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3DCG · Twinmotion

Twinmotionの太陽・空・地理座標設定|正確な日影・日照スタディ

編集部 読了 約12分

Twinmotionの太陽・空・地理座標設定|正確な日影・日照スタディ

Twinmotion(Epic Games製の建築向けリアルタイムレンダラー)の太陽は、「敷地の位置情報」「日付」「時刻」の3つを合わせるだけで、実際の空にある本物の太陽と同じ位置に置けます。見た目でそれっぽく時刻を選ぶのではなく、緯度経度と真北を現実に合わせることで、その場所・その日・その時間に本当にできる影が画面に出る。だから設計検討の日影・日照スタディにそのまま使えるのが、地理座標を使った太陽設定の強みです。

この記事では、太陽の位置が何で決まるのかという考え方から、地理座標(Location)の設定、真北合わせ、日付と時刻での季節・時間帯の切り替え、太陽の強さと影の輪郭の調整、そして日影スタディの具体的な進め方までを、初心者が迷わない順番で解説しています。雨や雪などの天候はTwinmotionの天候・季節設定、露出の追い込みはTwinmotionの露出・ホワイトバランス調整、空そのものの作り込みはTwinmotionのHDRIスカイとボリュメトリック雲に分けてあります。

Twinmotionの太陽は「位置情報×日付×時刻」で正確に決まる

Twinmotionの太陽は、敷地の位置情報と日付、時刻という3つの入力から、実際の太陽の位置を計算して配置されます。この3つが正しくそろっていれば、その場所の現実の日影がそのまま再現されるので、勘で合わせた影ではなく設計検討に使える影が得られます。

太陽の位置は方位角と高度で決まる

太陽がどこにあるかは、方位角(azimuth、真北を基準にした水平方向の角度)と高度(elevation、地平線からどれだけ上にあるかの角度)という2つの角度で表せます。方位角は太陽が東西南北のどちらの方角にあるかを、高度は太陽がどれだけ高く昇っているかを示します(Sun Position 一般定義、2026年7月現在)。

この2つが決まると、影の向きと長さが自動的に決まります。太陽が東の低い位置にあれば影は西へ長く伸び、真南の高い位置にあれば影は北へ短く落ちます。つまり「正しい影を出す」とは、この方位角と高度を現実どおりにそろえることに他なりません。Twinmotionはこの計算を内部で行ってくれるので、読者が角度を手で計算する必要はありません。

だから設計検討に使える正確な影が得られる

位置情報を正しく設定すると、Twinmotionは緯度経度と日付・時刻から、その地点の太陽の方位角と高度を割り出します。夏の東京の朝9時ならこの角度、冬の札幌の午後3時ならこの角度、というように、現実の太陽と同じ動きが画面上で再現されるわけです。

これが見た目重視で時刻スライダーを適当に合わせる場合との決定的な違いです。適当に合わせた影はきれいに見えても、実際の敷地では起こらない影かもしれません。位置情報を合わせておけば、隣の建物に落ちる影や、リビングに日が差す時間帯を、現実に即した根拠として確認できます。この点が、Twinmotionを日影・日照スタディに使える理由になります。

地理座標(Location)の設定手順|緯度・経度・真北を合わせる

正確な日影の出発点は、敷地の場所(Location)を合わせることです。ここで設定するのは、緯度経度でどこの土地かを指定することと、真北でモデルがどちらを向いているかを合わせることの2点で、この2つがそろって初めて太陽が現実どおりに動きます。

Locationで敷地の緯度・経度を設定する

なぜ緯度経度が必要かというと、太陽の高さは緯度によって大きく変わるからです。同じ正午でも、南にある沖縄と北にある北海道では太陽の高度が違い、できる影の長さも変わります。緯度経度を合わせないと、この土地ごとの差が反映されません。

Twinmotionでは、設定のLocation(ロケーション)で敷地の座標を指定します。地図から場所を選ぶ方法や、緯度経度の数値を直接入れる方法が用意されており、プロジェクトの実際の敷地に合わせて設定します(Epic Twinmotion Support: Settings>Location、2026年7月現在)。ここを敷地の座標に合わせておくと、以降の日付・時刻の操作がすべて現実準拠になります。逆にここが初期値のままだと、どれだけ時刻を丁寧に合わせても影の角度は他の土地のものになってしまいます。

真北(North)をモデルの向きに合わせる

緯度経度が正しくても、モデルの向きがずれていると影の方角は全部ずれます。Twinmotionは「モデルのこちらが北」という基準をもとに太陽を配置するので、その基準を実際の北に合わせる作業が欠かせません。

モデルの北の向きは、北の方向の設定(North offset、0〜360°で指定する北のオフセット)で調整します(Epic公式 Ambience Settings、2026年7月現在)。CADやBIMから読み込んだモデルには方位の情報が入っていることが多いので、その北とTwinmotionの北をそろえるのが基本です。真北を合わせるだけで、南向きの窓に本当に日が差すか、北側の部屋がどれだけ暗いかといった、方角に依存する検討が正しくできるようになります。

日付と時刻で季節と時間帯の日影を再現する

敷地の位置を固定したら、あとは日付で季節を、時刻で1日の影の動きを切り替えて検討します。位置が現実に合っているので、日付と時刻を動かすほど、その敷地で実際に起こる日影を通しで確認できます。

時刻で1日の影の動きを見る

時刻の設定(Time of day)を動かすと、太陽の高さが変わり、影がリアルタイムに動きます。朝は影が長く西寄りに、正午は短く北寄りに、夕方はまた長く東寄りに、という1日の流れをその場で見られます。

設計検討では、確認したい時間帯を先に決めてから時刻を合わせると効率的です。たとえば「午前中にリビングへどれだけ日が入るか」を見たいなら朝9時〜11時あたりを、「西日がどの部屋に当たるか」を見たいなら午後4時前後を合わせます。狙いを持って時刻を動かすことで、感覚ではなく時間帯の根拠を持った検討ができます。

日付で季節ごとの日照を比べる

日付を変えると、太陽の南中高度(正午に太陽が昇る最も高い位置)が季節ごとに変わります。夏は太陽が高く昇って影が短くなり、冬は低いまま推移して影が長く伸びます。

設計実務でよく使うのが、夏至と冬至の比較です。冬至は1年で太陽が最も低く、影が最も長くなる日なので、この日で日照が確保できていれば1年を通して条件を満たせます。逆に夏至は太陽が最も高くなる日で、庇(ひさし)による日射しの遮り方を検討するときの基準になります。両方の日付で同じ時刻の影を見比べると、その敷地で最も条件が厳しい日照を押さえられます。

太陽の強さと影の輪郭を整える

太陽の位置が合ったら、次は明るさと影の硬さを整えます。明るさは実際の単位で決められ、影の縁の柔らかさは太陽の見かけの大きさで変わります。この2つを現実に寄せると、日影スタディの画がぐっと正確になります。

太陽の強さはルクスで決める

Twinmotionの太陽の強さ(Intensity)は、実際の明るさの単位であるルクス(Lux、明るさを表す物理単位)で設定します。設定できる範囲は0〜150,000ルクスで、よく晴れた昼間の実際の太陽光はおよそ65,000〜100,000ルクスとされています(Epic公式 Twinmotion 2023.2 リリースノート、2026年7月現在)。

実際の数値を基準に設定できるということは、明るすぎ・暗すぎの原因を勘ではなく数値で切り分けられるということです。晴天の昼を想定しているのに画が暗いなら、太陽の強さが実際より低いのかもしれません。日影スタディでは、明るさそのものより影の形が主役になりますが、極端に暗い・明るい設定だと影の見え方が変わってしまうので、現実に近い強さに合わせておくと安心です。

影の輪郭はSun source angleで調整する

影の縁がくっきりするか、ややぼやけるかは、太陽の見かけの大きさ(Sun source angle、太陽光源の角度)で変わります。太陽を小さな点として扱うと影の縁がシャープになり、大きめに扱うと縁がやわらかくにじみます。

現実の太陽は空にある点光源に近いため、晴天の日影はかなりくっきりします。日影スタディで影の範囲を明確に示したいときは、輪郭が締まる設定のほうが境界を読み取りやすくなります。一方、やわらかい印象のプレゼン画を作りたいときは、少しぼかした影のほうがなじみます。目的が「検討」か「見せ方」かで、この設定の向きが変わると覚えておくと使い分けられます。

空とスカイライトが日陰の色を決める

太陽が直接当たる光を担うのに対して、日陰を照らしているのは空の光です。だから日陰が暗すぎる・青すぎると感じたときは、太陽ではなく空の設定を見直すのが正解になります。

Dynamic SkyとHDRIの使い分け

Twinmotionの標準はDynamic Sky(時刻や雲の設定に連動する動的な空)で、時刻を動かすと空の色や明るさも一緒に変わります。日影スタディでは、このDynamic Skyのまま時刻と日付を操作するのが基本の使い方です。

実写のような特定の空模様をのせたいときは、HDRI(360度撮影した実写の光情報)を使う方法もあります。空を晴天にするか曇天にするかで、日陰の柔らかさが変わる点も押さえておきたいところです。曇りの日は空全体が光源になって影が薄くやわらかくなり、晴れの日は太陽が強い分だけ影が濃くくっきりします。空そのものの作り込みはTwinmotionのHDRIスカイとボリュメトリック雲で解説しています。

Path Tracerで高品質な日影を確認する

普段の検討は、Lumen(レイトレーシングをベースにした動的なグローバルイルミネーション機能)による間接光でリアルタイムに進められます。グローバルイルミネーションとは、壁や床に当たった光が反射して周囲に回り込む現象のことです。日陰の中にも反射光が届くので、真っ暗にならず自然な陰影になります。

最終確認や提出用の画がほしいときは、Path Tracer(時間をかけて高品質な陰影を計算する高品質モード)に切り替えると、より正確で落ち着いた光の回り込みが得られます。日々の検討はLumenで速く回し、ここぞという場面だけPath Tracerで仕上げる、という使い分けが実用的です。

日影・日照スタディの実践手順|設計検討に使える光

位置と真北、日付・時刻がそろえば、あとは時間を動かして影の変化を記録するだけです。Twinmotionはリアルタイムで結果が見えるので、影が動く様子をその場で確認しながらスタディを進められます。

影の動きをアニメーションで確認する

時刻をキーフレーム(動画の要所を指定するポイント)にして時間を動かすと、1日の影の移動を動画として書き出せます。朝から夕方まで影が敷地内をどう移動するかを通しで見られるので、隣地や道路への影の落ち方を1本の映像で説明できます。

静止画だけだと「その瞬間の影」しかわかりませんが、動画にすると影がどの時間にどこへ動くかが伝わります。近隣への影の影響を検討したいときや、施主に日当たりの変化を見せたいときに、この時間経過の表現が効いてきます。

Datasmith Direct Linkでホストと連動して検討する

Twinmotionは、Datasmith Direct Link(RevitやArchicad、SketchUpなどの設計ソフトとライブ同期するしくみ)で、元の設計モデルとつながったまま作業できます。ホスト側(設計ソフト側)で建物の形や配置を変えると、その変更がTwinmotionの画面に反映されます。

これが日影スタディで効いてくるのは、設計変更のたびに影を作り直す手間がいらないからです。庇を伸ばした、建物を少し回転させた、といった検討をホスト側で行い、Twinmotionに戻って同じ日付・時刻で影を見比べる。この往復が速く回せるので、日照を確保できる形を探しながら設計を詰めていけます。

Twinmotionの日影スタディを編集部が試してみました

編集部が実際に、簡単な住宅モデルで敷地の座標と真北を合わせ、夏至と冬至で時刻を動かしながら影を比べてみました。触ってみて最初につまずいたのは、モデルの向きを実際の北に合わせ忘れていたことで、緯度経度は正しいのに影の方角が全部ずれていました。真北を合わせ直した瞬間に、南の窓へ差す光と北側の日陰がぴたりと現実の感覚に合いました。

位置と向きさえ合ってしまえば、あとは時刻スライダーを動かすだけで午前から夕方までの影が滑らかに動き、検討がとても楽に回りました。冬至の午後は思っていたより影が長く伸び、隣地側にかかる範囲が広いことがひと目で分かったのが収穫です。実際に操作してみて感じたのは、日影図を別に用意しなくても、その場で時間を動かして影の変化を確認できる手軽さでした。リアルタイムで結果が見えるぶん、「この向きで大丈夫か」という設計判断をその場で下せるのがTwinmotionの持ち味だと感じました。

応用シーン・次の一歩

位置情報に合わせた太陽設定は、日影を確認するだけでなく、近隣説明やプレゼンの資料づくりにも応用できます。基本の手順を押さえたら、目的に合わせて表現の幅を広げていくのが次の一歩です。

近隣配慮・プレゼンへの活用シーン

現実の太陽位置で影が出せると、「何月何時に、隣家のここまで影がかかる」という具体的な資料が作れます。近隣への配慮を説明する場面や、施主にリビングの採光時間を見せる場面で、実際の日付・時刻に基づいた影は説得力を持ちます。冬至の日中でも隣地に長時間の影を落とさない、といった配慮を、感覚ではなく現実の光で示せるのが強みです。

次の一歩|天候・空・露出の深掘りへ

太陽と地理座標の基本が身についたら、環境まわりを各テーマで深めていきましょう。雨や雪、風、季節の表現はTwinmotionの天候・季節設定、空そのものの作り込みはTwinmotionのHDRIスカイとボリュメトリック雲、画の明るさや色みの調整はTwinmotionの露出・ホワイトバランス調整が入口です。自然光と人工光の組み立て方から整理したい場合はTwinmotionのライティング基本、環境と気象の全体像はTwinmotionのライティング・環境・気象ガイドから一望できます。

この記事のまとめ(要点3点)

Twinmotionの太陽は、敷地の位置情報(緯度経度)と真北、日付、時刻を合わせることで、実際の太陽と同じ方位角と高度で配置されます。だから見た目だけの影ではなく、その敷地で本当にできる日影を、設計検討の根拠として使えます。

手順の要点は、まずLocationで緯度経度を敷地に合わせ、真北をモデルの向きにそろえること。そのうえで日付で季節を、時刻で1日の影の動きを切り替え、夏至と冬至で最も条件が厳しい日照を確認します。太陽の強さはルクスで現実に寄せ、影の輪郭はSun source angleで目的に合わせて整えます。

日陰の色は空が決めるため、暗すぎる・青すぎるときは空の設定を見直します。検討はLumenで速く回し、仕上げはPath Tracerで高品質に確認する。設計ソフトとDatasmith Direct Linkでつないでおけば、形を変えるたびに同じ条件で影を見比べられます。無料で始められて結果がすぐ見えるTwinmotionは、日影・日照スタディを手を動かしながら進めるのに向いたソフトです。