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3DCG · Twinmotion

Twinmotionの天候・季節設定|雨・雪・風・季節で表現を変える

編集部 読了 約12分

同じ建物を、いつも晴れの日だけで見せていないでしょうか。Twinmotion(Epic Games製・完全無料のリアルタイムレンダラー)なら、モデルはそのままで、雨・雪・風・季節をスライダーで切り替えられます。しかもUnreal Engine(同社のゲームエンジン)基盤で結果がすぐ画面に出るため、天候の当たりを取りながら詰められるのが強みです。

この記事では、Environment(環境)パネルでの雨・雪・風・季節の設定と、それが植栽・地表・素材(濡れや水たまり、落ち葉)へどう連動するかを扱います。あわせて、破綻させない組み合わせのコツまで解説します。

天候・季節システムは2025.1で再設計され、現行の2026.1(2026年4月公開)でも同じ構成が中核として続いています(確認日2026-07-11)。

Twinmotionの天候・季節設定はどこにあるか

天候・季節は、画面のAmbience(アンビエンス=環境をまとめて調整するパネル)にあるEnv(Environment=環境)タブで操作します。2025.1でこのタブが再設計され、Dynamic sky(自前で作る空)とHDRI(実写の光情報を使う空)の2モードにきれいに分かれました。この分離が、天候を自由に組み合わせられる前提になっています。

項目内容
設定場所AmbienceパネルのEnv(Environment)タブ
空のモードDynamic sky(自前の空)/HDRI(実写の空)の2種類
両モード共通で効く設定Season(季節)/Wind(風)/Fog(フォグ)/Horizon/Ocean
個別スライダーSeason・cloud(雲)・rain(雨)・snow(雪)・Wind を別々に調整
プリセットRainy Day/Golden Hour/Sunrise Glow 等を一発適用+自作保存
地表・素材への連動濡れ・水たまり(雨)/落ち葉(季節)
注意点雪・雨のパーティクルは影設定しだいで重くなる

ソース: Twinmotion 2026.1 Release Notes(公式) / Twinmotion 2025.1 Release Notes(公式)(いずれも確認日2026-07-11)

Environment(Env)タブと2つのモード

天候・季節の入口は、AmbienceパネルのEnvタブに集約されています。ここを開くと、まず空を「自分で作るか」「実写を使うか」を決めることになります。

Dynamic skyは太陽や雲を自前で作るモードで、時間や天候を自由に動かしたいときに向いています。いっぽうHDRIは、360度撮影した実写の光情報を使うモードで、実在の空気感をそのまま持ち込みたいときに便利です。どちらを選ぶかで空の作り方は変わります。

ただし、Season・Wind・Fog は両モード共通で効きます(確認日2026-07-11)。つまり空の作り方に関係なく、季節と風とフォグは同じ感覚で調整できるということです。天候の話が空のモード選びに縛られない点は、最初に押さえておくと迷いません。

プリセットで素早く当たりをつける

狙った天候の画に最速で入るなら、まず環境プリセットを当てるのが近道です。Twinmotionには Rainy Day(雨天)や Golden Hour(夕方の斜光)、Sunrise Glow(朝焼け)といったプリセットが用意されており、ワンクリックで環境設定をまとめて適用できます(確認日2026-07-11)。

雨のリビング外観を作りたいときは、いきなり各スライダーを触るより、先に Rainy Day 系のプリセットで大枠を決めてしまうほうが速いです。そこから雨量や雲の量をスライダーで詰めれば、ゼロから積み上げる手間が省けます。

気に入った天候・季節の組み合わせは、自作プリセットとして保存して別のシーンでも呼び出せます。案件ごとに「うちの雨の見せ方」を固定しておくと、プレゼンのトーンがそろい、作業も毎回ラクになります。

2025.1でスライダーが分割された意味

この記事で解説する組み合わせの自由度は、2025.1のスライダー分割が土台になっています。それ以前はまとまっていた weather が、雨・雪・雲・風・季節といった単位で独立して動かせるようになりました(確認日2026-07-11)。

分割によって、これまで作りにくかった画が素直に作れます。「雲は出さずに雨だけ降らせる」「紅葉を残したまま雪を降らせる」といった組み合わせが、その一例です。現実の空模様に縛られず、狙った1枚に合わせて要素を別々に決められるようになりました。

季節(Season)で植栽と地表を切り替える

Season(季節)スライダーを動かすと、植栽が新緑から紅葉、落葉へと切り替わり、地表の見え方まで一緒に変わります。同じモデルのまま四季それぞれのプレゼン画をすぐ用意できるため、季節提案のある住宅や公共案件で効いてきます。

Seasonスライダーで四季を回す

季節の切り替えは、Season スライダー1本で回せます。左右に動かすだけで、植栽が春の新緑から夏の濃い緑、秋の紅葉、そして落葉へと連続的に変化します。

たとえば戸建て住宅の外構パースで、庭木を「引き渡し時の初夏」と「紅葉した秋」の2カットで見せたいとき。モデルを作り直す必要はなく、Season を動かすだけで両方の画がそろいます。Season は Dynamic sky・HDRI の両モードで共通して効くので、空の作り方を変えても季節指定はそのまま生きます(確認日2026-07-11)。

落葉・葉色を個別に効かせる

Twinmotionでは、季節・降水・落葉/葉色をそれぞれ別に制御できます(確認日2026-07-11)。だからこそ「葉の色は紅葉のまま、落葉だけを少し進める」といった中間の段階も作れます。

この分離があると、季節感を天候と切り離して微調整できます。まだ緑が残る初秋の雰囲気にしたいのか、地面に落ち葉が積もる晩秋にしたいのか。狙う画に合わせて、落葉の進み具合だけを動かせます。

落葉樹と常緑樹で効き方が違う

季節の効き方は、木の種類によって差が出ます。落葉樹(秋に葉を落とす木)は色も量も大きく変わりますが、常緑樹(一年じゅう葉が残る木)は変化がわずかです。植栽を選ぶ段階でこの差を意識しておくと、季節を回したときの見え方を予測しやすくなります。

季節が進むと、落ち葉などが地表にあらわれて地面の印象も変わります。舗装や芝の上に葉が乗ると、それだけで秋らしさがぐっと増します。

なお、樹種の配置・密度・差し替えといった植栽そのものの編集は、Twinmotionの植栽・フォリッジで解説しています。この記事は、あくまで天候・季節が植栽にどう作用するかに絞っています。

雨の設定と地表・素材への連動

雨は、rain スライダーで降雨量を決め、その結果として地面や素材が濡れて水たまりが生まれるところまでが一続きです。この地表への連動が、雨表現を建築パースで説得力のあるものにします。

雨スライダーで降雨量を決める

降る雨の強さは、rain スライダーで弱い霧雨から土砂降りまで調整します。スライダー分割後は雲と独立しているため、あえて雲を出さずに雨だけ降らせる、といった作り方もできます。

斜めに降る雨をつくりたいときは、雨そのものではなく風の向きで角度を変えます(風の当て方はこのあとの風のセクションで解説します)。Unreal Engine基盤で結果が即プレビューされるので、雨脚の強さと角度は画面を見ながら決められます。

濡れ・水たまりで路面をリアルにする

雨のいちばんの見せどころは、じつは降っている粒よりも地面です。雨量に応じて地面や素材が濡れた表現になり、水たまり(puddles=路面のくぼみにたまる水)が生まれます。

濡れた路面は反射が増えるため、夜景や夕景での映り込みが効いて説得力が上がります。街灯やサインが路面に伸びるだけで、乾いた画とは別物の情感が出ます。公式チュートリアルでも「紅葉した落ち葉に雨と水たまり」を重ねる演出が定番の例として紹介されています(確認日2026-07-11)。

雨のときの暗さと空は他記事へ

雨天は画が暗くなりがちなので、露出(カメラが光を取り込む量)とセットで整えると失敗しにくくなります。目安として、雨天では露出を一段上げると画が沈みません。露出やホワイトバランスの調整は、Twinmotionの露出・ホワイトバランス調整で解説しています。

また、厚い雨雲や曇り空そのものの作り込みは、天候スライダーではなく空づくりの領域です。ボリュメトリック雲(立体的で厚みのある雲)の調整は、TwinmotionのHDRIスカイとボリュメトリック雲にまとめています。

雪の設定と季節の組み合わせ

雪は snow スライダーで降雪量を決め、地表に積雪感として乗ります。季節(Season)とは独立しているため、「紅葉の木々に雪が降る」ような組み合わせも自由に作れます。

雪スライダーで降雪と積雪感を出す

降る雪の量は snow スライダーで調整します。降雪を強めると、地面やオブジェクトの上に積雪感として乗り、冬の景色が立ち上がります。

別荘やリゾート施設のパースで雪をまとった外観を見せたいなら、モデルはそのままに、snow を上げるだけで雪景色のプレゼン画が短時間で用意できます。

雪でも紅葉を残す

季節(Season)と降水(precipitation=雨や雪)は独立して制御できます(確認日2026-07-11)。この独立のおかげで、現実にはそろわない組み合わせも作れます。

代表例が「紅葉の木々に雪が降る」情景です。Season を紅葉に置いたまま snow を上げれば、赤や黄の葉に雪が舞う、印象的な1枚になります。現実の季節に縛られず、狙った画から逆算して季節と天候を別々に決められるのが、分割制御の利点です。

雪・雨で重くしないための注意

雪と雨は、設定しだいで動作が重くなります。公式には、Virtual Shadow Maps(高精細な影を出すしくみ)を使っていると、雪・雨のパーティクル(粒子表現)でフレームレート(1秒あたりの描画回数)が下がると明記されています。将来のリリースで改善される予定とされています(2026年7月時点、確認日2026-07-11)。

プレビューがカクつくときは、影の設定やパーティクルの量を見直すのが対処の第一歩です。編集中の軽さと最終出力の見栄えはトレードオフになりやすいので、書き出しに使うモードで見え方と負荷を必ず確認してください。

風で植栽と雲を動かす

Wind(風)は、植栽を揺らし、雲を流す動きの源です。静止画にわずかな空気感を与え、動画やウォークスルー(歩き回る映像)では没入感を大きく左右します。

Windで植栽を自然に揺らす

植栽の揺れは Wind スライダーで制御します。2025.1で揺れ方がより自然になり、微風から強風まで、葉や枝の動きが風量に応じて変わります(確認日2026-07-11)。

風には向きもあります。風向を変えると、雨の落ちる角度や木の傾く方向まで一緒に変わります(確認日2026-07-11)。海沿いの住宅で、決まった方向から吹く海風を表現したいとします。風向を合わせれば、木々の傾きと雨脚の向きがそろい、その土地らしさが出ます。

静止画でも、ほんのわずかな揺れが不自然さを消してくれます。ぴたりと止まった葉より、少し動いている葉のほうが、写真らしい空気感につながります。

風は雲・空にも効く

風は植栽だけでなく、ボリュメトリック雲にも作用します。風で雲が流れると、地面に落ちる雲の影も一緒に動きます(確認日2026-07-11)。

空の動きと植栽の揺れを同じ風でそろえると、シーン全体に一体感が生まれます。木は揺れているのに雲だけ止まっている、といったちぐはぐさを避けられます。ただし雲そのものの厚みや形の作り込みは空づくりの領域なので、TwinmotionのHDRIスカイとボリュメトリック雲にゆずります。

Twinmotionの天候・季節設定についての編集部の見解

公式ドキュメントと海外レビューを読み解くと、Twinmotionの天候・季節の強みは「即時プレビュー」と「要素の独立制御」の2点に集約されます。編集部の見解としては、この2つが組み合わさることで、天候づくりが「試して選ぶ」作業に変わる点が実務上の価値だと考えています。

コスト・導入面では、Twinmotionが完全無料である以上、天候表現を試すこと自体に金銭的なハードルがありません。スライダーを動かして雨・雪・季節を当てながら、案件に合う画を探れます。海外レビューでも、環境プリセットと自作保存の組み合わせが、天候の当たり付けを速くする導線として評価されています。

制約として押さえておきたいのは、パフォーマンスとレンダラー間の見え方の差です。雪・雨のパーティクルが影設定しだいで重くなる点は、先述のとおりです。ボリュメトリック雲もリアルタイムとパストレーサー(時間をかけて高品質に描くモード)で見え方が変わるため、最終出力に使うモードで見え方を確かめておくと安心です。

向いているのは、天候違い・季節違いのバリエーションを短時間でそろえたい建築パース制作者です。とくに、同じモデルで四季や晴雨を出し分けるプレゼンが多い人ほど、分割制御の恩恵を受けやすいといえます。

天候・季節を破綻させない組み合わせと応用シーン

天候・季節はスライダーだけでは決まりきらず、最後は光と露出で締めてはじめて画になります。天候・季節を決めたら、太陽の位置・日影と露出を合わせにいく、という流れを持っておくと破綻を避けられます。

光(太陽・露出)と合わせて仕上げる

天候の印象は、じつは光でほとんど決まります。曇天でも低い太陽を合わせれば落ち着いた外観になり、フォグ(大気のかすみ)に暖色の露出を重ねれば朝焼けの情感が出ます。

太陽の位置や日影の正確なスタディは、Twinmotionの太陽・空・地理座標設定で解説しています。露出やホワイトバランスで最終的に画を整える手順は、Twinmotionの露出・ホワイトバランス調整にまとめています。天候を決めたあとの仕上げは、この2本と行き来しながら進めるのがおすすめです。

シーン別レシピ|次の一歩

すぐ試せる組み合わせを、シーン別に整理しました。まずはこの通りに当てて、そこから自分の案件に寄せていくと迷いません。

シーン天候・季節光・露出の合わせ方
秋の情景Season=紅葉+弱い雨+水たまり暖色寄りの露出でしっとり見せる
冬のプレゼンsnow+(紅葉を残すかは任意)+フォグ高め低い太陽で陰影を柔らかく
そよ風の日常弱いWindで植栽と雲を軽く動かす標準露出で自然光を素直に出す

このレシピを起点に、雨量・風向・Season を少しずつ動かせば、案件ごとの「らしさ」が出せます。天候・季節を自在に出し分けられるようになると、同じ建物から引き出せるプレゼンの幅が一気に広がります。

まとめ

Twinmotionの天候・季節は、AmbienceパネルのEnvタブでまとめて操作し、結果をその場でプレビューできるのが最大の強みです。2025.1の分割制御によって、雨だけ降らせる、紅葉に雪を重ねる、といった自由な組み合わせが作れるようになりました。雨は濡れ・水たまりへ、季節は落ち葉へ、風は植栽と雲へと連動し、地表や空気感までまとめて動くのがTwinmotionらしさです。

最後は太陽・日影と露出で締める、という流れを持っておけば、天候を盛っても破綻しません。天候・季節を決める段階と、光で仕上げる段階を分けて考えると、狙った1枚に最短で近づけます。まずはプリセットで大枠を当て、各スライダーで詰め、光で締める。この順番を身につけることが、天候表現の上達への近道です。