Datasmith Direct Linkでライブ同期する方法|設計アプリとTwinmotionをつなぐ
設計アプリでモデルを直すたびに、FBXやOBJで書き出してTwinmotionへ入れ直す。この往復に手間を感じたことはないでしょうか。Datasmith Direct Link(設計アプリとTwinmotionをつなぐライブ同期のしくみ)を使えば、その書き出し直しがなくなります。設計側で変えた形状を、同期の操作ひとつでTwinmotionへ反映できるからです。
この記事では、対応する設計アプリの確認から接続の手順までをまとめました。あわせてAuto Sync(自動同期)と手動同期の使い分け、更新したときにTwinmotion側の仕上げがどう扱われるかも、初心者向けに解説します。
内容は2026年7月現在(Twinmotion 2026.1基準)の公式ドキュメントで確認しています。ホストごとの細かな引き継ぎや、Direct Linkに対応しないデータの取り込みは、それぞれ専用の記事へつなぎます。
Datasmith Direct Linkとは|「作り直さず反映」の仕組み
Datasmith Direct Linkは、設計アプリの3DシーンをTwinmotionへ取り込み、その後の変更を同期し続ける連携方式です。モデルを作り直さずに、設計側で直した内容だけをTwinmotionへ流し込めます。
Direct Linkが省く「モデルの作り直し」
Direct Linkの一番の価値は、書き出しと再取り込みの繰り返しをなくすことにあります。設計アプリのシーンを、グループ階層・コンポーネント・オブジェクト・マテリアルを保ったままTwinmotionへ取り込めるからです(公式ドキュメント、確認日2026-07-10)。
FBXやOBJで書き出す方式では、形を直すたびに書き出し直して入れ替える作業が発生します。Direct Linkならその手間がなく、同期の操作だけで最新の形状がTwinmotionへ反映されます。設計変更が多い初期検討ほど、この差が大きく出るでしょう。
取り込みで生成されたテクスチャ(面に貼る質感画像)は、DirectLinkTexturesというフォルダへ自動的に保存されます。保存先はドキュメント内のTwinmotion用フォルダで、あとから場所を変えることもできます。
同期は「設計アプリ → Twinmotion」の片方向
Direct Linkの同期は、設計アプリからTwinmotionへ向かう片方向です。設計側で加えた変更がTwinmotionへ反映される流れで、逆向きには戻りません(公式ドキュメント)。
そのため、Twinmotion側で付けたマテリアルやライティング、配置したアセットは、設計アプリへは戻りません。これらはTwinmotionのなかで独立して管理されます。元に戻すReset(リセット)操作(後述)をしない限り、同期のたびに消えることもありません。
「Twinmotionで直したら設計データにも反映される」わけではない点は、最初に押さえておくと迷いません。設計は設計アプリ、仕上げはTwinmotion、という役割の分担になります。
Enscapeとの違い|独立アプリ+Direct Linkという形
TwinmotionがEnscapeと作業の手触りで違うのは、レンダラー(3Dモデルから写実的な映像を生成するソフト)が動く場所が根本的に違うからです。ここを理解しておくと、同期という考え方がすっきりつかめます。
プラグイン内表示(Enscape型)と独立アプリ同期(Twinmotion型)
EnscapeとTwinmotionは、同じリアルタイム系でも設計との結び方が異なります。Enscapeは設計アプリのプラグイン(機能を追加する拡張)としてホストの中で動き、設計画面から直接プレビュー窓を開く方式です。
これに対してTwinmotionは、独立したアプリを立ち上げて使います。設計アプリにはDatasmith Exporter(形状を書き出す連携用プラグイン)を入れ、そこ経由でTwinmotionとつないでライブ同期します(公式ドキュメント)。
つまり仕上げの作業は、Twinmotionという別環境のなかで行います。設計アプリからは形状の更新だけを受け取る形です。マテリアル調整やライティング、アセット配置はTwinmotion側に集約されます。
独立アプリだからできること
別アプリで動く方式には、ホスト内プラグインにはない利点があります。ひとつのTwinmotionプロジェクトに、複数の設計アプリや複数ファイルのDirect Linkをまとめて混在させられる点です(公式ドキュメント)。
たとえば意匠モデルはArchicad、外構の一部は別ファイル、という分担でも、Twinmotion側では1つのシーンに統合して仕上げられます。重い映像処理を設計アプリの外に出せるため、設計作業そのものを圧迫しにくいことも利点です。
Enscapeそのものの詳しい中身はEnscapeの完全ガイドで解説しています。ここでは「ホスト内で動くか、独立アプリで動くか」という構造の違いだけ押さえておけば十分です。
Direct Link接続の手順|プラグインから初回同期まで
Direct Linkの接続は、設計アプリ側の準備・Twinmotion側の受け口・設計アプリからの同期実行という3段階で完了します。どのホストでも共通する流れなので、まずここを身につけると応用が利きます。
Datasmith Exporterプラグインを用意する
同期を始めるには、設計アプリにDatasmith Exporterを入れる必要があります。設計アプリからTwinmotionへ形状を書き出すための橋渡し役だからです。入手先はTwinmotion公式サイト、対応アプリ一覧、Twinmotionホーム画面のPluginsタブ、各アプリの公式ページのいずれかです(公式ドキュメント)。
Twinmotion 2026.1のホーム画面のPluginsは、パソコンに入っている対応ソフトとバージョンを検出します。そのうえで、対応するDatasmith Exporterのダウンロードリンクや更新を知らせてくれます(公式リリースノート、確認日2026-07-10)。手動で探す手間が減り、更新漏れも防ぎやすくなりました。
Revit 2024以降とTwinmotion 2023.1以降の組み合わせでは、Exporterが最初から内蔵されており、個別の導入は不要です(公式ドキュメント)。自分のアプリとバージョンがDirect Linkに対応しているかは、後半の対応表で先に確認しておくと安心です。
TwinmotionのImportドックでDirect Linkタブを開く
設計アプリ側の準備ができたら、次はTwinmotionに受け口を作ります。画面下のフッターにあるImportをクリックしてImportドックを開き、ImportアイコンからDirect Linkタブを選びます(公式ドキュメント)。
Optionsで取り込みの設定を選んでから、Importを押します。Direct Link settingsのsource欄には、接続中のシーン名(設計アプリのファイル名)が表示されます。複数のアプリを起動しているときは、ドロップダウンから対象を選びます。
設計アプリで「Synchronize with Direct Link」を押す
最後に、設計アプリ側から同期を実行します。Datasmith ExporterのツールバーにあるSynchronize with Direct Linkをクリックすると、シーンの内容がTwinmotionへ流れ込みます(公式ドキュメント)。
これで初回の取り込みは完了です。以降は変更を加えるたびに、この手動同期か、次章のAuto Syncで反映していきます。
Revit・Archicad・Rhinoなどホストごとの引き継ぎの細かな動きは、使う設計アプリの記事で解説しています。BIMモデルならRevitからTwinmotionへ、アルゴリズミックな形状ならRhino・GrasshopperでTwinmotionを使う、GRAPHISOFT系ならArchicadとTwinmotion連携が参考になります。
Auto Sync(自動同期)と手動同期の使い分け
Auto Syncは変更をリアルタイムに自動反映する機能で、手動同期は好きなタイミングでまとめて反映する使い方です。作業のリズムに合わせて選ぶと、Twinmotion側の仕上げが中断されにくくなります。
Auto Syncを有効化する(ボタンの見え方に注意)
Auto Syncを使うと、設計アプリでの変更がその都度Twinmotionへ自動で反映されます。有効化は、Datasmith ExporterのツールバーにあるDirect Link Auto Syncボタンをクリックするだけです(公式ドキュメント)。
注意したいのは、効いているかどうかの見え方がアプリで違う点です。ArchicadとSketchUp Proは、有効にするとボタンの背景が水色に変わります。一方でRhinoは見た目が変わらず、command history(コマンド履歴)ウィンドウで状態を確認します(公式ドキュメント)。
見た目で判断しにくいアプリでは、設計側を少し動かしてTwinmotionに反映されるかで確かめると確実です。工務店との打ち合わせで壁材を切り替えながら見せたい場面など、リアルタイム性が活きるときにAuto Syncが向いています。
手動同期(ワンクリック)が向く場面
自動にせず、あえて手動同期を選ぶ使い方もあります。Auto Syncに対応しないアプリ(たとえばBricsCADのWindows版)では、Synchronize with Direct Linkのワンクリックで反映します(公式対応表)。
大きな変更を一度にまとめて反映したいときや、重い同期処理のタイミングを自分で握りたいときも、手動が扱いやすい選択です。設計側で細かな試行錯誤を繰り返す段階では、キリの良い状態でまとめて同期するほうが、Twinmotion側の作業が乱れにくくなります。
住宅案件でリビングの間取りを何度も微調整するような場面では、都度反映されるよりも、確定した段階でまとめて同期するほうが落ち着いて映像づくりに専念できます。
更新の反映で「消えるもの・残るもの」
設計変更を同期しても、Twinmotionで作り込んだ仕上げは基本的に残ります。位置やマテリアルを元へ戻したいときだけ、選んだオブジェクト単位でReset(リセット)を使う設計になっています。
Twinmotionで付けた仕上げは基本的に残る
同期のたびにTwinmotion側の編集が上書きされることは、既定ではありません。公式には、位置・マテリアル・ライトを「元に戻す」Reset系のメニューがわざわざ用意されているからです(公式ドキュメント)。
これは、同期しても加えた編集を毎回は消さない設計であることを意味します。だからこそ、設計変更を受け取りながらも、Twinmotionで整えたマテリアルやライティングはそのまま維持できるでしょう。コンペ用のプレゼン映像を仕上げている最中でも、設計の修正を安心して取り込めます。
意図せず元に戻したくない仕上げは、Reset操作を避ければ守られます。逆に言えば、元に戻すのはあくまで自分で選んだときだけです。
元に戻したい時のReset/Reimport
原状に戻したいときは、選んだオブジェクト単位で4つの操作から選びます。これらはImportドック内の各ファイルの上にある省略記号(…)メニューから開きます(公式ドキュメント)。
| メニュー | 何が元に戻るか |
|---|---|
| Reset transform on selection | 選択オブジェクトの位置・回転・スケール・サイズ |
| Reset materials on selection | 選択オブジェクトのマテリアル |
| Reset properties on selection | ライトのプロパティ(インポート時のLight settingsへ) |
| Reimport deleted objects | Twinmotion側で削除したオブジェクトの再取り込み |
いずれも選んだ範囲だけに働くので、シーン全体をやり直す必要はありません。たとえばマテリアルの試行錯誤で分からなくなった壁だけを選び、Reset materialsで取り込み時の状態へ戻す、といった使い方ができます。消しすぎたオブジェクトも、Reimportで呼び戻せます。
なお、SketchUpとの連携では、Direct Linkの同期後にマテリアルが意図せず別の面へ再割り当てされる不具合(TM-22954)がTwinmotion 2026.1で報告されています(公式リリースノートの既知の問題、2026-07-10時点)。公式に決まった回避策は案内されていません。ただ、ずれてしまった面をReset materials on selectionで取り込み時の状態へ戻すと、正しいマテリアルに復旧しやすいです。SketchUpで運用する方は覚えておくと安心でしょう。
対応アプリ一覧と、同期されない時の直し方
Direct LinkとAuto Syncに何が使えるかは、アプリとバージョンで決まります。「同期されない」ときの多くは、リンクが切れているか、プラグインとバージョンが噛み合っていないかのどちらかです。
Direct Link・Auto Syncの対応アプリ
主要な設計アプリの対応状況は、次の表のとおりです。自分の環境で何が使えるかを、まずここで確認しておくと接続でつまずきにくくなります。
| アプリ | 対応版 | Direct Link | Auto Sync |
|---|---|---|---|
| Revit | 2018以降(2024以降は内蔵) | ○ | ○ |
| Archicad | 23〜29 | ○ | ○ |
| SketchUp Pro | 2020〜2026 | ○ | ○ |
| Rhino(+Grasshopper) | 6〜8 | ○ | ○ |
| 3ds Max | 2022〜2026 | ○ | ○ |
| Vectorworks | 2022以降 | ○ | ○ |
| SOLIDWORKS | 2020〜2026 | ○ | ○ |
| BricsCAD(Windows) | 23以降 | ○ | × |
| Navisworks | 2019〜2026 | × | × |
| SketchUp Pro | 2019 | × | × |
ソース: Supported Design Applications for Datasmith(公式対応表)(確認日2026-07-10)
Revit・Archicad・SketchUp Pro・Rhino・3ds Max・Vectorworks・SOLIDWORKSは、Direct LinkもAuto Syncも使えます。BricsCADのWindows版はDirect Linkに対応しますが、Auto Syncには対応しません。Navisworksはファイルの取り込み専用で、Direct Linkには対応しません。表で×のアプリやFBX・OBJなどのデータは、ファイルで取り込む形になります。その手順はTwinmotionのインポートと再インポートで解説しています。
リンクが切れる(Broken Link)主な原因
「同期されない」ときにまず疑うのは、リンクが切れる典型的な3つの原因です。ソースファイルの名前や場所を変えた、ソースファイルを設計アプリで開いていない、開いてはいるが同期プロセスが動いていない、のいずれかです(公式ドキュメント)。
もうひとつ見落としやすいのが、バージョンの噛み合わせです。Datasmith Exporterが古い、あるいはTwinmotion本体と噛み合わないと、接続に失敗しやすくなります。Twinmotion 2026.1はホーム画面でプラグインの更新を知らせるので、この更新漏れを防ぎやすくなっています(公式リリースノート、確認日2026-07-10)。
対処の基本は3つあります。ソースファイルを開く、Auto Syncか手動同期を実行する、Direct Link settingsで正しいファイルを指しているかを確認する、という手順です(公式ドキュメント)。テクスチャの保存先が気になるときは、Preferences(Ctrl+P)からSettingsタブのDirect Linkを開きます。Use Textures folderのチェックを外すと、DirectLinkTexturesへの保存を無効にできます(公式ドキュメント)。
同期設計を編集部が読み解いた所感
公式ドキュメントを読み解くと、Direct Linkは「設計を壊さず、仕上げを守る」ことに重心を置いた設計だと編集部は見ています。ここでは実装の裏にある考え方を、初めて使う人向けに補足します。
片方向同期という割り切りは、一見すると不便に感じるかもしれません。ただ、設計と仕上げの担当が分かれる建築の実務では、この割り切りがむしろ事故を減らします。仕上げの試行錯誤が誤って設計データへ戻ることがないからです。
Reset系のメニューがオブジェクト単位で用意されている点も、編集部の所感としては安心材料です。全部やり直すのではなく、迷った箇所だけ取り込み時へ戻せるため、設計変更を取り込むことへの心理的なハードルが下がります。
一方で、Auto Syncの状態表示がアプリごとにばらつく点には、設計思想としての詰めの甘さも感じます。同じ機能でも見え方が統一されていないぶん、初めて使う人は「本当に効いているのか」で迷いやすいからです。この一手間さえ飲み込めば、Direct Linkは設計と仕上げをうまく橋渡ししてくれる仕組みだと編集部は捉えています。
Direct Linkを取り入れた先の制作フローと次の一歩
Direct Linkを取り入れると、設計と可視化が分断されていた制作フローが、ひと続きの流れに変わります。学んだ人と学んでいない人の差は、設計変更が入ったときにはっきり出ます。
書き出しと再取り込みに頼っている人は、変更のたびにファイル操作と入れ替えに時間を取られます。打ち合わせで「やっぱり天井を上げたい」と言われても、その場で見せ直すのは難しいでしょう。
Direct LinkとAuto Syncを押さえた人は、設計側を動かすだけでTwinmotionの映像が追従します。クライアントの目の前で案を切り替えて見せられるため、意思決定はその場で進むでしょう。仕上げはTwinmotionに残るので、確定した案をそのまま高品質な映像へ持っていけます。
次の一歩は、自分が使う設計アプリでの実際の連携です。RevitならRevitからTwinmotionへ、Rhinoやアルゴリズミックな設計ならRhino・GrasshopperでTwinmotionを使うへ進むと、ホスト固有の勘所まで身につきます。
まとめ|同期の基礎を押さえたら、次はホスト別の実践へ
Datasmith Direct Linkは、設計アプリからTwinmotionへ向かう片方向のライブ同期で、モデルの作り直しをなくす連携です。設計側で直した形状を、同期の操作ひとつでTwinmotionに反映できます。
反映のしかたは、リアルタイムに追従するAuto Syncと、好きなタイミングでまとめる手動同期の2つです。Auto Syncのボタンの見え方はアプリで異なるので、実際に反映されるかで確かめるのが確実です。同期してもTwinmotionで整えた仕上げは基本的に残り、元に戻したいときだけResetやReimportを選んだ範囲だけに使います。
自分のアプリで何が使えるかは対応表で確認し、同期されないときはリンク切れとバージョンの噛み合わせをまず疑ってください。ここまで押さえたら、次は自分が使う設計アプリでの実践に進みましょう。