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3DCG · SketchUp

SketchUpのグループとコンポーネントの使い分け|再利用と軽量化の基本

編集部 読了 約11分

SketchUp(建築プレゼンでよく使われる3Dモデリングソフト)を触り始めると、必ずぶつかるのが「グループ」と「コンポーネント」の違いです。どちらも複数の線や面を1つのかたまりにまとめる機能で、見た目もよく似ています。それだけに、どちらを使えばいいのか迷ったまま作業を進めてしまう人が多い機能です。

この記事では、2つの違いを「コピーしたときに連動するかどうか」という1点から整理します。

そのうえで、作り方・再利用の仕方・1個だけ形を変えたいときの操作・なぜコンポーネントだとモデルが軽くなるのかまで、SketchUp公式ヘルプ(2026年7月時点)を根拠にしながら、建築パースの部位別の使い分けもあわせて解説します。

グループとコンポーネントの違いを一言で

最大の違いは「コピーが連動するかどうか」です。コンポーネントは片方を直すとコピーした全部が同時に変わり、グループはコピー同士が独立して別々に変わります。

項目グループコンポーネント
コピーの連動しない(独立)する(一括反映)
一括修正できないできる
モデルの軽さ複製すると重くなる複製しても軽いまま
主な用途一点物・重なり防止反復して置く部品
作りやすさ速い名前を付けるひと手間
入れ子できるできる

コピーが連動するのがコンポーネント、しないのがグループ

コンポーネントは「定義」と「インスタンス」という2つの要素で成り立っています。定義が見た目や中身の設計図で、その設計図をもとに配置された実体がインスタンスです。あるインスタンスの中身を編集すると定義そのものが書き換わるため、同じ定義から作られた全インスタンスに反映されます(SketchUp公式ヘルプ「Components」2026年7月時点)。

グループのコピーは、この連動を持ちません。コピーした瞬間にそれぞれが別のかたまりになり、片方を編集してももう片方は変わらないままです。

つまり「同じものをまとめて直したい」ならコンポーネント、「今だけ一塊にしたい」「1つずつ個別に触りたい」ならグループ、という判断になります。この一線さえ押さえれば、あとの使い分けは自然に決まります。

どちらもジオメトリの「くっつき」を防ぐ入れ物

グループとコンポーネントは、どちらも線や面が他の要素とくっつくのを防ぐ容器という点では同じ働きをします。

SketchUpの生のジオメトリ(グループ化していない線や面)は、接触すると自動的に融合する性質があります。壁の上に別の線を引いただけで面が分割されてしまうのは、このためです。グループやコンポーネントに入れておくと、他の要素と接しても融合しなくなります(SketchUp公式ヘルプ「Grouping Geometry」2026年7月時点)。

重ねて配置しても各オブジェクトが独立して編集できるのも共通点です。この「隔離する」役割は両者でまったく同じで、違いは再利用と連動があるかどうかだけに集約されます。

グループの基本と使いどころ

グループは「独立した一塊」を手早く作りたいときに向いています。反復しない一点物や、作図中の融合を防ぐ仕切りとして使うのが基本です。

グループの作り方と編集

グループは、まとめたい線や面を複数選択して右クリックし、「グループを作成」を選ぶだけで作れます。

編集するときは、選択ツールでグループをダブルクリックして中に入ります。まわりに点線のボックスが表示され、その中だけを編集できる状態になります。編集が終わったら、ボックスの外の空白部分をクリックするか、メニューの Edit > Close Group で抜けます。

注意したいのは、グループのコピーは独立するという点です。同じ椅子を10脚グループでコピーしても、10個ぶんの線と面がそのままモデルに増えます。数が増えても連動しませんし、ファイルも軽くなりません。

建築モデルでグループが向く場面

建築モデルでグループが活きるのは、その建物にしか存在しない一点物のかたまりです。

壁・床・スラブ・基礎のように、その物件に固有で反復しない要素は、グループでまとめておくと手軽です。作り方に名前付けの手間がなく、思いついたその場で一塊にできます。

作図中に生ジオメトリ同士がくっつくのを一時的に防ぐ仕切りとしても便利です。たとえば1階の床を描いてからその上に間仕切り壁を立てるとき、床をグループにしておけば、壁の線が床面を勝手に分割する事故を防げます。

なお、壁・屋根・建具そのものの基本的な描き方はSketchUpの建築モデリング入門|壁・屋根・建具の基本操作で解説しています。

コンポーネントの基本と再利用

コンポーネントは「定義を共有する再利用単位」です。同じ部品を複数置く場面で、一括修正と軽量化の両方が効いてきます。

定義とインスタンスという仕組み

コンポーネントを理解する鍵は、「定義(設計図)は1つ、インスタンス(配置された実体)は何個でも」という関係です。

定義が1つしかないので、どのインスタンスを編集しても定義が更新され、結果として全部が同時に直ります。窓を20枚並べたあとで「桟の太さを変えたい」となっても、1枚直せば残り19枚も同じ形になります。1枚ずつ直す手間が消えるのが、コンポーネント最大の利点です。

ここで知っておきたいのが、拡大縮小・回転・反転は定義を変えないという点です(SketchUp公式ヘルプ「Components」2026年7月時点)。同じ窓のコンポーネントを大小混在で置いたり左右反転して使ったりしても、連動はそのまま保たれます。「大きさを変えると連動が切れる」という心配は不要です。

コンポーネントの作り方とコピー

コンポーネントの作り方は、まとめたい要素を選択して右クリックし、「コンポーネントを作成」を選んで名前を付けます。名前を付けておくと、あとで一覧から呼び出しやすくなります。

以後は、そのコンポーネントを移動しながら Ctrl キーを押してコピーすれば、同じ定義のインスタンスとして増やせます。SketchUp公式は「モデル内で2回以上使うものはコンポーネントにしてからコピーする」ことを推奨しています(Components、2026年7月時点)。あとから量産しそうな部品は、最初からコンポーネント化しておくのが安全です。

一度作ったコンポーネントは、Components パネル(ウィンドウ)にストックされます。別の場所や別の階に同じ部品を置きたいときは、ここから呼び出して再配置できます。

1個だけ違うものにしたいとき(make unique)

コンポーネントで初心者がいちばんつまずくのが「1個だけ変えたつもりが全部変わってしまう」問題です。これは Make Unique(固有にする)で解決できます。

同じ定義のインスタンスを1つだけ形を変えると、連動している全インスタンスが一緒に変わってしまいます。1つだけ別物にしたいときは、そのインスタンスを右クリックして「Make Unique」を選びます。すると選んだインスタンスだけが新しい定義に切り離され、以後は独立して編集できるようになります。たとえば同じドアを並べたなかで玄関ドアだけ幅を広げたい、といった場面で使います。

逆に、あるコンポーネントを別の部品へまとめて置き換えたいときは Replace(置換)が使えます。仮置きしていた簡易な椅子を、最終版の家具コンポーネントに全部差し替える、といった作業が一度で済みます。「連動させたいのか、切り離したいのか」を意識して選ぶのがコツです。

なぜコンポーネントだとモデルが軽くなるのか

コンポーネントを反復配置するとモデルが軽く保てるのは、印象論ではなく公式に裏付けのある挙動です。同じ定義を参照するだけで、ジオメトリを重複して持たないためです。

定義は1つ、実体は参照だから軽い

SketchUp公式は「コンポーネントの複数インスタンスは、エンティティやグループを複数コピーするより軽い」と明言しています(SketchUp公式ヘルプ「Improving Performance」2026年7月時点)。

理由は、インスタンスが定義を参照するだけで、辺・面・マテリアルといったジオメトリを重複して抱えないからです。SketchUpは辺・面・マテリアルが増えるほど描画に必要なリソースが増える仕組みなので、同じ部品を何十個も持つ場面ほど、この差が効いてきます。

差がはっきり出るのは、椅子60脚・窓20枚・樹木30本のような「同じ部品を大量に置く」建築パースの現場です。グループでコピーすると60脚ぶんの線と面がまるごと増えてモデルが重くなりますが、コンポーネントなら定義1つとインスタンスの参照だけで済み、軽いまま扱えます。

使わなくなった部品は Purge Unused で掃除

モデルを軽く保つもう半分の作業が、不要になった定義の掃除です。削除しただけでは定義がモデル内に残り続けるため、ファイルが肥大したままになります。

不要な定義は、Window > Model Info > Statistics にある「Purge Unused(未使用を削除)」で一括除去できます。未使用のコンポーネント・マテリアル・スタイルなどをまとめて掃除でき、いったん取り込んで消した家具の残骸なども片づきます(SketchUp公式ヘルプ「Purging Unused Entities」2026年7月時点)。

なお、SketchUp 2025 以降は手動保存のたびに未使用エンティティを削除するか確認する挙動が既定になりました(Purging Unused Entities、2026年7月時点)。保存のたびに掃除の機会が用意されるので、こまめに応じておくとファイルが太りにくくなります。

外部から取り込んだ家具や植栽そのものの重量対策は、SketchUp 3D Warehouse活用ガイド|家具・植栽・人物の入手と重いモデルの軽量化で解説しています。

建築パースでの使い分けを編集部が読み解いた

公式ドキュメントを読み解くと、建築パース制作での判断はシンプルに整理できます。反復する部品はコンポーネント、その建物固有の一点物はグループ、という振り分けが基本です。

部位別の判断表

建築モデルの典型的なパーツを、迷わないように表で振り分けておきます。判断のよりどころは「2回以上使うか」の一点です。

部位推奨理由
窓・ドア・建具コンポーネント同型を反復配置。一括修正と軽量化が効く
柱・階段の踏面コンポーネント同じ形の繰り返し。連動で寸法変更が楽
椅子・机・什器コンポーネント同じ家具を複数置く。定義1つで軽い
樹木・人物コンポーネント大量配置でも参照だけなので軽量
壁・床・スラブグループその建物固有の一点物。反復しない
地形・敷地グループ唯一の形状。重なり防止が主目的

コンポーネントを勧める部位は、いずれも「同じ部品を何度も置く」ものです。連動編集で寸法をまとめて直せて、複製してもモデルが軽いままという利点が両方効きます。反対に壁や地形のようにその物件でしか使わないかたまりは、名前付けの手間が要らないグループのほうが手早く扱えます。

迷ったときは「これは2回以上使うだろうか」と自問してください。答えがYesならコンポーネント、Noならグループ、と考えれば大きく外しません。

入れ子(ネスト)で階層に組む

グループもコンポーネントも入れ子(オブジェクトの中に別のオブジェクトを入れる構造)にでき、これを使うと部屋や住戸の単位でまとめて扱えます。

たとえば「部屋」というオブジェクトの中に家具コンポーネントを配置し、その部屋ごとコンポーネント化しておく組み方があります。こうすると同じ間取りの住戸を棟ごと複製でき、内部の家具コンポーネントは参照のままなので軽さも保たれます。マンションのように同じ住戸プランが並ぶ建物で効果的です。

ただし、タグやアウトライナを使った本格的な階層整理や大規模モデルの管理は、この記事の範囲を超えます。部品が増えて重くなってきたときの整理術は、SketchUpでモデルを整理する方法|タグ・アウトライナ・大規模モデル管理で解説しています。

グループとコンポーネントを使い分けた先に変わること

この使い分けが身につくと、モデルの作り方そのものが変わります。「同じものは2回目からコンポーネント」という習慣を持てるかどうかで、後半の作業量が大きく違ってきます。

コンポーネントを使わずにグループのコピーで押し切った人は、窓の桟を直すだけで20枚を1枚ずつ手作業で修正することになり、モデルも重くなって操作がもたつきます。一方でコンポーネント化を習慣にした人は、1枚直せば全部そろい、大量配置しても軽いまま作業を続けられます。同じ図面から同じ完成度を目指しても、途中の手戻りと待ち時間に差がつきます。

慣れてくると、モデリングを始める前に「これは反復するか」を無意識に判断できるようになります。什器を配置するときも、置く前にコンポーネント化しておく段取りが自然に身につきます。什器を実際に配置していく手順は、SketchUpで内装をモデリングする実践手順|間取りから什器配置までで解説しています。

まとめ

グループとコンポーネントの違いは、「コピーが連動するか(コンポーネント)」「連動せず独立するか(グループ)」の一点に集約されます。ここさえ押さえれば、どちらを選ぶかで迷わなくなります。

反復して置く部品はコンポーネント化しておくと、一括修正が効き、複製してもモデルが軽く保てます。これはSketchUp公式が明言している挙動で、椅子や窓、樹木のような大量配置ほど効果が大きくなります。壁や地形のようにその建物固有の一点物は、手早く作れるグループが向いています。

1個だけ形を変えたいときは Make Unique で切り離し、使わなくなった定義は Purge Unused で掃除する。この2つを覚えておけば、連動事故もファイルの肥大も防げます。まずは「2回以上使うものは、まずコンポーネント」を今日からの習慣にしてみてください。