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3DCG · SketchUp

LayOutでプレゼンボードを作りPDF出力する方法|提案資料の体裁

編集部 読了 約12分

SketchUpで作ったモデルを、そのままクライアントに見せても提案は伝わりません。図面・パース・寸法を1枚に構成し、物件名や日付を入れた「見せて配れる資料」に仕上げてはじめて、提案として成立します。この仕上げと配布を担うのが、SketchUpに付属する作図・レイアウトソフト「LayOut」です。

この記事では、LayOutで提案ボード(プレゼンボード)の体裁を整え、PDF・画像・印刷・その場プレゼンの4通りで出力するまでを解説します。

図面ビューの作り方や寸法・注釈の入れ方は別の工程として切り分け、ここでは「できあがった図面やパースを1枚に構成して配る」最後の工程に集中します。2026年7月時点のLayOut(SketchUp 2026系)の画面と公式ヘルプをもとにまとめました。

LayOutのプレゼンボードとは|図面作図とは別の「見せて配る」工程

LayOutのプレゼンボードは、モデル・図面・寸法をすでに用意できている前提で、それらを1枚に構成して配る工程です。図面そのものを作る作業とは分けて考えると、迷わず進められます。

プレゼンボードは「モデル・図面・寸法を1枚に構成して配る」段階

LayOutは、SketchUpのモデルと連動して図面や提案資料を作るためのソフトです。そのなかでこの記事が扱うのは、体裁を整えて出力し、相手に渡す最後の工程です。

図面ビュー(モデルを図面として貼り付ける枠)の作り方や尺度合わせは、SketchUp LayOut入門|モデル連動で2D図面を作る基本(ビューポート・尺度)で基礎から解説しています。寸法・注釈・引き出し線・建具表の作図はLayOutで寸法・注釈・建具表を作る方法|施工・プレゼン図面の作図にまとめました。この記事では、それらのできあがった図面やパースを「配置する側」に立ちます。

この記事で到達できること

読み終えると、提案ボードのレイアウト構成からタイトルブロック、テンプレート化、そして出力までを一続きの流れとして進められるようになります。

具体的には、クライアントへのメール送付、WebやSNSでの共有、A1サイズなどの大判印刷、対面での画面提示という4つの出口を、用途に合わせて使い分けられるようになります。たとえば同じ1枚のボードでも、送付はPDF、掲示は印刷、打ち合わせの場ではフルスクリーン提示、と出力先だけを切り替えれば済みます。

提案ボードのレイアウトを構成する

提案ボードは「主役を大きく1点、補助を小さく複数」の構成が基本です。何を一番見せたいかを先に決めると、用紙サイズも配置も自然に定まります。

用紙サイズと向きを決める

ボードの器になる用紙は、新規ドキュメントを「テンプレート」から作るときに決まります。LayOutを起動して新規作成すると、既定のテンプレートカテゴリにPaper(一般的な用紙サイズ)があり、ここで用紙サイズと向きが決まります。

建築・内装の提案ボードでは、A3横からA1が定番です。配布して手元で見てもらうならA3、会議室の壁に貼ったり対面で示したりするなら大判、という具合に、渡し方・見せ方から逆算して選ぶと失敗しません。用紙を大きくすればそのぶん図面やパースを大きく載せられますが、印刷やPDFのファイルサイズも増えるため、配布方法とセットで考えます。

パース・図面・文字の配置バランス

見る人の視線は、まず一番大きい要素に向かいます。そのため主役になるパース(レンダリング画像や見せ場のシーン)を大きく1点だけ据え、平面図・断面図・寸法図などの補助を小さく添える「1メイン+複数サブ」を基本形にします。

主役に置くレンダリング画像は、V-RayやEnscapeといったレンダリングソフトで作った成果物を、LayOutのボードに配置する立場です。ボードに載せる前に、モデルのアングル(どの視点から見せるか)をSketchUpのシーン・カメラ設定ガイド|2点透視・断面カメラでプレゼン映えで整えておくと、見せ場が決まった状態で構成に入れます。

文字は説明を詰め込みすぎないことが読みやすさにつながります。余白(マージン)をしっかり確保し、詳しい情報は凡例やキャプションで補うと、1枚の情報量が整理されて伝わりやすくなります。たとえば住宅のリビング提案なら、大きなパース1点に加えて、平面図・仕上げ材のサンプル画像・簡単な説明文を四隅に散らす構成が扱いやすいです。

タイトルブロックで体裁を整える

タイトルブロックは、物件名・日付・縮尺・作成者などを枠にまとめる「図面の名札」です。これがあるだけで、ばらばらの図面が1つの提案資料としてまとまって見えます。

タイトルブロック付きテンプレートを使う

LayOutには、タイトルブロックがあらかじめ入ったTitleblockカテゴリのテンプレートがあります。Contemporary / Modern / Rounded / Simple / Simple Serif / Traditional といったスタイルから選べるので、ゼロから枠を作らなくても体裁の土台がすぐ整います。

選んだテンプレートのタイトルブロックに、物件名・日付・縮尺・作成者などを記入します。複数ページのボードでも同じ枠が入るため、提案資料としての見た目を統一できます。日付を入れておくと、改訂を重ねたときにどれが最新版か区別できるので、打ち合わせのたびに更新しておくと安心です。

自社仕様に合わせて枠を整える

既定のタイトルブロックは欧米の様式が中心で、日本の提案ボードにそのまま使うと違和感が出ます。社名ロゴ・和文フォント・物件名欄などを自社の様式に差し替えて整えると、事務所として体裁の揃った資料になります。

この差し替えを毎回やり直すのは手間です。一度整えた枠は、次のH2で解説するテンプレート化によって保存し、物件ごとに使い回せます。まずは1件分の提案ボードで枠を作り込み、それを雛形にしていく進め方が現実的です。

体裁をテンプレート化して使い回す

一度作り込んだ体裁は、Save As Template(テンプレートとして保存)で雛形にできます。物件ごとに枠を作り直す手間が消え、事務所全体で提案資料の見た目を揃えられます。

Save As Templateで保存する

作り込んだドキュメントを開いた状態で、File > Save As Template を選びます。表示される「Save As Template」ダイアログでTemplate Name(テンプレート名)を入力し、保存先のTemplate Folder(テンプレートフォルダ)を選んでOKを押します。

このとき保存されるのは、ドキュメント内のすべてのエンティティと全ページです。タイトルブロック・社名ロゴ・凡例など、その時点で配置してあるものがそのまま雛形になります。よく使うキャプションの定型文や会社情報を入れておけば、次回はそれらが最初から入った状態で作り始められます。

保存したテンプレートを呼び出す

保存した雛形は、File > New を選んだときに開くウィンドウの右側「My Templates」タブに表示されます。ここから選べば、作り込んだ体裁の状態で新しいボードを開始できます。

テンプレートフォルダの場所は、Preferences(環境設定)で管理します。Windowsは Edit > Preferences、Macは LayOut > Preferences を開き、Foldersペインで指定します。フォルダを共有ドライブに置いてチームで参照すれば、事務所内でだれが作っても同じ体裁の提案資料になり、毎回の枠づくりも省けます。

PDF・画像・印刷で出力する

出力の前に共通設定を確認しておくと、どの形式でも見え方が揃います。そのうえで、送付ならPDF、Web共有なら画像、大判掲示なら印刷と、渡し方に合わせて出力先を選びます。

出力先の使い分けは次のとおりです。

用途形式向いている場面注意点
クライアント送付PDFメールで全ページをまとめて渡す画像圧縮の設定次第でファイルが重く/粗くなる
Web・SNS・スライド画像(JPG / PNG)1ページ単位で貼り込む・共有する解像度指定を誤ると低画質になる
大判掲示・A1出力印刷会議室の壁や現場での掲示プリンタの用紙設定と合わないとずれる
対面提案プレゼンモード打ち合わせの場で画面に映す事前にページ順とシーンを整えておく

出力前にDocument Setupを確認する

すべての出力に共通する事前設定が、Document Setup(ドキュメント設定)です。出力・印刷の前にPaper設定を開き、背景色または透明背景、マージン線を出力するかどうかを確認します。ここがそろっていないと、送付先で余計な枠線が見えたり背景色が意図と違ったりします。

同じダイアログで、画像やSketchUpモデルのレンダリング品質をLow / Medium / Highから選べます。クライアントに送る本番はMediumからHigh、社内で下書きを確認するだけならLowにして軽く出す、という使い分けがおすすめです。Highは仕上がりがきれいになるぶん、ページ数が多いと表示や書き出しが重くなるためです。

PDFに書き出す(クライアント送付の標準)

メールで提案資料を渡すときの標準がPDFです。File > Export を選ぶとPDFが既定で選ばれているので、保存先とファイル名を指定してSaveを押すと「PDF Export Options」ダイアログが開きます。

このダイアログで画質とファイルサイズを調整します。既定では全ページが書き出されますが、Rangeを選ぶと特定のページだけ出せます。「Use JPEG Compression for Images」にチェックを入れてスライダを動かすと、Smaller File(軽いが低画質)からBetter Quality(高画質だが重い)の間で調整できます。メールに添付できないほど重くなったときは、この圧縮を強める方向で下げます。

「Create PDF Layers from LayOut Layers」は既定でオンで、LayOutのレイヤー構造がPDFに引き継がれます。受け取った相手にレイヤーを触らせたくない場合や、まっさらな1枚のPDFにしたい場合はオフにします。書き出されたPDFは全ページが1つのファイルにまとまるため、そのまま添付して送れます。

画像(JPG/PNG)で書き出す

WebページやSNS、スライドに貼り込むなら、ページを画像として書き出します。各ページをJPEGまたはPNGで出力でき、Save As TypeのドロップダウンでJPGかPNGかを選びます。

書き出しサイズはSizeの欄でWidth(幅)・Height(高さ)・Resolution(解像度)を入力して決めます。1つを変えると縦横比を保ったまま他も連動し、unlink(リンク解除)のアイコンを押すと縦横を独立して指定できます。解像度が低いと画像が潰れて粗く見えるので、掲載先で必要な大きさを見込んで十分な値を入れておきます。SNSのサムネイル程度なら小さめでも足りますが、資料に大きく載せるなら余裕を持たせます。

背景を透過させたいときはPNGを選び、Document Setupで透明背景を指定します。ロゴやパースだけを他の資料に重ねたい場合に役立ちます。

印刷する(大判・掲示用)

A1などの大判で掲示するなら、ドキュメントをそのまま印刷します。印刷の前にDocument Setupで用紙サイズと品質を確認し、プリンタ側で設定する用紙サイズと一致させます。この不一致が、印刷でよくある「ずれる」「一部が切れる」「解像度が低い」の主な原因です。

たとえばコンペ用にA1でボードを掲示するなら、LayOut側の用紙をA1に設定したうえで、出力するプロッタや印刷業者の指定サイズと突き合わせておきます。事前に一度、実寸で確認用の1枚を出しておくと、本番で余白や縮尺の食い違いに気づけます。

LayOutの出力機能を編集部が読み解いた所感

公式ヘルプと機能仕様を読み解くと、LayOutの強みは「1つのドキュメントを出力先だけ変えて4通りに使える」統一感にあると言えます。同じボードをPDFで送り、画像でSNSに載せ、大判で印刷し、対面ではフルスクリーンで示す、という流れが1ファイルで完結します。

一方で、既定テンプレートが欧米様式中心である点は、日本の建築・内装の提案では引っかかりやすい部分です。物件名欄や和文フォント、社名ロゴを自社仕様に整える初期作業がほぼ前提になります。ここを面倒がってテンプレート化を飛ばすと、物件ごとに枠を作り直す手間が積み重なります。

出力まわりでつまずきやすいのは、画質とファイルサイズの折り合いです。公式フォーラムでも、画像書き出しの解像度指定を誤って低画質になった、PDFが重くて送れない、といった相談は繰り返し見られます。裏を返せば、Document SetupとPDF Export Options、画像のResolutionという3か所さえ押さえれば、多くの失敗は事前に避けられます。導入したての人は、まずこの3か所を確認する習慣をつけると安定します。

その場で見せる|プレゼンモードで対面提案する

プレゼンモードは、ボードをフルスクリーンで映して対面提案するための機能です。紙やPDFにはない「その場で書き込む・モデルを動かす」動きを加えられます。

プレゼンモードの起動とページ送り

起動は View > Start Presentation を選ぶか、既定のツールバーにある「Start Presentation」を押します。画面いっぱいにボードが表示され、打ち合わせの場でそのまま提示できます。

ページの移動はキーボードで行えます。右矢印で次のページ、左矢印で前のページ、上矢印で最初のページ、下矢印で最後のページへ飛べます。マウスクリックでも次へ進められ、終了はEscキーです。複数案を並べておき、その場で見せたいページへ素早く移動できます。

その場で書き込む・モデルを動かす

プレゼン中はFreehand(手書き)ツールが有効になり、画面に直接線を引いて要点を指し示せます。たとえば「この壁を動かすとどうなるか」を、平面図の上に手書きで示しながら説明できます。

さらに、ボードに埋め込んだSketchUpモデルは、プレゼン中にオービット(回り込み)・パン(平行移動)・ズームで動かせ、アニメーションも再生できます。静止画のボードだけでは伝わりにくい空間の広がりを、その場で回して見せられるのが強みです。書き込んだ注釈は、日時ラベルのついた新しいレイヤーに保存でき、打ち合わせ後の追記記録として残せます。

LayOutを使いこなした先で変わる提案の景色

体裁とテンプレートを一度整えると、提案準備にかかる時間は物件を重ねるほど短くなります。毎回ゼロから枠を作っていた状態と比べ、雛形を呼び出して図面とパースを差し替えるだけで、体裁の整ったボードがすぐ立ち上がるようになります。

出力先を使い分けられるようになると、提案の場面も広がります。メールにPDFを添えて事前に案を共有し、当日はプレゼンモードで画面を回しながら空間を見せ、決まった案は大判で印刷して現場に掲示する、という一連の流れが同じ1ファイルで回せます。図面を作る人と、それを見せて配る人の作業が地続きになり、提案のたびに資料づくりで消耗することが減っていきます。

こうした「見せて配る」工程を自分の型として持てると、SketchUpで作ったモデルの価値を、そのままクライアントへ届けられるようになります。

まとめ

LayOutのプレゼンボードは、SketchUpで用意したモデル・図面・シーンを1枚に構成して配る仕上げの工程です。要点を整理すると、次の5つになります。

まず、ボードは「主役のパースを大きく1点、補助図を小さく複数」の構成で組み立てます。次に、タイトルブロックとテンプレート化で体裁を統一し、物件ごとに使い回せるようにします。出力の前にはDocument Setupで背景・マージン・品質を確認します。出力先はクライアント送付ならPDF、Web共有なら画像、大判掲示なら印刷、対面提案ならプレゼンモードと使い分けます。画質とファイルサイズは、Document SetupのレンダリングレベルとPDFのJPEG圧縮、画像のResolutionで調整します。

ボードに載せる図面ビューや寸法、見せ場のシーンづくりはそれぞれ専用の工程です。この記事はそれらを1枚に構成して配る役割を担うので、次に取り組む工程に合わせて内部リンクからたどってみてください。