Twinmotionのインポートと再インポート|FBX/OBJ取り込みと上書き更新のコツ
Twinmotionのインポートと再インポート|FBX/OBJ取り込みと上書き更新のコツ
Twinmotion(Epic Games製・完全無料のリアルタイムレンダラー)へモデルを持ち込む方法は、大きく2種類あります。ひとつはDatasmith Direct Linkによるライブ同期、もうひとつがFBXやOBJといったファイルでの取り込みです。とくにFBX/OBJでの取り込みは、モデルを更新して再インポート(読み込み直し)したときに「Twinmotion側で当てたマテリアルや配置がリセットされてしまう」というつまずきが起きやすい部分です。
この記事では、FBX/OBJで取り込むべき場面の見分け方、対応ファイル形式の違い、インポートの手順とオプション、そして上書き再インポートでオーバーライド(Twinmotion側で加えた変更)を保つ階層のしくみまでを解説しています。あわせて、2026.1で標準になった新しい取り込みパイプライン「Interchange」も取り上げます。掲載する仕様はいずれもEpic公式ドキュメントで2026年7月時点の内容を確認したものです。
FBX/OBJでの取り込みは「Direct Linkが使えないデータ」の受け皿
FBX/OBJのインポートは、Datasmith Direct Linkが使えないデータのための手段です。対応する設計アプリを使っているなら、まず検討したいのはDirect Linkのライブ同期で、FBX/OBJはそれが選べないときの受け皿と考えると整理しやすくなります。
Direct Linkが使えるならライブ同期が基本
RevitやSketchUp、Rhino、Archicadなど公式プラグインが用意されたソフトは、Datasmith Direct Linkでつなぐのが基本です。Direct Linkは設計アプリ側の変更をTwinmotionへ数秒で反映するライブ同期のしくみで、モデルを直したいたびにファイルを書き出す手間がかからないからです。打ち合わせ中にその場で修正を見せたい建築の現場では、この即時反映が効いてきます。
Direct Linkの設定や同期の反映のさせ方は、Datasmith Direct Linkでライブ同期する方法で解説しています。使っているソフトがDirect Linkに対応しているなら、まずそちらを読むほうが近道です。
FBX/OBJが必要になる場面
一方で、Direct Linkの対応プラグインがないソフトや、外部から受け取ったデータではFBX/OBJの出番になります。たとえば連携プラグインの用意されていないCADから書き出したモデル、素材配布サイトでダウンロードした家具や樹木のFBX、協力会社から共有された中間ファイルなどです。
こうしたデータは、いったんFBXやOBJに書き出してTwinmotionへ読み込みます。ライブ同期はできませんが、あとで説明する再インポートを使えば、更新分だけを反映しながら作業を進められます。「同期は使えないけれど更新は反映したい」というときの現実的な進め方になります。
Twinmotionが読み込める形式|preferredとacceptedの違い
Twinmotionが読み込める形式は、取り込んだときに「階層とマテリアルが残るか」で大きく2グループに分かれます。FBX/OBJは階層とマテリアルを保てるグループに入るので、建築モデルの取り込みに向いています。
preferred形式(FBX/OBJ/SKP/C4D)は階層とマテリアルを保つ
IMAGINiTの解説によると、preferred(推奨)とされる形式は、取り込み時にモデルの階層・ジオメトリ・マテリアル情報を保持します(IMAGINiT: Autodesk to Twinmotion Preferred and Accepted File Formats、2026年7月時点)。FBX・OBJ・SKP(SketchUp)・C4D(Cinema 4D)がこの推奨グループです。
階層が保たれるとは、壁・床・家具といったオブジェクトが分かれたまま入ってくるということです。マテリアルも個別に付いてくるので、Twinmotionで一部だけ差し替える、といった調整がしやすくなります。建築モデルのように部位ごとに素材を変えたいデータでは、この違いが作業のしやすさを左右します。
accepted形式(STL/PLY/DXFなど)は単一オブジェクトになる
これに対してaccepted(対応)とされる形式は、マテリアルを持たず、全体がひとつのオブジェクトとして入ってきます。3DS・DAE・DXF・STL・PLY・WRL・Xなどがこのグループで、割り当てられるマテリアルは全体でひとつだけになります。
つまりSTLやDXFで取り込むと、あとから部位ごとに素材を変える作業が難しくなります。部位ごとに質感を分けたいなら、書き出し元のソフトでFBXやOBJを選べないかを先に確認しておくと、Twinmotion側でのやり直しを避けられます。Twinmotionが読み込める形式はほかにDatasmith(.udatasmith)やglTF/glBもあり、これらは光の情報まで持ち込めます(Epic: Import Process in Twinmotion、2026年7月時点)。
FBX/OBJをTwinmotionにインポートする手順
取り込み自体は、ファイルを指定してオプションを選ぶだけの操作です。ただしオプションの選び方で、取り込んだあとの調整の手間が大きく変わります。
取り込みの基本操作
FBX/OBJを読み込むには、Import(インポート)ドックにファイルを追加します。ファイルを選ぶとインポートオプションのウィンドウが開き、そこで階層や単位などの扱いを決めてから取り込みを実行します。取り込まれたモデルはImportドックに一覧として並び、あとで一つずつ再インポートできるように管理されます。
Twinmotionを触るのが初めてで、インストールから初回レンダリングまでの流れを一度通しで確認したい場合は、Twinmotionの基本ワークフロー入門を先に読むと全体像がつかめます。
押さえておきたいインポートオプション
インポートオプションはいくつもありますが、建築モデルで効いてくるのは階層・単位・向きまわりです。主なものをまとめます(Epic: Import Options in Twinmotion、2026年7月時点)。
| オプション | 役割 | 選び方のめやす |
|---|---|---|
| Keep hierarchy / Collapse all | 階層を保つか、全体を1つにまとめるか | 部位ごとに素材を変えたいならKeep hierarchy |
| Unit conversion | 取り込み時の単位・スケール(Autoで自動判定) | サイズが合わないときに見直す |
| Up axis | どの軸を上向きにするか(Auto/X・Y・Z) | 横倒しで入ったときに調整 |
| Full precision normals / UVs | 陰影・反射やUV配置の精度を上げる | 反射や質感が乱れるとき |
| Enable Nanite | 高密度ジオメトリの最適化 | ポリゴンの多いモデルで有効 |
| Two sided geometry | 表裏で見え方が違う面の扱い | 薄い板状の面が抜けるとき |
| Enable substitution | CSVで元マテリアルをTwinmotion素材に置換 | 素材の一括差し替えをしたいとき |
とくに重要なのがKeep hierarchyです。ここでCollapse all(全体を1つにまとめる)を選ぶと、部位ごとの素材差し替えができなくなります。建築モデルでは、階層を保ったまま取り込んでおくと後の調整が楽になるので、迷ったらKeep hierarchyを選んでおくと安心です。単位がずれてモデルが極端に大きく(小さく)入る場合は、Unit conversionをAutoにするか、書き出し元の単位に合わせて指定し直します。
上書き再インポートでオーバーライドを保つしくみ
再インポートで調整が消えるかどうかは、親子階層のどこを触ったかで決まります。Twinmotionは「Twinmotion側で上書きした子の設定」を保持し、DCC(元の設計アプリ)側で変えた親の内容を反映する、という優先順位で動きます。ここを理解しておくと、マテリアルが飛ぶ事故をかなり防げます。
再インポートの2つの方法
再インポートには2つのやり方があります(Epic: Reimporting Content Into Twinmotion、2026年7月時点)。ひとつはImportドックでファイルにカーソルを合わせると出るRefresh(更新)アイコンで、これは前回と同じソースファイル・同じインポートオプションで読み込み直します。形状だけ直して同じ設定で入れ替えたいときの、いちばん手早い方法です。
もうひとつは「…」メニューのFile settingsから開くインポートウィンドウで、こちらは同じファイルでも別ファイルでも選べ、オプションも変更できます。書き出し元を差し替えたときや、取り込みオプションを見直したいときはこちらを使います。
親子階層でオーバーライドの残り方が決まる
再インポートの挙動は、階層の上位が優先されるルールで決まります。Twinmotionは、Twinmotion側で上書きした子プロパティを保持し、DCC側で変えた親レベルの変更を反映します(Twinmotionで親を上書きしていない限り)。上位の要素が下位より優先される、と覚えておくと迷いません。
ここで注意したいのが、子を上書きしたあとにDCC側で親そのものを作り替えたケースです。たとえばTwinmotionでオブジェクトのマテリアルを差し替え(子の上書き)、その後に元データ側でマテリアルそのものを別物に変えてしまうと、再インポート時にTwinmotion側の上書きは失われます。逆に、スケールをTwinmotionで上書きしていれば、DCC側のスケール変更は無視され、回転など上書きしていない項目だけが反映されます。「Twinmotionで固定した項目はDCCの同じ項目より強い」と理解しておくと、結果を予測しやすくなります。
マテリアルを守るための実務的な進め方
この挙動をふまえると、マテリアルを守るコツは「Twinmotionで当てた箇所は、元データ側で作り替えない」に尽きます。素材はTwinmotionで、形状の修正は元データで、と役割を分けておくと、再インポートで素材だけ飛ぶ事故が起きにくくなります。
もし取り込み直しで意図せず素材が乱れたときは、対象を選んでReset materials on selection(選択物のマテリアルをリセット)で取り込み時の状態に戻し、あらためて当て直せます。作業前にプロジェクトを保存しておけば、再インポートの結果が想定と違っても一手戻せるので安心です。
Interchangeパイプラインで再インポートの精度が上がる
FBX/OBJの取り込みは、2026.1で新しいパイプライン「Interchange」が標準になりました。Epicは従来の取り込みしくみから、独自のInterchangeパイプラインへ段階的に移行を進めており、その最初の対象がFBXとOBJです(Epic: Twinmotion 2026.1 Release Notes、2026年7月時点)。
公式によれば、Interchangeの利点は初回インポートの再現性に加えて、オーバーライドを加えたオブジェクトを含むシーンの再インポートを、より正確に制御できる点にあります。前のセクションで見た「上書きを保ちながら更新を反映する」場面で効いてくる改良です。従来の挙動に戻したいときは、Preferences(環境設定)のImport>Settingsタブにある「Use legacy importer」にチェックを入れると、.fbxと.objだけ従来パイプラインで読み込めます。このチェックはプロジェクトを閉じても保持されるため、新パイプラインに戻すときは手動で外す必要があります。
新規に取り込みを始めるなら、まずは標準のInterchangeのまま進めるのが素直です。古いプロジェクトから引き継いだデータで取り込み結果が以前と変わって困る場合にだけ、legacy importerへの切り替えを検討すると良いでしょう。
FBX/OBJインポートを編集部が試してみました
編集部がFBXの再インポートを試してみました。まず簡単な建物モデルをFBXで取り込み、外壁と床にTwinmotionのマテリアルを当てたうえで、元データ側で窓の形状だけを変えて同じFBXを書き出し、Refreshで再インポートするという流れです。
このとき、外壁と床に当てたマテリアルは保持されたまま、変更した窓の形状だけが反映されました。公式ドキュメントが説明する「Twinmotion側で上書きした子は保持し、DCCの変更は反映する」という挙動と一致します。一方で、元データ側でマテリアルの割り当てそのものを組み替えてから再インポートすると、その部分だけ取り込み時の素材へ戻りました。素材はTwinmotionで、形状は元データで、と分担する進め方が理にかなっていると確認できた、というのが編集部の所感です。
活用シーンと次の一歩
FBX/OBJインポートと再インポートが効くのは、モデルの差し替えが繰り返し発生する場面です。たとえば施主との打ち合わせで外構だけ何度も作り直すとき、素材を当てたTwinmotionシーンを保ったまま、外構パーツだけFBXで入れ替えていけます。素材配布サイトのFBX家具を後から追加する、といった使い方も同じ流れです。
次の一歩として、使っているソフトがDirect Linkに対応しているなら、そちらへの移行も検討する価値があります。RevitのBIMモデルを連携したい場合はRevitからTwinmotionへBIMモデルを連携する方法、Rhinoやアルゴリズム設計から持ち込みたい場合はRhino・GrasshopperでTwinmotionを使う方法で、それぞれのライブ同期の進め方を解説しています。同期と再インポートを使い分けられるようになると、データの受け渡しで迷う場面がぐっと減ります。
まとめ
FBX/OBJでのTwinmotionインポートと再インポートの要点は、次の3つに集約できます。
- FBX/OBJはDirect Linkが使えないデータの受け皿。FBX・OBJ・SKP・C4Dは階層とマテリアルを保つpreferred形式で、部位ごとの素材調整に向く。
- 再インポートは上位優先の階層で動く。Twinmotionで当てた子の上書きは保持され、DCC側で親そのものを作り替えると失われる。素材はTwinmotion・形状は元データ、と分担するのが安全。
- 2026.1でFBX/OBJの取り込みが新パイプラインInterchangeへ移行し、初回・再インポートの再現性が向上。従来挙動へはUse legacy importerで戻せる。
Twinmotionは完全無料で始められるので、まずは小さなFBXを取り込み、素材を当てて再インポートする一連の流れを一度体験してみると、しくみが体でつかめます。データの入り口を押さえておけば、あとの表現づくりに集中できます。
建築知識の教科書