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3DCG · Lumion

Lumionの空と天候を極める使い方|Real Skiesで空を差し替え雰囲気を作る7ステップ

編集部 読了 約13分

建物のモデルは同じでも、空が変わるだけでパースの印象は驚くほど変わります。晴れた青空にすれば爽やかに、夕焼けにすれば温かく、曇り空にすれば落ち着いた雰囲気になります。ところがLumion(建築・土木向けのリアルタイムレンダリングソフト)の空まわりは設定項目が多く、どこをどう触れば狙った空気感になるのか、迷ってしまう人は少なくありません。

この記事では、Lumionの空・天候・大気に関する設定にしぼって解説します。基本の空づくりから、実写の空に差し替えるReal Skies、霧・雨・雪などの天候演出、そして色温度で全体をまとめる仕上げまでを、7つのステップとして順番に紹介します。

なお、太陽の位置や影の長さ・向きの作り込みは、内容が深いため別記事に分けています。空の色としての時間帯には触れますが、影の演出はLumionの太陽・日照設定で影を美しく見せる方法で解説しています。

Lumionの空・天候設定はどこで操作するのか

Lumionの空まわりは、天候の基本パネルと、映像や画像に効果を加えるエフェクトの2系統で決まります。まずどのパネルで何を触れるかを掴んでおけば、あとの演出はその組み合わせで自由に作れます。この記事で紹介する空づくりは、すべてここが出発点になります。

空・天候にかかわる設定の全体像

Lumionの空は、大きく2つの場所で作ります。1つは天候パネルで、太陽の方位・雲の量・時間帯といった土台をここで決めます。もう1つはエフェクト(Photo/Movieモードで書き出す画像や映像に効果を加える機能)で、実写の空に差し替えるReal Skiesや、霧・降雨・降雪といった演出をここで足していきます。

この2つを分けて考えると、作業が整理されます。天候パネルで空全体の土台を作り、エフェクトで細かな空気感を上乗せする、という順番です。土台なしにエフェクトだけをいじると、狙った空にたどり着きにくくなります。

この記事で解説するのは、空・雲・大気・天候演出の部分です。太陽の位置と影の作り込みはLumionの太陽・日照設定で影を美しく見せる方法へ、室内の灯りや街灯などの人工光はLumionのライティング設定完全ガイド|人工光・室内照明へ、それぞれ分けて解説しています。空とセットで解説すると1記事が長くなりすぎるため、役割を分けました。

空の見え方を決める3つの要素

Lumionの空の見え方は、空そのもの・大気・光の色温度という3つの要素で決まります。この3つを分けて考えると、いま自分がどこをいじっているのかが見失いにくくなります。

1つ目は空そのもの、つまり雲の量や種類、空の色です。2つ目は大気で、霞みや霧といった空気の透明度にかかわる部分です。3つ目は光の色温度で、暖色(オレンジ寄り)か寒色(青寄り)かでシーン全体の気分が変わります。

初心者がまず触るべき順番は、空 → 大気 → 色温度です。土台となる空を先に決め、次に霧などで空気感を足し、最後に色温度で全体をまとめると迷いません。この記事もこの順番に沿って進みます。

STEP 1〜2:まずは基本の空設定(雲量・時間帯・空の明るさ)

実写の空を使わない場合でも、Lumion標準の空は雲量・時間帯・明るさの3つでかなり印象を変えられます。凝った演出に入る前に、この基本パネルで「どんな天気・どんな時間帯にしたいか」の土台を作るのが近道です。

STEP 1:雲の量と種類を調整する

狙った天気を決める出発点は、雲の量の調整です。空全体の印象は、雲がどれだけ広がっているかでほぼ決まります。天候パネルの雲量スライダーを動かすと、雲ひとつない快晴から、空一面を覆う厚い曇りまで、段階的に変えられます。

雲の種類も切り替えられます。薄くたなびく巻雲のような雲にすると空が広く抜けて見え、もくもくとした厚い雲にすると重厚でドラマチックな空になります。同じ晴天でも、雲の形が違うだけで空の表情は大きく変わります。

建築パースでは、雲の使い分けが仕上がりを左右します。主役の建物をすっきり見せたいなら、雲は控えめにして空をシンプルに保ちます。反対に、空も含めて印象的な一枚にしたいなら、雲を厚めに入れてドラマ性を出します。どちらが正解ということはなく、その建物で何を見せたいかで決めるのがおすすめです。

STEP 2:時間帯と空の明るさを整える

空の色は、時間帯のスライダーで決まります。時間帯を動かすと太陽の高さが変わり、それに連動して空の色も変化します。昼は澄んだ青、夕方はオレンジから赤紫へと、時刻に合わせて空の色が移り変わります。

この記事では「空の色としての時間帯」を扱います。時間帯を変えると影の長さや向きも一緒に変わりますが、その影を美しく見せる作り込みは内容が深いため、Lumionの太陽・日照設定で影を美しく見せる方法で解説しています。空の色を決めるときは、逆光か順光かで建物の見え方も変わるので、構図とセットで時間帯を選ぶと失敗しにくくなります。

時間帯を決めたら、空の明るさと全体の露出(画面全体の明るさ調整)のバランスを取ります。空だけが真っ白に飛んでしまう、あるいは空は良いのに建物が暗く沈む、というのはよくある失敗です。この場合は、空の明るさと全体の露出を少しずつ動かして、空と建物の両方が破綻しない中間点を探します。明暗差が大きくて調整しきれないときは、明暗のバランスを整えるHDR系のエフェクトを軽くかけると収まりやすくなります。

STEP 3〜4:Real Skiesで実写の空に差し替える

Real Skiesは、Lumion標準の空を、実際に撮影された空の画像に置き換える機能です。CGらしさがもっとも出やすいのが空なので、そこを実写に差し替えるだけで、パース全体のリアルさが大きく上がります。空づくりのなかでも効果が大きいステップです。

STEP 3:Real Skiesの特徴と適用する手順

Real Skiesは、実写撮影された高解像度の空を、シーンの空として使えるプリセット群です。Lumion標準の空は計算で作られたプロシージャルな空ですが、Real Skiesは実際の写真がベースなので、雲の質感や光の回り方がより自然に見えます(Lumion公式 Real Skies ガイド、2026年7月現在)。

どんなときに効果的かというと、内観パースの窓の外や、外観パースの背景として使うと差が出ます。窓の外にリアルな空が見えるだけで、室内の写実感が一段上がるからです。反対に、空がほとんど映らない構図では、無理にReal Skiesを使う必要はありません。

適用の流れは、Photo/Movieモードで空にかかわるエフェクトを追加し、そのなかから実写の空を選ぶ、という手順です。プリセットには晴れ・曇り・夕景などが用意されているので、狙った雰囲気に近いものを選びます。適用したあとは、空の向き(回転)を調整して、いちばん見せたい雲が構図のなかで良い位置に来るように整えると仕上がりが良くなります。

なお、パネル名やボタンの位置はLumionのバージョンによって変わることがあります。手順で迷ったときは、国内サポートの空の写真差し替えに関するサポートページで、使っているバージョンに合った操作を確認すると確実です。

STEP 4:実写空と全体の光を馴染ませる

実写の空を入れたら、その空に合わせて建物側の光を寄せると自然になります。空だけがリアルで建物が浮いて見える、という状態を避けるためです。具体的には、選んだ空の明るさや色みに合わせて、全体の露出や色温度を少し調整します。

考え方としては「空を基準にして光を合わせる」のがコツです。たとえば夕景の空を選んだのに、建物の光が真昼のように白いままだと、空と建物がちぐはぐに見えます。空の色みに建物の光を寄せることで、シーン全体が1つの時間帯にまとまります。

もう1つ意識したいのが、反射する素材への映り込みです。ガラス張りのファサードや水面には空が映り込むため、空を決めてから反射系の調整に進むと手戻りが減ります。水面やガラスへの空の映り込みを美しく整える方法は、Lumionの水・海・反射表現の使い方で解説しています。

STEP 5:天候を演出する(霧・雨・雪・霞み)

霧・雨・雪といった天候エフェクトは、空とセットで加えることでシーンの空気感を一気に高めます。使いどころを絞れば、同じ建物のモデルから、季節や時間の異なる複数のカットを作り分けることもできます。

霧・霞みで奥行きと空気感を出す

奥行きを出したいときに役立つのが、霧のエフェクトです。遠くの景色を霞ませると、手前の建物と背景に距離感が生まれ、空との境界も自然になじみます。都市の遠景や、背景に山並みを置く構図で、霧を薄く入れると景色に深みが出ます。

ただし、霧はかけすぎると建物までぼやけてしまいます。主役の建物までかすんでしまうと、パースとして伝えたいものが弱くなります。密度は薄めから始めて、遠景がほんのり霞む程度に少しずつ足していくのがおすすめです。

雨・濡れた路面を表現する

雨のシーンでは、降雨のエフェクトと、路面が濡れた表現を組み合わせます。雨そのものの粒だけでなく、地面が濡れて周囲の光を映し返すことで、雨天らしい空気感が生まれるからです。

雨天のパースは、夜景や街灯と相性が良い演出です。濡れた路面に街灯や窓の灯りが伸びて映り込むと、しっとりとした夜の雰囲気になります。なお、路面の濡れ具合はマテリアル(素材の質感設定)側の反射とも連動します。反射の強さを細かく調整したいときは、Lumionのマテリアル設定完全ガイド|PBRの貼り方と調整と合わせて調整すると、より思い通りの濡れ表現にできます。

雪・冬景色を作る

雪景色を作るときは、降雪のエフェクトに加えて、地面や屋根に雪が積もった見え方を意識します。降る雪だけでなく、積もった雪があってはじめて冬の景色として説得力が出るからです。

雪景色は、空を淡い曇りにして、色温度を少し低め(青寄り)に振ると季節感が出ます。冬の空気の冷たさが、空と光の色で伝わるようになります。樹木や植栽に雪が乗った雪化粧の表現は植栽側の設定とも関わるため、Lumionの植栽・樹木・草の配置テクニックと合わせて整えると、より自然な冬景色に仕上がります。

STEP 6:空の色温度で全体の雰囲気を仕上げる

空の色温度は、パース全体の「時間帯の記憶」と気分を決める最後の一手です。同じ構図でも、暖色に寄せれば夕暮れの温かさが、寒色に寄せれば朝や冬の清涼感が生まれます。空を決めたあとの総仕上げとして、ここを整えます。

色温度が雰囲気に与える影響

色温度とは、光の色みを暖色から寒色までで表す指標です。暖色(オレンジ寄り)は夕方や親密な雰囲気を、寒色(青寄り)は朝や清潔感を連想させます。この連想を利用して、伝えたい気分に合わせて色温度を寄せていきます。

大切なのは、空の色と建物側の光の色を「同じ方向」にそろえることです。空は夕焼けなのに建物の光が青白いままだと、シーンにまとまりがなくなります。空と光を同じ暖色、あるいは同じ寒色にそろえると、画面全体が1つの雰囲気に統一されます。

ただし、色温度を振りすぎると全体が不自然に色かぶりします。強くかけたくなったときは、基準となる白を1つ決めておくと安全です。「本来は白いはずの壁や紙が、変な色に染まっていないか」を確認しながら微調整すると、やりすぎを防げます。

空・大気・光を1つの雰囲気にまとめる

仕上げでは、空(雲・実写)・大気(霧)・色温度の3つを、狙った1つの雰囲気に向けてそろえます。バラバラに設定した3つを、最後に同じゴールへ寄せていく作業です。

迷ったときは、値をいじる前に「どんな時間の、どんな気分のパースにしたいか」を言葉にしておくのがおすすめです。たとえば「穏やかな朝のリビング」なら空は淡い青、大気は少し霞ませ、色温度はやや暖色寄り、というように、言葉から各設定を逆算できます。ゴールを言語化してから触ると、設定同士が喧嘩しにくくなります。

全体の色調をまとめて整えるスタイル系のエフェクトを併用するときは、順番に注意します。個別に空・大気・色温度を整えたあとで、最後にスタイル系を軽くかけると、それまでの調整を壊さずに全体の統一感だけを底上げできます。

よくある失敗と調整チェックリスト

空づくりでつまずきやすいのは、決まったパターンがあります。典型的なのは次の4つです。

よくある失敗原因直し方
空だけリアルで建物が浮く空と建物の光が合っていない空基準で全体の露出・色温度を寄せる
全体が変な色に染まる色温度のかけすぎ基準の白を決めて振り幅を戻す
空が真っ白に飛ぶ空の明るさと露出のバランス崩れ空の明るさと全体露出を中間点で調整
建物までぼやける霧のかけすぎ霧の密度を薄めに戻す

書き出しの前には、空・大気・色温度の3つを最後にもう一度見直すと安心です。複数のカットを作るときは、空の設定を使い回すか、カットごとに変えるかを決めておくと、シリーズとしての統一感を保ちやすくなります。

Real Skiesと天候演出を編集部が試してみました

ここまでの手順を踏まえ、編集部が公開情報をもとに実際の作業手順を試してみました。結論からいうと、いちばん効果を感じたのは、標準の空をReal Skiesに差し替えたときの変化でした。

同じ内観モデルで、標準の空とReal Skiesの実写空を見比べたところ、窓の外の見え方が大きく変わりました。標準の空でも十分きれいですが、実写の空にすると雲のディテールが増え、室内に差し込む光の印象までリアルに寄る感覚がありました。空が写る面積が大きい構図ほど、この差は分かりやすく出ます。

一方で、つまずきやすいと感じたのは色温度の調整でした。実写の夕景に差し替えた直後は、建物の光が昼のままで、空だけが夕方という違和感が残りました。空を基準に露出と色温度を寄せると一体感が出たので、Real Skiesを入れたら光もセットで合わせる、という順番の大切さを実感しました。霧については、薄くかけると奥行きが出る一方、少し足しすぎるだけで主役の建物までかすむため、密度は控えめから調整するのが扱いやすいという印象です。

編集部の所感としては、Lumionの空づくりは「基本の空 → Real Skies → 天候 → 色温度」という順番を守るだけで、迷いがかなり減ります。空を先に固めてから光を合わせる流れを覚えておくと、狙った雰囲気に最短でたどり着けるはずです。なお、パネル名や操作の細部はバージョンで変わることがあるため、実機ではLumion公式のガイド(2026年7月現在)や国内サポートで最新の手順を確認してください。

空づくりの応用シーンと次の一歩

空の設定に慣れてくると、1つのモデルから複数の表情を引き出せるようになります。ここでは、実務での応用シーンと、次に取り組むと効果的なテーマを紹介します。

STEP 7:季節・時間ちがいのカットを作り分ける

最後の応用として、空の設定を変えるだけで、同じ建物から複数のカットを作り分けられます。空・天候・色温度をセットで切り替えると、季節や時間の異なるバリエーションが手早く用意できるからです。

たとえば住宅の外観プレゼンで、「朝の澄んだ空」「夕方の温かい空」「雨上がりのしっとりした空」の3カットを1つのモデルから出す、といった使い方ができます。施主への提案では、時間帯ちがいのカットがあるだけで、暮らしのイメージが伝わりやすくなります。空の演出は、単なる背景づくりではなく、提案の説得力を高める道具にもなります。

空の次に整えたい環境表現

空が決まったら、次は空とつながる他の環境要素を整えると、シーン全体の完成度が上がります。空・光・水・植栽はお互いに影響し合うため、空を土台にして順に仕上げていくのが効率的です。環境表現の全体像はLumionのマテリアル・環境表現ガイド|質感・空・光・水・植栽でまとめています。

具体的には、空で決めた雰囲気に合わせて、影の向きや長さを整え、室内の灯りを足し、水面やガラスの映り込みを仕上げていく流れになります。空を起点に環境全体を組み立てると、それぞれの設定がバラバラにならず、1つの世界観としてまとまります。

まとめ:空と天候で建築パースの印象を作る

Lumionの空づくりは、「基本の空を土台にする → Real Skiesで実写に差し替える → 天候で空気感を足す → 色温度で仕上げる」の順に進めれば迷いません。空は建物の次にパースの印象を左右する要素であり、ここを整えるだけで完成度が一段上がります。

要点を整理すると、次の5つです。1つ目は、天候パネルで雲量・時間帯・明るさの土台を作ること。2つ目は、Real Skiesで実写の空に差し替えて写実感を上げること。3つ目は、霧・雨・雪の天候エフェクトで空気感と物語性を足すこと。4つ目は、色温度で空と建物の光の方向をそろえること。5つ目は、この作業順序を守ることで手戻りを減らせることです。

空・天候はマテリアル・光・水・植栽と連動します。空を起点に環境全体を整えていくと、それぞれの要素が1つの世界観としてまとまり、パースの説得力が増していきます。Lumion全体の使い方を見渡したいときは、Lumionとは?建築・土木の可視化を変える定番リアルタイムレンダリングソフトから入るとつかみやすくなります。