Twinmotion Cloudでオンライン共有|3D・パノラマをステークホルダーに届ける
離れた場所にいる施主やチームに、作った3Dパースを「自分で歩いて確かめてもらいたい」と思ったことはないでしょうか。Zoom(オンライン会議ツール)の画面共有だと、視点を動かせるのは自分だけ。相手は用意した角度を眺めるだけになりがちです。Twinmotion Cloud(Twinmotionのシーンをクラウドに公開して共有する機能)を使えば、相手はソフトを一切持っていなくても、送られてきたリンクを開くだけで空間の中を自由に歩けます。
この記事では、Twinmotion Cloudでできる共有の全体像から、フルナビゲート可能な3D共有(プレゼンテーション)、360度パノラマセットの共有、そして実際にリンクを配るまでの手順を解説します。数値や仕様はEpic Games公式ドキュメント(2026年7月時点)にもとづいて確認しました。パノラマそのものの作り方は範囲が広いため、Twinmotionのパノラマ書き出し手順に切り分けています。
Twinmotion Cloudでできるオンライン共有の全体像
Twinmotion Cloudで共有できるのは「プレゼンテーション」と「パノラマセット」の2種類で、どちらもリンクかQRコードで相手のブラウザに届きます。相手側にTwinmotionのインストールは不要です。まずはこの2形式と、費用の前提を押さえておくと迷いません。
共有できるのはプレゼンテーションとパノラマセットの2種類
Twinmotion Cloudが扱う共有形式は、フルナビゲート型の「プレゼンテーション」と、360度ビューをつなぐ「パノラマセット」の2種類です(An Overview of Twinmotion Cloud、2026年7月時点)。プレゼンテーションは画像・動画・シーケンス・パノラマをまとめて1つに束ね、閲覧者がシーンの中を自分のペースで歩けます。パノラマセットは事前に生成した最大100枚の360度パノラマを、クリックで移動できる形につないだものです。
この2つは「どこまで自由に動けるか」で選び分けます。空間全体を歩き回って見せたいならプレゼンテーション、決めた見どころだけを確実に、通信が不安定な現場でも見せたいならパノラマセットが向いています。なお、Twinmotion側には素材やレイアウトのバリエーションを切り替える機能もありますが、Cloud共有の独立した形式としては公式に位置づけられていないため、この記事では上記2種類に絞って扱います。
共有はリンクとQRコードで完結する
相手に渡すのはリンクかQRコードだけで、専用ソフトのインストールもアカウント作成も相手側には必要ありません。たとえば遠隔地の施主にリビングのパースを見せたいとき、公開して生成された共有リンクをメールやチャットで送れば、相手はスマートフォンでそのまま空間に入れます。打ち合わせの現場では、印刷資料にQRコード(読み取ると共有ページが開く二次元コード)を載せておくと、参加者が各自の端末で開けます。
「リンクを送るだけ」で完結するので、大きなファイルを転送したり、ビューアの使い方を説明したりする手間がありません。ソフトを持たない相手にこそ効く共有方法といえます。
公開物はWeb Driveというクラウド上の場所で管理する
Cloudに上げたプレゼンテーションやパノラマセットは、Web Drive(Twinmotion Cloud上の管理スペース)にまとまります。ここが公開物の拠点で、プレビュー・整理・共有リンクの発行をすべてWeb Driveから行います(Sharing Content from the Web Drive、2026年7月時点)。
案件ごとに複数の公開物が増えていっても、Web Driveで一覧管理できるため、どのリンクがどの案件のものかを見失いにくくなります。共有をやめたいときも、ここから公開を取り下げれば済みます。
Cloudへの公開は有料シートに含まれる機能
Twinmotion本体はEpic Games製で無料ですが、Twinmotion Cloudへの公開は有料シート(有料の利用枠)に含まれる機能である点は、先に知っておきたいところです。公式のライセンス方針では、一定より新しいリリースからCloud公開に有料シートが必要とされており、無料で本体を使える対象者であっても、Cloud公開だけは有料の枠が必要です。
料金の金額や購入方法はここでは扱いません。最新の条件はTwinmotion公式ライセンスページ(2026年7月時点)で確認してください。公開する側はEpicアカウント(Epic Gamesの共通アカウント)でのログインが必要になる点も、あわせて覚えておくと準備がスムーズです。
フルナビゲート可能な3D共有(プレゼンテーション)
プレゼンテーションは、クラウド上のGPUで描いた映像をそのまま配信し、相手が自分の端末で空間を自由に歩ける形式です。端末の性能に左右されにくく、スマートフォンでも同じシーンを操作できます。
クラウドから3Dをリアルタイム配信する仕組み
プレゼンテーションの中身は、クラウド上のGPU(映像を描く高性能な演算装置)で描画され、ピクセルストリーミング(クラウド側で描いた映像を動画のように端末へ送る仕組み)で届きます(Overview、2026年7月時点)。重い3D計算は相手の端末ではなくクラウド側で処理されるため、受け手は高性能なパソコンや大容量のダウンロードを用意しなくても、Twinmotionと同じ操作感でシーンを動かせます。
これが「なぜソフトなしで3Dが動くのか」の答えです。相手の手元では映像を受け取って表示しているだけなので、古いノートパソコンでも、タブレットでも、同じ品質のシーンに入れます。配信の解像度そのものは公式に明記されていないため、この記事では具体的な数値の断定は避けます。
相手はPC・タブレット・スマホのブラウザで自由に歩ける
閲覧に必要なのはWebブラウザだけで、Google Chrome・Apple Safari・Firefox・Microsoft Edge(Chromium版)に対応します。動く端末はAndroid・iOS・macOS・Windowsと幅広く、ワークステーションからノート、タブレット、スマートフォンまでカバーします(Overview、2026年7月時点)。快適に見るには25Mbps以上の通信速度が推奨されています。
大人数への同時共有にも対応しており、公式ドキュメントでは1つのプレゼンテーションを最大100人が同時に閲覧できるとされています。施主・設計・施工の関係者それぞれに同じリンクを配り、各自の端末で確認してもらう使い方も無理がありません。
時間帯や表現モードを閲覧者側で切り替えられる
閲覧者は、こちらが用意した視点をなぞるだけでなく、光や見え方を自分で変えられます。時刻(Time of day)を動かせば、同じリビングを朝・昼・夕方の光で見比べられます。歩く速度もInspectからFlyまで段階的に切り替えられ、細部をじっくり見るのも、建物全体を上空から見渡すのも閲覧者しだいです。
たとえば施主が自分のスマートフォンで「南向きの窓からの光が夕方どう入るか」を、その場で時刻を動かして確認できます。レンダリングモードの切り替えや施工段階(Phasing)の表示切り替えにも対応するため、質感や工程を相手主導で見てもらえます。用意した1カットを説明するのではなく、相手が納得するまで触れる点が、静止画パースにはない価値です。
セッション時間と再接続の仕組み
プレゼンテーションの1回の閲覧には時間の区切りがあり、公式ドキュメントには「A Presentation cannot be opened for more than 60 minutes」(1回に開けるのは最長60分)と明記されています(Overview、2026年7月時点)。また、30分間操作がないとセッションは切断されます。切れても「Reconnect」で再接続できるので、見終わって放置しても、また開き直せば続きを確認できます。
この60分という区切りは、長時間の一方的なプレゼンよりも、相手が主体的に触れる短めのセッションに向いた設計だと読み取れます。打ち合わせで長く見せたい場合は、リンクを開き直してもらう前提で進めると安心です。
パノラマセットのCloud共有
パノラマセットは、事前に生成した360度ビューをつないで見せる、軽くて安定した共有形式です。プレゼンテーションのように空間を歩き回ることはできませんが、通信が弱くても見られてセッション時間の制限がないため、現場や出先での確認に向いています。
事前生成した360度ビューをホットスポットでつなぐ
パノラマセットは、決めた撮影地点で作った360度パノラマを最大100枚まで1セットにまとめ、その場に立って周囲を見回すように閲覧できる形式です(How To View Panorama Sets、2026年7月時点)。見どころをあらかじめ固定するので、「ここは必ず見せたい」という視点を確実に届けられます。
視点から視点への移動は、ホットスポット(画面内に置かれた移動用のマーカー)で行います。玄関のパノラマに置いたホットスポットをタップすると、リビングのパノラマへ切り替わる、といった具合です。マウス・キーボード・トラックパッド・タッチ操作に加え、スマートフォンなら端末を傾けるだけでも見回せます。
通信が弱くても見られてセッション時間の制限がない
パノラマセットは事前に生成した静止画をベースにするため、リアルタイム配信のプレゼンテーションより軽く、強い通信を必要としません。プレゼンテーションのような60分の区切りもなく、じっくり時間をかけて見てもらえます。
たとえば電波の弱い建設現場のタブレットで、施主に完成イメージを見せたい場面。フルナビゲートの3D配信だと通信が不安定になりがちですが、パノラマセットなら固定した見どころを安定して表示できます。「歩き回る自由」より「どこでも確実に見られること」を優先したいときの選択肢です。なお、パノラマそのものの作り方や解像度の設定はTwinmotionのパノラマ書き出し手順で解説しています。
共有手順:Web DriveへアップロードしてURLを配る
共有の流れは「クラウドへ上げる → 渡し方を選ぶ → 相手に届ける」の3ステップです。アップロードにはEpicアカウントが必要で、ファイルには上限があります。渡し方はリンク・QR・埋め込みの3通りから、相手の状況で選びます。
Push to Cloudで手早く公開する
いちばん手早い公開方法は、Twinmotion上の「Push to Cloud」ボタンです。ワンボタンでシーンをCloudへ送り、公開できます。プレゼンテーションやパノラマセットを個別に作ってからアップロードもできます。公開する側はEpicアカウントでのログインが前提になります。
アップロードできるファイルには4GBの上限があり、これはTwinmotionシーンとシーン内のアセット(モデルや素材データ)を合わせたサイズです(Overview、2026年7月時点)。大規模なシーンで上限に近づいたときは、Cloud上のテクスチャ(表面の質感画像)が2Kに制限される点も踏まえ、素材の重さを見直すと公開が安定します。
リンク・QRコード・埋め込みコードを使い分ける
渡し方は3通りあり、相手との距離や見せる場所で選びます。遠隔の相手には、メールやチャットで送れる共有リンクが手軽です。対面の打ち合わせやショールームでは、印刷資料に載せるQRコード(PNG画像で書き出せます)が向きます。自社サイトに載せたいなら、自動生成されるHTML埋め込みコードが使えます。埋め込みはレスポンシブなiframe(別ページの内容を自分のサイト内に表示する枠)として動くため、ページの幅に合わせて表示が調整されます。
パノラマセットでは、特定の視点だけを直接開くQRコードやリンクも作れますが、これらはセットを作った本人がWeb Driveから開いたときにだけ表示されます(Sharing Content from the Web Drive、2026年7月時点)。共有リンク経由で見ている相手側には出てこないため、視点単位のQRを配りたいときは作成者が自分で取得しておきます。
パスワード保護で閲覧範囲を絞る
公開リンクにはパスワードを設定でき、渡した相手だけに閲覧を限定できます。設定はSettings(設定)のSharing(共有)項目から、パスワード保護の有効・無効の切り替えや、新しいパスワードの再発行を行えます。
たとえば発表前のコンペ案や、契約前の提案パースは、パスワード付きのリンクで社内や施主に限定共有すると安心です。リンクが第三者に転送されても、パスワードを知らなければ中身は開けません。公開範囲を絞りたい案件では、共有リンクを作った時点でパスワードを付ける運用にしておくと取りこぼしがありません。
Twinmotion Cloudの共有についての編集部の見解
公式ドキュメントを読み解くと、Twinmotion Cloudの共有で実務に活きてくるのは「相手の環境を選ばないこと」だと感じます。先に触れたとおり、受け手はソフトも高性能なパソコンも不要で、リンクを開くだけで済みます。この手軽さが、施主や社内の非設計メンバーへ3Dを届けるときの心理的なハードルを大きく下げます。
プレゼンテーションとパノラマセットの使い分けは、通信環境で判断するのが現実的でしょう。オフィスや自宅の安定した回線で、光や質感まで相手に触ってもらいたいならプレゼンテーション。25Mbps以上を確保できる環境が前提になります。一方、電波が読めない出先や現場では、軽くてセッション時間の制限もないパノラマセットのほうが取りこぼしがありません。
制約として押さえておきたいのは、さきに触れたプレゼンテーションの60分の区切りと、Cloud公開が有料シート範囲である点です。長い打ち合わせでは再接続を前提に組み、費用の条件は公式ライセンスページで事前に確認しておく。この2点を織り込んでおけば、当日に慌てずに済みます。ソフトを持たない相手へ3Dを届ける手段として、いま使いやすい選択肢のひとつだと考えています。
応用シーン・次の一歩
共有先の状況に合わせて、プレゼンテーション・パノラマ・VR・動画を使い分けるのが実務の勘所です。遠隔の施主提案から社内レビュー、VRでの没入体験まで、場面ごとに向いた形式が変わります。
設計提案・施主プレゼンでの活用シーン
とくに効くのは、遠隔の施主への提案です。図面や静止画パースだけでは伝わりにくい広さや光の入り方を、相手が自分の端末で歩いて確かめられます。社内レビューでも、リンクを配れば各メンバーが好きな時間に確認でき、会議のためだけに全員の予定を合わせる必要が減ります。
コンペや競技設計では、審査員に事前にパスワード付きリンクを渡しておく使い方も考えられます。プレゼン当日にソフトを立ち上げる緊張から解放され、相手も自分のペースで空間を確認できるため、提案の理解が深まります。共有を取り入れた事務所と、静止画だけで提案する事務所とでは、施主の腹落ちのしやすさに差が出てくるはずです。
VRでのパノラマ体験へ広げる
パノラマセットは、VRヘッドセット(Meta Questなどの頭に装着する没入型ディスプレイ)でも閲覧でき、より没入感のある体験に広げられます。ホットスポットで視点を移動する操作はそのまま活き、施主に「実際にその場に立った感覚」で空間を確かめてもらえます。
ショールームや事務所にVR機器を用意しておけば、来訪した施主にその場で体験してもらう提案が可能です。VRでの見せ方の詳しい手順はTwinmotionのVRウォークスルーで解説しています。
動画やローカルプレゼンとの使い分け
すべてをCloud共有でまかなう必要はありません。ネット接続を前提にできない対面の場では、手元のパソコンだけで動かせるTwinmotionのPresenterによるローカルプレゼンが確実です。記録として残したい、あるいは資料として配布したい場合は、Twinmotionのウォークスルー動画で書き出した動画ファイルが向いています。
Cloud共有は「相手に触ってもらう」、動画は「決めた見せ方を配る」、Presenterは「ネットなしの対面で見せる」と役割が分かれます。案件ごとに、相手の環境と見せたい深さで組み合わせるのが実務的です。
まとめ
Twinmotion Cloudを使えば、ソフトを持たない施主や関係者に、リンクかQRコードを送るだけで3Dパースを届けられます。共有形式はフルナビゲート型のプレゼンテーションと、通信が弱くても見られるパノラマセットの2種類で、どちらもPC・タブレット・スマートフォンのブラウザで閲覧できます。
プレゼンテーションはクラウドのGPUで描いた映像をピクセルストリーミングで配信するため、相手の端末性能に左右されにくい形式です。ただし1回の閲覧は最長60分という区切りがあります。パノラマセットには時間の制限がなく、現場や出先での確認に向きます。共有はWeb Driveへアップロードし、リンク・QR・埋め込みの3通りから相手に合わせて渡す流れで、未公開案件はパスワード保護で範囲を絞れます。Twinmotion本体は無料ですが、Cloud公開は有料シートに含まれる機能で、公開にはEpicアカウントが必要になります。最新の料金条件は公式ライセンスページで確認してから運用を始めてください。