Twinmotionで地形を造成する|Sculpt/Paintと周辺市街地の取り込み
Twinmotion(Epic Games製の完全無料リアルタイムレンダラー)で敷地の地形を扱うと、「取り込んだ地面が編集できない」「敷地の周りが殺風景」という悩みを解けます。地形は Sculpt(形を彫るツール)で盛土や整地をつくり、Paint(地表を塗るツール)で草や土の質感をのせ、さらに Urban 機能で周辺の街まで呼び出せます。まっさらな平地から実測した地形まで、同じ操作で仕上げられるのが強みです。
この記事では、地形(Landscape)を用意するところから、Sculptによる造成、Paintでの地表塗装、OpenStreetMapを使った周辺市街地の取り込みまで、Twinmotionの敷地環境づくりを一通り解説します。
数値や仕様はEpic公式ドキュメント(2026年7月11日確認)に沿って整理しました。
Twinmotionの地形ツールでできること
Twinmotionの地形は、Sculptで「形」を、Paintで「地表の質感」を作り、Urbanで「周辺の街」を足す3ステップで仕上がります。これが敷地環境づくりの全体像です。形と質感が別のツールに分かれているので、地面の起伏をいじっても塗った素材は崩れません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 地形の追加 | ライブラリから配置、または外部ファイルを取り込み |
| Sculpt | 地面の形を彫る(盛る・掘る・均す) |
| Paint | 地表に草・土などのマテリアルを塗る |
| Urban | 周辺市街地をOpenStreetMapから取り込む |
| 編集の入口 | 地形を選択し、Propertiesパネルの Sculpt / Paint |
ソース: Epic公式 Overview of Landscapes in Twinmotion(2026年7月11日確認)
地形はLandscapeという扱い
Twinmotionでいう「地形」は Landscape という専用オブジェクトで、これを選ぶと形と質感の編集ができるようになります。地形をビューポート(3D表示画面)かScene graph(シーン内のオブジェクト一覧)で選択すると、Propertiesパネルに Sculpt と Paint が現れます。
「形を彫る(Sculpt)」と「地表を塗る(Paint)」は別のツールとして分かれています。だから地面を大きく盛り上げてから草を塗り直す、といった行き来が自由にできます。手順の入口はどちらも「地形を選択してからProperties」で共通です。
敷地環境づくりの3ステップ
敷地は「①地形を用意する→②Sculptで造成しPaintで地表を塗る→③Urbanで周辺市街地を足す」の順で作ると迷いません。この記事もこの流れに沿って進みます。
樹木や人、車をまとめて置く工程は、この記事の範囲には含みません。大量配置はTwinmotionのPopulateで大量配置で解説しているので、緑や人でにぎわいを足したくなったらそちらへ進んでください。
地形を用意する(ライブラリ配置とファイル取り込み)
まっさらな地形はライブラリから、実在の地形は標高データを取り込んで用意します。どちらも同じ Sculpt / Paint で編集できるので、後工程は共通です。実測データがあるかどうかで入口を選びましょう。
| 種類 | 対応形式 | 備考 |
|---|---|---|
| heightmap(標高データ) | .r16 / .png | 16bitグレースケール画像。黒=低い、白=高い |
| 点群 | .txt / .xyz | XYZ座標のテキスト |
| mesh(ポリゴン) | .skp / .fbx / .obj / .c4d | ポリゴンのみ。NURBS(曲面を数式で表す形式)は非対応 |
ソース: Epic公式 Overview of Landscapes / Importing Landscapes(いずれも2026年7月11日確認)
ライブラリから地形を置く
手早く造成を始めたいときは、ライブラリの地形をドラッグするのが近道です。ライブラリの Vegetation > Landscape カテゴリに Flat(平地)や Rocky Grasslands(岩がちな草地)といった型が用意されており、シーンにドラッグするだけで置けます。
置いた直後からPropertiesの Sculpt / Paint で編集を始められます。たとえば戸建ての外構パースで「まず平らな敷地を出して、そこに緩い傾斜と花壇の窪みを付けたい」という場面では、Flatを置いてすぐ造成に入るのが最短です。
実地形を標高データから取り込む
実在の敷地を再現したいときは、標高データや3Dメッシュを取り込みます。取り込みはフッターの Import(読み込み)をクリックしてImport dockを開き、Import(+)アイコンから Landscape タブでファイルを選び、Openで読み込みます。ファイルの種類(heightmap/点群/mesh)ごとにインポートオプションが変わります(出典: 同上、2026年7月11日確認)。
heightmapは高さを明暗で表した画像で、黒が低く白が高い土地を表します。これで測量データから実際の起伏を再現できるわけです。「Landscapeとして」取り込むと、以降はSculpt/Paintで編集できる地形になります。3Dモデルとして置く取り込みとは扱いが別なので、地形として彫りたいものはLandscapeで入れてください。
取り込みには2つの制約があります。まず、取り込めるLandscapeは1プロジェクトにつき1つだけです(出典: Importing Landscapes、2026年7月11日確認)。複数の敷地を扱うなら実地形は1つに絞り、別敷地はプロジェクトを分ける判断が要ります。もう1つ、取り込んだLandscapeは既定で座標原点(0,0,0)に配置されます。ビューに地形が見当たらないときは原点を確認し、そこを建築モデルとの位置合わせの起点にすると迷いません。
取り込み時に確認したい寸法・スケール
取り込んだ直後は、必ず寸法が合っているかを見てください。FBXをLandscapeとして取り込むと、同じファイルを3Dモデル(Geometry)として取り込んだときとスケールが変わる既知の挙動があります(TM-15427、Epic公式 2024.1 Release Notes、2026年7月11日確認)。
地形は実寸を前提とするので、ここがずれると建物との高さ関係が狂います。造成を始める前にサイズと向きを合わせておくと、あとの整地やPaintが楽になります。
Sculptで地形を造成する
Sculptはブラシで地面を盛る・掘る・均すツールで、6つのモードを敷地の造成手順に当てはめれば迷いません。整地から起伏、仕上げまでを1つのツールでこなせます。建築敷地の「盛土・切土・整地」を数値付きで扱えるのが、手描きの地形メッシュにない強みです。
| モード | 動作 | 建築敷地での使いどころ |
|---|---|---|
| Raise | 盛り上げる | 盛土・築山・土手 |
| Dig | 掘り下げる | 池・窪地・掘り込み駐車場 |
| Flatten | 一定の高さに平坦化 | 建物を置く面の整地 |
| Smooth | 角を滑らかにする | 造成の継ぎ目をならす |
| Noise | ランダムな凹凸を出す | 自然な地面の揺らぎ |
| Erode | 浸食したように削る | 風雨で削れた斜面の表現 |
ソース: Epic公式 Overview of Landscapes(2026年7月11日確認)
6つのSculptモードと使いどころ
各モードは造成の役割ごとに使い分けます。Raiseで盛土、Digで池や窪地、Flattenで建物の設置面を水平にする整地、Smoothで角の滑らか化、Noiseで自然なランダム凹凸、Erodeで浸食した斜面を作ります。
順番も効き方を左右します。整地→大きな起伏→細部の順で使うと、敷地が自然にまとまります。いきなり細かい凹凸から入ると全体のバランスが取りにくく、あとで大きく直すはめになるためです。傾斜地の住宅なら、まずFlattenで建物の面を出し、次にRaise/Digで周囲の高低差を付け、最後にSmoothとNoiseで整える流れが分かりやすいでしょう。
ブラシ設定(Shape・Diameter・Intensity)
造成の効き具合は3つの設定で決まります。Shape(ブラシの形)は Circle / Smooth circle / Blobs / Stains の4種で、既定は Circle です。Diameter(ブラシの太さ)は 0〜160m で既定10m、Intensity(効きの強さ)は 0〜100% で既定15%です(出典: 同上、2026年7月11日確認)。
この既定値の意味を知っておくと操作が読めます。Intensityの15%はゆっくり効く設定なので、1回で大きく変わらず、重ね塗りで盛る・掘る前提になっています。広い造成をするときはDiameterを大きく取り、逆に建物際の微調整ではIntensityを下げて少しずつ効かせると、狙った形に寄せやすくなります。
建物を置く整地のコツ
建築敷地で最初に効くのが、建物の設置面を水平にする整地です。建物のフットプリント(外周の輪郭)周辺をFlattenで水平に均してから、その周りにRaiseやDigで起伏を付けると、建物が地面に自然になじみます。設置面が斜めのままだと、モデルが地面に埋まったり浮いたりしてしまいます。
最後の調整としてSmoothで造成の継ぎ目をならし、Noiseを弱めにかけて単調さを消します。造成した面がのっぺり平らだと人工的に見えるので、ごくわずかな揺らぎを足すだけで自然な地面らしくなります。
Paintで地表を塗り分ける
Paintは地面に草・土・砂利などのマテリアルを塗り重ねるツールで、既定の4マテリアルを差し替え、スケールと不透明度で自然な地表を作ります。Sculptで作った形の上に、質感を後から自由にのせられます。ここで対象にするのは「地形の地表を塗る操作」で、マテリアルそのものの反射や粗さといった物理設定には踏み込みません。
| 設定 | 範囲・既定 | 役割 |
|---|---|---|
| 既定マテリアル | Materials > Ground > Nature の4種 | 塗りはじめのパレット |
| Texture Scale | 0.001〜100.00 | 模様(テクスチャ)の大きさ |
| Diameter | 0〜160m(既定10m) | ブラシの太さ |
| Opacity | 0〜100% | 塗りの濃さ |
ソース: Epic公式 Overview of Landscapes(2026年7月11日確認)
既定マテリアルと差し替え
Paintを開くと、最初から Materials > Ground > Nature の4マテリアルが塗れる状態で並んでいます。この4枠は差し替えができ、ライブラリのマテリアルをタイルにドラッグすれば好きな素材に変わります(出典: 同上、2026年7月11日確認)。
草・土・砂利・アスファルトなどを複数レイヤーで塗り重ね、境目を自然にぼかすと、地表がぐっとリアルになります。たとえば公園まわりの外構パースなら、芝生をベースに敷き、園路にあたる部分へ砂利や土を重ねると、動線が地面の表情だけで伝わります。地表に使う素材そのものの選び方はTwinmotionマテリアルライブラリの使い方で詳しく解説しています。
塗りの設定(Texture Scale・Diameter・Opacity)
塗り分けの見え方は3つの設定で調整します。Texture Scaleは 0.001〜100.00 の範囲で、模様の大きさを決めます。大きすぎると同じ柄の繰り返しが目立つので、敷地の実寸に合わせて調整するのがコツです。
Diameterは 0〜160m(既定10m)でブラシの太さ、Opacityは 0〜100% で塗りの濃さを決めます(出典: 同上、2026年7月11日確認)。Opacityを低めにして薄く重ねると、素材どうしの境目がなじんで自然な地表になります。Shape(ブラシの形)はSculptと同じ Circle / Smooth circle / Blobs / Stains の4種から選べます。
周辺市街地を取り込む(Urban / OpenStreetMap)
敷地の周りの街は、Populate(配置)パネルの Urban タブから OpenStreetMap(誰でも使える世界地図データ)を取り込んで一括生成できます。主役の建築モデルの背景に、街の文脈を素早く足せる機能です。都市計画や大規模開発で「建物単体ではなく街並みの中の姿を見せたい」ときに効きます。
UrbanタブとOpenStreetMap連携
Urbanタブでは、OpenStreetMapのデータをダウンロードできます(出典: Epic公式 Populating Scenes in Twinmotion、2026年7月11日確認)。ダウンロードしたデータを使うと、シーンの3Dモデルに最新の周辺コンテキスト(周辺の建物など)を付けられます。地図上の場所を指定すると、その周辺の建物ボリュームがまとめて生成される仕組みです。
生成される周辺建物は細部まで作り込まれたものではなく、概形(おおまかな形)の背景コンテキストです。あくまで主役の建築モデルを引き立てる用途と考えてください。たとえば駅前の商業ビルの提案で、周囲の街区を概形で出しておくと、敷地のスケール感や見え方の説明がぐっと伝わりやすくなります。
取り込み時の注意点(既知の挙動)
OpenStreetMapの取り込みでつまずきやすい点を先回りしておきます。まず、ロケーション検索のときにOpenStreetMapの読み込みに失敗することがあります(TM-15637、Epic公式 2024.1 Release Notes、2026年7月11日確認)。失敗したら場所を少しずらす、時間をおいて再試行する、といった対処が有効です。
バージョンにも触れておきます。2024.1で、OpenStreetMap由来のurban context(周辺コンテキスト)マテリアルのテクスチャが正しく表示されるよう修正されました(TM-4747、同上)。周辺建物の見た目が崩れる場合は、なるべく新しいバージョンを使うと安定します。OpenStreetMapのデータは地域によって精度や網羅にばらつきがあるので、細部は主役モデルで補う前提で使うのが現実的です。
街に人・車を足すには
周辺市街地の建物を出したら、次は人や車でにぎわいを足したくなります。Populateパネルは、Urban・Place・Pathsの3つで構成されています(出典: Populating Scenes、2026年7月11日確認)。Urbanは、周辺市街地をOpenStreetMapから取り込むタブです。Placeは、アセットのPaint/Scatterや、編集できるスプラインでのArea/Paths作成を担います。Pathsは、キャラクター・自転車・車が動くパスを扱います。
建物の周りに人や車を大量に置く工程は、このうちPlaceのScatter/PaintとPathsが担います。手順はTwinmotionのPopulateで大量配置で解説しているので、街の生活感まで作り込みたいときはそちらへ進んでください。
Sculpt・Paintによる造成を編集部が読み解いた所感
公式ドキュメントを読み解くと、Twinmotionの地形ツールは「実測データを取り込める正確さ」と「ブラシ感覚の手軽さ」を1つにまとめている点が、建築の敷地づくりに向いていると編集部は見ています。
まず評価できるのは、造成のパラメータが数値で示されている点です。ブラシの太さや効きの強さが数値で決まるため、感覚頼みになりがちな地形編集を、再現性のある操作に落とし込めます。用途の違う6つのモードを順に当てるだけで敷地がまとまるのは、専門の地形ソフトを持たない設計者にとって現実的な入口といえます。
一方で気をつけたいのが取り込みの制約です。取り込めるLandscapeが1プロジェクト1つという点は、複数敷地をまたぐ大規模案件では設計判断を左右します。FBXをLandscapeとして入れるとスケールが変わる挙動もあり、取り込み直後の寸法確認は省けません。周辺市街地のOpenStreetMap連携も、location searchの読み込み失敗という既知の不安定さがあるため、提案の直前に一発勝負で頼るより、余裕をもって試しておくのが安全でしょう。
向いているのは、Revit/Archicad/SketchUpなどで作った建築モデルに、敷地の造成と街の文脈を無料で足したい設計者・パース制作者です。Twinmotionは完全無料で始められるので、地形表現のために追加コストを気にせず試せる点も、学習段階の人には後押しになります。
地形を整えた先に広がる敷地表現の景色
地形を造成できるようになると、パースの説得力が「建物単体」から「街の中の建物」へと一段広がります。ここからの一歩を具体的に描いておきます。
たとえば傾斜地の住宅で、敷地の高低差を実測どおりに再現できると、道路からのアプローチや擁壁の見え方まで検討材料になります。整地した面に建物を置き、Paintでアプローチの舗装と庭の芝を塗り分ければ、施主に「完成した後の暮らし」を静止画1枚で見せられます。造成を扱えなかったときは平らな地面に建物を置くだけだったのが、地面の物語まで語れるようになるわけです。
さらに植栽を足すと、敷地は一気に生き生きします。造成した地形に樹木を植える工程はTwinmotionの植栽(Vegetation)配置で解説しています。地形→地表→周辺市街地→植栽と積み上げていくと、無料のTwinmotionだけで「街区の中に建つ、緑のある敷地」まで到達できます。ここまで整えた景色は、コンペのプレゼンボードでも、施主説明の1枚でも、そのまま強い武器になります。
まとめ|敷地環境づくりの実践フロー
Twinmotionの地形は「整地して造成→地表を塗る→周辺市街地を足す」の順で作ると、敷地環境が最短で仕上がります。地形を用意したら、まずFlattenで建物の面を整地し、Raise/Digで高低差を付け、Smooth/Noiseで自然にならします。次にPaintで草・土・砂利を薄く重ねて地表を作り、最後にUrbanタブからOpenStreetMapで周辺の街を呼び出します。緑を足したいときは植栽、人や車を足したいときは大量配置へと進めば、敷地は段階的に完成します。
数値の要点は3つあります。SculptもPaintもDiameterは 0〜160m(既定10m)で共通、Sculptの効きはIntensity既定15%でゆっくり重ねる設計です。取り込む実地形は1プロジェクト1つ、既定で原点(0,0,0)に置かれます。この3点を知っておくだけで、「地形が見つからない」「思ったより効かない」といったつまずきを避けられます。すべてEpic公式ドキュメント(2026年7月11日確認)に沿った仕様です。