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仕上表の下地と仕上げの表記|材料の名前の書き方

編集部 読了 約10分

  • 仕上表の欄に書かれた記号や略号が読めない
  • 下地と仕上げは、欄のどこで分かれているの?
  • 仕上表の書き方の決まりを知りたい

仕上表の欄には、「P・B t12.5下地 ビニールクロス貼」のような短い書き方が並びます。しかし初めて読むと、どこまでが下地か、t や「貼」が何を表すかが分かりにくいかもしれません。

この記事では、戸建て住宅の仕上表の見本を使って、欄に書かれた語と記号を順に読みます。

欄から部位の重なりを読む方法、会社によってどこまで書くかの違い、国の工事で決まっている材料の名前の書き方も解説します。

仕上表の欄に書くのは、部位の仕上げと、その下の下地です。

下地と仕上げの書き分け

見本の室内仕上表の左の部分。室名・CH・床・巾木・腰・壁の列
戸建て住宅の仕上表の見本のうち、室内仕上表の左の部分。公開されている設計図書の仕上表を集め、多く見られる形に合わせて編集部が作成。値は例

仕上表では、部位ごとに下地と仕上げを分けて書きます。編集部が公開されている仕上表26件(戸建て住宅11件を含む)を集めて数えると、26件すべてが下地を書いていました。

書き分け方は、下地の列を別に立てる・1つの欄を上下2段にする・1つの欄に続けて書く、の3通りです。書き方ごとの違いは、「仕上表の読み方|内部・外部」で見本を並べて読み比べています。

上の見本は、1つの欄に続けて書く書き方です。下地の名前と厚さのあとに「下地」と書き、空白をあけて仕上げを書いています。

1つの欄に続けて書いた図面8件のうち、7件が前に下地、後ろに仕上げの順でした。

見本の居間の床のように、床の下地を欄に書かず、特記(表の中に書いていない決まりをまとめた欄)にまとめる図面もあります。

欄の記号と語の読み方

見本の室内仕上表の右の部分。室名・廻縁・天井・備考の列
見本の室内仕上表のうち、室名の列と、廻縁・天井・備考の列だけを抜き出したもの。値は例

欄の中は、記号と語と、いくつかの決まった書き方でできています。この節で読むのは、次の6つです。

  • 厚さ・高さ・間隔の記号
  • 大きさと重ねの書き方
  • 仕上げ方を表す語
  • 塗装の略号
  • 製品に任せる書き方
  • 材料を書かない欄

厚さ・高さ・間隔の記号

厚さを表す記号は t・厚・㋐(丸にア)、高さは H、間隔は@です。

国の建物の工事で使う、国土交通省が決めた図面の基準があり(この記事では「国の工事の基準」と呼びます)、その略号の表にもこの記号が載っています。

記号意味見本・参考例の書き方
t・厚・㋐厚さP・B t12.5(厚さ12.5mmのプラスターボード)
H高さ磁器質タイル貼 H100(高さ100mmの巾木)
@間隔野縁 40×30 @455(455mmおきの野縁)

民間の図面は国の工事の基準と違う記号を使うこともあり、見慣れない記号を確かめる先は、その図面の凡例(記号や略号の意味の一覧)です。

大きさと重ねの書き方

「300角」は、一辺300mmの正方形のタイルという意味です。材料を重ねるときに「+」、同じ材料を2枚重ねるときに「×2」と書く図面もあり、この2つは見本には出てきません。

「+」と「×2」は実物の図面に見られる書き方で、国の工事の基準の略号の表には載っていません。

仕上げ方を表す語

欄の最後の語で、どう仕上げるかが分かります。実物の図面には、貼・張(張る)・敷込(敷き込む)・塗(塗る)・吹付(吹き付ける)・葺(屋根をふく)などの語が出てきます。

見本では、居間の壁の「ビニールクロス貼」は張る仕上げ、和室の壁の「ジュラク壁塗」は塗る仕上げです。床の「フローリング t12」のように、最後の語を書かない欄もあります。

見本の外部仕上表の左半分。屋根の行に「日本瓦葺」
見本の外部仕上表の左半分。値は例

外部仕上表の屋根の行の「日本瓦葺」の「葺」は、瓦などで屋根をふく語です。同じ行の「アスファルトルーフィング下葺」は、瓦の下に敷く下葺きを書いています。

塗装の略号

EP は塗装の略号で、トイレの天井の「P・B t9.5下地 EP塗」は、厚さ9.5mmのプラスターボードに EP を塗った天井と読めます。国の工事の基準の略号の表から、塗装の略号を5つ挙げると次のとおりです。

略号塗装の名前(国の工事の基準の略号の表)
SOP合成樹脂調合ペイント塗り
EP合成樹脂エマルションペイント塗り
CLクリヤーラッカー塗り
OSオイルステイン塗り
UCウレタン樹脂ワニス塗り

このうち CL と OS は、今の標準仕様書とは名前の扱いが違います(後の「名前は標準仕様書の記載のとおり」で比べます)。

この表に無い AEP(アクリルエマルションペイント)のような略号を使う図面もあり、意味は凡例で引きます。

製品に任せる書き方

見本の廻縁の「木製(既製品)」は、既製品の木製廻縁を使うという意味です。浴室の行の「U・B仕様による」は、床から天井までを、ユニットバスの製品の仕様に任せるという意味になります。

部屋の一部だけ仕上げが違うときは、場所を添えます。見本の台所では、備考の欄に「キッチンパネル(コンロ前)」とあり、コンロの前だけキッチンパネルを張るという意味です。

材料を書かない欄

欄が空いているか、横線(-)なら、その部位の仕上げは無いという意味です。上の見本の外部仕上表でも、庇や下屋のように、その建物に無い部位の行は空いています。

「〃」や「同上」は、上の行と同じ仕上げという意味です。同じ仕上げの部屋が続くときに使います。

欄から部位の重なりを読む

居間の壁の重なり。奥から木の柱と間柱の骨組み、プラスターボード、ビニルクロスの壁紙
居間の壁の重なり。奥から骨組み、プラスターボード、ビニルクロスの順

ここまでの記号と語で読むと、欄からはその部位が何をどう重ねてできているかが分かります。読むのは、次の3つです。

  • 壁の欄を読む
  • 床の欄を読む
  • 骨組みは欄に書かない

壁の欄を読む

見本の居間の壁の欄は、「P・B t12.5下地 ビニールクロス貼」です。P・B はプラスターボードの略で、欄全体は、厚さ12.5mmのプラスターボードを下地にしてビニルクロスを張った壁と読めます。

上の図の重なりのうち、ふだん目に入るのは、いちばん手前のビニルクロスだけです。その奥のプラスターボードは、仕上表の欄を読むと分かります。

床の欄を読む

玄関の床の重なり。下から土間コンクリート、モルタル、磁器質タイル
玄関の床の重なり。下から土間コンクリート、モルタル、磁器質タイルの順

見本の玄関の床の欄は、「モルタル下地 磁器質300角タイル貼」です。モルタルの下地の上に、一辺300mmの磁器質タイルを張った床と読めます。

上の図のいちばん下の土間コンクリートは、見本の欄には書かれていません。欄に書くのは、モルタルとタイルの2つです。

骨組みは欄に書かない

壁の図の奥にある柱や間柱は、仕上表の欄にはほとんど書かれません。集めた戸建て住宅の仕上表11件のうち、骨組みを書いていたのは2件でした。

多くの図面は、欄に下地と仕上げの2層までを書きます。11件のうち、床に根太や大引を書く図面は1件もありませんでした。

どこまで書くかの違い

品番や色番号まで書いた書式の参考例。メーカー名と品番は伏せてある
品番や色番号まで書いた書式の参考例。メーカー名と品番は伏せた。公開されている設計図書の形に合わせて編集部が作成。値は例

見本の欄に書いてあるのは、材料の名前と厚さまでです。欄にどこまで書くかは、会社によって違います。

集めた戸建て住宅の仕上表11件は、すべてが厚さまでは書いていました。そのうち厚さまでで止めるものが8件、メーカー名や商品名まで書くものが2件、品番と色番号まで書くものが1件です。

上の参考例は、品番と色番号まで書く書き方です。天井の「日塗工 N-90」は、日本塗料工業会(日塗工)の色の番号を指しています。

日塗工の番号は、年の記号・色相・明度・彩度を組み合わせた形で、N は白・灰・黒のような無彩色を表します。参考例の N-90 は、年の記号を省いた書き方です。

国の工事の材料の名前の決まり

建築工事設計図書作成基準 2.1 一般事項の(1)〜(4)。材料・施工方法等の名称は標準仕様書の記載のとおりとする
基準 2.1 一般事項の(1)〜(4)。この節で読むのは(1)の名前の書き方。出典:国土交通省「建築工事設計図書作成基準(令和2年改定)」2.1 一般事項を切り出して編集部が作成

住宅の図面には品番まで書く会社がある一方で、国の工事の基準は、材料や工法の名前の書き方を決めています。国の建物の工事の図面を読むときのために、決まりを2つ見ておきましょう。

  • 製造業者名と製品名は書かない
  • 名前は標準仕様書の記載のとおり

製造業者名と製品名は書かない

国の工事の基準は、図面に製造業者名・製品名と、それらが特定される内容を書かないとしています。住宅の図面では品番まで書く会社もありますが、国の工事の図面には書きません。

建築工事設計図書作成基準 4.1 一般事項の(5)。製造業者名、製品名及びそれらが特定される内容は記載しない
基準 4.1 一般事項の(5)。出典:国土交通省「建築工事設計図書作成基準(令和2年改定)」4.1 一般事項の(5)を切り出して編集部が作成

名前は標準仕様書の記載のとおり

標準仕様書は、国の建物の工事で使う材料や工法の標準を決めた書類です。国の工事の基準は、図面に書く材料や工法の名前を、この標準仕様書の記載のとおりにするとしています。

ここでいう標準仕様書は、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)・公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)・公共建築木造工事標準仕様書の3つです。

標準仕様書に無い材料や工法を使うときは、名前の代わりに性能・構造・工法などを具体的に図で示します。

基準の略号の表(令和2年改定)と、2026年10月時点の最新の標準仕様書(令和7年版)とでは、塗装の名前が合わないものがあります。比べると、次のとおりです。

基準の略号の表(令和2年改定)標準仕様書(令和7年版)
クリヤーラッカー塗り(CL)クリヤラッカー塗り(CL)
合成樹脂エマルション模様塗料塗り(EP-T)この名前の項目が無い
ラッカーエナメル塗り(LE)この名前の項目が無い
オイルステイン塗り(OS)この名前の項目が無い

国の工事の図面がどの年版の標準仕様書によるかは、特記仕様書(その工事に限った決まりを書いた書類)に書かれます。名前は、その年版の標準仕様書で確かめます。

欄を1つ選んで重なりを言い直してみよう

見本の室内仕上表の左の部分
見本の室内仕上表の左の部分。値は例

仕上表の欄は、下地と仕上げを、記号と語の組み合わせで短く書いたものです。この記事で解説したことは、次の11項目です。

  • 厚さ・高さ・間隔の記号
  • 大きさと重ねの書き方
  • 仕上げ方を表す語
  • 塗装の略号
  • 製品に任せる書き方
  • 材料を書かない欄
  • 壁の欄を読む
  • 床の欄を読む
  • 骨組みは欄に書かない
  • 製造業者名と製品名は書かない
  • 名前は標準仕様書の記載のとおり

この記事の見本でも手元の仕上表でもよいので、欄を1つ選び、下地・厚さ・仕上げ・仕上げ方を文に言い直してみてください。

たとえばトイレの天井は、「厚さ9.5mmのプラスターボードに EP を塗った天井」です。

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この記事について

PERSC編集部が、建築の制作に関わる知識を実務目線で整理しています。内容は公開・更新日時点の情報にもとづきます。誤りや古い情報にお気づきの場合はお問い合わせよりご連絡ください。

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