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Vectorworksリソースマネージャの使い方|シンボル・テクスチャ・ハッチを一元管理

編集部 読了 約14分

Vectorworksリソースマネージャの使い方|シンボル・テクスチャ・ハッチを一元管理

Vectorworksで図面や3Dモデルを作っていると、一度作った家具やテクスチャ、ハッチをまた別の案件でも使いたくなります。その部品・素材をまとめて置いておき、いつでも呼び出せるようにするのがリソースマネージャ(Vectorworksの部品・素材を一元管理するパレット)です。

この記事では、画面の見方・リソースの種類ごとの扱い方・標準ライブラリとお気に入りの使い分け・他ファイルからの取り込みと新規作成を扱います。いずれも公式ガイド(確認日2026年7月24日)にもとづいて解説します。

素材を貯めて使い回すほど設計が速くなる、その入口となる機能です。

リソースマネージャで管理できる「リソース」とは

リソースマネージャは、Vectorworksで繰り返し使う部品や素材を1か所に集めて管理するパレットです。まずは「リソースとは何を指すのか」を押さえると、どの機能がここに集約されているのかが見えてきます。

リソースとは「使い回せる部品・素材」のこと

リソースとは、図面で何度も使うシンボルやテクスチャ、ハッチなどの部品・素材データのことです。これらを種類ごとにバラバラの場所で管理するのではなく、1つのパレットで横断的に扱えるようにしたのがリソースマネージャです。

扱えるリソースは幅広く、シンボル、テクスチャ、ハッチ、ラインタイプ(線種)、レコードフォーマット、各種スタイルなどが並びます(出典: Vectorworks公式ガイド Resources、確認日2026年7月24日)。図面に関わる素材の多くが、この1か所から呼び出せると考えるとイメージしやすいはずです。

ただし、使えるリソースは所有しているエディションによって変わります。テクスチャによる質感表現はRenderworks(Vectorworksのレンダリング環境)で活き、壁スタイルやドアスタイルはArchitect以上、植栽スタイルはLandmarkで使えます(出典: Concept: resource libraries、確認日2026年7月24日)。手元の環境で並ぶリソースが解説と違っても、多くはエディションの違いによるものです。

素材を貯めるほど設計が速くなる

リソースマネージャの本当の価値は、一度作った資産を案件をまたいで使い回せる点にあります。前の物件で作った什器や建具、テクスチャを次の物件へドラッグで持ち込めるので、作図と表現のストックが積み上がっていきます。

この「部品を再利用する」という考え方の中心にあるのがシンボルです。什器や建具をシンボル化して何度でも使い回す作成・挿入・編集の手順は、シンボルで部品を再利用するで解説しています。この記事では、シンボルを「リソースマネージャに並ぶ一つの資源」として扱う範囲にとどめます。

リソースマネージャの画面構成と見方

リソースマネージャは、左でファイルを選び、中央でその中身を見る2ペイン構成です。まずこの役割分担をつかむと、目当てのリソースにたどり着くまでの動きが速くなります。

画面要素役割
ファイルブラウザペイン左側。どのファイル・ライブラリを見るかを選ぶ
リソースビューアペイン中央。選んだファイル内のリソースを一覧表示する
ツールバー表示モードの切替・リソース種別の絞り込み・新規作成
表示モードサムネイル/詳細リスト/サムネイルリストの3種
プレビューリソースの見た目を縮小表示(中程度の詳細度で描画)

ソース: Resource Manager: Resource viewer pane(確認日2026年7月24日)

左のファイルブラウザと中央のリソースビューア

左のファイルブラウザペインで「どのファイルやライブラリのリソースを見るか」を選び、中央のリソースビューアペインに「選んだファイルの中のリソース」が表示されます。見る場所を左で切り替え、中身を中央で確認する、という2段階の動きが基本です。

ツールバーで特定のリソース種別を選ぶと、その種類だけに表示を絞り込めます。すべてのリソースをまとめて表示することもできます。フォルダは常に先頭に並ぶため、整理された階層のまま目当ての種別へたどり着けます。

3つの表示ビューと色分け

表示モードはサムネイル、詳細リスト、サムネイルリストの3種類で、ツールバーのボタンか、リソースビューアペイン上での右クリック「表示方法(View As)」から切り替えられます。サムネイルは見た目で探すとき、詳細リストは名前や種類で探すときに向いています。

色分けにも意味があります。シンボル定義は種類ごとに色分けして表示され、実寸表示優先(ページを基準に大きさが決まる)のハッチング・タイル・ラインタイプは緑で表示されます(出典: 前掲 Resource viewer pane、確認日2026年7月24日)。色を手がかりにすると、一覧の中でリソースの性質をすばやく見分けられます。

詳細リスト表示では、列見出しをクリックしたり右クリックの「ソート」を使ったりして、名前や種類で並べ替えできます。リソースが増えてきたときほど、この並べ替えが目当ての素材を探す助けになります。

マネージャを開かず使う「リソースセレクタ」

リソースマネージャは常に開いておけるパレットですが、作業の流れの中でリソースを1つ選びたい場面では「リソースセレクタ」が便利です。属性パレットやツール(たとえばラインタイプの選択や、植栽ツールでの植栽スタイル選択)では、使うその瞬間にリソースセレクタがポップアップし、リソースマネージャと同じライブラリを参照できます(出典: Concept: resource libraries、確認日2026年7月24日)。

セレクタからでも、ライブラリのリソースをファイルへドラッグして取り込めます。まとめて眺めて整理したいときはマネージャ、作業の途中で1つだけ選びたいときはセレクタ、と使い分けると操作が速くなります。

プレビューが空白に見えるとき

サムネイルが空白に見えても、リソースが壊れているわけではありません。詳細度(LOD)を持つリソースは中程度の詳細度でプレビューされる仕組みで、高・低の表現しか持たないリソースはプレビューが空白になることがあります(出典: 前掲 Resource viewer pane、確認日2026年7月24日)。

たとえば高精細なプレビューだけを用意した什器シンボルを取り込んだとき、一覧では白く見えることがあります。それでも図面上に配置すれば正しく表示されるので、見た目だけで判断せず配置して確かめると安心です。

リソースの種類ごとの扱い方

リソースは種類ごとに「どこで作り、どこから呼び出すか」が少しずつ違います。特にシンボルだけは作成方法が別なので、代表的な種類の位置づけを整理しておくと迷いません。

リソース種別標準ライブラリでの主な置き場主な用途
シンボル各部品ライブラリ什器・建具など繰り返し使う2D/3D部品
ハッチングAttributes断面・仕上げの塗り分け
ラインタイプ(線種)Attributes図面の線の見た目
テクスチャVisualization質感表現(Renderworks環境で活きる)
RenderworksスタイルVisualizationレンダリングの設定
壁スタイル・ドアスタイルBuildings建築部品の仕様(Architect以上)
レコードフォーマットドキュメント内図形に持たせる属性データの項目定義
テキストスタイルドキュメント内文字の書式

ソース: Concept: resource librariesResources(いずれも確認日2026年7月24日)

シンボル・什器建具などの部品

シンボル(2Dと3Dをあわせ持つ部品定義)はリソースマネージャに並びますが、作成だけは別の場所で行います。新しいシンボルは「加工>シンボル登録」(Modify>Create Symbol)で作り、リソースマネージャの新規作成からは作れません(出典: Creating resources、確認日2026年7月24日)。

この「並ぶけれど作成は別コマンド」という点が、最初につまずきやすいところです。挿入や編集、2D/3Dハイブリッド部品としての扱いなど、シンボルの作り込みはシンボルで部品を再利用するで解説しています。

テクスチャ・ハッチ・線種などの表現素材

表現に関わるリソースは、標準ライブラリの中で置き場が分かれています。ハッチングとラインタイプはAttributesフォルダ、テクスチャやRenderworksスタイル、イメージプロップはVisualizationフォルダに整理されています(出典: 前掲 Concept: resource libraries、確認日2026年7月24日)。どこを探せばよいか迷ったら、このフォルダ分けが手がかりになります。

これらのうち、ハッチング・Renderworksスタイル・テクスチャ・テキストスタイルはリソースマネージャの新規作成から作れます(出典: 前掲 Creating resources、確認日2026年7月24日)。ただし、テクスチャを使った本格的な質感の作り込みはレンダリング工程の話題で、表現をさらに追い込むときは専用のレンダラーやBlenderでの手法へと発展します。この記事では、テクスチャを「管理して使い回すリソース」として扱う範囲にとどめます。

レコードフォーマットなどのデータ系リソース

見た目に関わらないリソースもあります。レコードフォーマット(図形に属性データを持たせるための項目定義)もリソースの一つで、リソースマネージャで管理できます(出典: 前掲 Resources、確認日2026年7月24日)。図面の部品に部材コードや寸法といった情報を持たせたいときの土台になります。

壁やドアなどのオブジェクトスタイルも、リソースとして一覧に並びます。パラメータで形が変わる部品そのものの使い方はプラグインオブジェクトで賢い部品を使うで解説しています(壁や建具はArchitect以上で扱えます)。

リソースマネージャの使いどころについての編集部の見解

公式ガイドを読み解くと、リソースマネージャは「新しく作る場所」というより「作った資産を集めて流通させるハブ」として設計されている、というのが編集部の見方です。新規作成の入口も備えていますが、真価は既存の素材を横断的に呼び出し、別ファイルへ手早く渡せる点にあります。

実用面では、標準ライブラリの規模が大きいことが効いてきます。什器や建具、テクスチャがあらかじめ豊富に用意されているため、ゼロから作らずに済む場面が多いはずです。頻繁に使うライブラリをお気に入りに登録しておけば、深い階層を毎回たどらずに呼び出せる分、作図のテンポが保てます。

一方で、注意したい制約もあります。シンボルだけは「加工>シンボル登録」で作る必要があり、リソースマネージャの新規作成では作れません。オンラインのファイルやVectorworksライブラリのファイルの中にはリソースを作成できない点も、公式ドキュメントに明記されています(出典: 前掲 Creating resources、確認日2026年7月24日)。プレビューが空白に見える挙動とあわせて、最初に知っておくと戸惑いにくいポイントです。

総じて、案件をまたいで素材を積み上げていく設計者ほど恩恵が大きい機能だと編集部は見ています。単発の図面だけなら意識しにくいものの、什器・建具・テクスチャの自作が増えるほど、一元管理のありがたみがはっきりしてきます。

標準ライブラリとお気に入りで呼び出しを速くする

リソースを速く呼び出す鍵は、ファイルブラウザに並ぶライブラリの地図を覚えることと、よく使うものをお気に入りに登録することです。この2つで、素材を探す時間をぐっと減らせます。

ファイルブラウザに並ぶライブラリの種類

ファイルブラウザには、アクティブなファイル、Vectorworksライブラリ(標準・デフォルト)、お気に入り、ユーザーライブラリ、ワークグループフォルダ、開いているファイル、クラウドが並びます(出典: 前掲 Concept: resource libraries、確認日2026年7月24日)。それぞれが「どこにある素材か」を表しているので、目的に応じて見る場所を選べます。

Vectorworksライブラリは規模が大きく、オンラインで閲覧しているときは必要になったタイミングで自動的にダウンロードされます。よく使うライブラリをまとめてローカルに取得したいときは、パッケージマネージャを使います。回線が不安定な現場で作業する予定があるなら、あらかじめ取得しておくと安心です。

よく使うライブラリをお気に入りに登録

頻繁に使うライブラリを「お気に入り(Favorites)」に指定すると、素早くアクセスできて、毎回深い階層をたどらずに済みます(出典: 前掲 Concept: resource libraries、確認日2026年7月24日)。登録は、ライブラリやリソースを右クリックし、コンテキストメニューから行えます。同じメニューから、アクティブファイルへの取り込みも実行できます(出典: Vectorworks公式 aanda Tips リソースマネージャ、確認日2026年7月24日)。

自作の什器やテクスチャをまとめたユーザーライブラリを作れば、チームやプロジェクトをまたいで資産を共有・再利用しやすくなります。たとえば事務所で定番の建具シンボルを1つのライブラリに集約し、それをお気に入りに置いておけば、新しい案件を開くたびに同じ部品をすぐ呼び出せます。

他ファイルからリソースを取り込む・新しく作る

リソースは、別ファイルからドラッグで取り込むか、リソースマネージャで新しく作るかの2通りで増やせます。「取り込むだけ」なのか「配置まで」なのかで操作先が変わる点を押さえると、思った通りに扱えます。

ドラッグで別ファイルのリソースを取り込む

ファイルブラウザ上で、ライブラリのリソースを別のファイルへドラッグすると、そのファイルへ取り込めます(出典: 前掲 Concept: resource libraries、確認日2026年7月24日)。この操作では、リソースが「使える状態」で今のファイルに加わるだけで、図面上にはまだ配置されません。

一方、図面の上へ直接ドラッグすると、配置と同時に取り込みが行われます。たとえばライブラリのソファシンボルを図面に置きたいなら図面上へ、後で使うために手元へ入れておきたいだけならファイルへ、と落とす先を使い分けます。

リソースマネージャで新規リソースを作る

新規作成の入口は3通りあります。1つ目は、ツールバーで種別を選んで「新規(New)」ボタンを押す方法です。2つ目は、リソースビューアペインで右クリックし、「New(種別)in(ファイル)」を選ぶ方法です。3つ目は、「新規リソース」ボタンやビューアの空き部分のダブルクリックで、種別選択ダイアログを開く方法です(出典: 前掲 Creating resources、確認日2026年7月24日)。

ここで作れるのは、ハッチング、Renderworksスタイル、テクスチャ、スクリプト、テキストスタイル、プラグインオブジェクトスタイル(タイトルブロック枠や窓など)といったリソースです。ただし、オンラインのファイルやVectorworksライブラリのファイルの中には作成できません。そしてシンボルだけは、前述のとおり「加工>シンボル登録」で作ります。作りたいリソースの種類によって入口が変わるので、最初に「これはここで作れるか」を確かめる習慣をつけると迷いません。

リソースを貯めた先に広がる設計の景色|次の一歩

リソースマネージャを使いこなすと、設計の進み方そのものが変わってきます。素材をその場限りで作って捨てるのではなく、案件を重ねるほど自分専用の部品箱が育っていくからです。

たとえば、最初の数案件で什器・建具・テクスチャを丁寧にシンボル化し、ユーザーライブラリにまとめてお気に入りへ登録したとします。半年後には、新しい住宅案件を開いた瞬間に、使い慣れた家具や仕上げを数クリックで呼び出せる状態になっているはずです。毎回ゼロから作る人と、貯めた資産を呼び出す人とでは、初動の速さが大きく変わってきます。

次の一歩としては、リソースの「作り込み」に進むのが自然な流れです。什器や建具をシンボルとして質高く作れるようになると、リソースマネージャに並ぶ資産の価値そのものが上がります。取り込んだ部品を立体的に加工する基礎はVectorworksの3Dモデリング基礎で解説しています。素材の置き場を整えたうえで、その中身を磨いていくと、設計と表現の両面で手が速くなっていきます。

まとめ

リソースマネージャは、Vectorworksで繰り返し使う部品・素材を一元管理する機能です。要点を整理すると、次のようになります。

  • 画面は左のファイルブラウザペインと中央のリソースビューアペインの2ペイン構成で、シンボル・テクスチャ・ハッチ・レコードフォーマットなど多様なリソースをまとめて扱えます。作業の途中で1つ選ぶときは、同じライブラリを呼べるリソースセレクタが便利です。
  • 標準ライブラリとお気に入り、自作のユーザーライブラリを使い分けると呼び出しが速くなり、案件をまたいで資産が積み上がります。
  • 他ファイルからはドラッグで取り込み(図面上へ落とせば配置も同時に)、新規作成はリソースマネージャから行えます。ただしシンボルだけは「加工>シンボル登録」で作ります。

素材を貯めて使い回すほど、設計と表現は速くなります。まずは定番の部品をライブラリにまとめ、お気に入りに登録するところから始めてみてください。