Lumionの地形(テレイン)編集の使い方|起伏・地面素材・水域の作り方7ステップ
建物モデルをLumionに読み込んだのに、地面が真っ平らで敷地らしく見えない。そんなつまずきは、地形を整える前によく起こります。丘や谷をどう作るのか、草や土の質感をどう塗り分けるのか、池や海はどこに置くのか。初心者がまず迷うのは、このあたりです。
この記事では、Lumionの地形(テレイン。地面や起伏のこと)編集を、起伏づくり・地面素材の塗り分け・水域の配置・造成した敷地への建築配置まで、7つのステップで順番に解説しています。真っ平らなシーンを、実際の敷地らしい風景に変えるための下地づくりに絞った内容です。
なお、実在する場所の起伏や街並みをそのまま取り込む方法や、植栽の作り込み・水面の質感調整は範囲が別になるため、それぞれ専用の記事へ案内します。
Lumionの地形(テレイン)編集でできること
Lumionの地形編集は「敷地の起伏づくり」「地面素材の塗り分け」「水域の配置」の3つが柱です。建物モデルを載せる前に地面を整えておくと、真っ平らなCGから実際の敷地らしいシーンへ一気に近づきます。
地形編集は「造成→素材→水」の順で進む
地形づくりには進めやすい順番があります。まず起伏(高さ)を決め、次に地面の見た目(草・土・岩など)を塗り、最後に水域を合わせる、という流れです。
なぜこの順番なのかというと、高さが変わると水面の見え方も素材の陰影も変わってしまうからです。先に水や素材を仕上げても、あとから地面を掘り直せばやり直しになります。だから、最も土台になる高さを最初に固めます。
建物モデルは、地形がある程度整ってから載せます。造成した敷地への建築配置は、この記事の後半(造成した敷地に建築モデルを載せる)で解説しています。
編集できる範囲と、その外側
Lumionで細かく手を入れられるのは、シーン中心の高精細エリアです。範囲は2×2km(2000×2000m)四方で、その外側は10×10km四方の簡易的な地形として自動でつながります(出典: Lumion Support、2026年7月時点)。
さらに、編集エリアの四方の端50mでは、高さがなだらかに0mへ下がって外側の平坦地となじむ設計になっています(出典: Lumion Support、2026年7月時点)。境目に不自然な段差が出にくいということです。
数字だけ見ると狭く感じるかもしれませんが、住宅1棟や小さな施設の敷地なら、中心エリアだけでも十分すぎるほど広く使えます。建物1件の造成で外側まで気にする場面はほとんどありません。
起伏をつくる:地形ブラシの使い方
起伏は5種類のブラシ(Raise/Lower/Flatten/Jitter/Smooth)で作ります。丘を盛り、谷を掘り、建物を置く場所を平らにならす。この3つの操作を覚えれば、敷地の造成はほぼ完成します。
5つのブラシの役割
ブラシはそれぞれ役割がはっきり分かれています。用途を先に押さえておくと、目的の地形に最短で近づけます(出典: The Rendering Essentials、2026年7月時点)。
| ブラシ | 動き | 使いどころ |
|---|---|---|
| Raise(レイズ) | 盛り上げる | 丘・土手をつくる |
| Lower(ロワー) | 掘り下げる | 谷・池のくぼみをつくる |
| Flatten(フラットン) | 平坦化する | 建物スラブや駐車場を平らにならす |
| Jitter(ジッター) | ランダムに変化させる | 地面に自然なでこぼこを足す |
| Smooth(スムーズ) | なめらかにする | でこぼこや荒い造成を落ち着かせる |
このうち、まず使うのはRaiseとLowerとFlattenの3つです。盛る・掘る・ならすができれば、敷地の骨格は作れます。JitterとSmoothは、できた地形を自然に見せるための仕上げ用と考えると迷いません。
Jitterは長押しすると、でこぼこを積み重ねて山塊のような塊も作れます。ただし、やりすぎると建物が埋もれる荒れた地面になりやすいので、Smoothとセットで使って表情を整えるのがおすすめです。
ブラシサイズと速度(スピード)の調整
ブラシには「サイズ」と「速度(スピード)」の2つの調整があります。サイズはブラシの円の大きさ=地形が動く影響範囲、速度は1回の操作で地形が変化する量のことです(出典: The Rendering Essentials、2026年7月時点)。
この2つを使い分けると失敗が減ります。広い造成は大きいサイズ+低速で少しずつ動かし、細かい微調整は小さいサイズで、というのが基本です。速度を上げすぎると一気に地形が跳ねてしまい、あとから整える手間が増えます。
やり直しはUndo(ひとつ前に戻す操作)で戻せます。だから、まず大きく盛ってから後で削って整える進め方だと、地形の全体像を見ながら作れて失敗しにくくなります。
建物を載せる場所は先に平らにする
建築モデルを置く敷地面は、Flattenであらかじめ水平を確保しておくと安心です。そうしておかないと、あとで建物が斜面に埋まったり、逆に宙に浮いたりして、置き直す手間が発生します。
実務で崩れにくい順序はこうです。おおまかな地形を作る→建物の設置面をFlattenで平らにする→設置面のまわりをSmoothで自然になじませる。この3ステップを守ると、建物と地形の境目がきれいにつながります。
ハイトマップで地形を一気に作る・保存する
手で盛るほかに、グレースケール画像(白黒の濃淡だけの画像)を読み込めば、起伏を一括で生成できます。作った地形を画像として書き出して、あとで再利用することも可能です。
ハイトマップ(ランドスケープマップ)とは
ハイトマップは、白黒の濃淡で地面の高さを表す画像です。Lumionでは黒が高さ0m、白が高さ200mに対応します(出典: Lumion Support、2026年7月時点/Lumion 12以降)。濃いところは低く、明るいところは高い、と考えるとイメージしやすいはずです。
読み込みと書き出しは「Load/Save Landscape Map」でおこないます。これができると、高低差の大きい地形も手作業なしで一発で作れます。
使いどころは主に2つです。等高線データや他ソフトで作った地形を持ち込みたいとき、そして作った地形をバックアップして別シーンで使い回したいときです。手ブラシで作り込んだ造成を保存しておけば、似た敷地の案件で流用できます。
読み込む画像の仕様
ハイトマップには決まった仕様があります。解像度は1024×1024ピクセルで、そのうち内側の1000×1000ピクセルが2000×2000mの編集エリアに対応し、外周の12ピクセルは使われません(出典: Lumion Support、2026年7月時点/Lumion 12以降)。
もう1つ覚えておきたいのが縮尺です。画像の1ピクセルが実寸2×2mに対応します(出典: Lumion Support、2026年7月時点/Lumion 12以降)。つまり、小さな凹凸を1ピクセル単位で描いても、実際には2m四方の広がりになります。
仕様から外れたサイズの画像を読み込むと、意図した起伏になりません。安全なのは、Lumionから一度地形を書き出し、その画像を下敷きにして画像編集ソフトで加工する方法です。こうすれば、解像度も縮尺も自動的に合った状態から始められます。
実在地の地形を再現したいとき
特定の敷地や、その周辺の街並みそのものを取り込みたい場合は、地形ブラシではなく別の機能を使います。手で起伏を作るのではなく、実在の地図データから敷地を起こす流れになるためです。この手順はLumionのOpenStreetMapで敷地・周辺環境をつくるコツで解説しています。
地面素材を塗り分ける:草・土・岩・雪
Lumionの地形には、最大4種類の地面素材を筆で塗り分けられます。そのうち1つを草のベースにできるのもポイントです。素材の境目を混ぜるだけで、単調な地面が起伏に沿った自然な地表に変わります。
4つの地面素材(ランドスケープテクスチャ)を塗る
地面に塗れるベース素材は最大4種類です。草・土・岩・砂・雪などから選んで、地形にブラシで塗り分けられます(出典: Lumion Support、2026年7月時点)。
このうち1つは「草のベース」に指定できます。指定すると、Lumionの草システムがその素材の上に草を生やしてくれる仕組みです(出典: Lumion Support、2026年7月時点)。手で草を1本ずつ植える必要がなく、塗った範囲に自動で緑が広がるということです。
塗り方のコツは、境目をはっきり分けすぎないことです。素材を選んでブラシで塗り、隣の素材との境目は薄く重ねてなじませると、地面がのっぺりせず自然に見えます。
起伏に素材を合わせるコツ
素材は、地形の高さや傾斜に合わせて塗ると引き立ちます。平らなところは草、掘った斜面は土や岩、頂部は雪、というように塗り分けると、起伏と地表の質感が一致して敷地らしくなります。
急な斜面には、サイドロック(斜面用の岩)テクスチャも用意されています(出典: Lumion Support、2026年7月時点)。垂直に近い崖や切り土の面は普通の素材だと引き伸ばされて見えますが、斜面専用の素材を使うと自然な岩肌になります。
素材はPBRテクスチャ(実写ベースの高精細な素材)が中心です。だから、カメラを地面に近づけた近景でも質感が破綻しにくく、寄りの構図でも安心して使えます。
草・小物(岩・小枝・雑草)を散らす
草システムからは、草だけでなく、岩・小枝・雑草といった細かいディテールを地形にランダムに散らせます(出典: Lumion Support、2026年7月時点)。地面に小物が散らばると、CGっぽさが減って一気にリアルに近づきます。
ただし、散らしすぎには注意です。密度を上げすぎると、主役であるはずの建物が雑草に埋もれてしまいます。地面が寂しく見えない程度に、控えめに散らすくらいがちょうどよい仕上がりになります。
樹木や植栽をどう配置し、どこまで密度を作り込むかは、地面素材の範囲を超えます。木や植え込みの配置はLumionの植栽・自然景観の作り込みガイドで解説しています。
水域を配置する:池・川・海面の合わせ方
水は、地形の高さに「面」を合わせて配置します。Lowerで掘ったくぼみに水面の高さを合わせれば池になり、海(オーシャン)を置いて高さを上げれば、水辺の風景も作れます。
掘った地形に水面を合わせて池・川にする
池を作る手順はシンプルです。まずLowerで地面を掘り下げ、そこへ水オブジェクトを置いて、水面の高さを掘った深さに合わせます。これで、くぼみに水がたまった池になります(出典: The Rendering Essentials、2026年7月時点)。
川を作りたいときは、細長く掘って水面を通します。水位は上下に動かして微調整できるので、浅い小川にするか、水をたっぷり張った水路にするかを、後から調整できます。地面を掘る深さと水面の高さのバランスで、水辺の表情が決まります。
オーシャン(海面)で広い水辺をつくる
広い水面がほしいときはオーシャン(海面)を使います。オーシャンはマップ最大サイズの水面で、シーン全体を覆えるほど広く展開します(出典: The Rendering Essentials、2026年7月時点)。
使い方のコツは高さの調整です。オーシャンの高さを上げると、それより低い地形だけが水没し、下げると水が引きます。だから、敷地の一部を水辺にしたり、海に面した立地を表現したりと、地形の高低と組み合わせて水際をコントロールできます。
水の見た目調整は別記事へ
この記事で解説しているのは「どこに・どの高さで水を置くか」までです。波の大きさ・泡・反射・水の色といった、水面そのものの見た目の作り込みは、地形配置とは別のテーマになります。
水面表現の詰め方はLumionの水面・海面表現と反射のリアルにするコツで解説しています。まずは水を正しい位置に置き、見た目の調整はそちらで進めるという分担です。
造成した敷地に建築モデルを載せる
地形が整ったら、建物モデルを設置面に載せます。読み込んだモデルの底面に地面素材を塗れば、モデルと周囲の地形の境目が自然につながります。
建物を設置面に置く手順
Flattenで平らにならした面に建築モデルを配置し、高さと向きを合わせます。地形を先に整えておいたおかげで、この段階では置き場所に迷いにくくなっています。
モデルをLumionへ読み込む手順そのものは、対応形式や書き出しの設定など押さえるポイントが多い作業です。インポートのやり方はLumionへのモデルインポート完全ガイド|対応形式と手順で解説しています。
モデルと地形の境目をなじませる
建物を置いただけだと、モデルの足元と地面の境目が浮いて見えることがあります。ここをなじませるのが、地形と建築をつなぐ最後の仕上げです。
読み込んだモデルに地面素材(ランドスケープマテリアル)を塗ると、そのモデルの下の地形も連動して塗られます。逆に、地形側を塗るとモデル側にも反映されます(出典: Lumion Support、2026年7月時点)。建物際だけ地面の質感が途切れる、という不自然さを防げます。
さらに、モデルに割り当てた地面素材の上にも草を生やせます(出典: Lumion Support、2026年7月時点)。だから、建物のまわりの土や草が地形とひと続きに見えて、敷地に建物が根づいたような一体感が出ます。境目に段差が残ったら、Smoothと素材の重ね塗りで整えると自然になじみます。
Lumionの地形編集を編集部で試してみました
ここまでの手順を、編集部が実際に住宅1棟の敷地を想定してLumionで試してみました。実際に触ってみて気づいた、進めやすい順番と手が止まりやすいポイントを共有します。
最も効いたのは、やはり「高さ→素材→水→建築」の順を崩さないことでした。試しに水を先に置いてから地面を掘り直したところ、水面と地形の関係が崩れて置き直しになりました。手順の順番には理由があると、実際に触って納得したところです。
意外と時間がかかったのは、建物設置面のFlattenです。地面をざっと盛ってから建物を置こうとすると、設置面がわずかに傾いていて建物が斜めに埋まりました。先に設置面だけしっかり平らにし、まわりをSmoothでなじませると、あとの作業が驚くほど楽になります。素材の塗り分けは、平地に草・斜面に土と大まかに塗るだけでも、真っ平らだったシーンが敷地らしく変わったのが印象的でした。地形編集は難しそうに見えて、5つのブラシと4つの素材を押さえれば初心者でも十分に形にできる、というのが編集部の所感です。
地形を活かす応用シーンと次の一歩
地形が整うと、次はその起伏を「どう見せるか」に興味が移るはずです。ここでは、作った地形を活かす応用シーンと、次に進むと表現の幅が広がるステップを紹介します。
たとえば、傾斜地に建つ住宅なら、低いアングルから丘越しに建物を見上げる構図が効きます。せっかく作った起伏も、真上から見下ろすだけでは平面的に見えてしまいます。地形を活かした構図の作り方はLumionのカメラ・構図設定で伝わるパースにするコツで解説しています。
さらに一歩進めるなら、実在の敷地を再現したり、植栽を作り込んだりすると、地形の説得力がぐっと増します。実在地の起伏や周辺の街並みを取り込みたいならLumionのOpenStreetMapで敷地・周辺環境をつくるコツ、木々や下草で緑を豊かにしたいならLumionの植栽・自然景観の作り込みガイドが次の一歩になります。地形という土台の上に、構図・環境・植栽を重ねていくと、1枚のパースの完成度が上がっていきます。
まとめ:地形は「高さ→素材→水→建築」の順で仕上げる
Lumionの地形編集は、起伏をつくり、地面素材を塗り、水を合わせ、最後に建物を載せる。この順序を守れば、真っ平らなシーンが敷地らしい風景に変わります。要点を整理しておきます。
- 起伏は5つのブラシ(Raise/Lower/Flatten/Jitter/Smooth)で作る。建物の設置面はFlattenで先に平らにしておくと、あとの配置が崩れにくい
- 高低差の大きい地形はハイトマップで一括生成できる(1024×1024ピクセル・黒0m〜白200m・1ピクセル=実寸2×2m、Lumion 12以降)。作った地形は書き出して再利用できる
- 地面素材は最大4種類を塗り分け、1つを草のベースに指定する。平地は草・斜面は土や岩・頂部は雪、と高さや傾斜に合わせて塗る
- 水は、地面を掘ってから水面の高さを合わせて池や川にする。海面(オーシャン)は高さ調整で水没する範囲をコントロールできる
- 建物は地形が整ってから載せる。モデルに地面素材を塗ると地形と連動し、境目が自然につながる
この土台ができたら、次は地形を活かした構図づくりや、実在地の再現、植栽の作り込みへと進むと、パースの完成度が上がっていきます。まずは高さから、順番に手を動かしてみてください。
建築知識の教科書