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Vectorworksのシンボル・リソース・3Dモデリング完全ガイド|部品を再利用し立体化する

編集部 読了 約15分

Vectorworksのシンボル・リソース・3Dモデリング完全ガイド|部品を再利用し立体化する

Vectorworks(ネメトシェック社の建築・インテリア・ランドスケープ対応の総合CAD)を使い始めると、最初にぶつかるのが「同じ什器や建具を毎回描き直すのは無駄では」「平面図と立体をどう両立させるのか」という壁です。Vectorworks には、1つ描いた部品を平面でも立体でも何度でも使い回すしくみが用意されていて、ここを押さえると作図の速さと正確さが大きく変わります。

この記事では、その中心になる「シンボル」「リソースマネージャ」「3Dモデリング」「プラグインオブジェクト」という4つのしくみを、初めての方にもわかる言葉でつながりごと見渡します。

一つひとつの操作手順は各テーマの専用記事にゆずり、この記事は「何ができて、どうつながっていて、どこから学ぶと迷わないか」の全体像を見渡す入口として読んでください。

シンボル・リソース・3Dモデリングでできること|「再利用」と「立体化」の全体像

Vectorworks の部品まわりの強みは、「1つ描いた部品を、平面でも立体でも、何度でも使い回せる」という一点に集約されます。この記事が束ねる4つのしくみは、それぞれが独立した機能ではなく、部品を「つくる・再利用する・管理する・賢く使う」という一本の流れでつながっています。

このガイドで扱う4つの力

Vectorworks の部品づくりは、役割の違う4つのしくみが支えています。まずはそれぞれが何を担当するかを、1文ずつでつかんでおきましょう。

中心にあるのがシンボルです。シンボルは「シンボル定義」というひな形をファイルに1つだけ持ち、配置するたびにその複製(インスタンス)を置いていくしくみで、定義を直すと配置したものがまとめて直ります。その部品や素材の置き場になるのがリソースマネージャ、部品の形そのものをつくるのが3Dモデリング、そして壁や建具のように数値で形が変わる賢い部品がプラグインオブジェクトです。

この4つの詳しい操作は、それぞれの専用記事で解説します。この記事は各テーマの入口として、全体のつながりと学ぶ順番を示す役割に徹します。たとえば住宅案件で、リビングに置くソファやダイニングの照明器具を「1つ作って各階・各部屋に配りたい」というとき、どのしくみを使えばよいかがこの4つで見えてきます。

4つの力がどうつながるか

4つのしくみは地続きで、「形をつくる → 再利用する → 管理する → 賢い部品として置く」という関係で結びついています。3Dモデリングで形をつくり、その形をシンボルにすれば何度でも再利用でき、部品や素材はリソースマネージャに集まり、壁・建具はパラメータで形が変わるプラグインオブジェクトとして置く、という流れです。

シンボルとプラグインオブジェクトも無関係ではありません。シンボルの一部(編集モードで赤く表示されるタイプ)は、配置したときにプラグインオブジェクトへ変わる性質を持ちます。つまり「使い回す部品」と「賢い部品」は隣り合わせで、この位置関係だけ頭に入れておくと後がスムーズです。

なお、「その部品を図面のどこに、何として置くか」という組織化(クラスやデザインレイヤの使い分け)は別のテーマになります。組織化まで含めて理解を深めたい場合は、Vectorworksのクラス・デザインレイヤ完全ガイドを並行して読むと、部品と置き場所の話が一本につながります。具体的にどの記事からどの順で読むと迷わないかは、この記事の最後でまとめて示します。

シンボルで部品を再利用する|2D/3Dハイブリッドという核

シンボルは、ただのコピーとは違い「定義を1つだけ持ち、配置は複製、定義を直せば全部に反映される」という再利用のしくみです。なかでも Vectorworks が建築で真価を発揮するのは、平面図では2D記号・3Dビューでは立体として自動で出し分ける「ハイブリッド」という考え方にあります。

シンボルは「1つの定義」を使い回すしくみ

シンボルは「シンボル定義」をファイルに1つ保持し、置くたびに「インスタンス」を生みます。定義を編集すれば、配置済みのインスタンスすべてに変更が反映されます(Concept: Vectorworks symbols, VW2026 公式ガイド、2026年7月24日確認)。たとえばオフィス什器のデスクを100個配置したあとでも、定義を1回直せば100個ぜんぶが新しい形に置き換わります。

ふつうのコピー&ペーストでは、それぞれのコピーが独立するため、あとから一括修正はできません。ここがシンボルとの決定的な違いです。1つの案件で同じ部品を何度も使うほど、この差が作業時間にきいてきます。

シンボルには「2Dのみ」「3Dのみ」「ハイブリッド」の3種類があり、建築で最も使いどころが多いのがハイブリッドです。

ハイブリッド2D/3Dが建築で効く理由

ハイブリッドシンボルは「3Dの立体」と「Top/Plan(平面)ビュー用の2D記号」を1つの部品に束ね、見ているビューに応じて自動で出し分けます。ドアや壁、照明器具などが代表例です(Concept: Vectorworks symbols, VW2026 公式ガイド、2026年7月24日確認)。

そうすることで、「平面図はシンプルな記号で見やすく、3Dビューはリアルな立体で見せる」を1つの部品で両立できます。平面図用と立体用を別々に管理する必要がないため、図面と立体モデルの食い違いが起きにくくなります。たとえばプレゼン用の内観パースと確認申請用の平面図を1つのファイルで進めるとき、照明器具を1度シンボル化しておけば、両方の図面が同じ部品を参照した状態を保てます。

シンボルの作成・挿入・編集や基点の取り方、什器や建具をシンボル化する具体的な手順は、シンボルで部品を再利用する|作成・挿入・編集とハイブリッド2D/3Dで解説しています。編集時に色(赤・青・緑など)で挙動が変わるしくみや、かつて別記事だったハイブリッドの詳しい解説も、この記事に統合しています。

リソースマネージャで部品・素材を一元管理する

作ったシンボルや素材は、「リソースマネージャ」という統合パレットで一元管理します。ここは部品や素材の資産をまとめて置いておく場所で、過去のプロジェクトから資産を持ち込めるため、作図の立ち上がりが速くなります。

リソースマネージャは「資産の置き場」

リソースマネージャは、「リソース(部品・素材の資産)」を一覧・プレビュー・管理する統合パレットです(Creating resources, VW2025 公式ガイド、2026年7月24日確認)。ここに集まるリソースは、シンボルやプラグインオブジェクトをはじめ、テクスチャ・ハッチ・線種・レコードフォーマット・各種スタイル・ワークシートなど幅広い種類にわたります。

画面は、左のファイルブラウザ枠と中央のリソースビューア枠で構成されます(Resource Manager: Resource viewer pane, VW2023 公式ガイド、2026年7月24日確認)。左では作業中のファイル・Vectorworks 純正ライブラリ・お気に入り・クラウドライブラリを切り替え、中央でそのファイルに入っているリソースをプレビューします。

前のセクションで触れたシンボル定義は、この場所に格納されます。「定義の住所がリソースマネージャ」と考えると、シンボルとリソースマネージャの関係がつかめます。

過去の資産を持ち込んで速くする

リソースマネージャの大きな利点は、別のファイルをわざわざ開かなくても、任意のファイルから必要なリソースだけを現在のファイルへ取り込める点です(Importing resources, VW2025 公式ガイド、2026年7月24日確認)。複数のファイルをまとめてシンボル化する取り込み方法も用意されています(Importing file contents as symbol definitions, VW2026 公式ガイド、2026年7月24日確認)。

たとえば以前の住宅案件で作り込んだ建具や家具のシンボルを、新しい案件のファイルへ必要な分だけ引っ張ってくる、という使い方ができます。頻繁に使うライブラリは「お気に入り」に登録しておくと、毎回フォルダを探し回らずに済みます。過去の蓄積がそのまま次の案件の初速になります。

見方・取り込み・お気に入り登録・他ファイルとの共有など、具体的な操作手順はリソースマネージャでリソースを管理・共有するにまとめています。

3Dモデリングの基礎で形をつくる|押し出し・回転体・ソリッド演算

Vectorworks の3Dモデリングは、平面図で描いた図形をそのまま立体化できる点が特徴です。体積を持つ立体をつくる「ソリッド系」と、自由曲面をつくる「サーフェス系(NURBS)」の2つの系統があり、まず押さえるべきはソリッド系です。

平面図がそのまま立体になる(ソリッド系)

Vectorworks の3Dは2つの系統に分かれ、1つ目が体積を持つ「ソリッドモデリング」です(Concept: 3D modeling, VW2025 公式ガイド、2026年7月24日確認)。

基本になるのは「押し出し(Extrude)」で、平面図形に高さを与えて立体にします。押し出しには、上に向かって細くする「テーパー押し出し(Tapered Extrude)」、段違いに厚みを変える「多段押し出し(Multiple Extrude)」、線に沿って断面を走らせる「パスに沿った押し出し(Extrude Along Path)」といった種類があります。断面を軸まわりに回してつくる「回転体(Sweep)」も基本操作の1つです。たとえば壁の巾木や框(かまち)のような一定断面の見切り材は、断面を1つ描いてパスに沿った押し出しで一気に立体化できます。

立体どうしを組み合わせる「ソリッド演算」も直感的です。加算(Add Solid)で合体、減算(Subtract Solid)でくり抜き、交差(Intersect Solid)で重なった部分だけを抽出できます。窓の開口をくり抜く、2つのボリュームを1つにまとめる、といった操作がこの3つでまかなえます。

このほか、面に厚みだけを残して中空化する「シェル(Shell Solid)」、角を丸める・削ぐ「フィレット・面取り(Fillet/Chamfer)」もソリッド操作として用意されています。ここでは手数の全体像をつかむにとどめ、各操作の具体的な手順は専用記事にゆずります。

自由曲面は別系統(サーフェス/NURBS)

2つ目の系統が、自由曲面をつくる「サーフェス/NURBS」系です。ロフトサーフェス(Loft Surface)などを使うと、複数の断面をなめらかにつないだ流れるような形状を作れます(Concept: 3D modeling, VW2025 公式ガイド、2026年7月24日確認)。曲面のファサードや家具のなめらかなフォルムなど、直方体の組み合わせでは表しにくい形が対象です。

ここでも Vectorworks らしさが出るのが平面表現との連動です。3Dで作り込んだ立体も、ハイブリッドシンボルにすれば平面図では2D記号として表示できます。立体をつくった瞬間に平面図が破綻する、という心配が要りません。

各コマンドの操作、3Dビューの回し方、NURBS の考え方は、Vectorworksの3Dモデリング基礎|押し出し・回転体・ロフト・ソリッド演算で詳しく取り上げています。なお、質感や光を作り込む本格的な表現は「形をつくる」こととは別の領域で、Vectorworksの業種別・表現ワークフロー完全ガイドが担当します。より高品質な質感表現を専用のレンダリングソフトや別ソフトでの仕上げ工程に持ち込むケースもありますが、この記事では形づくりまでを対象にします。

プラグインオブジェクトで賢い建築部品を使う|壁・ドア・窓・階段

壁・柱・スラブ・ドア・窓・階段といった建築部品は、Vectorworks では「数値を変えれば形が正しく作り直される賢い部品」として扱えます。手で描き直す必要がなく、寸法や仕様をあとから調整できる点が、一般的な図形との大きな違いです。

数値を変えれば形が直る「賢い部品」

壁・柱・スラブ・ドア・窓・階段・什器などは「パラメトリックオブジェクト(プラグインオブジェクト)」として配置できます。配置したあとも、オブジェクト情報パレット(Object Info Palette/OIP)で寸法や仕様を数値で調整できます(Window settings, VW2026 公式ガイド、2026年7月24日確認)。

とくに便利なのが、ドア・窓を壁に挿入すると壁側に開口が連動する点です(Inserting doors, VW2022 公式ガイド、2026年7月24日確認)。壁を動かせば開口も追従するため、プラン変更のたびに開口を描き直す手間がありません。たとえば間仕切り壁を300mm動かしたいとき、壁を選んで数値を変えるだけで、そこに入っていた窓の位置も一緒に動きます。

これらの部品は「形」だけでなく情報も持てるため、後工程での数量拾いなどのデータ活用にもつながります。部品への情報付与や集計は、Vectorworksのデータ・BIM・ワークシート完全ガイドで解説しています。

本格運用はエディションで広がる

プラグインオブジェクトで気に留めておきたいのが、使いたい機能によって必要なエディションが変わる点です。すべてのエディションに基本的なドア・窓オブジェクトはありますが、壁コンポーネントの細かな設定や建具の拡張パラメータなど、本格的な建築部品としての運用はデザインシリーズ(Architect など)で広がります。

たとえば建具のエネルギー解析のような高度な機能は、Architect の機能として提供されています(Door settings, VW2026 公式ガイド、2026年7月24日確認)。地形や植栽といった外構向けの部品は Landmark 系が担当するなど、「使いたい部品」でエディションが決まる面があります。まずは基本部品でどこまでできるかを把握し、必要になったら上位エディションを検討する、という順番で問題ありません。

各部品の挿入・編集・OIP での調整手順は、プラグインオブジェクトで賢い部品を使う|壁・柱・ドア・窓・階段で解説しています。どのエディションで何が使えるか、価格、ほかのCADとの比較といった選定情報は、db.persc.jp/vectorworks/で確認できます。この記事では機能そのものの考え方に集中します。

部品の再利用と立体化についての編集部の見解

公式ドキュメントを読み解くと、Vectorworks の部品まわりの設計思想は「1つの部品に平面と立体の両方を持たせ、定義を一元管理する」という一貫した考え方に貫かれていると受け取れます。公式ドキュメントの記述からは、これは他の2D中心のCADから移ってきた人ほど恩恵を感じやすいしくみと読み取れます。

公式ドキュメントの設計思想から読み取れるのは、ハイブリッドシンボルとリソースマネージャを早い段階で使いこなせるかどうかで、Vectorworks の作図効率が大きく変わるという点です。逆に、シンボルをただのコピー感覚で使ってしまうと、一括修正の恩恵を取りこぼしやすくなります。最初に「定義は1つ、配置は複製」という発想へ切り替えることが、遠回りに見えて近道になります。

一方で、初めての方がとまどいやすいのも事実です。リソースの種別が多く、「どれをどこで使うのか」の全体像を最初につかむのに少し時間がかかります。編集部の所感としては、いきなり全機能を覚えようとせず、まず「シンボルで什器を1つ再利用する」「押し出しで箱を1つ立体化する」といった小さな成功体験を積み、そこからリソースマネージャやプラグインオブジェクトへ広げていく学び方が、挫折しにくいと考えています。

部品づくりを学んだ先に広がる制作の景色

シンボル・リソース・3Dモデリング・プラグインオブジェクトを一通り身につけると、日々の作図の景色が変わります。同じ部品を毎回描き直していた作業が「1つ作って配る」に置き換わり、プラン変更のたびに図面を直していた手間が「数値を変えるだけ」に変わっていきます。

この土台を整えた人は、次の段階へ進みやすくなります。部品に情報を持たせて数量を自動で拾う積算や、モデルを提出図面に仕上げる図面化、内観や外構の表現づくりへと、無理なく手を広げられます。逆に部品の再利用と立体化を後回しにすると、案件が大きくなるほど手作業が積み上がり、修正のたびに時間を取られる状態になりがちです。同じ図面を仕上げるのに、部品づくりを整えた人と整えていない人では、修正のスピードに差が出ます。

迷わないための読む順

この記事の要点を、次に読む順番とあわせてまとめます。

  • 要点1|シンボルは「1つの定義を使い回す」しくみです。ハイブリッドを使えば、平面図の記号と立体を1つの部品に束ねられます。
  • 要点2|作った部品や素材はリソースマネージャで一元管理し、過去の資産を持ち込むと作図が速くなります。
  • 要点3|3Dモデリングは「押し出し・回転体・ソリッド演算」から始めます。壁や建具はプラグインオブジェクトで賢く扱い、本格的な運用はエディションで広がります。

学ぶ順番としては、まずVectorworksの3Dモデリング基礎で形のつくり方をつかみ、次にシンボルで部品を再利用するで再利用のしくみを覚えます。そのうえでリソースマネージャでリソースを管理・共有するで資産の置き場を整え、最後にプラグインオブジェクトで賢い部品を使うで建築部品へ進む流れがおすすめです。

まとめ

Vectorworks の部品づくりは、「形をつくる・再利用する・管理する・賢く使う」という4つのしくみがひとつながりになっています。シンボルは先述のとおり、定義を1つ持って配置を複製する再利用のしくみで、ハイブリッドを使えば平面図の記号と立体を1つの部品にまとめられます。作った部品や素材はリソースマネージャで一元管理し、過去の案件からの持ち込みで作図の初速を上げられます。

3Dモデリングは押し出し・回転体・ソリッド演算から始めれば、平面図で描いた図形をそのまま立体にできます。壁・ドア・窓・階段はプラグインオブジェクトとして数値で形を調整でき、本格的な建築部品の運用はデザインシリーズ(Architect など)で広がります。この記事を入口に、それぞれの操作は専用記事で深めてください。

作った部品を「どこに・何として置くか」で図面を整理したくなったら組織化のガイドへ、部品に情報を持たせて数量を拾いたくなったらデータ・BIM のガイドへ、と関心に応じて次の一歩を選べます。