Twinmotionでウォークスルー動画を作る|カメラパスと書き出し設定
Twinmotionでウォークスルー動画を作る|カメラパスと書き出し設定
Twinmotion(Epic Games製の建築向けリアルタイムレンダラー)でウォークスルー動画を作るのは、思っているよりずっとかんたんです。建物の中を歩くような映像は、専用の撮影機材も長い書き出し待ちも必要なく、見せたい視点を順番に置いていくだけで組み立てられます。しかもTwinmotionは完全無料なので、費用を気にせず何度でも試せます。
この記事では、MediaパネルでのカメラパスとキーフレームSetの作り方、動きをなめらかにするイージング、そして解像度・fps・書き出し形式の決め方までを解説しています。内容は2026年7月現在の公式ドキュメントに沿っています。
ウォークスルー動画はMediaパネルのVideoで作る
Twinmotionのウォークスルー動画は、視点を順番に置くだけで、その間をカメラが自動でつないで動いてくれます。線を引いてカメラを走らせるのではなく、「見せたい構図」を並べる感覚で組めるのが特徴です。ビューポート(編集画面)で動きを確認しながら作れるので、書き出す前に仕上がりのイメージがつかめます。
Media・Video・Part・Keyframeの関係
最初に4つの言葉の関係をつかんでおくと、この先が迷わず進みます。キーフレーム(Keyframe)は「ある1つの視点」、つまりカメラの位置と向きを記録した1コマです。パート(Part)は、複数のキーフレームをつないだ「ひとつながりの動き」の区間を指します。そしてビデオ(Video)は、そのパートを集めた動画全体です。
この入れ子の関係がわかると、あとで「ここだけ動きを変えたい」「この区間で場所を切り替えたい」という編集がしやすくなります。キーフレーム単位で細かく、パート単位でざっくり調整できると考えておいてください。
作成の基本ステップ
動画作りは、開始したい視点をビューポートで決めるところからです。カメラを最初に見せたい構図に合わせたら、画面下のフッターにある「Media」をクリックしてMediaドック(動画や画像を管理するパネル)を開きます。
そこで「Video」アイコンを選び、「Add video」アイコンをクリックすると、最初のキーフレームとパートが1つずつ作られます。あとはカメラを次に見せたい位置へ動かし、キーフレームの右側にある「Create keyframe(+)」アイコンを押すたびに、視点が1コマずつ追加されていきます。これをくり返せば、カメラの通り道ができあがります。再生すると、カメラが各視点のあいだをなめらかに移動します。
カメラパスをキーフレームで作り込む
カメラパスは「視点を置いた順番」でそのまま決まります。だから、玄関から入って→リビングを見回して→窓辺で止まる、という流れを頭に描いて、その通りに視点を置いていけば意図した動きになります。ここでは、あとから微調整するための操作をまとめます。
キーフレームの追加と、あいだへの挿入
「Create keyframe」アイコンは、既存のキーフレームの左右どちらにも用意されています。これがあると、あとから「この構図とこの構図の間に、もう1カット足したい」というときに、途中へ視点を差し込めます。
なぜこれが便利かというと、ウォークスルーは一度で完璧に組めることが少ないからです。通しで再生してみて「ここの動きが急だな」と感じたら、その区間の中間に視点を1つ挿入するだけで、カメラの動きがゆるやかになります。最初から順番通りに置ききる必要はありません。
パートを分けて、フェードでつなぐ
離れた場所へカメラを飛ばしたいときは、1本の動きの中で無理につなげず、「Add video part」アイコンでパートを分けます。たとえば1階の玄関ホールと2階のバルコニーのように、連続して歩けない場所を見せるときに使います。
パートをたたむと、パートとパートのあいだに「Fade to black」や「Fade to white」のトランジション(切り替え効果)を挿入できます。黒や白でいったん画面を落としてから次の場所へ移ると、場面が切り替わったことが視聴者に自然に伝わります。プレゼン動画で場所がぱっと入れ替わると混乱しやすいので、この一手間が効いてきます。
明るさや天候をキーフレーム単位で変える
Twinmotionでは、光や天候といった「アンビエンス設定」を、パート全体にも個々のキーフレームにも割り当てられます。パート全体に適用するときは「Settings」ボタン、キーフレーム単位で変えたいときはそのキーフレームを選んで設定します。複数のキーフレームをまとめて変えることもできます。
これを使うと、たとえば動画の前半は朝の光、後半は夕方の光、といった時間の移り変わりを1本の中で演出できます。同じ間取りでも「朝のリビング」と「夕方のリビング」では印象が大きく変わるため、住宅提案では光の変化そのものが説得材料になります。
カメラの動きをなめらかにする
単純なVideoで組んだ動きが「ガタつく」「速すぎて酔いそう」と感じたら、Twinmotionのシーケンス(Sequences)機能に切り替えると、速度と曲線をていねいに調整できます。シーケンスはタイムライン上でカメラや動きを編集できる仕組みで、書き出す前の作り込みに向いています。
イージングで速度をコントロールする
イージングは、カメラの加速・減速のかかり方を選ぶ設定です。動きの印象を決める部分なので、ここを押さえると一気にプレゼン映像らしくなります。
初期状態のLinear(リニア)は最初から最後まで一定速度で、機械的な印象になりがちです。Ease in/out(イーズイン・アウト)を選ぶと、動き出しと止まり際がゆっくりになり、落ち着いた映像になります。もっとメリハリを付けたいならStrong ease in/out、逆に途中は一定で終わりだけ減速させたいならLinear ease outなど、区間ごとに選べます。視聴者が酔いにくいのは、動き出しと止まりをゆるめる設定です。
パスの形をととのえる
カメラの通り道そのものも調整できます。「Path tension(パステンション)」のスライダーを左へ動かすと曲線がなめらかで丸みのある通り道になり、右へ動かすと角ばった急な曲がり方になります。壁の角を回り込むようなカットでは、左寄りにするとぶつかりそうな不安感が消えます。
さらに、Tangents(タンジェント、AutoとManualの2モード)でキーフレームの通過の仕方を細かく決めたり、「Smooth speed」ボタンで速度のムラを均一にならしたりできます。手作業で置いた視点は間隔がバラバラになりやすく、そのままだと速い区間と遅い区間ができてしまいます。Smooth speedを一度かけておくと、全体の速度が整って見やすくなります。
書き出し設定を決める
書き出しで迷ったら、解像度・fps(1秒あたりのコマ数)・形式の3つを用途から決めれば十分です。クライアントへ共有するだけなら4K・30fps・MP4が扱いやすく、あとで編集ソフトに読み込んで色や音を足すなら連番の画像で書き出します。
| 設定項目 | 選べる値 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 解像度(標準/3D) | 2K(1920×1080)/ 4K(3840×2160)/ 8K / 16K / カスタム | 共有は4K、大判掲示や高精細は8K以上 |
| 解像度(360) | 2K / 4K / 8K | VRゴーグルやパノラマ視聴向け |
| fps | 25 / 30 / 60 / 120(カスタム1〜120) | 一般共有は30、動きの速い演出は60 |
| 形式 | MP4 / PNG / EXR | 共有はMP4、後処理は連番PNG・EXR |
| Refinement | Off / Low / Medium / High | 反射やガラスをきれいに出したいときHigh |
| Motion blur | On / Off(既定Off) | 速いカメラの残像を自然にしたいときOn |
| Tiled rendering | On / Off | GPUの上限を超える高解像度を出すときOn |
ソース: Export Settings for Videos in Twinmotion(Epic公式)(2026年7月現在)
解像度とfpsの選び方
解像度は「どこで見せるか」で決めます。ノートPCの画面やオンライン会議で共有するなら4Kで十分きれいに映り、ファイルサイズも現実的です。標準モードと3Dモードは2K・4K・8K・16Kとカスタムに対応し、タイル分割書き出しを使えば最大64Kまで出せます。パノラマやVRゴーグルで見せる360モードは2K・4K・8Kから選びます。
fpsは動きのなめらかさに関わります。建築のウォークスルーは30fpsで違和感なく見られ、カメラの動きが速い演出や、あとでスロー再生を作りたいときは60fpsを選びます。プリセットは25・30・60・120で、任意の値も1〜120の範囲で設定できます。数字を上げるほどコマ数が増えて書き出し時間も伸びるので、共有目的なら30fpsを基準に考えると無駄がありません。
出力形式と品質の設定
形式は、書き出したあとに何をするかで分かれます。そのまま送って再生してもらうならMP4(圧縮された標準の動画形式)が最適です。色調整や音入れ、テロップ追加を編集ソフトで行うなら、PNG(1チャンネル8ビットのRGBA画像)やEXR(1チャンネル16ビットのHDRデータ)の連番で書き出します。連番は1コマずつ画像で出るため画質の劣化がなく、明暗の情報を多く残せるEXRは後処理の自由度が高くなります。
品質面では3つの設定を覚えておくと役立ちます。Refinementは反射やガラスの計算を精緻にする設定で、Off・Low・Medium・Highから選びます。水面や窓の映り込みが目立つ外観カットではMediumやHighにすると仕上がりが引き締まります。Motion blur(動きの残像)は既定でオフですが、オンにするとカメラが速く動くカットが自然に見えます。Tiled renderingは、GPUの上限を超える高解像度を分割して書き出すための設定です。より高品質に仕上げたいときは、リアルタイム表示から高品質モードのPath Tracer(パストレーサー)に切り替えてから書き出す方法もあります。
人や車の動きはカメラパスとは別で足す
ここは混同しやすいので分けて考えてください。カメラが移動すること(視点の動き)と、シーンの中で人や車が動くことは、Twinmotionでは別の機能です。この記事で作ってきたのはカメラの動き、つまり「撮る側」の動きです。
歩行者を歩かせたり車を走らせたりして映像に生活感を足したいときは、Animator(アニメーター)やPaths(パス)という別の機能を使います。手順はTwinmotionのAnimator/Pathsで人・車を動かす|シーンに動きを与えるで解説しています。工事の進み方を段階的に見せる工程演出をしたいなら、Twinmotionの4D施工フェーズ(Phasing)|工程シミュレーションを作るが向いています。カメラパスと組み合わせると、人が行き交う街並みの中をカメラが抜けていくような、密度の高い映像になります。
書き出し設定についての編集部の見解
公式ドキュメントの仕様と、一般的なプレゼン動画制作の考え方をふまえた、書き出し設定についての編集部の見解をまとめます。ここは実測値ではなく、用途からの整理として読んでください。
共有を目的とするウォークスルーは、4K・30fps・MP4を基準にすると扱いやすいというのが編集部の所感です。多くの再生環境やオンライン共有サービスがこの組み合わせに対応しており、画質とファイルサイズのバランスが取りやすいためです。長尺や8K以上の高解像度を出すときはTiled renderingをオンにし、あとで本格的に編集する予定があるならEXR連番で書き出しておくと、色や明るさを追い込む余地が残ります。
設定の数字にこだわる前に、まず押さえたいのは構図とカメラ速度です。解像度を上げても、動きが速すぎたり通り道が不自然だったりすると、視聴者の印象は良くなりません。編集部の見解としては、書き出し品質を上げる前に、イージングとPath tensionでカメラワークを整えるほうが、完成度への効き目が大きいといえます。
活用シーンと次の一歩
ウォークスルー動画は、対面プレゼンの1本で終わらせず、届け方を広げると価値が伸びます。作った映像をどう活かすか、次の選択肢を整理します。
書き出したMP4はそのまま打ち合わせやメールで共有できますが、Twinmotionには画像・動画・パノラマをまとめて見せるPresenterや、オンラインで3Dを共有する仕組みもあります。プレゼンの手元操作をまとめたいならTwinmotionのPresenterでインタラクティブにプレゼンする、遠隔の関係者へ届けたいならTwinmotion Cloudでオンライン共有|3D・パノラマをステークホルダーに届けるが次の一歩になります。Lumionと比べながら動画プレゼンの型を考えたいときは、建築レンダリングのプレゼン動画をLumion・Twinmotionで作るもあわせて読むと、ソフトをまたいだ判断がしやすくなります。
Twinmotionの全体像や基本操作から確認したい場合は、Twinmotion完全ガイド|Unreal Engineベースの建築レンダラーを入口にしてください。
まとめ
Twinmotionのウォークスルー動画づくりの要点を、3つに絞って振り返ります。
1つ目は、動画はMediaパネルのVideoで「視点(キーフレーム)を順に置く」だけで作れることです。カメラは各視点のあいだを自動でつなぎ、パートで区間を分け、フェードで場面を切り替えられます。2つ目は、動きの質はイージングとPath tensionで決まることです。動き出しと止まりをゆるめ、通り道をなめらかにするだけで、酔いにくい落ち着いた映像になります。3つ目は、書き出しは解像度・fps・形式の3点を用途から選べば十分ということです。共有は4K・30fps・MP4、後処理はEXR連番が扱いやすい組み合わせです。
Twinmotionは完全無料で、書き出す前にビューポートで動きを確認しながら何度でも調整できます。人や車の動きやオンライン共有まで広げれば、静止画のパースだけでは伝わらない空間の体験を、そのまま相手に届けられます。
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