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3DCG · Lumion

Lumionの太陽・日照設定で影を美しく見せる方法|方位・高度・時間帯の使い分け

編集部 読了 約13分

Lumion(建築・土木向けのリアルタイムレンダリングソフト)で建物を配置したのに、影が寝すぎていたり立ちすぎていたりして、なんだか平板に見える。輪郭が硬すぎて不自然。そもそも日当たり検討に使えるのか分からない。太陽まわりでつまずく人は少なくありません。

結論から言うと、影の印象は太陽の「方位(向き)」「高度(高さ)」「時間帯」の3つでほとんど決まります。この3つの役割を分けて理解すれば、あとはスライダーを触りながら影の変化を追い込むだけです。

この記事では、Lumionの太陽・日照まわりの設定に絞って、影の向き・長さ・柔らかさをどうコントロールするか、そして正確な日影を再現するSun Study(サンスタディ)の使い方を解説します。「Lumion 太陽 設定」で迷っている方が、そのまま実務の絵づくりに移れる状態を目指しました。

なお、空そのものを実写に差し替える作り込みはLumionの空と天候(Real Skies)の使い方に、室内照明やスポットなど人工光の話はLumionのライティング設定完全ガイド|人工光・室内照明にそれぞれ送っています。ここでは太陽と影に集中します。

影の印象は「方位・高度・時間帯」で決まる

影を美しく見せる出発点は、太陽をどこに置くかです。影の向きは方位(Sun Heading)で、影の長さと硬さは高度(Sun Height)で、全体の色味と雰囲気は時間帯で決まります。この3つの役割をまず分けて理解しておくと、あとの操作がすべてつながります。

方位(Sun Heading)=影が伸びる向き

太陽の方位を回すと、建物の影が落ちる向きが変わります。北から光が来れば影は南へ、西から来れば影は東へ伸びる、という単純な関係です。

これが建築パースで効いてくるのは、「どの面に光を当て、どの面を影にするか」で立体感が決まるからです。ファサード(建物の正面)を主役にしたいなら、正面にまっすぐ光を当てるのではなく、やや斜めから光を入れます。すると正面と側面で明るさに差がつき、陰影のグラデーションが出て、建物が立体的に見えます。

真横や真正面からの光は面全体が均一に明るくなり、かえってのっぺりしがちです。まずは光を入れたい主役の面を決め、その面に斜めから光が当たる向きへ方位を回してみてください。

高度(Sun Height)=影の長さと硬さ

太陽の高さを下げると影は長く伸び、上げると短くなります。ここは影の「長さ」を決める操作だと覚えておくと迷いません。

太陽が高い正午付近では、影は短く、光は中性的な色でコントラストの強いシャープな影になります。逆に太陽が低い朝や夕方では、影は長く伸び、光は暖色(オレンジ寄り)で柔らかい印象になります(Lumion公式 Natural lighting tips、2026年7月現在)。

建築の絵づくりでは、真上に近い光は平板になりやすいので、やや斜め(高度を中〜低め)に置くと立体感が出しやすくなります。影が長すぎて画面を占領するようなら少し高度を上げる、といった具合に、長さを見ながら微調整するのがコツです。

時間帯=色味と雰囲気

時間帯は、絵全体の色味と雰囲気を決める要素です。朝夕の低い太陽は暖色で影も長く、建物のテクスチャや凹凸が強調されます。昼間の高い太陽は色が中性的で、コントラストがはっきりします。

朝夕の斜めの光が凹凸を拾ってくれるため、レンガや石、木の質感を見せたい建築では夕方寄りの設定が映えることが多いです。一方、クリアで説明的な絵にしたいなら昼間の光が向いています。

作業の順番としては、まず時間帯で狙う雰囲気を決め、次に方位で主役の面を照らし、最後に高度で影の長さを微調整する、という型で考えると迷いません。この3ステップは以降の操作すべての土台になります。

Lumionで太陽を動かす基本操作

Lumionでは、太陽の高さ・方位・明るさをスライダーで直接調整できます。どこで太陽をいじるかさえ押さえれば、あとは数値を動かしながらリアルタイムで影の変化を確認するだけです。

Sun Height / Sun Heading / Brightnessの3つのスライダー

太陽まわりの基本は、Sun Height(太陽の高さ)、Sun Heading(太陽の方位)、Brightness(明るさ)の3つのスライダーです。高さと方位が影の形を、明るさが光の強さを担当します(Lumion Support(View editor: Environment)、2026年7月現在)。

Brightness(明るさ)は光の強さで、影とハイライトのコントラストに影響します。明るくしすぎると白い壁が白飛びし、暗くしすぎると影が黒くつぶれます。

操作の順序としては、まず高度と方位で影の形と向きを決めてしまい、そのあとで明るさを触って白飛び・黒つぶれを整えるとやりやすいです。形が決まる前に明るさをいじると、何を直しているのか分からなくなりがちだからです。

View editor(環境設定)での太陽コントロール

これらの太陽の向き・高さは、Lumionの環境設定(View editorのEnvironment)にまとまっています。ここから太陽の向き・高さに加えて、雲量や空の明るさも調整できます(Lumion Support(All About View)、2026年7月現在)。

Lumionの強みは、スライダーを動かすとその場で画面の影が変わる点です。数値を頭で計算しなくても、影の見え方を目で見ながら追い込めます。太陽まわりで迷ったら、まずこの環境設定を開けば必要な操作はひととおりそろっている、と考えて差し支えありません。

なお、メニューの名称やスライダーの位置はLumionのバージョンやエディションによって変わる場合があります。名前が本文と少し違っても、「太陽の高さ・向き・明るさ」を探せば同じ操作にたどり着けます。

まず試したい初期値の考え方

最初から凝った設定を狙う必要はありません。太陽をやや斜め(高度を中〜低め)に置いて、建物に陰影が乗る状態をプレビューで確認するところから始めるのがおすすめです。いきなり数値を追い込むより、影の出方の当たりを先につかむほうが早いからです。

このとき見るのは、主役にしたい面に光が当たり、隣の面に影が落ちて立体感が出ているか、という一点です。方位を少しずつ回して、最も建物が立体的に見える向きを探してみてください。

この段階では正確さより印象を優先してかまいません。「実際の敷地でこの時刻の影はどうなるか」という正確な日影は、次に紹介するSun Studyで作ります。

Sun Studyで正確な日影を再現する

日当たり検討や「この時期・この時刻の実際の影」を見たいときは、Sun Study(サンスタディ)を使います。場所・日付・時刻を指定すると、実世界に即した太陽位置と影を再現できる機能です。

Sun Studyでできること

Sun Studyは、地理的な場所・特定の日付と時刻を指定して、実世界に即した太陽光と影をシミュレートする機能です。一年のうちのどの日でも、どの時刻でも、世界のどこでも太陽の位置を再現できます(Lumion Support(The Sun Study Effect)、2026年7月現在)。

前の章で紹介した基本操作が「印象で影を作る」ものだったのに対し、Sun Studyは「現実の日照を再現する」ものです。プレゼン資料で日当たりを説明したい、隣の建物や庇(ひさし)の影がどこまで伸びるか確認したい、といった実務の場面で役立ちます。

場所・緯度経度・日付・時刻の設定

Sun Studyでは、Location(場所)をEdit(編集)から選ぶか、Longitude / Latitude(経度・緯度)のスライダーで直接指定します。日付はDay / Month / Year(日・月・年)のスライダーで、太陽の開始位置はSun Height / Sun Headingで合わせられます(Lumion Support(The Sun Study Effect)、2026年7月現在)。

日本の建築で使うなら、実際の敷地の緯度経度を入れるのがポイントです。場所を正しく指定すると太陽の通り道が現実に合い、影の向きが実務判断に使えるものになります。おおよその場所でも雰囲気は出ますが、日当たり検討として使うなら敷地の座標をきちんと入れておきましょう。

日当たり検討・時刻ごとの影の見せ方

Sun Studyの使いどころは、時刻を変えながら影の移り変わりを確認することです。たとえば隣棟や庇による日影が、朝・昼・夕でどこまで伸びるかを追えます。

プレゼンでは、同じアングルで「朝・昼・夕」の3カットを書き出すと、日照の移り変わりが一目で伝わり説得力が出ます。1枚の完成画像だけでは伝わりにくい「時間とともに変わる日当たり」を、複数カットで見せられるのが強みです。

このとき大切なのが、真北の向きを実際の敷地に合わせることです。北の向きがずれると影の方向もずれ、日当たりの判断そのものが狂ってしまいます。日影が実務判断に直結する場面ほど、方位合わせは丁寧に行ってください。

影を「美しく」見せる柔らかさ・コントラストの調整

正確さだけでなく、影を「きれい」に見せるには柔らかさとコントラストの調整が効きます。硬すぎる影は不自然に見え、柔らかすぎると立体感が消えてしまうため、その中間を狙うのが基本です。

影の柔らかさ(Soft Shadow / 太陽の大きさ)

Lumionにはソフトシャドウ(輪郭を和らげた柔らかい影)の設定があり、影の輪郭の硬さを調整できます(Lumion Support(Soft shadow)、2026年7月現在)。輪郭がくっきりしすぎて不自然なときに和らげる、という使い方です。

レイトレーシング(光線を追跡してリアルな陰影を計算する描画方式)を使う場合は、Sun disk size(太陽の見かけの大きさ)で柔らかさを調整できます。太陽を大きくすると影が柔らかく、小さくすると輪郭がシャープになります(Lumion Support(View editor: Environment)、2026年7月現在)。

現実に寄せて考えると分かりやすく、屋外の直射日光の下では影は比較的シャープに、曇天や日陰では柔らかくなります。この現実の見え方に合わせて設定すると、影が自然になじみます。

雲量(Cloudiness)で影を和らげる

もうひとつ影の柔らかさに効くのが雲量です。Cloudiness(雲量)を増やすと、光が雲で拡散して影が柔らかくなります(Lumion Support(View editor: Environment)、2026年7月現在)。

快晴では硬くコントラストの強い影、曇りでは拡散した柔らかい影になる、という現実の関係がそのまま使えます。建物の質感や凹凸を強調したいなら快晴寄りに、落ち着いた均一な雰囲気にしたいなら曇り寄りに、と狙いで使い分けてみてください。

影のコントラストと接地感

影が薄すぎると、建物が地面から浮いて見えてしまいます。地面と接する部分にきちんと影を落とすと、建物が地面に「乗っている」感じが出て、絵が安定します。

コントラストの面では、明るさと影の濃さのバランスがすべてです。明るくしすぎれば影が飛んで浮いた印象になり、暗くしすぎれば黒くつぶれて質感が消えます。白飛びと黒つぶれのどちらも避けた中間を、プレビューで探ってください。

なぜ接地する影が立体感を生むのか、といった光と影そのものの考え方は、ソフトに依存しない座学としてリアルな陰影表現の考え方建築パースの光と影の基礎で解説しています。この記事ではLumion側の操作に集中します。

Real Skiesと併用するときの太陽・影の注意点

空を実写に差し替えるReal Skies(リアルスカイズ)を使うと、太陽の位置がその写真に固定されるため、Sun Heightなどの操作が効かなくなります。空と影を両立させるには、この仕組みを知っておくことが欠かせません。

Real Skies使用時に太陽設定が効かなくなる理由

Real Skiesは太陽が写り込んだ実写画像なので、太陽の位置は写真の中で固定されています。そのため、Sun EffectのSun Height / Sun Heading / Sun Intensity(太陽の高さ・方位・強さ)を動かしても、太陽の位置や明るさは変わりません(Lumion Support(Real Skies使用時のSun Effect)、2026年7月現在)。

Lumionのエフェクトは重なり順で処理され、後から重ねたエフェクトが前の設定を上書きします。Real Skiesを上に重ねると太陽側の設定が上書きされる、と理解しておくと、「スライダーを動かしても何も起きない」ときの原因がすぐに分かります。

空の写真と影の向きを合わせるコツ

Real Skiesを使うときは、写真の中の太陽の位置や光の向きに、地上の影の向きを見た目で合わせるのがコツです。太陽の位置は動かせなくても、影の向き自体は他の設定で調整できるためです。

ここがずれると、「空は夕方なのに影は正午の向き」といった違和感が生まれ、せっかくの実写空が不自然に見えます。空の光がどちらから来ているかを見て、影の向きをそこに寄せてください。なお、空の写真そのものの選び方や天候の作り込みはLumionの空と天候(Real Skies)の使い方で解説しています。

使い分けの判断

Real SkiesとSun Studyは、目的で選び分けるのがおすすめです。日当たり検討や正確な日影が目的なら、太陽位置を自由に決められるSun Studyが向いています。太陽が写真に固定されるReal Skiesでは、正確な日照の再現はできないからです。

一方、雰囲気を重視して空を主役にしたいなら、Real Skiesに影の向き合わせを組み合わせる方法が向いています。ドラマチックな夕景や印象的な雲を活かした一枚を作りたいときは、こちらが力を発揮します。正確さ重視ならSun Study、雰囲気重視ならReal Skies、と覚えておけば迷いません。

太陽・影設定を使いこなした次の一歩|編集部の所感

ここまでの設定を実際の建築パース制作に落とし込むと、太陽まわりで作業時間を左右するのは「順番」だという印象があります。方位・高度・明るさを行き当たりばったりで触ると、直したそばから別の要素が崩れてループしがちです。

編集部の所感として、時間帯で雰囲気を決める→方位で主役の面を照らす→高度で影の長さを整える→最後に明るさと柔らかさで仕上げる、という順に固定するだけで、迷いがかなり減ります。特に初心者のうちは、Sun disk sizeや雲量といった仕上げの調整に早く手を出しすぎず、まず影の「形と向き」を確定させることをおすすめします。形が決まっていない段階で柔らかさをいじっても、良し悪しの判断がつかないからです。

活用の次の一歩としては、Sun Studyで作った「朝・昼・夕」の3カットを、プレゼンの定番セットにしてみてください。1枚の完成画像より、時間で変わる日当たりを見せるほうが、施主や工務店との打ち合わせで話が進みやすくなります。太陽と影をコントロールできるようになると、同じモデルから引き出せる絵の幅が一気に広がります。

まとめ|太陽の3要素を分けて考えれば影は自在

Lumionの影は、方位・高度・時間帯の3つを分けて考えれば思い通りになります。正確な日影はSun Study、影の柔らかさは太陽の大きさと雲量で仕上げる、という役割分担を押さえておけば、太陽まわりで迷うことはほとんどなくなります。

要点を整理すると、次の5つです。

  • 影の向きは方位(Sun Heading)、長さと硬さは高度(Sun Height)、色味と雰囲気は時間帯で決まる
  • 正確な日照検討はSun Studyで、場所・日付・時刻を指定して再現する
  • 影の柔らかさは太陽の見かけの大きさ(Sun disk size)と雲量(Cloudiness)で調整する
  • Real Skies併用時は太陽位置が写真に固定される点に注意し、影の向きを空に合わせる
  • 作業は「時間帯で雰囲気→方位で主役の面→高度で影の長さ→明るさと柔らかさで仕上げ」の順で追い込む

太陽と影を自在にコントロールできると、同じ建物でも印象がまるで変わります。まずは1つのシーンで、時間帯を朝・昼・夕と変えながら影の出方を見比べるところから始めてみてください。