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3DCG · Twinmotion

Twinmotionのパノラマ(360)書き出し|モノ・ステレオ出力と用途

編集部 読了 約16分

Twinmotion(Epic Games製のリアルタイムレンダリングソフト)で360パノラマを出したいのに、メニューの場所がわからない。解像度やファイル形式の選択肢が多くて迷う。「モノ」と「ステレオ」の違いが説明されないまま設定画面が出てくる。こうしたつまずきは、Twinmotionのパノラマ書き出しを初めて触るときに起こりがちです。

この記事では、Twinmotionの360パノラマ書き出しを、設定の選び方から活用先まで用途から逆算して解説します。

Twinmotionは個人や小規模なら無料で使い始められるソフトで、追加費用なく360パノラマまで書き出せます。専用の機材がなくても、クライアントがブラウザで空間を見回せる。そこまで届くのが、このソフトのパノラマ機能の強みです。

Twinmotionのパノラマ書き出しでできること

Twinmotionのパノラマ書き出しは、置いた視点から360度すべてを1枚に収めた画像を作る機能です。モノとステレオの2つのモードがあり、Webでの軽い共有からVRヘッドセットでの没入体験まで、同じ画面から出し分けられます。

360パノラマ(全方位画像)とは

パノラマ(360度すべてを1枚に収めた全方位画像)は、置いた視点から上下左右のすべてを記録した画像です。ビューアやVRで見ると、その場に立って周囲を見回している感覚が得られます。静止画1枚では伝わらない「空間の広がり」を、そのまま届けられる形式だと考えてください。

書き出しはequirectangular(正距円筒図法。360度の全方位を横:縦=2:1の1枚画像に展開する標準形式)で行われます。この形式はほとんどのVRプラットフォームや360ビューアと互換性があり、書き出したファイルをそのまま渡せます(Export Settings for Images and Panoramas(Epic公式)、2026年7月現在)。

この記事が対象とするのは「1つの視点からの全方位静止画」です。空間の中を自由に歩き回る体験は別の機能が担うため、ここでは360の静止パノラマに絞って解説します。

モノとステレオ、2つの出力モード

Twinmotionのパノラマは、Standard(モノ)と3D(ステレオ)の2モードで書き出せます(Export Settings(Epic公式))。この選択が、あとの使い道を大きく左右します。

モノは両目に同じ1枚を見せる方式で、軽くて幅広い環境で扱えます。ステレオは左右の目に別々の画像を描き、立体感(奥行き)を出す方式です。どちらを選ぶかは用途で決まるため、後半で判断の目安を表にまとめました。

何に使えるか(用途の全体像)

書き出したパノラマの主な使い道は、VRヘッドセットでの内見体験、Twinmotion CloudでのWeb共有、Webページへの埋め込みやローカル配布の3方向です。いずれも、静止画1枚を渡すより多くの情報を相手に届けられます。

とくに大きいのは、専用の機材がなくても相手がブラウザで360を見回せる点です。クライアントに「アプリを入れてください」とお願いせずに空間を確認してもらえるので、確認のハードルがぐっと下がります。

パノラマを書き出す手順

パノラマの書き出しは「視点を決める → Export(書き出し)パネルでPanoramaを選ぶ → 解像度や形式などの設定を開く → Start Exportで保存する」という流れで進みます。Twinmotionはリアルタイムに描画されるので、視点を調整した結果をそのまま書き出せます。

パノラマの視点(カメラ位置)を決める

360パノラマは「どこに立って撮るか」で体験の質がほぼ決まります。部屋の中央、玄関を入ったところ、眺望の良い窓際など、相手に立ってほしい場所へ視点を置いてください。

目線の高さは、人が立ったときの視線(おおよそ1.5〜1.6メートル相当)を意識すると自然に見えます。視点の置き方や見せ場の作り込みをさらに詰めたいときは、Twinmotionのカメラ・構図・被写界深度で解説しています。

Export(書き出し)パネルでPanoramaを選び、設定を開く

Export(書き出し)パネルでPanoramaを選ぶと、解像度・ファイル形式・モードといった360固有の設定を開けます(Export Settings(Epic公式))。ここで用途に合わせた出力を組み立てます。

パノラマは1つずつだけでなく、複数の視点をまとめて書き出すこともできます。物件の各部屋を一度に出しておけば、あとで見比べたり共有用にまとめたりする作業が楽になります。なお細かなボタン名やUIの表記はバージョンによって変わることがあるため、この記事では「Panoramaを選ぶ → 設定を開く → 書き出す」という流れを目安として押さえてください。

Start Exportで書き出しと保存

設定を終えたら、Start Exportを押して保存先フォルダを選ぶと書き出しが始まります(Export Settings(Epic公式))。書き出したファイルはそのフォルダに保存され、共有や埋め込みに使えます。

ステレオや高解像度を選ぶほど、書き出しには時間がかかります。ステレオは左右2枚分を、高解像度は膨大なピクセルを計算するためです。途中でやり直すと待ち時間がむだになるので、解像度と形式を確定してから実行するのがおすすめです。

書き出し設定の中身(解像度・形式・モード)

360の設定は「解像度(360 Resol.)」「ファイル形式」「モノ/ステレオ」の3つが軸です。この3つは、見せる相手と環境が決まればほぼ自動的に最適解が決まります。まずは各設定の意味を押さえてください。

設定選択肢使いどころ
360 Resol.(解像度)2K / 4K(既定)/ 6K / 8K / 16KWeb確認は4K前後、VRは8K以上
ファイル形式PNG / JPG / EXR共有はJPG、無劣化はPNG、後処理はEXR
モードStandard(モノ)/ 3D(ステレオ)平面共有はモノ、VR没入はステレオ
3D Modeオン/オフ(既定オフ)ステレオが必要なときだけオン
Motion blurオン/オフ(既定オフ)動く対象へのブレ表現に使う
Render layersオン/オフ合成・レタッチ用のレイヤー書き出し
Raster / Path Tracer選択式(既定で両方)高品質にしたい360はPath Tracer

ソース: Export Settings for Images and Panoramas(Epic公式) / Images and Panoramas(Epic公式)(2026年7月現在)

360 Resol.(解像度)

解像度は「見る環境でどれだけ精細に見えるか」を決めます。選べるのは2K / 4K(既定)/ 6K / 8K / 16Kで、equirectangularなので縦横比は2:1です(2K=2048×1024、16K=16384×8192。出典: Epic公式)。

Webやスマホでの軽い共有なら4K前後で足ります。VRヘッドセットで見せるなら8K以上が目安です。16Kは非常に精細ですが、ファイルが巨大になり書き出しも重くなります。見る側の環境で本当に必要かを確かめてから選ぶのが、時間もストレージもむだにしないコツです。

ファイル形式(PNG / JPG / EXR)

形式は「保存後に何をするか」で選び分けます。PNGは8bit/chのRGBAで可逆圧縮(劣化なし・サイズ大)、JPGは8bit RGBの非可逆圧縮(軽く共有向き)、EXRは16bit/chの浮動小数点でHDR対応(色調整やレタッチ向き)です(出典: Epic公式)。

そのまま相手に渡して見てもらうならJPGが扱いやすく、あとで色や明るさを追い込むならEXRを選びます。透過を残したい、または無劣化で保存しておきたいときはPNGが向きます。用途が決まっていれば、この3択で迷うことはほとんどありません。

モード(Standard / 3D)とその他オプション

3D Modeをオンにするとステレオ書き出しになり、オフのままならStandard(モノ)で書き出されます。ここで見落としやすいのが、3D ModeとMotion blurが既定でオフになっている点です(出典: Epic公式)。ステレオが必要なときは、書き出す前に3D Modeを自分でオンにしてください。オフのままだとモノで出力され、あとから作り直す手間が生まれます。

書き出しウィンドウにはRasterとPath Tracerの選択があり、既定では両方が選ばれています。Path Tracer(光の回り込みや反射を精密に計算する高品質モード)を選べば、よりリアルな360も書き出せます。高品質化のしくみとリアルタイム描画との使い分けは、TwinmotionのPath Tracerで高品質レンダリングで解説しています。

このほか、Motion blur(動く対象へのブレ表現)やRender layers(合成・レタッチ向けにマスクやアルファ付きのレイヤーを分けて書き出す機能)も指定できます(出典: Epic公式)。静止画に共通する画質設定(Max lightingやRefinementなど)は、Twinmotionの静止画エクスポートにまとめています。

モノ(Standard)とステレオ(3D)の使い分け

迷ったときは「ブラウザやスマホで見せるならモノ、VRヘッドセットで没入させるならステレオ」で選べます。ステレオは立体感が出る代わりにファイルが大きく、書き出しにも時間がかかります。

観点モノ(Standard)ステレオ(3D)
仕組み両目に同じ1枚を表示左右の目に別画像で立体視
立体感なしあり(奥行きを知覚)
向く用途Web埋め込み・スマホ・軽い共有VRヘッドセットでの没入体験
解像度の目安4K〜8Kで多くの用途に十分片目あたり8K相当が目安
サイズ・時間小さい・速い大きい・遅い(左右2枚分)

ソース: Export Settings(Epic公式) / Viewing Twinmotion Content in VR(Epic公式)(2026年7月現在)

モノ(Standard)の特徴と向く用途

モノは1枚の360画像を両目に同じく見せる方式です(出典: Epic公式)。立体感はありませんが、その分ファイルが軽く、あらゆる360ビューア・スマホ・Web埋め込みで使いやすいのが利点です。

そのため、クライアントに「まず雰囲気だけ見てもらう」段階や、メールやリンクでの手軽な共有に向きます。相手の環境を選ばず開いてもらえるので、最初の1枚をとりあえず届けたいときの標準はモノだと考えてよいでしょう。

ステレオ(3D)の仕組みと向く用途

ステレオは左右の目に別々の画像を描き、奥行きを知覚させる方式です(出典: Epic公式)。VRヘッドセット(Meta QuestやHTC VIVEなど)で見ると、その空間に実際に立っているような没入感が得られます。

ステレオで気をつけたいのは、精細さを左右するのが「片目あたり(per-eye)の解像度」だという点です。左右それぞれに画像を描くため、VRで見せるなら片目あたり8K相当を目安にすると体験が安定します(出典: Epic公式)。複数の視点をつないだ本格的なVR体験の作り込みは、Twinmotionで作るVRウォークスルーで解説しています。

どちらを選ぶか(判断の目安)

用途が決まれば、モードと解像度と形式はセットで決まります。Webやスマホで素早く確認してもらうならモノ・4K・JPG、VRヘッドセットで没入させるならステレオ・片目8K、あとで色を追い込むならEXRという組み合わせが基本です。

ステレオの16Kはファイルが巨大になり、書き出しも長時間になりがちです。目的がVRでの没入体験でない限り、モノで十分なケースが多いと考えてください。盛りすぎない設定のほうが、共有や保存の運用まで含めて軽く回せます。

書き出したパノラマの活用先

書き出したパノラマは、VRヘッドセットで没入体験させる、Twinmotion CloudにまとめてWeb共有する、単体をWebやローカルで配る、の3方向で活きます。無料のソフトでここまで届けられるのが、Twinmotionのパノラマの持ち味です。

VRヘッドセットで体験する

equirectangular形式はほとんどのVRプラットフォームと互換性があり、ステレオで書き出せばヘッドセットで立体的に体験できます(Viewing Twinmotion Content in VR(Epic公式))。

VRで見る経路は2つあります。1つはTwinmotion上でリアルタイムに歩き回る「VRモード」、もう1つは書き出したステレオ360をヘッドセットで見る軽い経路です。後者はリアルタイム描画が要らないぶん動作が軽くて安定し、視点の移動もホットスポットで切り替わるため酔いを抑えやすいのが利点です(出典: Epic公式)。この記事が担うのは後者、つまり書き出したステレオ360をヘッドセットで見るところまでです。

対応するヘッドセットはMeta Quest 1/2/3、HTC VIVE Pro/Pro 2、HP Reverb G2、Varjoなどです。有線接続ではChromeやFirefox、無線ではMeta Quest Browserで視聴できます(出典: Epic公式)。機種は随時追加・変更されるため、代表例として押さえておけば十分です。複数視点をつないだ本格的なVRウォークスルーの作り方は、Twinmotionで作るVRウォークスルーで解説しています。

Twinmotion Cloudで共有する(Panorama Sets)

Twinmotion Cloudでの共有は、単体のパノラマではなく「Panorama Set(複数のパノラマをホットスポットでつないだまとまり)」の単位で行います。Web上に公開してハイパーリンクやQRコードで配布でき、ホットスポットで視点をテレポートしながら見て回れます。低帯域の回線でも見られ、VRでの視聴にも対応します(出典: Epic公式)。

クライアントは専用ソフトを入れずに、ブラウザから360を確認できます。リンクを送るだけで空間を見回してもらえるので、遠隔の打ち合わせでも空間の共有がスムーズです。Cloud共有の作成・公開・運用のくわしい手順は、TwinmotionのCloud共有でまとめています。

建築実務での使いどころ

完成前の内観を360でクライアントに見てもらうと、仕上げや家具配置の合意形成が早まります。図面や静止画1枚では「思っていたのと違う」が起きやすいのに対し、360なら実際に立ったときの見え方をそのまま共有できるためです。

たとえばモデルルームや物件の内見前プレビュー、社内レビュー、提案資料への添付といった場面で使えます。住宅案件でリビング・ダイニング・キッチンを1つのPanorama Setにまとめて渡せば、相手は各部屋を歩くように見て回れるので、静止画を何枚も並べるより伝わる情報が多くなります。

きれいなパノラマに仕上げるコツとつまづき対策

失敗の多くは「解像度を上げすぎて重い」か「視点や光の作り込みが甘い」の2つです。用途に合った解像度を選び、高品質が必要な場面だけPath Tracerを使うのが、いちばん効率のよい進め方です。

高品質にしたいならPath Tracer

光の回り込みや反射をよりリアルにしたい360は、書き出し時にPath Tracerを選びます(出典: Epic公式)。標準のリアルタイム描画(Lumen)とPath Tracerの使い分けは、TwinmotionのPath Tracerで高品質レンダリングで解説しています。

ただし、すべてのパノラマを毎回Path Tracerにする必要はありません。書き出しが重くなるためです。提案の見せ場になる1〜2カットだけ高品質にして、確認用のカットはリアルタイム描画で軽く出す。この使い分けが実務では扱いやすいです。

「見る環境」から逆算して最終確認する

書き出す前に「誰がどの環境で見るか」を最終確認してください。見る環境が決まれば、必要な解像度は使い分けの表から一意に決まります。目的がVRでの没入体験でないなら、盛りすぎない解像度のほうが、共有時のアップロードや表示まで含めて運用は軽く済みます。作る前に見る環境を決めておくと、書き出し直しの手間を減らせます。

よくあるつまづき

天頂(真上)と地面付近は、equirectangularの性質上どうしても引き伸ばされて見えやすい部分です。視点の位置と足元の作り込みを整えると、この違和感を減らせます。真上に目立つ設備や、足元に不自然な継ぎ目が来ないよう視点を選ぶのがコツです。

ステレオは左右2枚分でファイルが肥大しやすい点にも注意してください。共有の直前に、用途へ合わせて形式(JPG)と解像度を落としておくと、相手が開きやすいサイズに収まります。

Twinmotionのパノラマ書き出しについての編集部の所感

公式ドキュメントを読み解くと、Twinmotionのパノラマ書き出しは「設定は最小限、出力先は幅広い」という設計になっていると受け取れます。触る項目は解像度・形式・モードの3つが中心で、初めてでも迷いにくい一方、届け先はWebからVRまで広くカバーしています。この割り切りが、初めて360を扱う人にとって扱いやすさにつながっています。

編集部の所感として、いちばんつまずきやすいのはモードの取り違えだと見ています。ステレオを出したつもりがモノで書き出されていた、という取り違えは起こりやすく、VR用途では書き出す前にこのスイッチを確かめる習慣をつけたいところです。海外レビューの共通見解でも、per-eye(片目あたり)解像度とセットでこの設定が語られることが多く、VR品質の分かれ目になっています。

Twinmotionのパノラマがこれからの建築プレゼンにもたらす変化

360パノラマを書き出せるようになると、建築プレゼンの見せ方そのものが変わります。静止画を数枚渡して説明していた打ち合わせが、相手に空間を見回してもらう体験へと置き換わり、伝わる情報量が一段上がります。

パノラマを使わない場合、クライアントは平面図とパース数枚から完成形を想像するしかありません。パノラマを渡せる場合は、実際に立ったときの視界をそのまま確認してもらえます。「窓からの眺めが思ったより抜ける」「この位置だと天井が近く感じる」といった気づきが、着工前に出てくるようになります。手戻りの多くは、この段階で防げます。

次の一歩として、まずはモノの4Kで1枚を書き出し、リンクで共有するところから始めてみてください。慣れてきたら、VR用にステレオで出す、複数視点をPanorama SetにしてCloudで配る、と段階的に広げれば、無理なくプレゼンの質を上げていけます。

まとめ

Twinmotionのパノラマ書き出しは、Export(書き出し)パネルでPanoramaを選び、設定を開いてStart Exportで保存する、という流れで進みます。設定の軸は360 Resol.(解像度)・ファイル形式・モノ/ステレオの3つで、見せる相手と環境が決まれば最適解はほぼ自動的に決まります。

用途が決まれば、モードと解像度と形式はセットで決まります。組み合わせの目安は先ほどの使い分けの表にまとめたとおりで、Webで手軽に見せるならモノ・4K、VRで没入させるならステレオ・片目8Kが基準です。書き出したパノラマはVR・Twinmotion Cloud・Web埋め込みの3方向で活き、専用機材のないクライアントにもブラウザで空間を届けられます。高品質にしたい360は、見せ場になる1〜2カットだけPath Tracerを使うのが効率的です。

まずは無料の範囲でモノの1枚を書き出し、共有してみるところから始めてみましょう。用途に合わせてステレオやCloud共有へ広げれば、建築プレゼンの伝わり方が確実に変わります。