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Vectorworksの業種別・表現ワークフロー完全ガイド|建築・外構・内観の作図

編集部 読了 約16分

Vectorworksの業種別・表現ワークフロー完全ガイド|建築・外構・内観の作図

Vectorworksは建築・インテリア・外構までを1本で扱える総合CADです。ただ、いざ開くと「何から、どの順で作ればいいのか」で手が止まりがち。壁からか、地形からか、作ったモデルをどう見栄えよく見せるか。作る対象で使う機能もエディションも変わるため、全体の地図がないと迷います。

この記事では、Vectorworksの業種別ワークフローを「何を作るか(建築・外構・内観)」と「どう見せるか(Renderworks表現)」の2軸で地図にします。各業種の細かな操作は5本の個別記事にゆずり、ここでは全体像・進める順序・機能ごとの必要エディションの目安に絞ります。そもそもVectorworksで何ができるかはVectorworks完全ガイドで確認できます。

このガイドの全体像|「作る対象」×「見せ方」でワークフローを選ぶ

Vectorworksのワークフローは「何を作るか(建築・外構・内観)」と「どう見せるか(Renderworks表現)」の2軸で選ぶと迷いません。作る対象ごとに使う機能とエディションは変わりますが、最後はどれもシートレイヤー(提出図面をレイアウトするための専用の面)で図面化し、必要なら表現を加える、という共通の流れに落ち着きます。

作る対象中心になる機能必要エディションの目安詳しい手順の送り先
建築壁・ドア・窓・階(ストーリ)・断面/立面ビューポート壁・ドア・窓は Architect、階は Architect または Landmark建築設計ワークフロー全体像
外構地形モデル(DTM)・植栽・ハードスケープLandmarkランドスケープ・外構設計のワークフロー
内観スペース・什器シンボル・内観立面ビューポートスペースはデザインシリーズ製品、内観立面は Architect または Landmarkインテリア・内装設計のワークフロー(内観パース)
表現レンダリングモード・Renderworksスタイル・テクスチャ写実表現は Renderworks を含むエディションRenderworksでビジュアライズする基礎

たとえば住宅の設計で、平面図・断面図と完成イメージのパースをまとめて用意したい場合。建築のワークフローで壁と階を組み、内観のワークフローで什器と仕上げを載せ、最後に表現のワークフローで質感と光を与えます。1つのモデルから図面も見せ絵も作れるので、図面用とパース用でデータを二重に持たずに済みます。

この記事で扱う範囲と扱わない範囲

この記事は建築・外構・内観・表現の「一連の流れ」の入口で、各業種の具体的な作図手順は5本の個別記事で解説しています。ここで示すのは全体像・進める順序・機能ごとの必要エディションの目安まで。壁の描き方や地形モデルの作り方といった実際の操作は、それぞれの記事のほうが詳しく追えます。

エディションごとの機能差の細かな比較・価格・推奨PC・他CADとの比較は、この記事では扱いません。それらは製品情報のページ(https://db.persc.jp/vectorworks/)にまとめてあります。ここで触れるエディション表記は、あくまで「その機能がどのエディションから使えるか」を判断するための目安です。

業種別ワークフローの前提=基本操作と組織化

どの業種を作る場合でも、土台になる操作は共通です。正確に線を引く基本操作と、図面を整理するクラス・デザインレイヤ(表示と場所の2軸でオブジェクトを分ける仕組み)を先に押さえておくと、業種別のモデルを組むときに迷いません。ここが曖昧なままだと、モデルが複雑になるほど収拾がつかなくなります。

基本操作はVectorworksの基本操作・作図の基礎完全ガイド、クラスとデザインレイヤの考え方はVectorworksのクラス・デザインレイヤ完全ガイドで解説しています。什器や建具などの部品を再利用するシンボルはVectorworksのシンボル・リソース・3Dモデリング完全ガイドにまとめました。モデルを提出図面にする図面化の手順はVectorworksの注釈・シートレイヤー・図面化完全ガイドが詳しいです。いずれも全業種で共通して使う土台になります。

建築のワークフロー|通り芯→壁→階→図面化

建築の作図は「通り芯を引く→壁を立てる→ドア・窓を挿す→階(ストーリ)で高さを管理する→シートレイヤーで図面にする」という一本の流れです。壁・ドア・窓・階といったパラメトリックな建築部品(数値を変えると形が連動して変わる部品)どうしがつながり、断面・立面・平面が同じモデルから自動で生成されます。

この連動のおかげで、あとからモデルを直しても図面が追従し、図面どうしの食い違いが起きにくくなります。手作業で断面図を描き直さずに済むぶん、設計変更の多い実務ほど効いてきます。

建築モデルを組む(通り芯→壁→建具→階)

建築モデルの中心になるのが壁です。Wall(壁)ツールは2Dと3Dを同時に持つハイブリッドな壁を作れ、直線壁・曲線壁・カーテンウォールを同じツールで描いて、複数の壁を壁ネットワークに接続できます。ドアと窓は、この壁に挿し込むと壁と連動して開口が空くパラメトリックな部品です。

高さ方向を管理するのが階(ストーリ)です。各フロアの絶対高さを定義し、スラブや壁をレベルで管理する構造化機能で、階の高さを変えると関連する要素がまとめて追従します。エディションの目安はこうです。壁・ドア・窓のパラメトリック建築部品はArchitectの機能、階(ストーリ)はArchitectまたはLandmarkで使えます。

通り芯を基準に壁を立て、建具を挿し、スラブと階を積む具体的な手順は建築設計ワークフロー全体像で順を追って解説しています。まずはこの記事で流れをつかんでから操作に進むと、理解が早まります。

出典: Walls|Vectorworks HelpCreating and managing stories|Vectorworks Help(いずれも2026年7月確認)

断面・立面・平面を図面にする

組んだモデルは、そのまま図面に変換できます。Create Section Viewport(断面ビューポート作成)やSection-Elevation Line(断面・立面ライン)ツールを使うと、モデルから垂直断面や立面を自動で切り出せます。モデルを直せば断面図も追従するため、平面・断面・立面の整合が崩れにくいのが強みです。

1枚の平面図を「壁→ドア窓→寸法→注釈→シートレイヤー→発行」まで通しで仕上げる作例は平面図を作る手順で解説しています。寸法や注釈の入れ方、シートレイヤーの設定といった図面化そのものの詳細はVectorworksの注釈・シートレイヤー・図面化完全ガイドが詳しいです。

出典: Creating section viewports|Vectorworks Help(2026年7月確認)

外構・ランドスケープのワークフロー|地形→植栽→敷地図

外構・ランドスケープは「敷地の地形モデル(DTM)を作る→植栽やハードスケープを載せる→敷地図・外構パースにする」流れで進めます。地形・植栽・ハードスケープはLandmark(またはDesign Suite)の機能で、切土・盛土や排水・勾配の分析も同じモデルから行えます。

たとえば傾斜のある敷地に住宅と駐車場を計画するとき。地形モデルの上に建物と舗装を載せておくと、造成でどれだけ土を削り、どれだけ盛るかを同じデータから確認できます。図面と分析が別々にならないので、外構の検討がそのまま提出図面につながります。

地形モデル(DTM)をつくる

外構の土台になるのが地形モデルです。LandmarkのCreate Site Model(敷地モデル作成)を使うと、閉じた形状からのカスタム地形、または測量データ・等高線・ステーク(測量点)などの標高ソースから地形モデルを作成でき、切土・盛土・勾配・排水を評価できます。地形モデルはLandmark以上の機能です。

敷地に道路や園路を通す場合は、道路作成コマンドが使えます。こちらはArchitectまたはLandmarkのどちらでも利用できるので、建築主体のプロジェクトでも簡単なアプローチ道路なら描けます。

出典: Creating the site model|Vectorworks HelpCreating roads|Vectorworks Help(いずれも2026年7月確認)

植栽・ハードスケープを載せて敷地図にする

地形ができたら、その上に外構の要素を構成していきます。植栽オブジェクトで植栽計画を作り、ハードスケープやランドスケープエリアで舗装や区画をスマートオブジェクト(属性を持ち、変更に連動する部品)として配置でき、これらは材料数量の算定にも連動します。植栽を1本置き替えるだけで、植栽リストの数量も自動で更新されるイメージです。

地形・植栽・ハードスケープを組み合わせた外構パースや造成図の作図一式はランドスケープ・外構設計のワークフローで解説しています。建築のワークフローと同じく、地形も最後はシートレイヤーで敷地図として図面化します。

出典: Landmark Capabilities|Vectorworks(2026年7月確認)

内観・インテリアのワークフロー|什器配置→仕上げ→展開図

内観・インテリアは「スペース(部屋)を定義する→什器・家具シンボルを配置する→仕上げを設定する→内観立面(展開図)とパースにする」流れです。スペースに面積や仕上げのデータを持たせておくと、展開図・室仕上げ表・什器リストがモデルから自動で作れます。建築パースの制作で一番出番が多いのが、この内観のワークフローです。

たとえばカフェの内装で、床材を無垢フローリングからタイルに変え、壁の一面をモルタル調にしたいとき。スペースに仕上げ情報を持たせておけば、変更が展開図と仕上げ表の両方に反映されます。図面を1枚ずつ直す手間が減るぶん、案の比較検討に時間を回せます。

スペースと什器で部屋を組む

内観モデルの起点になるのがスペースです。Space(スペース)ツールで部屋を作成すると、面積・室仕上げ表・什器リストをワークシート(表計算のようにデータを集計する機能)に集計できます。SpaceツールはArchitectやLandmarkなどのデザインシリーズ製品に含まれる機能で、Fundamentalsには入っていません。

部屋ができたら、そこに什器・家具を置いていきます。家具や設備は付属のシンボルライブラリから配置でき、平面で切ったときの見え方(断面通過時の表示)も設定できます。什器シンボルを自分で作って再利用する方法はVectorworksのシンボル・リソース・3Dモデリング完全ガイドで解説しています。

出典: Space planning|Vectorworks HelpConcept: Vectorworks symbols|Vectorworks Help(いずれも2026年7月確認)

内観立面(展開図)とパースにする

部屋が組み上がったら、内装図面の要である展開図を作ります。Create Interior Elevation Viewport(内観立面ビューポート作成)を使うと、選んだ部屋から一度に最大4面(各方位)の内観立面(展開図)を同時に生成できます。4面をひとつずつ作図する手間が省けるので、部屋数の多い案件ほど時短になります。内観立面ビューポートはArchitectまたはLandmarkが前提です。

什器配置・仕上げ・展開図・内観パースの作り方一式はインテリア・内装設計のワークフロー(内観パース)で解説しています。パースの質感や光の付け方は、次の表現のワークフローにつながります。

出典: Creating interior elevation viewports|Vectorworks Help(2026年7月確認)

表現・ビジュアライズのワークフロー|Renderworksで見せる

建築・外構・内観のどれも、最後は同じモデルに質感・光・背景を与えて見せ絵にできます。Vectorworksは基本のワイヤーフレームやシェーディングから、Renderworks(内蔵のレンダリング機能)による写実的なレンダリングまでを内蔵しています。図面と同じデータからパースを作れるので、二重管理が要りません。

内観の打ち合わせで「この仕上げで光がどう回るか見たい」と言われたとき。図面用に作ったモデルへそのまま質感と光を与えれば、別途モデルを作り直さずにイメージを出せます。先に触れた「1つのモデルで図面も見せ絵も」という考え方が、そのまま見せ絵づくりの速さになります。

レンダリングモードとRenderworksスタイル

見せ方は段階的に選べます。レンダリングモードにはWireframe(線画)、Shaded(陰影付き、以前はOpenGLと呼ばれていたモード)、Fast Renderworks、Final Quality Renderworks、Custom Renderworks、Artistic Renderworks、Hidden Line、Sketch(手描き風)などがあります。写実的なRenderworks系のモードはRenderworksを含むエディションで使え、SketchはDesign Suiteが前提です。基本のWireframe・Shaded・Hidden Lineは、Renderworksを含まないエディションでも扱えます。なおRedshift(Maxonのレンダリングエンジン)は独立したモードではなく、Renderworksスタイルの一部として写実モードを提供する形です。

毎回モードや光の設定を作り直すのは手間なので、Renderworksスタイルにまとめて再利用します。Renderworksスタイルはレンダリングモード・ライティング設定・カメラ効果・背景を1つのリソースにまとめられ、素早く呼び出せます。同じ見た目を複数のビューで揃えたいときに役立ちます。

出典: Rendering modes|Vectorworks HelpApplying Renderworks styles|Vectorworks Help(いずれも2026年7月確認)

テクスチャ・背景・カメラで質を上げる/どこまでを内蔵で扱うか

写実度は、テクスチャ(素材の質感)・ライティング・Renderworks背景のバランスで決まります。Renderworks背景はビューポートや全デザインレイヤに適用でき、空や環境光をまとめて切り替えられます。まずはこの3要素を整えるだけでも、内観・外観のイメージは十分伝わる水準になります。

レンダリングモードの選び方や、テクスチャ・ライト・カメラの具体的な操作はRenderworksでビジュアライズする基礎で解説しています。なお、より作り込んだ写実表現や動画のアニメーションになると、専用のレンダラーやBlenderの範囲です。この記事では、あくまでVectorworksに内蔵された表現の基礎までを扱います。

出典: Renderworks backgrounds|Vectorworks Help(2026年7月確認)

業種別ワークフローの組み立て方を編集部が読み解く

公式ガイドを一通り読み解くと、Vectorworksの業種別ワークフローには一本の背骨が通っています。建築の壁と階、外構の地形、内観のスペース。どれも「データを持ったオブジェクトとして組み、シートレイヤーで図面にする」という同じ骨格でできています。だから1つの業種で流れを覚えると、別の業種にも同じ考え方が効いてきます。

もう一つ、公式の機能構成から読み取れるのが、機能とエディションの結びつきです。壁や階はArchitect、地形や植栽はLandmark、写実表現はRenderworksを含むエディション。この帰属を先に理解しておくと、あとから「その機能が自分の環境にない」と気づく事態を避けられます。エディションごとの詳しい違いは製品情報のページ(https://db.persc.jp/vectorworks/)で確認できます。

業種別ワークフローを学んだ先に広がる制作の景色

業種別ワークフローを一通り身につけると、Vectorworksでの制作の幅がはっきり変わります。流れを覚えた先で何ができるようになるのか、具体的に見てみましょう。

一つは、設計変更への強さです。クライアントから「階高を200mm上げたい」と言われたとき、階(ストーリ)で高さを直せば、壁も断面図もまとめて追従します。図面を1枚ずつ描き直していた頃と比べ、修正にかかる時間が大きく縮みます。空いた時間は、案の検討や見せ方の工夫に回せます。

もう一つは、業種をまたいで1つのプロジェクトを通せることです。建物を建築ワークフローで組み、敷地を外構ワークフローで整え、室内を内観ワークフローで仕上げ、最後に表現ワークフローで完成イメージを出す。この一続きを自分の手で回せると、外部にパースを発注せずに提案の入口まで内製でき、制作の主導権を握れます。

内観パースを本業にしたい人にとっては、スペースと什器で部屋を組み、内観立面と仕上げ表を自動で出し、続けてパースまで仕上げる流れが、そのまま提案力になります。日々の案件で、図面と見せ絵を1つのデータから同時に出せる強みを活かせます。

まとめ|業種別ワークフローの学習順と次に読む記事

Vectorworksの業種別ワークフローは「基本操作と組織化を土台に→作る対象(建築・外構・内観)ごとにモデルを組み→シートレイヤーで図面化し→必要なら表現を加える」という一本の道でつながっています。

要点を5つに絞ります。ワークフローは「作る対象(建築・外構・内観)×見せ方(Renderworks表現)」の2軸で選びます。建築は壁・階(Architect)を組み、断面・立面ビューポートで図面化します。外構は地形モデル・植栽・ハードスケープ(Landmark)で敷地を構成します。内観はスペースと什器シンボルで部屋を組み、内観立面(展開図)とパースにします。そしてどの業種も、土台は基本操作・クラス/レイヤ・シンボル・図面化で共通し、表現は同じモデルから加えられます。

最初の一歩は、自分が一番作る対象のワークフローから始めることです。全機能を順番に覚えようとすると挫折しやすいので、業種を1つに絞って一連の流れを通すほうが、実務に早く結びつきます。まだ全体像が固まっていなければ、基本操作から土台を整えると、業種別のワークフローがすっと入ってきます。