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3DCG · Twinmotion

TwinmotionのHDRIスカイとボリュメトリック雲|空作りの実践

編集部 読了 約14分

Twinmotionでリアルな空を作る道具は、大きく2つあります。実写の光をそのまま取り込むHDRIスカイと、雲の形も動きも自分で組み立てられるボリュメトリック雲です。前者は背景と光が一度に決まって速く、後者は曇天や時間帯、流れる雲まで自由に作り込めます。どちらを選ぶかで、空作りの進め方そのものが変わります。

この記事では、TwinmotionのHDRIスカイとボリュメトリック雲を使った空作りを、現在のEnv(環境)タブに沿って解説します。Envタブは2025.1でDynamic skyとHDRIの2モードに再設計され、現行版の2026.1でも同じ構造が続いています(公式Release Notes、確認2026年7月10日)。

なお、Geolocationを使った正確な太陽位置や日影スタディは太陽・空・地理座標設定で解説しているため、この記事では空と雲の質感づくりに集中します。

HDRIスカイとボリュメトリック雲、空作りの2つの道具

Twinmotionの空作りは「HDRIモード」と「Dynamic skyモード」の二択で、目的に応じて選ぶのが基本です。実写の空をそのまま入れたいならHDRI、雲の形や動きまで自分で作りたいならDynamic skyという分かれ方になります。

モード空の作り方太陽・光向いている場面プリセット
HDRI360度撮影の実写光を投影画像に写った雲(固定)Match HDRIで自動整合外観の背景合わせ・即写実HDRI環境(Sky/Indoor/Outdoor/Studio)
Dynamic skySun/Sky/Cloudsを自分で組むボリュメトリック雲(可変・動く)太陽・大気を数値で調整曇天・時間帯・動画の雲流し雲・環境プリセット多数

ソース: Twinmotion 2025.1 Release Notes / Ambience Settings(公式)(いずれも確認2026年7月10日)

外観パースの背景を実景に馴染ませたい住宅案件では、HDRIを1枚当てるだけで空と光が同時に決まります。一方、動画のウォークスルーで空に雲を流したい提案では、Dynamic skyのボリュメトリック雲が必要になります。

2025.1で変わったEnvタブの2モード構造

Envタブは2025.1で再設計され、Dynamic skyとHDRIが明確に分かれました。この2モード構造は現行版の2026.1でも続いているため、今から覚えても無駄になりません(公式Release Notes、確認2026年7月10日)。

Dynamic skyはSun / Sky / Clouds、HDRIはHDRI environment / Directional lightという設定群を持ちます。Season / Wind / Fog / Horizon / Oceanは両モードで共有されるので、「雲を動かす風」はどちらのモードでも効きます。

検索で見つかる旧UIの解説(2023年ごろまで)は構造そのものが違います。最新UIを基準にすると、設定項目の場所で迷わずに済みます。

HDRIとDynamic skyの使い分け

決め手は「即・写実ならHDRI、造形と動きならDynamic sky」というシンプルな線引きです。写実感を最短で入れるか、空を自分で組み上げるかで選びます。

HDRIは360度撮影の実写光情報で、背景・光・反射をまとめて与えてくれます。外観の背景合わせが速く、コンペ提出前に手早く写実的な一枚を作りたいときに向いています。

Dynamic skyはボリュメトリック雲・大気・太陽を自分で組む方式です。動画で雲を流したい、曇天や夕景の時間帯を作り込みたいなら、こちらを選びます。ボリュメトリック雲はDynamic sky専用で、HDRIモードでは使えない点を先に押さえておくと迷いません。

HDRIスカイで空と光を一度に決める

HDRIモードは、実写の360度光情報を1枚投影するだけで、写実的な空と光を同時に入れられるのが強みです。SkydomeとBackdropの違いと主要設定を押さえれば、外観の背景合わせが一気に進みます。

設定レンジ役割
Intensity0.00〜100.00HDRIから放たれる光の強さ
Rotation0°〜360°HDRIを回して明るい方向を建物に合わせる
HDRI affects lighting0.00〜2.00HDRIがシーンの光に寄与する度合い
Size(Backdrop)0.5〜500 m半球ドームの直径
Height offset(Backdrop)-10〜10 mドームの垂直位置の調整
Tilt(Backdrop)-90°〜90°ドームの傾き

ソース: Ambience Settings(公式)(確認2026年7月10日)

HDRIとは何か(実写の光を1枚で入れる)

HDRI(High Dynamic Range Image、360度撮影した実写の光情報)は、空だけでなくその光に基づく反射や陰影まで同時に決めます。1枚読み込むだけで、背景と光が破綻なくそろうのが最大の利点です(公式Ambience Settings、確認2026年7月10日)。

TwinmotionにはSky / Indoor / Outdoor / Studioという環境が用意されています。屋外の建築パースならSky系を選ぶのが基本です。

ガラス張りのオフィス外観では、周囲の空や雲がファサードに映り込みます。HDRIなら、その映り込みまで実写の光で自然に決まるため、合成したような不自然さが出にくくなります。

SkydomeとBackdrop、2つの投影方法

投影方法は、全天を覆うSkydomeと、地面つき半球のBackdropの2種類です。目的に応じて使い分けます。

Skydomeは、HDRIを投影する球状ドーム(UVマップ)です。回転はできますが、移動や拡縮はできません。全天をHDRIで覆いたいときに向いています。

Backdropは半球ドームで、回転・拡縮ができます。地面(ground plane)を持つため、建物の影をその地面に落とせます。住宅の外観を実景に馴染ませ、地面に影を落として合成感を消したいときは、Backdropが有効です。

HDRIの主要設定(強さ・向き・大きさ)

明るさのIntensityと向きのRotationが、HDRIの見え方を決める2大設定です。まずこの2つで空の印象を合わせます。

Intensity(0.00〜100.00)は、HDRIから放たれる光の強さです。明るすぎたり暗すぎたりする空を、ここで整えます。Rotation(0°〜360°)はHDRIを回して太陽や明るい方向を建物に対して合わせる設定で、影の向きが変わります。

HDRI affects lighting(0.00〜2.00)は、HDRIがシーンの光にどれだけ寄与するかの調整です。実写光をどこまで効かせるかの匙加減を決められます。Backdropを使う場合は、Size(0.5〜500 m)・Height offset(-10〜10 m)・Tilt(-90°〜90°)で半球の大きさ・高さ・傾きも調整できます。数値レンジはすべて公式Ambience Settings(確認2026年7月10日)に基づきます。

Match HDRIで太陽光を自動整合

Match HDRIは、Directional lightの強度・位置・ディスクサイズをHDRIの情報に合わせて自動調整する機能です(公式Ambience Settings、確認2026年7月10日)。

HDRIに写った太陽と、Twinmotion側の直射光の向きや強さがズレると、影の方向がちぐはぐになります。Match HDRIを使えば、このズレを防いで影の整合が取れます。

より正確な太陽位置や日影スタディが必要なら、Dynamic skyとGeolocationを組み合わせる太陽・空・地理座標設定で設計検討に使える光を作れます。

ボリュメトリック雲でリアルな空を造形する

Dynamic skyのCloudsは、雲の量・密度・形をスライダー数本で自分好みに作れる「真の」ボリュメトリック雲です。アニメーションが可能で影も落ちるため、動画にも静止画にも立体感のある空を作れます。

設定レンジ効果
Height250〜4000 m雲の高度(低い=迫る空/高い=抜けた空)
Cloud快晴〜全天曇り雲の被覆量
Density0〜100%雲の濃さ(水滴・氷晶量に相当)
Puffiness0〜100%形の明瞭さ(低い=ぼんやり/高い=もこもこ)
Vertical extent0〜100%縦方向の広がり
Scale0.00〜1.00雲全体の大きさ
Flat bottom0〜100%積雲的な平らな底
Speed factor0.00〜5.00風の効き具合の倍率

ソース: Ambience Settings(公式)(確認2026年7月10日)

雲の基本(高さ・量・密度・もこもこ感)

空の骨格は、4つの基本スライダーで決まります。高さ・量・濃さ・形の明瞭さの順に触ると、狙いの空に近づきます。

Height(250〜4000 m)は雲の高度で、低いと迫ってくる空、高いと抜けた空になります。Cloud(被覆量)は快晴から全天曇りまでのカバー率で、晴れ・薄曇り・どんよりを分ける主軸です。Density(0〜100%)は雲の濃さで、高いほど厚く重い雲になります。Puffiness(0〜100%)は形の明瞭さを決め、低いとぼんやり、高いとディテールのあるふくらんだ積雲になります(数値は公式Ambience Settings、確認2026年7月10日)。

ここで1点だけ、レンダーモードの注意があります。ボリュメトリック雲はPath Tracer(高品質モード)では実験的な扱いで、一部のAMD環境では制約があります(2025.1時点/2026年7月現在)。標準のリアルタイム表示では通常どおり使えるため、まずはそちらで雲を詰めるのが安全です。

形と分布を追い込む

基本を決めたら、縦の広がり・大きさ・底の平らさ・抜け方で表情を作り込みます。ここが空の個性を出す工程です。

Vertical extent(0〜100%)で縦の厚み、Scale(0.00〜1.00)で雲全体の大きさ、Flat bottom(0〜100%)で積雲らしい平らな底を作れます。抜けは2種類あります。Radial dissipationは円形に、Directional dissipationは方向性をつけて雲を抜く設定です。前者はIntensity(0.00〜1.00)とRadius(最大50000 m)、後者はIntensity(0.00〜1.00)とAngle(0°〜360°)で効き方を決め、どちらも雲の粗密をコントロールします。

さらにCirrus clouds(0〜100%)で巻雲を別枠で足すと、高層の薄い筋雲が加わって空に奥行きが出ます。Random seedを使えば、設定はそのままに雲のパターンだけを振り直せます。狙いの雲量と形を保ったまま「別の一枚」を探せるので、案件ごとの微調整に便利です。Color(オーバーレイ色)を触れば、夕景や嵐など雲自体の色を寄せられます。

プリセットとカスタム保存で時短する

代表的な雲形はプリセットで即呼び出せるため、ゼロから作るより速く仕上がります。近い形を当ててから微調整するのが実務的な進め方です。

プリセットには、Small / Large cumulus(積雲)、Cirrus(巻雲)、Altocumulus(高積雲)、Cumulonimbus(積乱雲)、Stratus(層雲)、Nimbostratus(乱層雲)がそろっています。まず近いものを当て、そこから密度や量を微調整すると、狙いの空へ最短で近づきます。

気に入った設定は自作プリセットとしてローカル保存でき、案件をまたいで再利用できます(公式Release Notes、確認2026年7月10日)。よく使う「晴れの標準空」を一度作っておけば、次の住宅案件でワンクリックで呼び出せます。

空を動かし、影を落とす

ボリュメトリック雲は、風で流して影を落とせるので、静止画にも動画にも効く空になります。動く雲と地表に落ちる雲影が、時間の経過と立体感を伝えてくれます。

風で雲を流す

雲を動かすには、共有設定のWindと、雲側のAffected by windを組み合わせます。この2つがそろって初めて雲が流れます。

Wind(共有設定)はEnable / Speed(0.00〜5.00)/ Direction(0°〜360°)で構成され、雲だけでなく植栽にも作用します。雲側でAffected by windをオンにし、Speed factor(0.00〜5.00)で風速の効き具合を倍率調整します。

動画やウォークスルーで空が動くと、静止画にはない臨場感が生まれます。風や季節そのものの詳しい設定は天候・季節設定で解説しています。

雲が落とす影とアニメーション

ボリュメトリック雲はアニメーションが可能で、地表や建物に影を落とします(公式Ambience Settings、確認2026年7月10日)。雲の影が動くことで、立体感と時間の流れが同時に伝わります。

晴れ一辺倒の空より、部分的な雲影を入れたほうがファサードの見え方に変化が出ます。オフィス外観のプレゼンで、動く雲影が壁面を横切る演出を入れると、静止画では出せない奥行きが加わります。

影が強すぎたり、欲しい位置に来なかったりするときは、HDRIのRotationや太陽方向、雲の被覆量で調整します。

空の色と時間帯を仕上げる

Dynamic skyの大気設定とプリセットを使えば、空の色・クリアさ・時間帯の雰囲気を数値で決められます。朝夕の柔らかい光や、澄んだ青空を意図して作れるようになります。

TurbidityとAtmosphere densityで空の質感

空のクリアさは、大気の濁りと厚みを表す2つの設定で作ります。数値を動かすだけで、澄んだ空からかすんだ空まで調整できます。

Turbidity(0.0〜1.0)は大気中の大粒子による濁りで、上げるとかすんだ空、下げると澄んだ空になります。Atmosphere density(0.0〜20.0)は大気の厚みで、薄いか厚いかで空の色が変わります。

Sun(HDRIではDirectional light)のColorやTemperature(2700K=暖色、6500K=寒色、範囲1700〜12000K)で光の色を決められます。数値はすべて公式Ambience Settings(確認2026年7月10日)に基づきます。

環境プリセットで時間帯を一発設定

用意された時間帯・天候プリセットを当てれば、雰囲気を素早く作れます。ゼロから大気を組むより、プリセット起点のほうが速く仕上がります。

「Golden hour」「Sunrise glow」「Rainy day」「Mars horizon」などのプリセットで、朝夕や雨天の雰囲気を一発で適用できます(公式/AEC Magazine、確認2026年7月10日)。プリセットを起点に、雲量・色温度・大気を微調整すると、狙いの空へ速く到達します。

作った空は、そのまま露出・ホワイトバランス調整で一枚の画として整えると、完成度がさらに上がります。

HDRIとボリュメトリック雲の使い分け、編集部の所感

公式ドキュメントと海外レビューの共通見解を読み解くと、HDRIとDynamic skyは競合ではなく、案件のフェーズで使い分ける関係だというのが編集部の見方です。速度が要る局面と、造形が要る局面で選び分けるのが現実的です。

まず時間のない外観コンペでは、HDRIが速さで勝ります。1枚の実写光で背景・反射・光がまとまり、Match HDRIで直射光の整合まで取れるため、写実的な一枚を短時間で用意できます。逆に、動画提案や曇天・夕景を作り込みたい案件では、Dynamic skyのボリュメトリック雲でなければ表現しきれません。

注意しておきたいのは、ボリュメトリック雲がPath Tracerで実験的な扱いになる点です。高品質モードで最終出力を想定する人ほど、事前に押さえておくと安心できます。標準のリアルタイム表示で詰めてから出力方針を決めると、後戻りが減ります。

初めて空を作る人には、まずDynamic skyのプリセットで雲の感覚をつかみ、写実を急ぐ案件でHDRIに切り替える進め方をおすすめします。2つを別物として覚えるより、目的で選び分ける前提で触ると、どちらも早く手に馴染みます。

空作りを整えた先に変わる建築ビジュアル

空をコントロールできるようになると、同じ建物でも伝わる印象が大きく変わります。晴天の抜けた青空、夕暮れのゴールデンアワー、雲影が動く曇天まで、狙って作り分けられるようになります。

これまで既定の空のまま出力していた人が、Height・Density・Puffinessで雲を組み、風で流し、時間帯を色温度で寄せられるようになると、提案の説得力が一段上がります。住宅の外観一枚でも、朝の柔らかい光か、夕方の暖色かで、住まいの印象はまったく別物になります。

次の一歩として、空作りを覚えた人は、光の当て方全体へ視野を広げると表現の幅がさらに増えます。自然光と人工光の考え方はライティング基本で、正確な太陽位置を使った設計検討は太陽・空・地理座標設定で解説しています。空という土台が整うほど、そのうえに乗せる光の演出が生きてきます。

まとめ|HDRIとDynamic skyを使い分けて空を作る

Twinmotionの空作りは、実写光で即・写実のHDRIと、造形も動きも自由なDynamic skyのボリュメトリック雲という2つのモードを、目的に応じて選ぶのが基本です。この2モード構造は2025.1で刷新され、現行版の2026.1でも続いています。

HDRIはSkydomeとBackdropを使い分け、Intensity・Rotation・Match HDRIで光ごと空を決めます。ボリュメトリック雲はHeight・Cloud・Density・Puffinessの基本を押さえ、近いプリセットを当ててから微調整すると速く仕上がります。風で雲を流し、雲影を入れると立体感と時間が加わり、色や時間帯は大気設定とプリセットで整えられます。

空は、建築ビジュアルの印象を左右する土台です。HDRIとDynamic skyを目的で選び分けられるようになると、静止画も動画も、狙った雰囲気で仕上げられるようになります。