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3DCG · Twinmotion

Twinmotionの植栽(Vegetation)配置|樹木の成長・季節変化まで

編集部 読了 約12分

Twinmotion(Epic Games製の無料リアルタイムレンダラー)の植栽は、ライブラリから木を置いて終わりではありません。Twinmotionの木・低木・草は「Smartアセット」で、風と季節の変化に自動で反応し、樹齢や色を後から変えられる仕組みになっています(Twinmotion公式Docs、2026年7月時点)。

この記事では、植栽を1本置くところから、Growthで樹齢を変え、Foliageマテリアルで葉色・季節・逆光の透けを整え、風で揺らすまでの流れを、建築パース実務の目線でまとめます。

並木や公園のように大量に敷き詰める方法と、植える地面づくりは扱う範囲が広いため、それぞれ別の記事に分けています。まずは「1本をリアルにする」設定を順番に押さえていきましょう。

Twinmotionの植栽は「置くだけ」で終わらない

Twinmotionの植栽は、置いたあとに樹齢・葉色・季節・風の4つを作り込めるのが最大の特徴です。この4要素を担当する設定は下の表のように分かれており、順番に触っていくと迷いません。

作り込む要素主に使う設定ざっくりした役割
成長・樹齢Growthスライダー若木から成木まで大きさと形を連続で変える
葉・樹皮の色Foliageマテリアルの色設定葉色の着色・彩度・逆光の透けを調整する
季節の変化アンビエンス(環境設定)のSeason+Use global seasons紅葉や落葉をシーン全体・個別で切り替える
風の揺れAffected by wind+Sway/Rigid風速・風向に反応させ、部位ごとに揺れを調整する

植栽はSmartアセット

Twinmotionの木(Trees)・低木(Bushes)・草(Grass)は「Smartアセット」という特別な植栽データです。Smartアセットは、風と季節の変化の影響を自動で受け、成長パターン・樹齢・色などのプロパティを後から変更できます(Twinmotion公式Docs、2026年7月時点)。

これがなぜうれしいかというと、1本置いた木を「育てて、色づけて、揺らす」まで作り込めるからです。市販の静的な3D樹木データは形が固定で、季節を変えても葉色は変わりません。Smartアセットならスライダーひとつで表情を変えられるため、初心者でも植栽が硬い作り物に見えにくくなります。

この記事で扱う範囲と、任せる記事

この記事があつかうのは、植栽を1本選んで置き、その樹齢・葉色・季節・風を作り込む流れです。個別の植栽を「どうリアルに見せるか」に集中します。

並木や公園のように広いエリアへ規則的・ランダムに敷き詰める方法は、TwinmotionのPopulateで大量配置|Scatter/Paintで都市・公園シーンを作るで解説しています。植栽を植える地面や敷地そのものを整えたい場合は、Twinmotionで地形を造成する|Sculpt/Paintと周辺市街地の取り込みを先に読むと流れがつながります。

植栽を配置する基本手順

植栽の配置は、ライブラリのVegetationから使いたい植物をビューポート(3D画面のプレビュー領域)へドラッグ&ドロップするだけです。まずは1本置いて、そこから育て込むのが迷わない進め方になります。

ライブラリから植栽を選んで置く

ライブラリの「Vegetation」カテゴリには、木(Trees)・低木(Bushes)・草(Grass)が並んでいます。使いたい植物をビューポートへドラッグ&ドロップすると、その場に配置されます。

複数をまとめて置きたいときは、Multidrop(クリックのたびに植栽を落とし続ける配置モード)が便利です。クリックするたびに同じ植栽、または種類を変えながら次々に落とせるので、庭木を数本散らすような作業がはかどります。

ここで気をつけたいのは、まったく同じ木を等間隔で並べると、人工的で硬い印象になりやすい点です。向きを少し回転させたり、スケールに変化をつけたりすると、自然な植え込みに近づきます。

たくさん並べたくなったら

広いエリアへ規則的・ランダムに配りたくなったら、Populateパネルの配置ツール(Spacing / Area など)が向いています(Twinmotion公式Docs、2026年7月時点)。1本ずつ置くより一気に緑地を作れます。

具体的な操作手順はTwinmotionのPopulateで大量配置|Scatter/Paintで都市・公園シーンを作るにまとめているので、街路樹や公園の緑をまとめて作りたいときはそちらへ進んでください。

樹木の成長(Growth)と樹齢を変える

Twinmotionの木はGrowthスライダーひとつで、若木から成木・老木まで大きさと形を連続的に変えられます。同じ計画地を「竣工直後」と「数年後」で描き分けられる、建築パースならではの強み。

Growthスライダーの仕組み

Growthスライダーは、植樹直後(first planting)から成熟(maturity)までの成長を可視化する機能です。樹木ごとに用意された「3つの樹齢(若木・成木・老木)」の間をブレンドしてスケールし、1本のSmartアセットとして扱います(Twinmotion 2024.1.1 リリースノートで導入。樹齢・成長パターン・色を変更できる性質はTwinmotion公式Docsで確認、2026年7月時点)。

スライダーを動かすと、幹の太さや樹冠のボリュームが連続的に変化します。これは単に木全体を拡大縮小するスケール調整とは別物で、幹と枝葉のバランスが樹齢に応じて自然に変わる点がポイントです。

建築パースでの使いどころ

Growthがあると、同じ木で「将来の緑(成木)」と「竣工直後の若木」を作り分けられます。たとえば外構計画の提案で、引き渡し直後のまばらな植栽と、数年後に育った並木の2案を並べると、施主が緑の育ち方をイメージしやすくなります。

ただし樹種によっては、中間の成長段階で枝ぶりがやや不自然に見えることがあります。狙った樹齢に決めたら、必ず目視でシルエットを確認しておくと安心です。

葉と樹皮の色・季節変化(Seasons)を連動させる

季節を切り替えたのに、一部の木だけ夏のままだった経験はないでしょうか。葉の色や落葉・紅葉は、シーン全体の季節設定と、植栽側のFoliageマテリアルの2段構えで決まります。この上下関係を理解しておくと、「季節を変えたのに一部の木だけ変わらない」という定番のつまずきを避けられます。

Foliageマテリアルは植栽専用のマテリアルタイプで、葉色・季節・逆光の透けをまとめて管理します。主な設定は次のとおりです。

設定名役割出典
Use global seasons / Force season季節を全体に自動同期するか、個別に上書きするかFoliageマテリアル設定(公式Docs)
Season color 01–12季節ごとの葉色グラデーション(落葉樹・花向け)同上
Leaves lifecycle(Season mask 01–14)葉や花がいつ生え、いつ落ちるかのサイクル同上
Color(tint)/ Saturation季節に関係なく色味・彩度を手で調整同上
Translucency amount(既定0.5)/ Backface fade逆光で葉が透ける表現・葉裏を淡く見せる同上

シーン全体の季節を切り替える

シーン全体の季節は、Scene Graph(シーンを構成する要素を階層で管理するパネル)で「Ambience(アンビエンス)」を選び、Env(Environment)タブのSeasonで決めます(Twinmotion公式Docs、2026年7月時点)。アンビエンスは、空・光・天候・季節・風といったシーン全体の環境をまとめて扱う設定です。Season・Wind・Fogなどの値は、Dynamic sky(動く空)とHDRI(実写の空)のどちらのモードでも共有されます。

季節と天候は個別のスライダーに分かれているため、「雲なしの雨」や「紅葉を残したまま雪」といった組み合わせも独立して作れます(Twinmotion 2025.1 リリースノートで導入、2026年7月時点)。竣工予定が晩秋のプレゼンで、葉を色づかせつつ空だけ晴天に、といった調整がしやすくなっています。

植栽を全体の季節に自動追従させる/固定する

植栽を全体の季節に合わせたいときは、Foliageマテリアルで「Use global seasons」を選びます。これでその植栽はアンビエンスの季節設定に自動同期し、シーンの季節を切り替えると一斉に葉色が変わります(Foliageマテリアル設定(公式Docs)、2026年7月時点)。

逆に、特定の常緑樹だけ季節を固定したいときは「Force season」に切り替え、その木のローカルなスライダーで季節を指定します。「季節を変えたのに一部の木が変わらない」ときは、たいていこの全体設定と個別設定の優先関係が原因です。まずどちらのモードになっているかを確認すると、原因の切り分けが早くなります。

葉色・葉の生え落ち・逆光の透けを作り込む

季節ごとの葉色は「Season color 01–12」のグラデーションで決まります。落葉樹や花木にはこのプリセットが用意されており、番号を選ぶだけで季節に応じた色の移り変わりが得られます(Foliageマテリアル設定(公式Docs)、2026年7月時点)。

葉や花がいつ生えて、いつ落ちるかは「Leaves lifecycle(Season mask 01–14)」で制御します。これを使うと、真冬の落葉や春先の芽吹きといった、葉の量そのものの変化まで表現できます。

季節とは無関係に色味を変えたいときは、Color(tint)で全体に色を乗せ、Saturation(0.1〜2.0)で彩度を整えます。逆光で葉が透ける表現は、Translucency amount(0.0〜1.0、既定0.5)で強さを決め、Backface fade(0〜100%)で葉の裏面を淡く見せられます。こうすると、夕方の斜光を受けた並木のような柔らかさが出せます。

風(Wind)で植栽を揺らす

Twinmotionの植栽は、Foliageマテリアルの設定を有効にすれば、シーンの風に合わせて自然に揺れます。揺れ方は部位ごとに変えられるので、葉はしなやかに、幹はどっしりと見せられます。

風はアンビエンスと連動する

Foliageマテリアルの「Affected by wind」を有効にすると、その植栽はアンビエンスの風速・風向に反応します(Foliageマテリアル設定(公式Docs)、2026年7月時点)。

風の強さと向きはアンビエンス(Env)側で一括して決めます。そのため個々の木を触らなくても、シーン全体の風をまとめて調整できます。街全体の街路樹を同じ風で揺らしたいときに扱いやすい仕組みです。

Sway と Rigid の使い分け

揺れ方は「Sway(自然に揺れる)」と「Rigid(風の影響を弱める)」から選べます。葉や細い枝はSway、樹皮や太い幹など重い部位はRigidにすると、揺れが不自然に見えにくくなります。

この効果がいちばん生きるのは、アニメーション書き出しのときです。動画で葉がそよぐと、静止画にはない生きた印象が加わります。一方で静止画では、強すぎる揺れが被写体ブレの原因になることもあるため、揺れは控えめにしておくと安全です。

建築パースでの活用シーンと編集部の所感

植栽の作り込みは、用途に合わせてGrowthと季節を選ぶだけで、竣工パースの説得力が大きく変わります。ここでは用途別の勘所と、公式ドキュメントを読み解いたうえでの編集部の所感を整理します。

用途別の使いどころ

住宅の庭はGrowthを若めにして竣工直後の雰囲気に寄せ、街路樹は成木で並木の連続感を出すと、計画の意図が伝わりやすくなります。公園や広場では、草(Grass)や低木で足元の密度を上げると、広い地面がさびしく見えるのを防げます。

季節は、引き渡し時期や提案イメージに合わせてUse global seasonsで一括切り替えると効率的です。春の芽吹きで明るく見せるか、秋の紅葉で落ち着かせるかを、プレゼンの狙いから逆算して決めると迷いません。

公式ドキュメントを読み解いた編集部の所感

公式ドキュメントと設定項目を読み解く限り、植栽の作り込みはスライダー中心で完結し、初心者でも扱いやすい設計になっているという印象です。GrowthもSeasonも数値を動かすだけで結果が見えるため、細かなパラメータの知識がなくても表情を変えられます。

つまずきやすいのは、やはり「季節が変わらない」「風が効かない」ときの原因切り分けです。先ほどの全体設定(アンビエンス)と個別設定(Foliageマテリアル)の切り分けを思い出し、迷ったらまずどちらのモードになっているかを確認するのが近道になります。

なお、ライブラリの植栽だけでなく、インポートした自作の木にもFoliageマテリアルを割り当てれば、季節・風・逆光の透けを同じように効かせられます。3Dモデルの取り込み手順そのものはTwinmotionアセットライブラリの使い方|家具・人・車を配置するで解説しているので、手持ちの植栽データを活かしたい方はあわせて確認してください。

まとめ

Twinmotionの植栽はSmartアセットなので、「置く→Growthで樹齢→Foliageマテリアルで葉色・季節・逆光の透け→風」の順で作り込むと迷いません。1本をていねいに仕上げてから、必要な数だけ増やすのが効率的な進め方です。

季節でつまずかないための要点は、アンビエンスのSeason(全体)と、Foliageマテリアルの Use global seasons / Force season(個別)の関係を押さえることです。全体に追従させるか、個別に固定するかを意識すれば、狙った季節を確実に作れます。

風は Affected by wind を有効にしたうえで、葉は Sway、幹は Rigid と部位ごとに調整すると自然に見えます。ここまで整えれば、竣工時の季節や将来の緑まで描き分けた、生きた植栽のあるパースに近づきます。