すべて見る
全て
3DCG · Twinmotion

Rhino・GrasshopperでTwinmotionを使う|Direct Link連携の実践

編集部 読了 約14分

RhinoやGrasshopperで設計した形を、そのままTwinmotionでリアルタイムに確認したいと考える方は多いはずです。Datasmith Direct Link(設計アプリとTwinmotionを開いたままつなぐライブ同期のしくみ)は、Rhinoの更新をそのままTwinmotion側の画面へ映す機能です。これを使えば、光や素材を確かめながら設計スタディを進められます。ただしGrasshopperで作った形は一手間が必要で、ここでつまずく方が少なくありません。

この記事では、Datasmith Exporter for Rhinoの導入から最初の接続、そしてGrasshopperのジオメトリを同期する勘所までを、実践手順として解説します。

Direct Linkそのものの汎用的なしくみや他の設計アプリとの共通点はDatasmith Direct Linkでライブ同期する方法にゆずり、ここではRhinoとGrasshopper固有のポイントに絞ります。数値・仕様は2026年7月時点の公式情報にもとづきます。

RhinoとTwinmotionをDirect Linkでつなぐ準備

Rhino連携は「Datasmith Exporter for Rhino」プラグインを入れれば、ワンクリックでTwinmotionへ同期できます。このプラグインがDirect Link機能を内蔵しており、Rhinoのモデルを取り込む役割と、変更を反映する役割の両方を担います。

項目内容
プラグイン名Datasmith Exporter for Rhino(Direct Link 内蔵)
対応 RhinoRhino 6〜8(Grasshopper を含む)
同期方式手動(Synchronize with Direct Link)/自動(Direct Link Auto Sync)
構造の保持グループ階層・コンポーネント・レイヤー・マテリアルを保持
複数ファイル複数の Rhino ファイルや他の Datasmith 対応アプリを1プロジェクトに混在同期

ソース: Datasmith Exporter for Rhino(Twinmotion 公式) / Datasmith Direct Link Workflow(Epic 公式)(いずれも 2026年7月時点)

Datasmith Exporter for Rhino を入れる

連携に必須のプラグインはRhino 6〜8に対応し、Grasshopperも同じプラグインでカバーされます。まずは自分のRhinoとTwinmotionの環境に合う版を、公式のプラグイン配布ページから入手します(出典: Twinmotion Plugins、2026年7月時点)。

ここで押さえておきたいのは、プラグインがTwinmotion本体のバージョンに対応づけて配布される点です。使っているTwinmotionにバージョンをそろえないとDirect Linkの接続がうまくいかない原因になります。特定の版番号を暗記するより「本体に合わせて選ぶ」という原則を覚えておくほうが、Twinmotionが更新されても迷いません(出典: Installing the Datasmith Plugin for Rhino(Epic 公式))。

たとえば住宅の外観スタディで、Twinmotion本体を上げたのにプラグインが旧版のままだと、接続アイコンが反応しないことがあります。本体を更新したらプラグインも同じ世代に合わせる、という組み合わせの確認を最初の1歩にしてください。

最初の接続を張る手順

接続はTwinmotion側とRhino側の2ステップで完了します。RhinoでモデルのシーンをひらいたままTwinmotionを起動し、まずTwinmotionにDirect Linkのソースを認識させてから、Rhino側で同期をかける流れです。

Twinmotion側の操作は、フッターの「Import」をクリックし、Importドックの「Import」アイコンから「Direct Link」タブを選びます。source欄にRhinoのファイル名が表示されたら、取り込みオプションを設定して「Import」を押します(出典: Datasmith Direct Link Workflow)。

続いてRhino側のDatasmithツールバーで「Synchronize with Direct Link」を押すと、モデルがTwinmotionへ流し込まれます。取り込み後もグループ階層・コンポーネント・レイヤー構造が保たれ、Twinmotion内で家具や外構などのオブジェクトを個別に動かせます。複数のRhinoファイルや他のDatasmith対応アプリを、同じTwinmotionプロジェクトに混在させて同期することもできます。

なお初回接続の前に、モデルを原点の近くに置き、Rhinoの単位(ミリかメートルか)を意図どおりに設定しておくと安心です。原点から極端に離れた座標や単位設定の食い違いは、Twinmotion側でのオブジェクトの浮きやスケール崩れの原因になります。

Grasshopperのジオメトリを同期する勘所

Grasshopperで作った形は「ベイク」してRhinoのオブジェクトに変えて初めて、Twinmotionに届きます。プレビュー表示のままでは同期されない、ここがRhino連携で最大の勘所です。

理由をしくみからつかんでおくと、後の作業で迷いません。Direct Linkが同期するのはRhinoドキュメント上の実オブジェクトだけで、Grasshopperの緑色のプレビューはドキュメントの実体ではないためです。

プレビュー形状はベイクしてから同期する

Grasshopperのプレビューは、あくまで画面上の仮表示です。ベイク(計算結果をRhinoの実オブジェクトに焼き付ける操作)して実体に変換しないと、Direct Linkの同期対象になりません。ベイクさえすれば、RhinoとGrasshopperのモデルを一度の操作でTwinmotionへ送れます(出典: Twinmotion Plugins)。

注意したいのは、パラメータを変えて形を作り直したときの反映です。スライダーを動かしてスタディをやり直しても、自動でTwinmotion側の形が置き換わるわけではありません。たとえばルーバーのピッチを120mmから90mmに詰めた場合は、再ベイクしてから同期をかけて、はじめて新しい形がTwinmotionへ届きます。「パラメータ調整→再ベイク→同期」という区切りを意識して回すのが基本です。

レイヤーで整理してからベイクする

実務では、ベイク先のレイヤーを用途別に分けておくと、Twinmotion側の仕上げがぐっと楽になります。Twinmotionはレイヤー構造を保持するため、外皮・ルーバー・地形・家具などをレイヤーで切り分けておけば、マテリアルや表示の切り替えがレイヤー単位で進められます。取り込み後は各オブジェクトを独立して調整できるので、レイヤー分けがそのまま編集の単位になります。

ベイクを手作業で何度も繰り返すのが負担なら、指定レイヤーへ属性付きで自動ベイクできる無料のGrasshopperプラグイン(Elefronなど)を使う手もあります。BakeNameを付けて同名のオブジェクトを再ベイクすると前回のベイクを置き換えてくれるため、パラメータを変えて作り直す作業のループを回しやすくなります(出典: eleFront(Food4Rhino))。必須ではなく、あくまで再スタディを効率化する任意の選択肢として押さえておくとよいでしょう。

マテリアルは Twinmotion の PBR に自動で置き換わる

Rhinoで割り当てたマテリアルは、Twinmotion側のPBRマテリアル(光の反射や質感を物理ベースで表現する素材設定)へ自動で再割当されます。このとき元のRhinoモデルは変更されないため、素材の見た目はTwinmotion側で安心して詰められます(出典: Twinmotion Plugins)。

実務では、仕上げをTwinmotion側のPBRで整える前提で考えると効率的です。Rhino側では細かな質感まで作り込まず、「面の割り当てをマテリアルごとに分けておく」ことに力を入れると、後工程での差し替えがスムーズになります。たとえば外壁と開口部の枠を別マテリアルにしておけば、Twinmotionで木目から金属へまとめて置き換える調整がしやすくなります。

変更を反映する2つの同期方法

更新の反映方法は「都度押す手動同期」と「変更を自動で流すAuto Sync」の2つです。Grasshopperを頻繁に作り直すなら、再ベイクの区切りに合わせて手動同期を押すほうが扱いやすくなります。

同期方法反映タイミング向くケース
手動(Synchronize with Direct Link)ボタンを押したときだけ反映Grasshopper を再ベイクしながら区切って反映したいとき
自動(Direct Link Auto Sync)変更のたびリアルタイムに反映Rhino で直接モデルを詰めて即座に確認したいとき

ソース: Datasmith Direct Link Workflow(2026年7月時点)

手動同期は、Rhino側ツールバーの「Synchronize with Direct Link」を押したときだけTwinmotionへ反映される方式です。押すまで反映されないぶん、意図しないタイミングで形が変わる心配がありません。

Grasshopperを使うスタディと特に相性がよい方式です。「再ベイク→手動同期」という区切りがはっきりするため、作りかけの中間形がプレゼン画面に流れ込むのを避けられます。コンペ用のビューをTwinmotionで固めながら、Rhino側で形を詰めるような場面で使いやすくなります。

Auto Syncを有効にすると、Rhinoシーンへの変更が都度リアルタイムでTwinmotionにコピーされます。Rhinoで壁の位置を動かした瞬間にTwinmotion側の画面へ反映されるため、モデルを直接詰める作業では確認の手間が減ります(出典: Datasmith Direct Link Workflow)。

Rhino固有の注意点として、Auto Syncボタンの見た目が有効・無効で変わりません。ArchicadやSketchUp Proではボタンの背景色が青に変わって状態がわかりますが、Rhinoではその変化がないため、有効かどうかはコマンド履歴ウィンドウで確認します(出典: Datasmith Exporter for Rhino)。Auto Syncの細かい設定や他アプリと共通の挙動は、Datasmith Direct Linkでライブ同期する方法で解説しています。

つまずきやすいポイントと実務の使い方

つまずきの多くは「ソースファイルが開いていない」「ベイクし忘れ」の2つに集約されます。切り分けの順番を決めておけば、設計スタディをそのままプレゼンに回せます。

リンクが切れた・反映されないとき

反映されない、または古いままのときは、原因を上から順に切り分けると早く解決できます。まずRhinoでソースファイルが開いているかを確認し、次にGrasshopper形状ならベイク漏れがないかを見ます。続いてAuto Syncが効いているかをコマンド履歴で確かめ、破損リンクアイコンが出ていれば「Synchronize with Direct Link」を押し直します。ファイルの場所は「Direct Link settings」で確認できます(出典: Datasmith Direct Link Workflow)。

破損リンクアイコンは、Twinmotionがソースファイルを見つけられないときに表示されます。ソースファイルを開き直してから同期ボタンを押せば、多くの場合は復旧します。なお書き出されたテクスチャの保存先も把握しておくと、素材が見当たらないときの手がかりになります。WindowsではC:\Users\[ユーザー名]\Documents\Twinmotion[バージョン]\DirectLinkTexturesフォルダに保存されます。

海外のフォーラムやレビューでは、RhinoのDirect Link更新が反映されない、または不安定になるという報告も見られます(2026年7月10日時点、環境により差があります)。頻発する場合は無理にライブ同期に固執せず、次に述べる静的な書き出しへ切り替える判断も持っておくと安心です。(出典: Using Twinmotion with Rhino(TU Delft DigiPedia) / Epic Developer Community フォーラム

形状が確定した案件や、Direct Linkが頻繁に不安定になる場合は、ライブ同期をやめて「静的に書き出したファイルを取り込む」選択があります。Rhinoでは Datasmith形式(.udatasmith)で書き出すと、マテリアルや構造の忠実度を保ちやすく、FBXやOBJより Twinmotion側での再割当が素直に進みます。(出典: Using Twinmotion with Rhino(TU Delft DigiPedia)

外部からもらったデータなどでDatasmithが使えない場合は、FBXやOBJで書き出して取り込みます。いずれの形式でも、取り込みと上書き更新の具体的な操作はTwinmotionのインポートと再インポートで解説しています。この記事では「Rhino側で静的に書き出す判断」までを押さえておけば十分です。

Rhino・Grasshopper連携を編集部が読み解いた所感

公式ドキュメントと海外教材を読み解くと、Rhino連携でつまずくかどうかは先述したGrasshopperのベイクを押さえているかでほぼ決まる、という共通見解が見えてきます。プラグイン導入や接続はワンクリックで進む一方、パラメトリックな形をどう実体化して渡すかが、他ホストにはないRhino固有の分かれ道になります。

海外レビューやフォーラムの報告を踏まえると、Direct Linkのライブ同期は快適な半面、環境によっては更新が反映されない不安定さも指摘されています。編集部の見立てでは、ライブ同期を主軸にしつつ、確定した形状は静的なDatasmith書き出しに切り替える二段構えを最初から持っておくのが現実的です。プレゼン直前に同期が止まって慌てる事態を避けられます。

推奨できる読者像としては、RhinoやGrasshopperで設計スタディを回しながら、その場でクライアントに見せたい設計者や学生が中心です。無料で始められるTwinmotionと、Rhinoの精緻なモデリングを組み合わせる価値は大きいといえるでしょう。

パラメトリック設計をプレゼンに活かす応用と次の一歩

この連携に慣れると、Grasshopperで作ったパラメトリックな案を、その場でリアルタイムのプレゼンに変えられるようになります。使いこなす前と後では、設計提案の見せ方が大きく変わります。

たとえばファサード(建物の正面)のルーバー角度を3案用意した場面を考えてみます。これまでは各案を静止画で書き出し直していましたが、Grasshopperで角度を変えて再ベイク・同期するだけで、Twinmotion上の光や影ごと切り替えて見せられます。打ち合わせの場で「この角度だと午後の日射がここまで入ります」と、光環境を含めて即座に比較できるわけです。

次の一歩としては、この同期の共通のしくみをもう一段深く押さえておくと、RhinoだけでなくRevitやSketchUpなど他の設計アプリでも同じ流れを応用できます。まずは同期の基礎を固め、そのうえで自分の設計フローに合った同期方法を選べるようになると、Twinmotionを設計の道具として日常的に使えるようになります。

まとめ

RhinoとTwinmotionの連携は、Datasmith Exporter for Rhino(Rhino 6〜8対応)を入れれば、接続から同期までワンクリックで成立します。最初の接続はTwinmotion側でDirect Linkのソースを取り込み、Rhino側で同期をかける2ステップで完了します。

最大の勘所は、先述したGrasshopperのベイクです。プレビュー形状は実オブジェクトにしてはじめて同期されるため、パラメータを変えて作り直すたびに「再ベイク→同期」を回し、レイヤーを用途別に分けておくとTwinmotion側の仕上げが楽になります。更新の反映は手動同期とAuto Syncを使い分け、Grasshopperを頻繁に触るなら再ベイクの区切りに合わせた手動同期が扱いやすい方法です。もしDirect Linkが不安定なら、静的なDatasmith書き出しに切り替える手も持っておくと、安心して制作を進められます。