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SketchUpのシーン・カメラ設定ガイド|2点透視・断面カメラでプレゼン映え

編集部 読了 約14分

プレゼン資料で「映える」構図は、センスではなく設定の組み合わせで再現できます。SketchUpにはシーン(視点や表示状態の保存)、2点透視や画角(FOV)といったカメラ設定、そして断面カメラという3つの機能があり、この3つを押さえるだけで、追加ソフトなしに歪みの少ない提案画像が作れます。感覚に頼って毎回同じ角度を探し直している方ほど、設定で構図を固定できる効果は大きいはずです。

この記事では、SketchUpのシーン・カメラ設定でプレゼン映えする構図を作る手順を解説します。

なお、オービットやパン・ズームといった画面の動かし方はSketchUpのカメラ操作と画面の見方入門で解説しており、この記事はその先の「構図の作り込み」に集中します。シーンを連続再生した動画化や図面配置、フォトリアルな仕上げは扱いません。

プレゼン映えは「シーン・カメラ・断面」の3設定で決まる

プレゼンの見え方は、どこから見るか(カメラ)、どう見せるか(2点透視・画角)、どこまで見せるか(断面)の3つの設計でほぼ決まります。この記事はこの3設定を一つずつ組み立てて、最後にシーンの切り替えとして1本のプレゼンにまとめる流れで進みます。

設定役割プレゼンでの効果
シーン視点・スタイル・断面・タグ表示を1タブに保存クリックで見せ方を切り替え、再現性のある提案にできる
カメラ(2点透視・画角)建築の見え方を整える垂直線が立ち、狭い室内も歪みなく1枚に収まる
断面カメラ建物内部を切り出して見せる外観だけでは伝わらない内観・構造を1枚で説明できる

構図が「整って見える」理由を分解する

見栄えの正体は、視点・見せ方・見せる範囲という3つの要素に分解できます。プロのパースが整って見えるのは、この3点がそれぞれ意図的に設計されているからです。

視点はカメラの位置と高さで決まり、人の目線に合わせるだけで説得力が変わります。見せ方は2点透視と画角(FOV)の設定で、建物の垂直線をまっすぐ保ち、狭い部屋でも窮屈にならない収まりを作ります。見せる範囲は断面カメラで、壁の向こう側の内観や構造まで踏み込んで見せられます。

画面を動かす基本操作そのものはSketchUpのカメラ操作と画面の見方入門で解説しています。ここではその操作で作った視点を、どう固定して提案用に仕上げるかを扱います。

この記事が扱う範囲と扱わない範囲

この記事で解説するのは、シーンの保存と切り替え、2点透視、画角(FOV)、断面カメラと断面パースの作り方です。SketchUp標準機能だけで完結するプレゼン構図までを対象にします。

一方で、並べたシーンを連続再生して動画にする方法はSketchUpでアニメーション・ウォークスルー動画を作る方法で解説しています。決めた構図を提案図面として配置する手順はSketchUp LayOut入門、フォトリアルに仕上げる方法はSketchUpのレンダリング入門でそれぞれ扱っています。役割を分けることで、この記事は構図設計に集中しています。

シーンで視点と表示状態を保存する

シーンは、視点だけでなくスタイル・断面・タグ表示までを1つのタブに丸ごと保存する機能です。提案資料の1コマとして状態を固定できるため、プレゼンの再現性が一気に高まります。

プロパティ保存される内容
カメラ位置視点・ズーム距離・画角(FOV)
非表示ジオメトリトップレベルの非表示ジオメトリ・非表示オブジェクト
表示タグ表示中のタグ(Visible Tags)
断面アクティブな断面プレーン(Active Section Planes)
スタイルスタイルとフォグ
影設定(日時)
環境設定太陽位置・スカイボックス
軸の位置

ソース: SketchUp公式 Creating Scenes(2026年7月現在)

シーンには何が保存されるのか

シーンが保存するのは「見た目の状態」全体で、視点だけではありません。カメラ位置(視点・ズーム距離・画角)、非表示ジオメトリや非表示オブジェクト、表示タグ、アクティブな断面プレーン、スタイルとフォグ、影設定(日時)、太陽位置やスカイボックスなどの環境設定、軸の位置までが1タブに記録されます(出典: SketchUp公式 Creating Scenes、2026年7月現在)。

この範囲まで保存されるおかげで、たとえば住宅案件で「外観は影を夕方に、内観はタグでカーテンだけ表示、断面は2階の子ども部屋を切る」といった別々の見せ方を、それぞれ独立したシーンとして固定できます。切り替えるだけで提案の各コマが完成する状態を作れます。

シーンを作成・更新する手順

シーンは、保存したい状態を先に作り込んでから追加するのが原則です。順番を逆にすると、意図しない状態が記録されます。

作成の手順は、まず見せたい視点・スタイル・断面・タグ表示を画面上で整えます。次にScenesパネルで「シーンを追加(Add Scene)」を選び、詳細表示で名前・説明・保存するプロパティを調整します(出典: SketchUp公式 Creating Scenes、2026年7月現在)。

モデルを修正したあとは、対象のシーンを選んで「シーンを更新(Update Scene)」を実行します。このとき保存したいプロパティだけにチェックを入れて更新できるため、カメラ位置は変えずにスタイルだけ差し替える、といった部分更新も可能です。

「保存されない事故」を避けるチェックの考え方

シーンで一番多いつまずきは、あるプロパティのチェックを外すと、そのシーンではその状態を保存も上書きもしないという挙動の理解不足です。たとえばスタイルのチェックを全シーンで外していると、1つのシーンでスタイルを変えたつもりが全シーン共通の見た目として反映され、他のシーンまで一斉に変わってしまいます。

プレゼン用に安定させるなら、各シーンで「カメラ位置・断面・タグ表示」を確実に保存対象に含めておくのが安全です。編集部では、外観・断面・内観のシーンを並べて切り替える構成では、この3つを固定した上で必要に応じてスタイルや影を足す進め方が扱いやすいと見ています。事故を防ぐには、更新ボタンを押す前に「今どのプロパティにチェックが入っているか」を毎回確認する習慣が有効です。

カメラ設定で歪まないプレゼン構図を作る

歪みのないプレゼン構図は、2点透視・画角・視点高さの3つを整えるだけで作れます。建築の垂直線をまっすぐ保ち、狭い室内でも窮屈にならない画角を選び、人の目線の高さに合わせることが要点です。

用途画角(度)焦点距離(mm)目安
標準の既定値35度標準レンズ相当
室内・内観60度前後18mm前後(広角で狭い部屋を広く見せる)
外観・遠景の圧縮狭め300mm前後(狭角で遠景を圧縮)

ソース: SketchUp公式 Viewing a Model / SketchUp公式ブログ Setting your field of view(2026年7月現在)

2点透視で垂直線を立てる

建築が整って見える構図の基本は、2点透視で垂直線をまっすぐ立てることです。Camera > Two-Point Perspective を選ぶと、垂直線が垂直に保たれ、水平方向に2つの消失点を持つ構図になります(出典: SketchUp公式 Viewing a Model、2026年7月現在)。

通常の透視投影では、見上げたときに建物の柱や壁が内側に倒れて見えます。2点透視ではこの縦方向の傾きが消えるため、外観でも内観でも「図面のように整った」印象になります。たとえば3階建て住宅の外観を下から見上げるアングルで撮っても、壁の垂直線が傾かず、提案資料で違和感を与えにくくなります。建築イラストやコンセプトアートで2点透視が多用されるのは、この安定感が理由です。

画角(FOV)を用途に合わせる

画角(FOV)は、室内が窮屈にならないよう用途ごとに数値を変えるのが基本です。画角はZoomツール(Zキー)を選んで数値を入力するか、Camera > Field of View から度またはmm(焦点距離)で指定できます。既定は35度で、室内は60度前後が扱いやすい数値です(出典: SketchUp公式 Viewing a Model / SketchUp公式ブログ、2026年7月現在)。

焦点距離で指定する場合は、18mm前後が広角で狭い部屋を広く見せ、300mm前後が狭角で遠景を圧縮します。たとえば6畳ほどのワンルームを1枚に収めたいとき、既定の35度では壁が近くて窮屈に見えますが、60度に広げると部屋全体が入ります。ただし画角を広げすぎると室内が引き伸ばされて歪むため、内観はおおむね60度前後を基準に、必要な範囲が入る最小限にとどめるのがきれいに見せるコツです。

視点の高さ(目線)を人の目に合わせる

内観の説得力は、カメラの高さを人の目線に合わせるだけで大きく変わります。Position Camera(カメラを配置)ツールで面をクリックすると、既定で床から 5’6”(約1.68m)の目線高さにカメラが置かれます(出典: SketchUp公式 Walking through a Model、2026年7月現在)。

高さはMeasurements(数値入力)欄で自由に変更でき、たとえばダイニングの椅子に座った視線を再現したいときは1.2m前後に下げると効果的です。配置後はLook Around(見回す)ツールを使うと、カメラの高さを保ったまま首を振るように視線だけを動かせます。人が実際に部屋に立ったときの見え方に近づくため、施主が自分ごととして空間をイメージしやすくなります。

断面カメラで建物の内部を見せる

断面カメラを使うと、追加プラグインなしで建物内部や構造を1枚で説明できます。断面プレーンで内部を切り出し、そこにカメラを正対させることで、外観だけでは伝わらない内観・断面のパースが作れます。

表示トグル効果
Display Section Planes(断面プレーンの表示)断面を切る位置を示す記号(プレーン)の表示・非表示を切り替える
Display Section Cuts(断面カットの表示)断面で片側を隠して内部を見せる効果そのものの表示・非表示を切り替える

ソース: SketchUp公式 Section Planes(2026年7月現在)

断面プレーンを置いて内部を切り出す

断面は、Section Planeツール(またはメニュー Tools > Section Plane)で面をクリックして配置します。アクティブな断面プレーンがモデルの片側を隠し、内部を見せてくれます(出典: SketchUp公式 Section Planes、2026年7月現在)。

切る向きで見え方が変わり、水平に切れば上から見下ろす平面図的なビュー、垂直に切れば断面的なビューになります。配置後はMove/Rotateツールで位置や角度を調整でき、右クリックの Reverse で切る向きを反転できます。たとえば2階建て住宅で1階部分だけを見せたいときは、床から2mほどの高さに水平の断面プレーンを置いて上部を隠します。

断面カメラ(断面パース)に正対させる

断面パースは、断面プレーンにカメラを正対させて作ります。断面プレーンを右クリックして Align View(ビューを合わせる)を選ぶと、カメラが断面に対してまっすぐ向いた状態になります。透視のままなら奥行きのある断面パース、平行投影に切り替えれば図面のような断面図的表現になります(出典: SketchUp公式 Section Planes / SketchUp公式 Viewing a Model、2026年7月現在)。

見せ方を締めるには、Display Section Planes と Display Section Cuts を個別にオン・オフします。断面を切る効果は残したまま、位置を示すプレーン記号だけを隠せば、余計な線のない断面ビューになります。さらに Section Fill(Stylesパネル > Edit > Modeling Settings)で切断面を塗ると、壁や床の切り口が面として読めるようになり、内部の輪郭が伝わりやすくなります。切断面が閉じたループを成している必要がある点だけ注意してください。

複数断面をシーンで切り替える

複数の断面を使った提案は、それぞれの断面状態をシーンに保存して切り替えることで実現します。断面プレーンは複数置けますが、1つのコンテキスト内でアクティブにできるのは1つだけです。そこで各断面の状態を別々のシーンに保存すれば、外観・断面・内観をクリックで切り替えられます(シーンはActive Section Planesを保存します。出典: SketchUp公式 Creating Scenes、2026年7月現在)。

たとえば「外観全景 → 1階平面の断面 → 2階平面の断面 → リビング内観」の4シーンを用意すれば、打ち合わせの場で建物を上の階から順に説明していけます。断面をシーンに保存することが、見せる順番のあるプレゼンを組み立てる土台になります。

SketchUpのシーン・カメラ設定を編集部が試してみました

公式ドキュメントを読み解くと、SketchUpのプレゼン機能は「状態を作り込んでからシーンに固定する」という一貫した思想で設計されていることがわかります。編集部では、この順番を守るかどうかが仕上がりの再現性を左右すると見ています。

コスト・実用面では、2点透視・画角・断面カメラのいずれもSketchUp標準機能で、追加のプラグインや費用が不要です。フォトリアルな質感が求められない企画段階のプレゼンや、施主との打ち合わせで空間を素早く共有する場面では、標準機能だけで十分に説明力のある画像が作れます。

制約として、シーンのプロパティ保存の仕組みは直感的とは言いがたく、チェックを外したプロパティが「保存されない」挙動は初見では戸惑いやすい部分です。断面も、プレーン記号とカット効果の表示トグルが二段構えになっており、慣れるまで関係が掴みにくいと感じる方が多いはずです。

これらを踏まえると、この機能群は「軽く早くプレゼン用の構図を固めたい」建築・インテリアの実務者に向いています。写真のような質感まで求める段階では、決めた構図を別ソフトのレンダリングに引き継ぐ使い分けが現実的です。

シーン切り替えを整えた先に広がるプレゼン

シーン・カメラ・断面の3設定を組み合わせると、静止画の1枚づくりが「見せる順番のあるプレゼン」へと変わります。個別の設定を統合し、シーンの並びで提案の流れを設計する段階です。

見せる順番でシーンを並べる

提案は、シーンを見せたい順番に並べることで流れが生まれます。たとえば「全体外観(2点透視・広め画角)→ アプローチの目線(5’6”)→ 玄関からの内観 → 2階の断面」のように配置すれば、クリックで説明を進めるだけで話が展開します。

各シーンに断面・タグ表示・スタイルまで保存しておけば、切り替えるだけで見せ方が完成した状態になります。打ち合わせ中に「2階の間取りも見たい」と要望が出たら、該当シーンをクリックするだけで断面ビューに切り替わり、その場で応えられます。設定を作り込んだ人とそうでない人の差は、この即応性にはっきり表れます。

この先のステップ(動画・図面・仕上げ)

並べたシーンは、そのまま次の制作ステップの土台になります。シーンを連続再生すればウォークスルー動画になり、その方法はSketchUpでアニメーション・ウォークスルー動画を作る方法で解説しています。

決めた構図は、提案図面のビューとしても、フォトリアルなレンダリングの構図としても活用できます。図面として配置する手順はSketchUp LayOut入門、質感を作り込む方法はSketchUpのレンダリング入門でそれぞれ扱っています。シーンで構図を固めておくと、これらの次工程にそのまま持ち込めます。

まとめ

SketchUpでプレゼン映えする構図は、シーン・カメラ・断面の3設定で再現できます。

シーンは、視点・スタイル・断面・タグ表示を1タブに保存して切り替える機能です。保存するプロパティを正しく選べば、意図しない見た目の変化を防ぎながら、外観・断面・内観を独立した各コマとして固定できます。

カメラ設定は、2点透視で垂直線を立て、画角(既定35度/室内は60度前後が目安)と目線高さ(5’6”=約1.68m)を整えることで、歪みのない構図を作ります。断面は、Section Plane と Align View で内部を見せ、シーンに保存して見せる順番のある提案に組み立てます。

まずは手元のモデルで、外観・内観・断面の3シーンを作って切り替えてみてください。そこから動画化・図面化・レンダリング仕上げへと、次の工程に進めます。