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建具表の読み方|形・寸法・材質・ガラス・金物・防火の別

建具表の読み方|形・寸法・材質・ガラス・金物・防火の別
建具表(たてぐひょう)とは何で、どう読めばよいのでしょうか。
建具表は、建物の戸や窓を1つずつ取り上げ、形や材質、付くガラスや金物を書き並べた図面です。
建具ごとに付く記号(建具符号)を手がかりに欄を1つずつ読めば、その戸や窓の形・寸法・材質・ガラス・金物と、火事に備えた戸(防火戸)かどうかが分かります。
建具表とは、どんな図面か
建具表は、建物に付く戸や窓などの建具について、建具ごとに形・材質・ガラス・金物などを書いた図面です。
建具は、戸や障子のように、建物の出入口や窓などの開口部を開け閉めするものを言います(百科事典マイペディア「建具」)。開口部は、光や風を入れたり人が通ったりするために、壁や屋根の一部を開けた部分です(家とインテリアの用語がわかる辞典「開口部」)。
この記事で読む建具表の書き方は、国土交通省が決めた次の4つの文書によります。この記事では、4つをまとめて「国の工事の基準」と呼びましょう。
- 作成基準:「建築工事設計図書作成基準」。国の建物の工事で、設計図書の書式や表示の基本を決めた基準
- 資料:「建築工事設計図書作成基準の資料」。作成基準に付く資料で、略号の表(資料1)と、図面ごとに書く事項の表(資料2)などが入っている
- 標準仕様書:「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」。国の建物などの新築工事に使う材料・工法などの、標準の決まりを示したもの
- 詳細図:「建築工事標準詳細図」。国の庁舎の設計でよく使う細部を、標準の図にしたもの
4つの文書の中身の説明は、国土交通省の官庁営繕の技術基準のページにあるとおりです。
4つとも、国の建物の工事(官庁営繕)のために国土交通省が決めたもので、作成基準が使われる範囲は営繕工事の図面です(作成基準 1.2)。営繕は、建物を造ったり直したりすることを言います(デジタル大辞泉「営繕」)。
ふつうの家の図面が、この基準と同じ形とは限りません。書き方が1つに決まっていて、原文を誰でも開けるので、この記事ではこの基準を手本に建具表を読みます。
文の後ろの括弧は、その事実が書かれた文書と項目の番号です。たとえば「資料2 (15)」は、資料の資料2 にある「(15) 建具表」の項を指し、括弧は読み飛ばしても本文は読めます。
標準仕様書の「仕様書」は、工事の内容や手順を説明した書面のことです(デジタル大辞泉「仕様書」)。
国の工事では、図面と仕様書などを合わせて設計図書と呼び、工事をする会社はこの設計図書に従って工事をします(標準仕様書 1.1.1(2))。
仕様書には、多くの工事に共通する決まりをまとめた標準仕様書と、その工事のために書く特記仕様書があります(標準仕様書 1.1.1(2)、作成基準 2.1(2)・4.3)。特記は、特記仕様書や図面などで、その工事のために指定した事項のことです(標準仕様書 1.1.1(4)・1.1.2(ス))。
図面には、標準仕様書で決まっている事項は書かず、標準仕様書が特記に任せた事項などを書きます(作成基準 2.1(2))。この仕組みは、建具表の網戸・仕上げ・金物・防火戸のことを書く所で出てくるでしょう。
建具表は名前に「表」と付きますが、国の工事の基準では、仕上表や建具表のような表も図面の1つに数えます(作成基準 4.2)。
窓そのものも建具に入り、戸と窓のそれぞれに材質ごとの略号があります(資料1)。
建具表が表すのは、建具と建具金物とガラスです(資料2 (15))。
建具金物は、錠や丁番(ちょうばん)など、建具に取り付ける金物を指します(標準仕様書 表16.8.1 に挙がる金物の例)。丁番は、開き戸などを開け閉めするときに、回る軸の働きをする金具です(日本大百科全書「丁番」)。
既製の間仕切(部屋と部屋を仕切る、出来合いの壁や戸)などは、建具表に入れません(資料2 (15))。
建具表がある理由は、平面図だけでは建具の中身まで書き切れないからです。
平面図は、建物を水平に切って真上から見た図です(デジタル大辞泉「平面図」)。
平面図に書く建具の情報は、建具の位置と種類(種別)、建具符号、防火戸の種別などにとどまります(資料2 (8))。
そのため、何でできていて、どんなガラスや金物が付くかは、建具表で読むことになるのです。
設計は、建物の全体を決める基本設計から、それをもとに細かく決める実施設計へと進みます(令和6年国土交通省告示第8号 別添一 1 一・二)。
国の工事の基準では、建具表は実施設計で作る図面の1つに入ります(作成基準 4.2)。
実施設計は、工事をする会社が設計図書を正しく読み取って工事ができ、工事費も見積もれるように、設計を細かく決める段階です(告示第8号 別添一 1 二)。
仕上表と建具表が、図面一式の中で何を受け持つかは、「建築図面の仕上表と建具表とは|表で表す図面」の記事で解説しています。
建具表には、何が書いてあるのか
建具表には、建具・建具金物・凡例の3つの項目に分けて、決まった欄が並びます(資料2 (15))。
欄は、表の中で1つの事柄を書く区切りのこと。建具表の欄の名前は、資料2 の表で決まっています。
下の画像は、建具表そのものではありません。資料2 の中の、建具表に何を書くか(記載事項)を並べた表です。

上の表の左の「項目」が3つの大きな分け方で、その右の「内容」の列の1行1行が、建具表に並ぶ欄の名前です。
右の「備考」の列の内観図は、建具を室内の側から見た図のことで、後の形状図の節で詳しく読みます。
防火戸は、火災が燃え広がるのを防ぐために、建物の外壁や内部の開口部に設ける、火に強い戸です(精選版 日本国語大辞典「防火戸」)。連動装置は、防火戸が閉まる仕組みを、熱や煙の感知器(熱や煙を感じ取る装置)などと連動させる装置を指します(標準仕様書 16.1.3(3) の内容から)。
3つの項目ごとに欄を並べると、次のようになります。
- 建具:形状図(建具の形の図)、枠回り詳細、くつずり、種別及び開閉方法(建具の種類と開け閉めのしかた)、箇所数(同じ建具がいくつあるか)、建具符号、建具寸法、建具枠寸法、ガラスの種別及び厚さ、がらりの形状・寸法・種別、網戸の有無と網の種類、仕上げ、その他(防火戸と連動装置の種別など)
- 建具金物:支持金物、自閉金物、締り金物など
- 凡例:表示記号、略号など
欄の名前に出てくる枠は、戸やガラスを取り付ける部材で、壁の開口部に接するものです(日本サッシ協会 サッシ・ドア関連用語集「枠」)。
くつずりは、出入口の下枠のこと。特に、開き戸の下枠をいうことが多い部材です(日本サッシ協会 サッシ・ドア関連用語集「沓摺」)。
がらりは、細長い羽根板を平行に並べて取り付けた窓や戸です(デジタル大辞泉「がらり」、リフォーム用語集「ガラリ」)。視線をさえぎりながら風を通せるので、洗面所や浴室などの戸によく使われます(リフォーム用語集「ガラリ」)。
ほかの欄の意味は、この記事の後の節で1つずつ読みます。
これらの欄の多くを、2つの建具で1つの表にまとめると、次のような形になるでしょう。

上の見本は、建具1つに縦の1列を使い、欄を上から下へ行で並べた形です。欄をどの向きに並べるかは、資料2 には決まっていません。
見本の左の列の引違い窓は、2枚以上の戸を溝やレールにはめて、滑らせて開け閉めする窓です(家とインテリアの用語がわかる辞典「引き違い」)。右の列の片開き戸は、1枚の開き戸が一方にだけ開く戸を指します(デジタル大辞泉「片開き」)。
見本の「W1820 × H○」の W は幅、H は高さです(詳細図 4-01 の「扉の標準寸法」と同じ書き方)。国の工事の基準の図面では、寸法の単位はミリメートルで、単位の記号は書きません(作成基準 3.5(1))。
寸法の W は、後で読む建具略号の W(窓・木製)とは別のもの。同じ W の字でも、欄によって意味が違うと覚えておきましょう。
1つの建具について読むときは、その建具の列を上から下へたどってください。
建具符号は、どう読むのか
建具符号は、円を横線で上下に分けた記号で、円の中の上に整理番号、下に建具略号が入ります(作成基準 別表1)。
建具略号は、WD・AW のように、建具の材質と、戸か窓かを表す記号です(資料1)。整理番号をどう付けるかは、国の工事の基準には決まりがありません。
見本の2つの建具は、整理番号がどちらも1ですが、建具略号が AW と WD で違うので、別の建具符号になります。
円の外には、右上に防火戸の種類を、右下にくつずり番号を添えます(作成基準 別表1)。

上の図のとおり、1つの建具符号から4つのことが読み取れるわけです。
防火戸の種類とくつずり番号に、何という文字や番号を書くかも、国の工事の基準には決まりがありません。
建具符号が要るのは、平面図と建具表をつなぐためです。
建具符号は、平面図に使う表示記号の1つとして決められています(作成基準 3.6(1)、別表1)。
表示記号は、図面の中で建具や材料などを表すために決めた記号のこと。国の工事の基準には、平面図などに使う平面表示記号、材料や構造を表す材料構造表示記号、建具の開け閉めのしかたを表す建具開閉表示記号の3つがあります(作成基準 3.6)。
建具表にも、建具ごとに同じ建具符号の欄があります(資料2 (15))。平面図と建具表で同じ建具符号を探せば、どの建具が建物のどこに入るかを突き合わせられるでしょう。
同じ建具符号の建具が建物にいくつあるかは、建具表の「箇所数」の欄で読みます(資料2 (15))。
建具の位置を示す図面として、建具位置図(建具キープラン)を作ることもあります。キープランは、建具の配置を示す図のことです(日本サッシ協会 サッシ・ドア関連用語集「キープラン」)。
国の工事の基準では、建具位置図は実施設計で作る図面の1つに入ります(作成基準 4.2)。
建具位置図を作るときは、平面図に建具符号を書かなくてよい、という決まりです(資料2 (8))。その場合は、建具の位置を建具位置図が受け持つことになるのです。
建具位置図と平面図の関係は、「建具位置図(建具キープラン)とは|平面図の建具符号との関係」の記事で解説しています。
建具表の形状図は、内観と外観のどちらで描くのか
建具表の形状図は、内観、つまり建具を室内の側から見た形で描きます(資料2 (15) の備考「形状図は内観図とする」)。
形状図は、建具の形を描いた図です。
同じ戸でも、室内側から見るか廊下側から見るかで、形の見え方が変わります。

上の2つの図では、取っ手の位置が左と右で逆になっています。建具表の形状図になるのは、室内側から見た形のほうです。
建具を正面から描いた図は、姿図(すがたず)とも呼ばれます(日本サッシ協会 サッシ・ドア関連用語集「姿図」)。
サッシ(金属製の窓枠)の姿図も、室内側から見た図を使います(同「姿図」)。アルミニウム製の窓も、このサッシの1つです。
一方、カーテンウォールの姿図は、室外側から見た図が一般的です(同「姿図」)。
カーテンウォールは、建物の重さを支えない壁で、おもにガラスやアルミニウムのパネルで外壁をおおうもの(家とインテリアの用語がわかる辞典「カーテンウォール」)。建具表の形状図は、国の工事の基準のとおり室内側から描かれます。
建具の開き方は、どの欄で読むのか
建具の開き方は、建具表の「種別及び開閉方法」の欄で読みます(資料2 (15))。
上の見本では、この欄の値は「アルミニウム製 引違い窓」「木製 片開き戸」です(値は例)。
開き方の名前と標準の形は、詳細図の形状番号で確かめられます。
詳細図では、建具の標準の形に形状番号を付けて、次の4つに分けました(詳細図 4-01)。
| 形状番号 | 建具 |
|---|---|
| A-1〜A-6 | 木製・鋼製軽量・鋼製フラッシュ戸 |
| B-1〜B-8 | 木製・鋼製軽量・鋼製ガラス入フラッシュ戸 |
| C-1〜C-19 | アルミニウム製建具・樹脂製建具 |
| D-1〜D-5 | ふすま |
上の表の鋼製軽量は、屋内に使う、軽い鋼製の建具のことです(標準仕様書 16.5.1)。
フラッシュ戸は、枠や桟(戸の骨組み)が外に見えない、1枚の板のような戸です。芯になる材の上に合板などを貼り、表面を平らに仕上げてあります(デジタル大辞泉「フラッシュドア」「桟」)。
C の形状のうち C-7〜C-16 には、開き方の名前が付いています(詳細図 4-01)。10の名前と開き方は、次のとおりです。
| 開き方の名前 | どう開くか |
|---|---|
| 片開き | 1枚の戸の端を丁番などで吊り、回して開く |
| すべり出し | 戸の下の端を外へ押し出すと、上の端が縦の枠に沿って動きながら開く |
| たてすべり出し | 縦の辺を回る軸にして、外側へすべり出しながら開く |
| たて軸回転 | 縦の軸を中心に、戸が横方向に回る |
| 横軸回転 | 左右に回る軸があり、戸が回って開く |
| 内倒し | 下の枠を軸にして、戸を室内側へ倒して開く |
| 外倒し | 下の枠側を軸にして、戸が外側へ開く |
| 突き出し | 上の枠側を軸にして、戸が外側へ開く |
| 上げ下げ | 2枚の戸が、それぞれ上下に動く |
| 片上げ下げ | 上が固定で、下の1枚の戸だけが上下に動く |
上の表の「どう開くか」は、日本サッシ協会のサッシ・ドア関連用語集によります。たてすべり出しと内倒しは、YKK AP の「窓の教科書」によります。
C の形状で*印の付いたものは、樹脂製建具に対応する形状です(詳細図 4-01)。

上の図の C-1〜C-6 では、下の四角が窓の形で、上の点線の四角が、らんまを設ける場合の部分です(詳細図 4-01 の特記事項 3))。
下の四角の FIX は、開かない固定の部分を表します(詳細図 4-01)。点線の四角の高さ H₂ が、らんまの高さです(同 特記事項 3))。
右へ伸びる矢印の付いた W は、C-1〜C-6 の窓を横に続けて並べる(連窓にする)場合の、全体の幅にあたります(同 特記事項 4))。
らんま(欄間)は、もとは和室の鴨居の上に設けた開口部のことです(百科事典マイペディア「欄間」)。鴨居は、引き戸や障子、ふすまをはめる部分の上に渡した、溝のある横木を言います(デジタル大辞泉「鴨居」)。
詳細図では、窓の上に設けるこの部分を、らんまとして扱っています。らんまの形式は、FIX(固定)・引違い・内倒し・外倒し・突き出しの5つです(詳細図 4-01)。
平面図で開き戸や引き戸を表す記号は、「平面図の出入口と窓の記号|開き戸・引き戸・引違い窓など」の記事で解説しています。
建物の外観を表す立面図で使う建具開閉表示記号は、「立面図の開口部の表し方|窓・ドアの見え方と建具開閉表示記号」の記事で解説します(準備中)。
建具の寸法と枠の寸法は、どこで読むのか
建具の寸法と枠の寸法を読むのは、建具表の「建具寸法」と「建具枠寸法」の2つの欄です(資料2 (15))。
数字の単位は、見本で読んだとおりミリメートルになります(作成基準 3.5(1))。
2つの寸法が、それぞれ建具のどこからどこまでを測ったものかは、国の工事の基準には定めがありません。
標準の寸法の例として、詳細図には「扉の標準寸法」の表があります(詳細図 4-01)。この表は、開き戸の標準の寸法を、枠の有効内のり幅 W と、有効内のり高さ H で示したものです。
有効内のりは、枠の内側のうち、人の出入りや物の運び入れに実際に使える寸法のことです(日本サッシ協会 サッシ・ドア関連用語集「有効開口」)。
表の値と、枠の寸法の読み方は、「枠図の読み方|建具の枠の詳細」の記事で解説しています。
建具の材質は、どの略号で表すのか
建具の材質は、建具略号の頭の1〜2文字で表し、終わりの D が戸、W が窓を表します(資料1)。
国の工事の基準の図面では、略号を使う場合、「資料1 略号」の表に従う決まりです(資料1)。
そのため、国の工事の図面なら、同じ材質の建具にはどの図面でも同じ略号が付きます。
材質ごとの略号は、次のとおりです。
| 材質 | 戸 | 窓 |
|---|---|---|
| 木製 | WD | WW |
| 鋼製 | SD | SW |
| 鋼製軽量 | LD | (資料に無し) |
| ステンレス製 | SSD | SSW |
| アルミニウム製 | AD | AW |
| 樹脂製 | PD | PW |
上の表の WD は木製戸、AW はアルミニウム製窓という意味になります。
木製窓の WW は、頭の W が木製、終わりの W が窓を表すので、同じ W が2つの意味で出てきます。
材質の違う3つの建具に、この略号を当てた例を見てみましょう。

上の絵の WD・SD・AW は、戸と窓の略号です。
戸と窓のほかに、シャッターやがらりなども、同じ「建具等」の項目に略号があります(資料1)。
- シャッター:重量シャッター SS、軽量シャッター LS
- オーバーヘッドドア(上下に分かれた複数の板を、天井か壁に沿って送り込んで収納するドア):OHD
- がらり:木製 WG、鋼製 SG、アルミニウム製 AG
- ふすま H、紙障子 P
- アルミニウム製カーテンウォール:ACW
これらの略号は、頭が材質で終わりが D か W、という形になっていません。1つずつ、上のとおりに読んでください。
材質の名前は、標準仕様書の16章(建具工事)の2〜7節の名前と同じです(標準仕様書 16章)。
そのため、ある材質の建具の決まりを標準仕様書で探すときは、同じ名前の節を開けば見つかります。16章の節の名前は、アルミニウム製建具・樹脂製建具・鋼製建具・鋼製軽量建具・ステンレス製建具・木製建具となっています。
カーテンウォールの工事は、別の17章(カーテンウォール工事)です。
ガラスの種類は、どの略号で表すのか
ガラスの種類は、建具表の「ガラスの種別及び厚さ」の欄で読みます(資料2 (15))。種類は、P・F・IG などの略号で書かれることもあります(資料1)。
資料1 は略号を使う場合の表なので、略号を使わないときは、ガラスの名前で書かれることになるでしょう。厚さの単位も、ミリメートルです(作成基準 3.5(1))。
略号で書く場合の略号と、それぞれのガラスの中身は、次の表のとおりです(略号は資料1)。
| ガラスの種別 | 略号 | どんなガラスか |
|---|---|---|
| フロート板ガラス | P | 溶けた金属の上にガラスを浮かべて作る、平らでゆがみの少ない板ガラス |
| 型板ガラス | F | 片面か両面に細かな凹凸の模様をつけ、向こう側が見えにくい板ガラス |
| 網入型板ガラス | NF | 型板ガラスに金属の網を入れたもの |
| 線入型板ガラス | WF | 型板ガラスに金属の線を入れたもの |
| 網入磨き板ガラス | NP | 透明な磨き板ガラスに金属の網を入れたもの |
| 線入磨き板ガラス | WP | 透明な磨き板ガラスに金属の線を入れたもの |
| 合わせガラス | L | 2枚の板ガラスのあいだに合成樹脂の膜をはさみ、割れても破片が飛び散りにくいガラス |
| 強化ガラス | T | 熱してから急に冷やし、衝撃に強くしたガラス。割れると粒のように砕ける |
| 熱線吸収フロート板ガラス | HAP | 熱線(赤外線)を吸い取り、熱をさえぎる板ガラスのうち、フロート板ガラスのもの |
| 熱線吸収網入磨き板ガラス | HANP | 熱線を吸い取る網入りの磨き板ガラス |
| 熱線吸収線入磨き板ガラス | HAWP | 熱線を吸い取る線入りの磨き板ガラス |
| 複層ガラス | IG | 2枚の板ガラスのあいだに乾いた空気を封じ込めたガラス |
| 熱線反射ガラス | HR | 表面に、熱線を跳ね返す膜をつけたガラス |
| 倍強度ガラス | DS | 同じ厚さのフロート板ガラスの約2倍の強さを持ち、割れ方はフロート板ガラスと同じガラス |
| 倍強度熱線吸収ガラス | DSHA | 倍強度ガラスのうち、熱線を吸い取るもの |
上の表の「どんなガラスか」は、次の説明によります。フロート板・型板・強化・熱線吸収・複層・熱線反射はデジタル大辞泉、型板の見えにくさはブリタニカ国際大百科事典 小項目事典です。
網入りと線入りは改訂新版 世界大百科事典「網入りガラス」と日本サッシ協会「網入板ガラス」、磨き板は建築用語集「磨きガラス」によります。合わせは家とインテリアの用語がわかる辞典、倍強度は日本サッシ協会の用語集です。
網入りのガラスは、火事の熱で割れても破片が落ちにくく、燃え広がるのを防ぎます(日本サッシ協会 サッシ・ドア関連用語集「網入板ガラス」)。
型板ガラス・網入磨き板ガラス・複層ガラスを並べると、次のように見た目が違います。

上の絵の F・NP・IG のうち、ガラスの略号で気をつけたいのは、P の文字です。
フロート板ガラスの P は、紙障子の建具略号の P と同じ文字になっています(資料1)。
線入磨き板ガラスの WP も、塗装の略号の WP(木材保護塗料塗り)と同じ文字です(資料1)。
建具符号の円の中の下に入る P なら紙障子、「ガラスの種別及び厚さ」の欄の P ならフロート板ガラスと読み分けましょう。
がらりの種別と開口率は、どう読むのか
がらりの種別は、建具表の「がらりの形状、寸法及び種別」の欄で読みます(資料2 (15))。国の工事の基準では、種別ごとに開口率が決まっています(詳細図 4-01)。
開口率は、がらりを正面から見た面積のうち、開いている部分の割合です(日本サッシ協会 サッシ・ドア関連用語集「開口率」)。
がらりには、それだけで窓や戸になるもの(WG などの略号があるもの・資料1)と、戸に組み込まれるものがあります。詳細図では、フラッシュ戸の形 A-4〜A-6 などに、がらりの付いた形があります(詳細図 4-01 の特記事項 5))。
国の工事の基準では、戸や窓のがらりの形式を、Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型の3つの種別で示しました(詳細図 4-01)。種別ごとの開口率は、次の表のとおりです。
| 種別 | 開口率 |
|---|---|
| Ⅰ型 | 約30% |
| Ⅱ型 | 約35% |
| Ⅲ型 | 約25% |
上の表の3つの種別の形は、次の図で確かめられます。

上の図の右の姿図の W₃ はがらりの幅、H₃ はがらりの高さにあたります(詳細図 4-01 の特記事項 5))。
姿図の注記には「W=1,500以上は方立を設ける」とあり、姿図の真ん中の縦の部材が方立です。
方立(ほうだて)は、窓や戸などの建具を横につなげるときに、あいだを仕切る縦の部材です(日本サッシ協会 サッシ・ドア関連用語集「方立」)。
がらりの材質は、材質の節で挙げた WG・SG・AG の略号で表します。
網戸の欄には、何が書いてあるのか
建具表の網戸の欄には、網戸があるかどうかと、網の種類が書かれます(資料2 (15) の「網戸の有無及び網の種類」)。
網の種類を建具表に書くのは、網の材質などを標準仕様書が特記に任せているからです。
最初の節で読んだとおり、図面には、標準仕様書が特記に任せた事項を書く決まりです(作成基準 2.1(2))。
アルミニウム製建具に網戸などを設ける場合の網は、次のように決まっています(標準仕様書 16.2.3(5))。樹脂製建具の網戸も、同じ決まりによります(同 16.3.3(5))。
- 防虫網:材質は合成樹脂製、ガラス繊維入り合成樹脂製、ステンレス(SUS316)製。材質・線径(網の線の太さ)・網目は特記による。特記がなければ合成樹脂製で、線径0.25mm以上、網目16〜18メッシュ
- 防鳥網:材質はステンレス(SUS304)製で、線径1.5mm、網目寸法15mm
上の SUS316 と SUS304 は、ステンレス鋼の種類を表す記号で、SUS は Steel Use Stainless の頭文字です(特殊金属エクセル「ステンレスのJIS記号」)。
防虫網のメッシュは、長さ1インチあたりの網の目の数で、網目の細かさを表す単位です(日本大百科全書「メッシュ」)。
建具の仕上げは、材質ごとにどう決まっているのか
建具の仕上げは、材質ごとに標準仕様書が決まりを置き、決めていない所を特記に任せています(標準仕様書 16章 各節の「形状及び仕上げ」)。
最初の節で読んだとおり、図面には特記で決める事項を書くのが決まりです(作成基準 2.1(2))。
そのため、建具表の「仕上げ」の欄で読むのは、主に特記で決めた仕上げの中身になります。
材質ごとの決まりは、次の表のとおりです。
| 建具 | 仕上げの決まり |
|---|---|
| アルミニウム製建具 | 表面処理(表面に皮膜をつける処理)は標準仕様書の14.2.1による。種別、標準色・特注色の別などは特記による(16.2.4(3)) |
| 樹脂製建具 | 表面色は標準色又は特注色。適用は特記による(16.3.4(5)) |
| 鋼製建具・鋼製軽量建具・木製建具 | 塗装で仕上げ、塗装は18章(塗装工事)による(16.4.4(4)・16.5.4(5)・16.7.3(3)) |
| ステンレス製建具 | 表面仕上げは特記による。特記がなければ HL(16.6.4(4)) |
| 重量シャッター・軽量シャッター | 塗装で仕上げ、塗装は18章(塗装工事)による(16.11.4(3)・16.12.4(4)) |
| ステンレス製くつずり | 仕上げは特記による。特記がなければ HL(16.2.4(4)) |
上の表のアルミニウム製建具の表面処理は、表14.2.1 に挙がる皮膜の種別から選びます(標準仕様書 14.2.1)。
表の最後のステンレス製くつずりは、アルミニウム製建具の節(16.2.4(4))で、建具と一緒に仕上げが決まっているもの。樹脂製建具のくつずりも、同じ決まりによります(16.3.4(3))。
表の HL は、ヘアライン仕上げを表す記号です。
ヘアライン仕上げは、金属などの表面に、一方向に髪の毛ほどの細い傷をつけて仕上げること。つやを消し、金属の質感を出す仕上げです(デジタル大辞泉「ヘアライン仕上げ」)。
塗装の名前と略号の読み方は、建物の外部と内部の仕上げを表で示す仕上表と同じです。
略号には、合成樹脂調合ペイント塗りの SOP、合成樹脂エマルションペイント塗りの EP などがあります(資料1)。
塗装の名前と略号の読み方は、「仕上表の読み方|内部・外部」の記事で解説しています。
建具金物には、どんな種類があるのか
建具表の建具金物は、支持金物・自閉金物・締り金物などに分けて書くものです(資料2 (15))。
字のとおり、支持金物は戸を支える金物、自閉金物は戸を自動で閉める金物、締り金物は戸を締めておく金物を指します。
金物を略号で書く場合は、次の表の略号で書かれます(資料1)。
| 金物 | 略号 |
|---|---|
| ドアクローザー | DC |
| フロアヒンジ | FH |
| ラバトリーヒンジ | LH |
| ピボットヒンジ | PH |
| ヒンジクローザー | HC |
上の表のヒンジは、最初の節で読んだ丁番と同じ金具です(日本大百科全書「丁番」)。
ドアクローザーは、開いた戸を自動で閉じるための装置で、戸と枠の上の部分をつなぐ形で取り付けます(家とインテリアの用語がわかる辞典「ドアクローザー」)。
フロアヒンジは、ばねと油の働きで戸を自動で閉じ、その速さも調整できる、床に付けるヒンジです(日本サッシ協会 サッシ・ドア関連用語集「フロアヒンジ」)。
ピボットヒンジは、戸を上下から軸で支える部品を指します(日本サッシ協会 サッシ・ドア関連用語集「ピボットヒンジ」)。
ラバトリーヒンジは、管の中のばねの力で開いたり閉じたりするヒンジで、主に便所に使います(日本サッシ協会 サッシ・ドア関連用語集「ラバトリーヒンジ」)。
ヒンジクローザーは、戸を自動で閉める働きを、丁番などの中に収めた金物です(ドアクローザ工業会「ヒンジクローザ商品説明」)。
ドアクローザー・フロアヒンジ・ピボットヒンジを並べると、取り付く場所が違うのが分かるでしょう。

上の絵の3つのような金物について、国の工事では、金物の種類と、取り付けたあとに見える部分(見え掛り部)の材質は、特記で決めます(標準仕様書 16.8.2(3))。
特記がなければ、開き戸・引戸・窓の形式ごとに、標準仕様書の表16.8.1 に挙がった金物を使う決まりです(同 16.8.2(3))。
支持金物・自閉金物・締り金物などの分け方と、表16.8.1 の金物とをどう対応させるかは、国の工事の基準に定めがありません。
防火戸は、建具表のどこで読むのか
防火戸の種類は、建具符号の円の右上で読みます(作成基準 別表1)。防火戸と連動装置の種別などは、「その他」の欄で読みましょう(資料2 (15) の「その他」の備考)。
防火戸は、記載事項の表の節で読んだとおり、火災が燃え広がるのを防ぐための、火に強い戸です(精選版 日本国語大辞典「防火戸」)。

上の図では、円の右上に防火戸の種類を書きます。
防火戸のことを「その他」の欄に書くのは、防火戸の使い方が特記に任されているからです。
国の工事では、防火戸を使うかどうかは特記で決めます(標準仕様書 16.1.3(1))。
防火戸を自動で閉める仕組みを、熱感知器や煙感知器などと連動させるかどうかも、特記で決まります(同 16.1.3(3))。
図面には特記で決める事項を書くので(作成基準 2.1(2))、連動装置の種別も建具表に書かれるのです。
建築基準法では、防火戸は防火設備の1つです(建築基準法 第2条第九号の二ロ、建築基準法施行令 第109条)。
防火設備は、ふつうの火災の火熱が加わってから20分間、加熱された面の反対側に火炎を出さないもの(建築基準法施行令 第109条の2)。防火設備のうち特定防火設備は、この時間が1時間のものを言います(同 第112条第1項)。
特定防火設備に使えるのは、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものか、大臣の認定を受けたものだけです(同 第112条第1項)。
国の工事の防火戸も、この構造方法か認定のものを使います(標準仕様書 16.1.3(2))。
建具表の「防火戸の種類」に、法令のどの区分を書くかは、国の工事の基準に定めがありません。
防火設備の法令の決まりは、「防火設備|防火戸・防火シャッター」の記事で解説します(準備中)。
建具表の凡例には、何が書いてあるのか
建具表の凡例には、表の中で使う表示記号と略号などが書かれます(資料2 (15))。
凡例(はんれい)は、もとは本のはじめに、使う記号や略語などの説明を並べたものです(図書館情報学用語辞典 第5版「凡例」)。
表示記号は、建具符号の節で読んだ、図面の中で建具や材料などを表すために決めた記号を指します。
凡例が要るのは、決まった記号が無いものに、その図面で記号を決めることがあるからです。
国の工事の基準では、表示記号が決まっていない場合は、その図面で表示記号を決め、そのことを凡例などに書きます(作成基準 2.1(3))。
略号を使う場合は、「資料1 略号」の表によります(資料1)。この記事で読んだ材質・ガラス・金物の略号も、この表にあるものです。
くつずりと枠回りは、どの図で詳しく読むのか
くつずりと枠回りの形は、枠回りを詳しく描いた図(枠図)で読みます。
建具表にも、枠回り詳細とくつずりの欄はあります(資料2 (15))。くつずり番号を添えるのは、建具符号の円の右下です(作成基準 別表1)。
くつずりは出入口の下枠なので、戸の足もとに付きます。

上の図の戸の足もとにある金属の部材が、くつずりです。
くつずりは枠の下の辺にあたる部材なので、床に平らに付いて見えます。
枠とくつずりの形の読み方は、「枠図の読み方|建具の枠の詳細」の記事で解説しています。
まとめ
建具表は、建具を1つずつ取り上げ、形・材質・ガラス・金物などを書いた図面です。
平面図に書く建具の情報は、位置と種類、建具符号などにとどまるので、建具の中身は建具表で読みます。
平面図と建具表は、同じ建具符号でつながっています。
建具符号の円の中の下にある建具略号は、頭の文字が材質、終わりの D か W が戸か窓かを表すもの。ガラスと金物にも略号があります。
網戸・仕上げ・金物の欄と、防火戸のことを書く所には、標準仕様書が特記に任せた事項が書かれます。
国の工事の基準では、図面に特記の事項を書く決まりだからです。
確かめの問い
読み終えたら、次の5つに答えてみましょう。
- 建具表の形状図は、室内側と、その反対側のどちらから見た形で描きますか。
- 建具略号 SD は、何でできた、戸と窓のどちらですか。
- 「ガラスの種別及び厚さ」の欄に P とあれば、何のガラスですか。
- 建具符号の円の右上には、何が書かれますか。
- 平面図と建具表で、同じ建具を突き合わせるには、何を手がかりにしますか。
答え
- 室内側です。形状図は内観図で描きます(国の工事の基準の場合)。
- 鋼製の戸です。頭の S が鋼製、終わりの D が戸を表します。
- フロート板ガラスです。建具符号の中の P なら紙障子です。
- 防火戸の種類です。右下には、くつずり番号が書かれます。
- 建具符号です。平面図と建具表の両方に、同じ建具符号が書かれます。
続けて読む記事
- 「建築図面の仕上表と建具表とは|表で表す図面」:仕上表と建具表が、図面一式の中で何を受け持つか
- 「建具位置図(建具キープラン)とは|平面図の建具符号との関係」:建具符号を、どの図面のどこに書くか
- 「平面図の出入口と窓の記号|開き戸・引き戸・引違い窓など」:平面図で、開き戸や引違い窓をどんな記号で描くか
- 「枠図の読み方|建具の枠の詳細」:枠とくつずりの形と寸法を、どう読むか
- 「仕上表の読み方|内部・外部」:塗装の名前と略号など、仕上げの書き方をどう読むか
- 「特記仕様書の読み方|工事概要・適用する仕様」:特記仕様書に、標準仕様書と違うことや任されたことがどう書かれるか
*2026年9月30日に原文で確かめた内容です。
国土交通省の資料は、「建築工事設計図書作成基準(令和2年改定)」「建築工事設計図書作成基準の資料(令和2年改定)」「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」「建築工事標準詳細図(令和4年改定)」「令和6年国土交通省告示第8号」によります。4つの文書の説明は、国土交通省の「官庁営繕の技術基準」のページによります。
語の意味は、コトバンクで開ける辞典で確かめました。デジタル大辞泉は「営繕」「仕様書」「平面図」「片開き」「フラッシュドア」「桟」「鴨居」「フロートガラス」「型板ガラス」「強化ガラス」「熱線吸収ガラス」「複層ガラス」「熱線反射ガラス」「がらり」「ヘアライン仕上げ」です。
ほかの辞典は、精選版 日本国語大辞典「防火戸」、日本大百科全書「丁番」「メッシュ」、百科事典マイペディア「建具」「欄間」、改訂新版 世界大百科事典「網入りガラス」、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「型板ガラス」、家とインテリアの用語がわかる辞典「開口部」「引き違い」「カーテンウォール」「合わせガラス」「ドアクローザー」、リフォーム用語集「ガラリ」、図書館情報学用語辞典 第5版「凡例」です。
一般社団法人 日本サッシ協会の「サッシ・ドア関連用語集」は、「枠」「沓摺」「姿図」「キープラン」「有効開口」「開口率」「方立」「網入板ガラス」「倍強度ガラス」「フロアヒンジ」「ピボットヒンジ」「ラバトリーヒンジ」と、窓の開き方の各語で確かめました。
そのほか、JIS A 4715(オーバーヘッドドア構成部材)の適用範囲の備考、YKK AP「窓の教科書 窓の開き方」、特殊金属エクセル「ステンレスのJIS記号」、ドアクローザ工業会「ヒンジクローザ商品説明」、建築用語集「磨きガラス」を使いました。
国土交通省の基準と標準仕様書は、国の建物の工事(官庁営繕)のためのものです。
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