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3DCG · SketchUp

SketchUpで地形・敷地をモデリングする方法|サンドボックスと等高線

編集部 読了 約14分

建築のプレゼン模型を作るとき、平らな床の上に建物を置くだけでは、その敷地が坂の途中なのか、造成した平場なのかが伝わりません。敷地の地形は、建物と同じくらい提案の説得力を左右します。

SketchUpには、地形を作るためのサンドボックス(Sandbox Tools)という標準ツールが最初から入っています。別のソフトを買わなくても、架空の敷地・測量図の等高線・実在する土地の3パターンすべてを、SketchUpの中だけで形にできます。

この記事では、建築の敷地づくりに絞って、サンドボックスと等高線から地形を起こす手順と、建物が建つ平場(パッド)の作り方までをまとめます。山岳のジオラマではなく、造成・GL(グランドライン、地盤面の高さ)設定・敷地ビジュアライズという実務の目線で読み進められます。

SketchUpで地形・敷地を作る3つの方法と使い分け

SketchUpの地形づくりは、敷地の状況によって使う方法が決まります。測量データが無い提案初期なら架空の平地から、等高線がある実敷地なら等高線から、実在する土地の周辺まで欲しいなら実地形の取り込みが基本です。

3つのルートの選び方

どの方法を選ぶかは、手元にどんな敷地情報があるかで決まります。まだ土地が決まっていない提案段階と、測量図が手元にある実施段階では、使うツールが変わってきます。

敷地の状況使う方法向く場面
測量データが無い架空敷地From Scratch(平地TIN+Smoove)提案初期、コンペのイメージづくり
造成計画図・測量図に等高線があるFrom Contours(等高線から生成)実施設計、正確な造成の検討
実在する敷地の周辺文脈が欲しいAdd Location(実地形メッシュ取り込み)日影・眺望・ボリューム確認

架空敷地は「まだ土地が確定していない」段階で使います。平らな地形を作ってから手で起伏を付けるので、傾斜のイメージを自由に決められます。等高線があるなら、線をつなぐだけで地形が自動生成できるので、測量図の高さをそのまま形にできます。実在の敷地なら、周辺の建物や道路まで含んだ実地形を取り込めるため、日影検討や眺望のシミュレーションに向いています。

この記事で扱う範囲と扱わない範囲

この記事は、敷地の地形(GL・造成・建物が建つ平場)を作る工程だけに集中します。地形の上に建つ建物本体や、擁壁まわりの造形テクは、それぞれ専門の記事に譲ります。

建物躯体のモデリングはCAD図面(DWG)を下敷きにSketchUpで建物をモデリングする手順で解説しています。擁壁や法面(のりめん、切り土・盛り土でできる斜面)など、地形まわりの複雑な造形はSketchUpのフォローミー応用モデリングで作り込めます。この記事では、その建物や擁壁を「どこに置くか」を決める地形の下地づくりを扱います。

サンドボックス(Sandbox Tools)を使えるようにする

サンドボックスは標準搭載ですが、初期状態ではツールバーが表示されていません。地形ツールが見当たらないと感じたら、まず有効化から始めます。

ツールバーの表示とツールの場所

サンドボックスが見つからないのは、ツールバーが初期状態で非表示になっているためです。表示させるには、View(表示)> Toolbars(ツールバー)を開き、一覧の「Sandbox」にチェックを入れます。

チェックを入れると、From Scratch や Smoove などのアイコンが並んだツールバーが出てきます。ツールバーを使わなくても、Draw(描画)> Sandbox メニューから同じツールを呼び出せます。「メニューに From Contours が無い」と感じたときは、拡張機能マネージャーで Sandbox Tools が有効になっているかを最初に確認してください。有効化さえできていれば、あとはツールを選ぶだけです(出典: SketchUp Help: Creating 3D Terrain、2026年7月時点)。

TIN(地形メッシュ)とは何か

SketchUpの地形の正体は、TIN(Triangulated Irregular Network、三角形の面をつなげて起伏を表す地形メッシュ)です。平らな面をたくさんの三角形に分割し、それぞれの頂点を上下させることで、丘や谷の起伏を表現します。

サンドボックスで作った地形は、ひとまとまりのグループになっています。地形を編集したいときは、グループを二重クリックして中に入ってから操作します。三角形が細かいほど滑らかな地形になりますが、面の数が増えてファイルが重くなります。敷地の規模に対して三角形が細かすぎると、操作のたびに動きがもたつくので、「必要な起伏が表現できる最小限の細かさ」を意識しておくと後が楽になります。

架空敷地を平地から作る(From Scratch)

測量データが無い提案段階では、From Scratch で平らな地形を作り、そこに手で起伏を付けていきます。まっさらな平面から始めるので、傾斜の付け方を自由に決められるのが特徴です。

平らなTINを作る手順

From Scratch は、グリッド状に三角形が並んだ平らな地形を新規作成するツールです。ツールを選んで始点をクリックし、Measurements(数値入力)ボックスにグリッドの間隔を入力してから、幅と奥行きの方向にドラッグして寸法を確定します。

建築で使うなら、グリッド間隔は実寸で指定します。たとえば敷地が30m四方なら、間隔を1〜2m程度にすると造成の起伏を表現しやすい細かさになります。この段階でできるのは、あくまで平らな長方形の地形です。グリッドが粗いと造成の斜面が角張り、細かすぎると重くなるので、敷地の規模に合わせて決めます(出典: SketchUp Help: Creating 3D Terrain、2026年7月時点)。

Smooveで丘・谷を作る

平らな地形に起伏を与えるのが Smoove です。指定した半径の範囲で面をなめらかに上下させ、盛り土のような丘や、切り土のような谷を作れます。

使い方は、Smoove を選んで Measurements ボックスに半径(影響範囲)を入力してから、地形の面をクリックして上下にドラッグします。半径を数値で決めておくと、影響が及ぶ範囲をコントロールできるので、思わぬ場所まで地形が動く失敗を防げます。実務では、大きい半径でおおまかな傾斜を作り、そのあと小さい半径で細部を整えると、なだらかで自然な造成面になります。住宅の敷地なら、まず道路から宅盤(建物を建てる平場)に向かって上げ下げの大きな流れを作り、最後にアプローチまわりの微妙な段差を小さい半径で追い込む、という順番が扱いやすいです(出典: SketchUp Help: Sculpting Terrain、2026年7月時点)。

等高線から地形を起こす(From Contours)

測量図や造成計画図に等高線があるなら、From Contours がいちばん正確で速い方法です。線をつなぐ地形が自動生成されるので、測量データの高さをそのまま形にできます。建築の実務でもっとも使うルートです。

等高線を高さ別に配置する

From Contours を使う前提として、等高線(コンター、同じ標高を結んだ線)をそれぞれの標高の高さに配置しておく必要があります。平面図の上に重なっている等高線を、Z方向(上下方向)にそれぞれの高さまで持ち上げて、階段状に並べるイメージです。

等高線のデータは、測量図をトレースするか、DWG/DXF形式で読み込んだ線を使います。CADから線を取り込む手順はSketchUpとCADの連携で解説しています。線は必ずしも閉じている必要はありませんが、地形を作りたい範囲を覆うように用意しておくと、抜けのない地形になります(出典: SketchUp Help: Creating 3D Terrain、2026年7月時点)。

From Contoursで地形を生成する

高さ別に並べた等高線をすべて選択し、From Contours を実行すると、線と線をつなぐ地形(グループ)が自動で生成されます。手で三角形を張る必要はなく、選択して実行するだけで敷地の起伏が立ち上がります。

生成された地形はグループなので、あとから中に入って Smoove で微調整もできます。元の等高線は消えずに残るため、地形が完成したら等高線をタグ(表示・非表示を切り替える仕組み)でまとめて非表示にすると、地形だけをすっきり見せられます。タグでの整理をもっと詳しく知りたい場合はSketchUpでモデルを整理する方法が参考になります(出典: SketchUp Help: Creating 3D Terrain、2026年7月時点)。

三角面が乱れたときの直し方(Flip Edge / Add Detail)

等高線から生成した直後の地形は、三角形の張り方が不自然になり、平らであるべきでない場所が平坦に見えることがあります。この「汚い地形」は、Flip Edge と Add Detail の2つで整えます。

不自然な平坦部が出たら、Flip Edge で三角形の対角線の向きを切り替えます。向きが変わると面のつながり方が変わり、平坦だった部分に自然な傾斜が戻ります。起伏の情報が足りない箇所には、Add Detail で頂点を追加し、より細かく成形できるようにします。ここで完璧な地形を狙う必要はありません。建築のプレゼンでは「建物と敷地の高低差の関係が伝わる精度」まで整えば十分で、地質模型のような正確さは求められない場面がほとんどです(出典: SketchUp Help: Sculpting Terrain、2026年7月時点)。

建物を置く平場と道路を地形になじませる(Stamp / Drape)

起伏のある地形に建物や道路をそのまま置くと、建物が斜面に埋まったり浮いたりします。Stamp で平らな設置面を作り、Drape で道路や敷地境界の線を地形に転写すると、建物と敷地が自然になじみます。造成の表現がここで決まります。

Stampで建物パッド(平場)を作る

Stamp は、建物のフットプリント(外形の平面図形)を地形に押し込んで、平らな設置面(パッド)を作るツールです。斜面の途中に平らな宅盤を切り出すイメージで、建物や擁壁の下地になります。

使い方は、地形の上に建物の外形を平面図形として置き、Stamp でその図形を選んで地形に押し込みます。押し込む深さ(オフセット)を数値で指定できるので、切り土で下げた平場や、盛り土で持ち上げた平場を作り分けられます。斜面に建物が浮いてしまう、あるいは地面に食い込んでしまう問題は、この平場づくりで解消します。実務では、建物の外周に少し余裕を持たせた図形でパッドを作ると、犬走り(建物の周囲の細い通路)や外構の納まりを検討しやすくなります(出典: SketchUp Help: Placing Models on Terrain、2026年7月時点)。

Drapeで道路・敷地境界を地形に転写する

Drape は、平面上の線(道路・敷地境界・アプローチの外形)を、地形メッシュの表面に投影して転写するツールです。地形の起伏に沿ったラインを、線を引き直さずに作れます。

使い方は、地形の真上に道路や敷地境界の線を平面で描き、それらの線を選んで Drape を実行します。すると線が地形の凹凸に沿って地面に落ち、坂道のアプローチや、傾斜地の敷地境界を正確になぞれます。転写後は地形の面が線で分割されるので、面ごとにマテリアル(色や質感)を割り当てれば、アスファルトの舗装・芝生・敷地境界の塗り分けができます。地形にマテリアルを付ける基本はSketchUpのマテリアル・テクスチャの貼り方で解説しています(出典: SketchUp Help: Placing Models on Terrain、2026年7月時点)。

実在の敷地地形を取り込む(Add Location)

実在する土地の地形や周辺の建物が欲しいときは、Add Location で実測に基づく地形メッシュを取り込めます。旧バージョンで使えたGoogle Earth連携に代わる現行の機能で、緯度・経度・標高と航空写真をまとめて読み込めます。

モード特徴向く用途
Flat Site地図テクスチャを平らな2D平面に貼る(全て同一標高)平坦地、周辺の配置確認だけで十分な場合
Elevated Site起伏のある実地形メッシュを取り込む傾斜地、日影・眺望・造成の検討

Add Locationの使い方(Flat / Elevated)

Add Location は、File(ファイル)> Add Location から起動し、対象の敷地を地図上で範囲選択して取り込みます(Window > Model Info の Geo-location からも設定できます)。取り込むと、モデルが実世界の緯度・経度に位置づけられます。

取り込みには Flat Site と Elevated Site の2種類があります。Flat Site は地図の画像を平らな平面に貼るだけで、周辺はすべて同じ標高です。Elevated Site は起伏のある実地形メッシュを取り込むので、坂や谷のある土地をそのまま再現できます。両方を取り込むと、Elevated 側は初期状態で非表示になっており、Geolocation Content というタグで表示を切り替えます。取り込み時には、衛星画像かストリートマップの地図種類と、解像度(高/中/低)も選べます(出典: SketchUp Help: Site Context with Add Location、2026年7月時点)。

取り込んだ地形の生かし方と限界

Add Location の強みは、周辺の建物や道路まで含めた実世界の文脈を、ほぼワンクリックで用意できる点です。隣地の建物が取り込めるので、日影の検討や、リビングからの眺望、街並みの中でのボリューム確認といった、敷地の周辺環境が関わる検討に向いています。

ただし、取り込んだ地形メッシュは粗く、そのままでは精密な設計には使えません。正確な造成計画を立てるときは、測量図の等高線から From Contours で作り直すのが基本です。現実的な使い分けとしては、Add Location の実地形を周辺コンテキストとしてタグで固定し、その上に From Scratch や Stamp で設計側の造成を重ねる方法があります。実測の周辺と、設計した敷地を、別々のレイヤーとして扱えるので、検討と提案の両方に対応できます(出典: SketchUp Help: Importing Geolocated Content、2026年7月時点)。

地形づくりを編集部が読み解いた所感

公式ドキュメントを読み解くと、サンドボックスの設計思想は「正確な地質模型を作ること」ではなく、「建物と敷地の関係を素早く形にすること」に寄っているのがわかります。ここが、建築のプレゼンで使ううえでの勘どころだと編集部は見ています。

コスト面では、地形の下地づくりが標準機能だけで完結するのが大きな利点です。等高線・架空敷地・実地形という3つのルートを、別ソフトを買い足さずに1つのツール群でカバーできるので、SketchUpをすでに使っている人にとっては追加費用ゼロで始められます。

一方で、制約もはっきりしています。TINは三角面が乱れやすく、大きな敷地では面数が増えてモデルが重くなります。Add Location の実地形も精度は高くないため、そのまま精密設計に使うと無理が出ます。地形を重くしすぎない、精度を求めすぎない、という2点を意識できると、破綻せずに扱えます。

推奨できるのは、造成のイメージや建物の高低差をプレゼンで伝えたい人です。逆に、正確な土量計算や測量レベルの精度が要る場面では、専用の土木ソフトや測量データとの併用を前提にした方が安全だと海外レビューの共通見解でも指摘されています。

敷地の下地を整えた先に広がる制作フロー

敷地の地形が作れるようになると、プレゼンで見せられる情報が一段深くなります。地形を無視して建物だけを見せていた段階から、「この建物が、この傾斜地に、こう建つ」という関係まで一枚の画で伝えられるようになります。

地形を作らないまま提案を進めた場合、建物が完成してから「そもそも敷地が坂だった」と気づいて、基礎や外構をやり直すことになりがちです。先に地形の下地があれば、GLの設定や造成の量を早い段階で検討でき、後戻りが減ります。

敷地ができたら、次は地形の上に建物を建て、仕上げて見せる工程に進みます。建物本体を図面から正確に起こす手順はCAD図面(DWG)を下敷きにSketchUpで建物をモデリングする手順、作った敷地と建物をプレゼン画像に仕上げる工程はSketchUpのレンダリング入門でつかめます。敷地・建物・仕上げという3つの工程がつながると、SketchUpだけで提案の一枚絵まで持っていける状態になります。

まとめ|敷地の下地ができたら建物と仕上げへ

SketchUpの地形づくりは、手元にある敷地情報で使う方法を選ぶのが出発点になります。測量データが無い架空敷地なら From Scratch で平地を作り Smoove で起伏化し、等高線があるなら From Contours で自動生成し、実在の敷地なら Add Location で実地形を取り込みます。

作った地形には、Stamp で建物の設置面(パッド)を切り出し、Drape で道路や敷地境界の線を転写すると、建物と敷地が自然になじみます。地形は「建物と敷地の高低差の関係が伝わる精度」まで整えば十分で、仕上げのフォトリアル表現は別のソフトや別の工程に任せる前提で進めると、重くも複雑にもなりません。

まずはサンドボックスのツールバーを表示させ、小さな平地を From Scratch で作って Smoove で動かすところから試してみてください。地形が思いどおりに動く感覚をつかめれば、等高線や実地形の取り込みもスムーズに進められます。