確な壁厚のラインができます(Trimble公式ブログ「Thick walls with the Offset tool」、2026年7月時点)。
内壁の厚みはプロジェクトによって変わりますが、下地としてまず組むなら100〜200mm程度を一般的な目安にすると扱いやすくなります。正確な躯体寸法が必要な場合は、図面を精密になぞるCAD図面(DWG)を下敷きにSketchUpで建物をモデリングする手順の進め方に沿って作ると安心です。
Push/Pullで天井高まで立ち上げる
壁厚のラインができたら、それを高さ方向に押し出して立体の壁にします。ここで使うのがPush/Pull(プッシュプル:面を押し引きして立体化するツール)です。平面が一瞬で壁になるSketchUpの代表的な操作です。
Push/Pullを起動して壁厚の帯状の面をクリックし、天井の高さを数値で入力します。住宅の居室であれば天井高2400mm前後が一般的な目安ですが、実際の高さはプロジェクトの条件で変わるため、案件に合わせて入力してください。二重線の間の帯を押し出すと、部屋の壁が一周ぐるりと立ち上がります。
同じ高さの壁を続けて作るときは、別の壁面をダブルクリックすると直前と同じ押し出し量が反復適用されます。1面ずつ数値を打ち直さずに済むので、部屋数が多い間取りでは作業時間の差が大きく出ます。
面がくっつく問題はグループ化で防ぐ
立ち上げた壁は、次の作業に進む前にグループ化しておきます。SketchUpは、面や線が接触すると自動的にくっついて一体化する仕組みだからです。この性質を知らないまま床や家具を足すと、壁と床が癒着して片方だけ動かせなくなります。
壁一式を選択して右クリックし、Make Group(グループを作る)を選ぶと、壁が独立した塊になります。グループ化しておけば、後で床や什器を置いても互いに巻き込むことがなく、修正もしやすくなります。
同じ物を何度も置く場合は、グループではなくコンポーネント(複製すると中身が連動する塊)を使うとファイルが軽くなります。壁はグループ、同型を並べる建具や什器はコンポーネント、という使い分けが基本です。この2つの詳しい違いと使い分けはSketchUpのグループとコンポーネントの使い分けで解説しています。
ステップ3|ドア・窓の開口を空ける
壁ができたら、次はドアや窓の穴を空けます。開口づくりのコツは1つで、壁面に開口サイズの矩形を描き、Push/Pullで反対の面まで押し切ることです。押し切った瞬間にSketchUpが自動で貫通穴を作ります。
この工程は初心者が最もつまずきやすい場所です。押し方を少し間違えると穴が開かず、へこみになってしまいます。つまずく理由を先に知っておくと、詰まっても自分で原因を切り分けられます。
壁面に開口の矩形を描いてPush/Pullで貫通させる
開口づくりは、壁の面に開口したいサイズの矩形を描くところから入ります。矩形ツールで、たとえば室内ドアや掃き出し窓(床まで届く大きな窓)の大きさに合わせて長方形を引きます。この矩形の面が、これから抜く穴の形になります。
矩形を描いたら、Push/Pull(P)でその面をクリックし、反対側の壁面まで押し込みます。壁の反対の面まで押し切ると、SketchUpがその部分を自動的にくり抜いて貫通穴にします。これがドア・窓の開口です(SketchUp公式ヘルプ「Pushing and Pulling Shapes into 3D」、2026年7月時点)。うまく抜くには、開口面が反対の壁面と平行であること、そして押す経路の途中に余計な分割線がないことが条件になります。
「穴が開かない」ときのチェックポイント
開口が貫通せず、へこみになってしまう原因のほとんどは、反対面まで押し切れていないことです。途中で止めると穴ではなく凹みになります。Push/Pull中に反対面へぴたりと重なると操作がそこで止まる感触があり、これが貫通できる位置の合図です。ここまで押してからクリックを離すと、きれいに穴が開きます。
もう1つ多いのが、壁をグループ化した後に外から穴を空けようとするミスです。壁がグループになっている場合は、グループをダブルクリックして編集モードに入ってから開口を作ります。編集モードに入らず外側から押すと、グループの外にある別の面を巻き込んでしまい、意図しない形が崩れる原因になります。
ステップ4|床・天井と仕上げ面を用意する
部屋の骨格ができたら、床と天井で室内を閉じます。ここで作るのは、あとで床材や壁紙などの質感を載せるための「下地の面」です。素材そのものは別の工程で貼るので、ここでは面の形を整えることに集中します。
床と天井を作ると室内が箱として完成しますが、天井を閉じるとカメラから中が見えなくなります。この見え方の問題への対処は、最後のステップ6でまとめて扱います。
床と天井を面として作る
床は、部屋の輪郭に沿って面を作り、グループ化します。壁と同じく、床も独立した塊にしておかないと壁と癒着してしまうためです。フローリングの厚みを表現したいときは、Push/Pullで数十mm程度に薄く立体化しておくと、断面で見たときに自然になります。
天井も同じ要領で、部屋の上部を面で塞ぎます。天井を作ると部屋が完全な箱になり、上から覗いても内部が見えなくなります。この状態のままだと家具の配置確認がしにくいので、天井は後で一時的に非表示にできるよう、独立したグループにしておくと扱いやすくなります。
仕上げの「面」を分けておく
質感を貼り分けたい箇所は、この段階で面を分けておくと後の工程が楽になります。SketchUpのマテリアルは面単位で貼るため、床と幅木(壁の下端に付ける横板)が1つの面につながっていると、別々の素材を貼れないからです。
具体的には、床と壁の境目や幅木のライン、アクセントクロスを貼りたい壁面などを、線ツールであらかじめ区切っておきます。こうしておくと、後から床材と壁材を別々に貼り分けられます。実際の床材・壁紙・質感の貼り方はSketchUpのマテリアル・テクスチャの貼り方で解説しています。この記事は、質感を載せる前の下地の面づくりまでを担当します。
ステップ5|什器・家具を配置する
内装の完成度は、什器の配置で大きく決まります。ここで担当するのは、置き方のルール、つまりコンポーネント化・床への正確な設置・干渉の回避です。家具そのものをどこで入手するかは、別の工程に切り分けています。
椅子や照明、テーブルといった家具を部屋に置いていく工程です。ただ置くだけでなく、動かしてもバラけない状態、床に埋まらず浮かない状態を作ることが、後の修正の手間を減らします。
什器はコンポーネントで置く
同じ家具を複数置くときは、コンポーネントにして配置します。コンポーネントは、1つを編集すると同じ物すべてに変更が反映され、しかもファイルが軽くなる仕組みだからです。たとえばダイニングチェアを6脚並べる場合、コンポーネントなら1脚直せば6脚すべてに反映され、データも1脚分の重さで済みます(SketchUp公式ヘルプ「Grouping Geometry」、2026年7月時点)。
配置する家具や植栽そのものは、3D Warehouse(SketchUp公式のモデル共有ライブラリ)などから入手します。どこで探し、どうダウンロードし、重いモデルをどう軽くするかはSketchUp 3D Warehouse活用ガイドで解説しています。この記事は、入手した家具の「置き方」に集中します。
床にきちんと設置し、干渉を避ける
家具が床に埋まったり宙に浮いたりするのを防ぐには、推定機能(インファレンス:面や点を自動で認識してスナップさせる仕組み)を使います。移動ツールで家具をつかみ、床面の上にカーソルを重ねると、床にぴたりと吸着します。この吸着を利用すると、目分量で合わせるより速く正確に設置できます。
壁からの離れ具合を正確に決めたいときは、移動ツール(M)で家具を動かしながら数値を入力します。たとえばソファを壁から500mm離して置くなら、移動方向へ動かして「500」と打てば、その距離で確定します。什器はグループやコンポーネントで独立しているので、位置を動かしても壁や床を巻き込みません。家具が増えてモデルが重くなってきたら、細部が細かいモデルを軽量版に差し替えると、動作が軽くなります。
ステップ6|モデルを整理し、室内を見渡せるようにする
最後に、要素を仕分けて室内を見渡せる状態に整えます。天井を閉じた室内を覗くには、要素をタグで分けて表示を切り替えるか、断面で切って中を見せる方法があります。
作りっぱなしのモデルは、要素が混ざって表示のオン・オフができず、内部の確認や修正がしにくくなります。少し整理しておくだけで、このあとの質感づけやカメラ設定がぐっとやりやすくなります。
タグで要素を仕分ける
壁・床・天井・什器は、タグ(旧称レイヤ:要素をグループ分けして表示を切り替える仕組み)で分けておきます。タグで分けておけば、天井タグだけ非表示にして真上から室内を見渡す、といった操作がワンクリックでできるからです。
たとえば「天井」「壁」「床」「家具」とタグを作り、それぞれの要素を割り当てます。すると、家具の配置を確認したいときは天井を消し、壁の位置を見たいときは家具を消す、といった切り替えが自在になります。大規模なモデルになると要素が数百に増えるので、早めにタグで整理する習慣が効いてきます。
断面で室内を見通す
天井を付けたまま室内を見せたいときは、セクション(断面:モデルを任意の面で切って内部を見せる機能)を使います。壁や天井を仮想の面でスパッと切り、その断面から室内を覗ける機能です(SketchUp公式ヘルプ「Slicing a Model to Peer Inside」、2026年7月時点)。天井を消さずに内部を確認できるので、家具と天井の関係を見ながら調整したいときに便利です。
プレゼン用に2点透視(垂直の線を垂直に保つ建築向けの見せ方)や断面カメラで見栄えを整える方法は、完成後の見せ方の工程になります。カメラとシーンの設定はSketchUpのシーン・カメラ設定ガイドで解説しています。ここでは、内部を確認できる状態まで整えれば十分です。
内装モデリングを覚えた先に広がる制作の景色
6ステップを一度自分の手で通すと、次からは間取り図を見た瞬間に完成形までの道のりが頭に浮かぶようになります。手が止まる箇所が減り、同じ部屋を組む時間が目に見えて短くなっていきます。
順番を知らないうちは、壁を立てては家具に癒着してやり直し、窓が抜けずに悩み、天井を付けたら真っ暗になって困る、という試行錯誤に時間を奪われがちです。組み立てる順番を体で覚えた人は、この手戻りをほとんど経験しません。この差が、そのまま1案件あたりの制作時間の差になって表れます。
内装が軽く速く組めるようになると、その先の工程に時間を回せます。組み上げた部屋に床材や壁紙の質感を載せ、光を当ててリアルなインテリアパースに仕上げる段階です。編集部の見立てでは、SketchUpで内装を組める人は、この後のマテリアルづけやレンダリングへスムーズに進めるため、1枚のプレゼン画像を仕上げるまでの全体スピードが上がります。素早く組んで後工程に渡すという進め方は、SketchUpが建築士やインテリアの現場で選ばれてきた理由そのものです。
まとめ|順番通りに組めば内装は迷わない
SketchUpの内装モデリングは、間取りの原寸合わせから始まり、壁の立ち上げ、建具の開口、床・天井の作成、什器配置、モデル整理の順で進めれば、後戻りなく組み上がります。作る順番が定まっていることが、そのまま完成までの速さになります。
初心者がつまずく点は、面のくっつき、開口の貫通、什器の設置の3つにほぼ集約されます。壁をグループ化して独立させ、開口は反対面まで押し切り、家具は推定機能で床にスナップさせる。この3つを押さえておけば、手が止まる場面は大きく減ります。
組み上がった内装モデルは、次に質感とライティングで魅せる段階へ進みます。床材や壁紙の質感を載せ、光を整えれば、下地だった部屋が実際のインテリアパースに変わります。まずは1部屋を6ステップで最後まで通してみて、順番を体になじませてみてください。
建築知識の教科書