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3DCG · Twinmotion

TwinmotionのAnimator/Pathsで人・車を動かす|シーンに動きを与える

編集部 読了 約10分

建築パースは寸法も素材も正確なのに、どこか「その場所で人が暮らしている感じ」が伝わりにくいことがあります。人の気配や車の流れといった動きがないと、空間のスケール感(大きさの感覚)がつかみにくいためです。Twinmotion(Epic Games製の無料リアルタイムレンダラー)には、この動きを足す道具が2つ用意されています。ドアや設備を動かすAnimatorと、歩行者や車をパスに沿って流すPathsです。

この記事では、Animatorでドアや窓を開閉させる方法と、Pathsで人・車を走らせる方法、そして2つの使い分けを手順で解説します。カメラを動かして動画に書き出す工程は別の記事にゆだねて、ここでは「シーンの中に動きを仕込む」ところまでを扱います。

AnimatorとPathsの違い|「モノを動かす」と「人・車を流す」

Animatorは「すでにシーンに置いた物体を動かす」道具、Pathsは「人や車をパスに沿って流す」道具です。作りたい動きがどちらなのかで、開くツールが決まります。この役割分担を先に押さえておくと、あとの操作で迷いません。

Animatorが担う動き(開閉・移動・分解)

Animatorは、シーンにすでに配置した物体へ動きを与える道具です。動かす対象はドア・窓・エレベーター・可動設備など、そこに置いてある物体に限られます。

動きの型は、直線移動のTranslator、回転のRotator、分解表示のExploderの3種類です(Animator Tools in Twinmotion、2026年7月10日確認)。詳しい使い分けは次のセクションで説明します。ここで大事なのは、Animatorは「新しく人や車を生み出す道具ではない」という点です。人や車をシーンに増やしたいときは、次に説明するPathsを使います。

Pathsが担う動き(歩行者・車の交通表現)

Pathsは、経路(パス)を描いて人・自転車・車を流す道具です。Pathsタブの機能で、characters(人)/bicycles(自転車)/vehicles(車)や任意のアセットを乗せた、動くパスを作成できます(Populating Scenes in Twinmotion、2026年7月10日確認)。

用意されている経路は、歩行者用のCharacter path、車両用のVehicle path、任意アセット用のCustom pathです。道路や歩道のラインに沿わせて、交通や賑わいを演出するときに使います。たとえば商業施設のエントランス前に人の流れを足すと、それだけで「利用されている建物」という印象が生まれます。

道具動かす対象動きの種類主な用途UI上の場所
Animatorすでに配置した物体開閉・移動・回転・分解ドア/窓/設備/分解図Library > Tools > Animators
Paths人・自転車・車パスに沿った移動歩行者・交通・賑わいPaths タブ

この表のとおり、動かしたいのが「置いてある物体」ならAnimator、「通行する人や車」ならPathsと覚えておくと、目的から逆算して道具を選べます。

Animatorでドア・設備を動かす

Animatorは、動かしたい物体をAnimatorの子(下の階層)に入れて、動き方を数値で決めるだけで動きます。キーフレーム(動きの節目を1コマずつ指定する情報)を手で打つ必要はありません。ドアの開閉なら、回転を担うRotatorを選びます。

3種類のAnimator(Translator/Rotator/Exploder)の使い分け

どの動きにどのAnimatorを選ぶかは、動きの性質で決まります。選び方を間違えると、開き戸を無理に直線移動させるような不自然な見え方になってしまいます。

Translatorは直線移動を担い、引き戸・昇降設備・スライドドアに向いています。動かす距離は数値で指定します。Rotatorが得意なのは回転で、開き戸・窓・可動アームに使います。こちらは開く角度を数値で決めます。Exploderは部材を分解して見せるビューで、納まり(部材の組み合わさり方)を段階的に説明したいときに使います。動きの緩急は、始めと終わりをなめらかにするかどうかといったeasing(イージング=速度変化の付け方)の設定で選べます。

AnimatorをScene graphでオブジェクトの親にする

Animatorを効かせるうえで、いちばんつまずきやすいのがここです。Animatorは自分の直接の子(direct children)だけをアニメートするため、動かすパーツをAnimatorの真下に入れ子(下の階層に置くこと)にしておく必要があります(Animator Tools in Twinmotion、2026年7月10日確認)。

手順は3ステップです。まず動かす対象をシーンに配置します。次にLibrary > Tools > Animatorsから使いたいAnimatorをシーンにドラッグします。最後にScene graph(シーンの階層を管理するパネル)で、動かすパーツをAnimatorの直下へ移動させます。

ドアが複数のパーツでできている場合、全パーツをAnimatorの下にまとめておかないと、一部だけが取り残されて動きます。動かないパーツがあるときは、まずこの親子関係を疑うと解決が早いです。

Propertiesで動く量とループを整える

動きの量と反復のしかたは、Properties(設定)パネルで整えます。ここを調整しないと、ドアが一度開いたきり閉じない、といった見せ方になってしまいます。

主な設定は、動く量(移動距離や回転角度)と、反復のしかたを決めるLoop modeです。Loop modeにはOnce(1回だけ)/Loop(同じ動きを繰り返す)/Oscillate(往復する)があります。

ドアの「開いて閉じる」演出には、往復のOscillateが向いています。Loopを選ぶと開く動作だけが繰り返され、開きっぱなしを何度も再生する不自然な動きになるためです。さらにStart delay(開始の遅延)で動き出すタイミングをずらせば、複数のドアを時間差で開閉させて、単調さを避けられます。

設定役割使いどころ
移動距離/回転角度動く量を決めるドアの開く角度、引き戸のスライド量
Loop mode反復のしかた開閉往復はOscillate、常時回転はLoop
Start delay動き出しの遅延複数の設備を時間差で動かす
easing速度変化の付け方開き始めと閉じ際をなめらかにする

Pathsで歩行者と車両を動かす

Pathsは、pen tool(点をクリックしてつなぎ、線を引く道具)で経路を描き、そこに人や車を乗せるだけで交通が生まれます。歩行者はCharacter path、車はVehicle pathと、乗せる対象で道具が分かれています。自転車や任意のアセットを流すこともできます。

パスを描く(pen toolでポイントを打つ)

すべてのパスに共通する操作が、pen toolで点を順に打って線を引くことです。道路の中心線や歩道のラインに沿ってクリックしていくと、その形に沿った経路ができあがります。

始点まで戻して経路を閉じると、ループ経路になります。人や車がその周回路をぐるぐると回り続けるため、交差点まわりや広場の常時の賑わいを作りたいときに向いています。片道の動線を見せたいときは、閉じずに始点と終点を離したまま描きます。

Character pathで歩行者を歩かせる

歩行者を配置したいときは、Character pathを選んで人の動線に沿ってパスを描きます。すると経路上に歩行者が並び、歩行アニメーションで移動します。歩道・エントランス・広場など、実際に人が通る場所に沿わせると、生活感が自然に出ます。

乗せるキャラクターは、ライブラリのアセットから差し替えられます。オフィスの前ならビジネス風、住宅街なら家族連れといったように、建物の用途に合わせて人を選ぶと、シーンの説得力が上がります。

Vehicle pathで車を走らせる

車を走らせたいときは、Vehicle pathを選んで車道に沿ってパスを描きます。経路上を車が走行し、車種はライブラリのアセットから選んで差し替えられます。前面道路に数台流すだけで、建物と街との関係が伝わりやすくなります。

なお、建設車両で施工の進み方を時系列に見せる4D工程は範囲外で、Twinmotionの4D施工フェーズ(Phasing)で解説しています。この記事で解説するのは、通行する乗用車の交通表現までです。

密度・速度・ばらつきを調整する

交通量や人出は、配置の設定でコントロールできます。数を絞れば静かな住宅街、増やせば賑わう商業エリアと、同じパスでも印象を作り分けられます。

配置数はCount(1〜100)で決めるか、間隔をDistance(100〜1000cm)で指定します(Spacing and Area Tools in Twinmotion、2026年7月10日確認)。Random seedやRandom orderで並びをばらけさせると、機械的な等間隔を避けられて自然に見えます。経路の曲がり具合はPath tension(1〜100%)で調整します。

移動の速さも各パスで変えられます。ピーク時の交通や、ゆっくり歩く広場の人出など、シーンの雰囲気に合わせて速さを整えられます。速度はおおむねkm/h基準で指定しますが、正確な項目名はお使いのバージョンのPropertiesで確認してください。

建築プレゼンで動きを効かせるコツ|編集部の見解

動きは多いほど良いわけではありません。人や車を入れすぎると視線が散り、肝心の建築そのものが伝わらなくなります。動きは「スケール感」と「視線誘導」のために最小限にとどめるのが、プレゼンでの使いどころです。ここは手順だけでは見えにくい、動きの入れ方についての編集部の見解としてまとめます。

人・車は控えめに、スケールと生活感のために置く

人や車は、建物の大きさを測る基準として効きます。人が1人立っているだけで、扉や天井の高さが直感的に伝わるためです。だからこそ数を絞るほど、建築が主役のまま保てます。

編集部の所感として、まずはエントランス付近に数人、前面道路に数台程度から始めるのが扱いやすいと考えます。そのうえで、賑わいを見せたい商業系の案件だけ密度を上げていくと、画面が破綻しにくくなります。最初から人と車を大量に置くと、調整に時間を取られるうえ、視線の主役が定まらなくなりがちです。

動きは視線誘導とタイミングで設計する

動きは、見てほしい場所へ視線を導く手段としても使えます。エントランスの自動ドアの開閉や、アプローチを歩く人の流れは、そのまま建物の入口へ視線を集める働きをします。

複数の動きを同時に走らせると、いっせいに動いて不自然に見えることがあります。AnimatorのStart delayやLoopの設定でタイミングをずらすと、この同時多発を避けられます。動きを「いつ・どこで起こすか」まで設計すると、プレゼンとしての完成度が上がります。

動きを付けた先|動画・プレゼンへ活かす次の一歩

シーンに仕込んだ動きは、そのままでは相手に渡せません。動画に書き出すか、プレゼンとしてまとめる工程が、このあと別に必要になります。目的に応じて、次の一歩の進め先が変わります。

目的別の次の一歩(動画化・4D・全体像)

カメラを動かして動画として書き出したい場合は、その手順をTwinmotionでウォークスルー動画を作るで解説しています。ここで作った人や車の動きを、カメラワークと合わせて1本の映像に仕上げる工程です。

建設車両や施工の進み方を時系列で見せたい場合は、4D工程を扱うTwinmotionの4D施工フェーズ(Phasing)へ進みます。道具全体の位置づけやTwinmotionの導入から知りたい場合は、Twinmotionとは?Unreal Engineベースの建築レンダラー徹底ガイドを入口にしてください。

まとめ

Twinmotionでシーンに動きを足す道具は2つあります。ドアや設備を動かすAnimatorと、人・車を流すPathsです。作りたい動きが「置いてある物体」か「通行する人・車」かで、開く道具が決まります。

Animatorは、動かすパーツをScene graphでAnimatorの直下に入れ子にしたうえで、Translator(移動)/Rotator(回転)/Exploder(分解)から選んで使います。ドアの開閉往復には、Loop modeのOscillateが向いています。Pathsは、pen toolで経路を描き、Character pathで人を、Vehicle pathで車を乗せて、Countなどで密度を整えます。そして動きは入れすぎず、スケール感と視線誘導のために最小限にとどめるのが、プレゼンで効かせるコツです。