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Vectorworksの属性パレット入門|線・塗り・ハッチングで見た目を整える

編集部 読了 約12分

Vectorworksの属性パレット入門|線・塗り・ハッチングで見た目を整える

Vectorworksで図形を描いたあと、「線の色や太さをどう変えるのか」「床や壁を材料っぽく塗り分けたい」と迷う場面は多いはずです。これらの見た目は、すべて属性パレット(図形の線と塗りをまとめて設定するパレット)から整えられます。

この記事では、属性パレットで線と塗りをどう与えるかを、公式ヘルプ(app-help.vectorworks.net、確認日2026年7月24日)にもとづいて解説します。

扱うのは、線色・線の太さ・線種の変え方、7タイプある塗りの使い分け、ハッチングやタイルによる材料・断面の表現、そして図面全体で見た目をそろえるクラスによる設定の入口まで。作図の「描く」と「整える」を切り分けて理解しておくと、狙いどおりの見た目に最短でたどり着けます。

属性パレットで図形の「見た目」を決める

属性パレットは、選んだ図形の線と塗りをその場で変えられる、見た目づくりの中心となるパレットです。ここ1枚で線・塗り・不透明度・線端マーカー・影の5系統を扱えるので、まずは「何が設定できて、どう図形へ与えるか」を押さえておくと迷いません。

属性パレットで設定できる5つの要素

属性パレットで設定できるのは、ペン(線)・塗り(Fill)・不透明度(Opacity)・線端マーカー・ドロップシャドウの5系統です。線と塗りが同じパレットに集約されているため、図形を選べばその見た目をひとまとめに調整できます。

線端マーカー(線の端に付ける矢印などの記号)は、線・円弧・ポリラインといった開いた図形にだけ付けられます。閉じた矩形や円には適用されないので、寸法線や引き出し線を作るときに使う要素だと考えておくと位置づけがはっきりします。

テキストにはペンカラー・不透明度・ドロップシャドウのみが効き、文字そのものへ塗りは適用できません。ただしテキストボックス(文字を囲む枠)には塗りを適用できるため、注記に薄い背景色を敷いて目立たせるといった使い方はできます。

不透明度(Opacity)は図形を半透明にして重なりを見せたいときに、ドロップシャドウ(図形の下に落ちる簡易的な影)は軽い立体感を付けたいときに使います。どちらも表現の効果は大きい一方、図面としての読みやすさを損ないやすいので、製図では多用しないのが基本です。

「描く」と「整える」は別の工程

図形の「形」を作る作業と、その図形に「見た目」を与える作業は分けて捉えると混乱しません。属性パレットが担うのは後者の「整える」側です。

図形そのものを描く手順は基本2D作図ツール|直線・矩形・円・多角形・曲線で、寸法どおりに正確な形へ収める方法は寸法どおりに正確に描くで解説しています。この記事は、そうして描いた図形にどんな線と塗りを与えるかに集中します。

なお、属性パレットが画面のどこにあるか、他のパレットとどう並ぶかといった作業環境の話はVectorworksの画面構成とワークスペースの使い方で解説しています。ここでは、パレットの位置ではなく中身の使い方を見ていきます。

属性を適用する3つの方法(選択して変更・新規図形の既定値・スポイトでコピー)

設定できる要素がわかったら、次はそれを図形へ与える操作です。方法は「選択して変更」「新規図形の既定値」「スポイトでコピー」の3通りがあり、場面に応じて使い分けると作業が速くなります。

1つ目は、選択して変更する基本操作です。図形を選んだ状態で属性パレットの値を変えれば、その場で見た目に反映されます。まずはこの方法で、狙いの色や塗りになるか試すのが出発点になります。

2つ目は、新規図形の既定値を決めておく方法です。何も選択していない状態で属性パレットの値を変えると、その設定が以後に描く図形へ既定として引き継がれます。「これから描く補助線は細い破線」と描き始める前に決めておけば、1本ごとに直す手間が消えます。

3つ目は、スポイトツール(Eyedropper、基本ツールパレット内)で見た目をコピーする方法です。「属性を拾う(Pick Up)」で元図形の見た目を取得します。次にCtrl(Windows)またはOption(Mac)を押しながら「属性を適用する(Apply)」へ切り替え、別図形に転写します。ツールバーの設定で、塗り・ペン(線色/線種/太さ)・線端マーカー・クラスなど、転写する属性のグループを選べます。1つ整えた図形をスポイトで横展開すると、同じ材料や同じ線表現をすばやくそろえられます。

まずはこの3通りを手になじませておきましょう。

出典: 公式ヘルプ「The Attributes palette」「Applying object attributes」「Transferring Attributes」(app-help.vectorworks.net、2026年7月24日確認)。

線の表現を整える(線色・線の太さ・線種)

線の見た目はペンカラー・線の太さ・線種の3要素で決まり、なかでも初心者がつまずくのが「線の太さは線種に含まれない」という仕様です。ここを先に押さえておくと、線を思いどおりに整えられます。

線色と線の太さ

線色と線の太さは、図形を選んで属性パレットのペンカラーと線の太さで指定します。破線や実線といった種類とは別に、色と太さは図形側で個別に決める要素です。

線の太さは、図面の読みやすさを大きく左右します。外形線を太く、寸法補助線や下書き線を細くと差をつけることで、A1サイズのプレゼンボードに印刷したときも図の主従が一目で伝わります。実務では、部位ごとに太さのルールを先に決めておくと、後からの調整が最小限で済みます。

線種(破線・一点鎖線から複雑な線種まで)

線種は、中心点から両方向に繰り返す2D要素の集合として定義されるリソース(再利用できる部品)です。単純な破線(simple)から、フェンスや配管記号のように塗り付きの2D図形を含む複雑な線種(complex)まで、同じ仕組みで扱えます。

ここで大切なのが、線種リソースの定義には線の色と太さが含まれないという仕様です。線種を替えても太さは自動では変わらないため、線種を適用したあとに属性パレットでその図形の線色・線の太さを指定します。破線に替えたのに太さが太いまま、と戸惑った経験はないでしょうか。原因の多くは、この仕組みを知らないことにあります。

線種のスケール(破線の間隔の大きさ)や向きは、属性パレットの「線種設定」で図形ごとに調整できます。この調整はリソース本体には影響せず、その図形だけに効くので、同じ一点鎖線でも図形に応じてピッチを変えられます。

出典: 公式ヘルプ「Defining and editing line types」(app-help.vectorworks.net、2026年7月24日確認)。

塗りの7タイプを使い分ける

塗りは、なし・単色・模様・ハッチング・タイル・グラデーション・イメージの7タイプから選びます。まず意識したいのは、グラフィック寄りの単純な塗りと、材料表現を担うハッチング・タイルという2グループの違いです。ここを分けて捉えると選択に迷いません。

塗りタイプ中身主な用途
なし(None)塗りを適用しない輪郭だけ見せたい図形
単色(Solid)1色で塗る色分け・簡易な着色
模様(Pattern)前景色・背景色の2色による幾何模様簡易な塗り分け
ハッチング(Hatch)線ベースのパターン(リソース)材料・断面の描き分け
タイル(Tile)図形を敷き詰めるパターン(リソース)床仕上げ・繰り返し部材
グラデーション(Gradient)色が連続的に変化する塗り図やダイアグラムの表現
イメージ(Image)画像を塗りとして適用実素材の見せ込み

なお塗りの選択肢には、この7タイプに加えて「クラススタイル(クラスによる設定)」も並びます。その使い方は後半の「属性を一元管理する」で解説します。

単色・模様・グラデーション・イメージ

グラフィック寄りの4タイプは、色や画像で図形を塗る単純な塗りです。単色(Solid)は1色で塗り、模様(Pattern)は前景色・背景色の2色で構成される幾何模様を敷きます。グラデーション(Gradient)は色が連続的に変わる塗り、イメージ(Image)は画像を塗りとして貼り込む方法です。

ここで混同しやすいのが、模様(Pattern)とハッチング(Hatch)の違いです。模様は2色の単純なパターンで拡大縮小の融通が利きにくいのに対し、ハッチングはリソースとして定義された線パターンで、スケールや回転に耐えます。図面の材料表現には、模様ではなくハッチングを使うのが実務の基本です。

ハッチングとタイル(図面の材料・仕上げ表現の担い手)

材料や仕上げをグラフィックで描き分ける役割は、ハッチングとタイルが担います。ハッチング(Hatch)は線ベースのパターン、タイル(Tile)は図形(シンボルなど)を敷き詰めるパターンで、どちらもライブラリまたは現在のファイルから選ぶリソースです。

ハッチングは2Dの平面・スクリーン図形のほか、壁にも適用できます。ただし壁に付けたハッチは、上面ビューや平面ビューで表示される仕様なので、平面図の壁を材料っぽく見せたいときに効いてきます。

ハッチングには2種類あります。図形に追従する関連付けハッチ(Associative、リソースとして図形に紐づく)と、ハッチコマンドで独立して置く非関連付けハッチ(Non-associative、独立したグループになる)です。図形を編集しても崩れてほしくないなら、リソースとして紐づく関連付けハッチを選ぶのが扱いやすい方法です。

属性マッピングツールで図形ごとに調整

床タイルの目地方向や断面ハッチのピッチを図形ごとにそろえたいときは、属性マッピングツール(Attribute Mapping)を使います。基本ツールセット内にあり、ショートカットはShift+A(Windows)/ Option+A(Mac)です。リソース本体を変えずに、塗りの位置・スケール・回転角を図形単位で調整できるツールです。

操作は、原点(左下にある赤と緑の線の交点)を基準にハンドルをドラッグするか、スケール・高さ・幅を数値で入力します。中央のハンドルをつかめば回転もできるので、たとえばフローリングの向きを部屋ごとに変える調整もこのツールで完結します。

ここで加えた調整は、リソース本体を書き換えず、その図形(インスタンス)にだけ効きます。属性パレットの「塗りハッチング/タイル設定」のポップオーバーの値とも双方向に同期するため、ツールで動かした結果はパレット側の数値にも反映されます。

出典: 公式ヘルプ「Fill Attributes」「Using Hatch Fills」「Mapping hatch and tile fills」(app-help.vectorworks.net、2026年7月24日確認)。

ハッチングで材料と断面を表現する

図面で材料を伝える手段の中心が、ハッチングとタイルによる描き分けです。平面図の床仕上げ、断面図のコンクリートや断熱材を、材料ごとに決めたパターンで区別することで、色に頼らなくても素材が読み取れる図面になります。

平面図・断面図で材料を描き分ける

材料表現の基本は、「この材料にはこのハッチ」と対応を決めて割り当てる考え方です。平面図なら床のタイルやフローリング、断面図ならコンクリートの斜線ハッチや断熱材のパターンを、それぞれ定義済みのハッチ・タイルで描き分けます。

たとえば住宅の平面図で、玄関土間・LDKのフローリング・浴室のタイルを1枚に収めるとき、材料ごとに別のハッチを割り当てておけば、着色しなくても仕上げの違いが伝わります。壁のハッチが平面ビューで表示される仕様も踏まえると、壁の構成材と床の仕上げを同じ図面上で区別しやすくなります。

なお、写真のようにリアルな質感を作り込む表現は、2Dの作図ハッチとは別の領域です。Vectorworks内蔵のレンダリングや専用レンダラーが担う話になるため、この記事のスコープからは外して、あくまで作図レベルの材料表現に絞ります。

材料表現を「そろえ続ける」には仕組みが要る

材料ごとにハッチを手作業で割り当てていくと、図面が大きくなるほど表記のゆれが起きやすくなります。同じコンクリートなのに図形によって違うハッチ・違う線の太さになる、といったズレです。

こうしたゆれを防ぐには、「この材料はこの見た目」と一度決めて図面全体に効かせる仕組みが要ります。図形を1つずつ整える方法には限界があり、ここから先はクラスによる設定で解決できます。

属性設定でつまずく3点についての編集部の見解

公式ヘルプと実際の操作でつまずきやすい箇所は、おおむね3点に集約されます。原因と回避策をセットで押さえておくと、同じ詰まりを繰り返さずに済みます。

1点目は、線種を替えても線の太さが変わらない点です。原因は、線の太さが線種リソースに含まれず図形側で持つ属性だから。線種を替えたら太さも属性パレットで指定する、と手順に組み込んでおくと戸惑いません。

2点目は、色や塗りをいくら変えても反映されないケースです。原因は、その項目がクラス側で決まっていることにあります。属性パレットの項目に曲がった矢印のアイコンが付いていれば、見た目はクラス任せになっているサインです。個別に変えたいなら、その項目をクラス依存から外してから指定します。

3点目は、スポイトツールで意図せずクラスまでコピーしてしまう事故です。スポイトは初期設定だと多くの属性を転写対象に含むため、ツールバーの設定で塗りやペンだけに絞っておくと、レイヤやクラスを巻き込む失敗を避けられます。量産前にこの設定を見ておくと安全です。

属性を一元管理する(クラスによる設定の入口)

図面全体で見た目をそろえ続けるなら、図形ごとに直接指定する方法と、クラス(図形を種類ごとに束ねる分類)に見た目を持たせる方法の2択になります。後者を使うと、材料や部位ごとの見た目を一括で管理できます。

「クラスによる設定」で見た目をそろえる

クラスに属性を持たせておくと、そのクラスに属する図形の見た目が一括で決まります。属性パレットで曲がった矢印のアイコンが付いた項目は、その図形のクラスで見た目が決まっている状態を表します。

塗りのタイプ選択にも「クラススタイル(クラスによる設定)」があり、これを選ぶと塗りの見た目をクラス任せにできます。前半で説明した7タイプの塗りと同じ場所で選べるので、個別に塗るかクラスに委ねるかを図形ごとに切り替えられます。

まとめてクラス管理へ切り替えたいときは、ユーティリティメニューの「すべての属性をクラスによる設定にする(Make All Attributes by Class)」を使います。「壁は必ずこのハッチ・この線の太さ」と決めておけば、あとから材料の見せ方を変えたくなっても、クラスの設定を1か所直すだけで図面全体に反映できます。

出典: 公式ヘルプ「Applying object attributes」「Fill Attributes」(app-help.vectorworks.net、2026年7月24日確認)。

直接指定とクラス管理の使い分け

どちらを使うかは、その図形が一時的なものか、図面全体でそろえたいものかで決めると迷いません。試作中の図形や一時的な着色は直接指定が手軽で、材料や部位のように統一したい見た目はクラス管理に任せてみてください。

クラスによる属性管理の全体像はVectorworksのクラスで見た目を一元管理するで詳しく解説しています。レイヤとの役割分担も含めて、見た目を仕組みでそろえる方法を深掘りしたいときに読むと理解が進みます。

作業中に「色が変えられない」と感じたら、先述したクラス管理のサインをまず思い出してください。この確認を習慣にしておくと、属性まわりの詰まりの多くはその場で解決できます。

属性を使いこなす次の一歩|作図から一元管理へ

属性パレットの操作に慣れると、作図のスピードと図面の見やすさが両方とも変わってきます。線と塗りをその場で整えられるようになった先に待っているのが「見た目を仕組みでそろえる」段階です。

図形を1つずつ整えていた人と、既定値やスポイト、クラスによる設定を使い分けられる人とでは、図面が大きくなるほど作業量に差が開きます。前者は材料を変えるたびに全図形を手直ししますが、後者はクラスの設定を1か所直せば済みます。まずはスポイトと既定値で日々の作図を速くし、慣れてきたらクラスによる設定へ広げていく順序が、無理なく身につく進め方です。

こうして属性を土台から押さえておくと、この先どんな図面規模になっても見た目の管理で行き詰まりにくくなります。

まとめ

属性パレットでの見た目づくりは、線(色・太さ・線種)と塗り(7タイプ)を図形へ与えることが基本になります。線の太さは線種に含まれず図形側で指定する、という仕様を押さえておくと、線まわりの迷いが減ります。

材料や断面の表現を担うのはハッチングとタイルで、図形ごとの微調整は属性マッピングツールで行います。そして図面全体で見た目をそろえ続けるには、図形を1つずつ整えるのではなく、クラスによる設定で一元管理する仕組みへ進むのが近道です。属性を適用する3つの方法(選択して変更・新規図形の既定値・スポイトでコピー)を使い分けながら、「描く→整える→そろえる」の流れで作図を組み立ててみてください。