PERSC JOURNAL DB Manual Course

運営者・お問い合わせ
3DCG · SketchUp

LayOutで寸法・注釈・建具表を作る方法|施工・プレゼン図面の作図

編集部 読了 約14分

SketchUpのモデルからビューポートを配置し、尺度を決めたところまで進んだとします。この記事のテーマは、その次の工程です。LayOut(SketchUpに付属する2D作図・レイアウトソフト)で寸法・注釈・建具表を作り、施工図やプレゼン図面として読める1枚に仕上げていきます。

この記事では、寸法の入れ方、ラベル(引き出し線つきの注釈)の付け方、そして建具表・数量表を「作り直さない表」として組む方法までを、SketchUp/LayOut公式ドキュメントの手順にそって解説します。

ビューポートの配置や尺度設定といった入門部分はSketchUp LayOut入門|モデル連動で2D図面を作る基本で、プレゼンボードの体裁やPDF出力はLayOutでプレゼンボードを作りPDF出力する方法で解説しています。この記事は「すでにビューポートが置かれ、尺度が決まっている」状態から始めます。

LayOutの作図は「モデル連動」だから寸法が狂わない

LayOutの寸法は、ページに描いた線の長さではなく、SketchUpモデルの実寸を映しています。だから尺度がビューポートに正しく設定され、Object Snap(対象に吸着させる機能)が効いていれば、モデルを直すたびに図面の寸法も自動で正しくなります。ここが手描き図面との決定的な違いです。

初心者がつまずきやすい「寸法が合わない」は、この仕組みを知らずに数値が狂っているように見えるケースがほとんどです。まず何を測っているのかを整理しておくと、後の作図で迷いません。

ペーパー空間とモデル空間で寸法の意味が変わる

寸法ツールが表示する数値は、「ページの上の線」を測るか「モデル」を測るかで意味が変わります。公式ドキュメントによれば、ペーパー空間(LayoutのページそのもののX/Y平面)の図形間を測るとページ上の実サイズが出て、モデル空間(SketchUpビューポートの中身)を測るとモデルの実長が表示されます(Marking Dimensions(LayOut公式)、2026年7月現在)。

この違いを埋めるのがスケール設定です。Auto Scale(自動尺度)を選ぶと、ペーパー空間は1:1、正投影ビューポートは元モデルの尺度を自動で採用します。つまり尺度が正しく決まっているビューを測れば、ページ上では小さくても、表示される数値は実際の建物の寸法になります。

逆に、尺度が未設定のビューに寸法を入れると、数値がページ実寸のまま出てしまい、「1000mmのはずが数十mmと表示される」といった誤解が生まれます。尺度の決め方そのものはSketchUp LayOut入門|モデル連動で2D図面を作る基本で解説しているので、この記事では「尺度が決まっている前提」で進めます。

Object Snapで寸法を「更新される寸法」にする

寸法を自動更新させたいなら、Object Snapが有効になっているかを確認します。LayOutのエンティティに付けた寸法は、対象オブジェクトの変化に追従して更新されますが、これはObject Snapが有効なときに限られます(Marking Dimensions(LayOut公式)、2026年7月現在)。Object Snapは既定でオンなので、特別な操作をしていなければ効いている状態です。

これが効いていると、たとえば住宅案件で「和室の間口を1,820mmから2,730mmに広げたい」となったとき、SketchUp側でモデルを直すだけで、LayOutに置いた寸法値が新しい間口に追従します。図面を毎回作り直さずに済むのは、この追従があるからです。

一方で、Object Snapを切ったまま寸法を引くと、モデルを直しても数値が古いままになります。作図に入る前に、この設定がオンであることを一度だけ確認しておくと安心です。

線寸法・角度寸法の入れ方と単位(mm・建築書式)

LayOutの寸法ツールは線寸法と角度寸法の2種類です。始点、終点、引き出し方向の順にクリックしていく操作が基本で、建築図面なら長さの表示書式をmm・小数に揃えておくのが実務の型になります。

書式を最初に統一しておくと、図面全体で表記がばらつかず、施工者が読みやすい図面になります。ここでは操作の手順と、建築で使う設定を順に見ていきます。

線寸法(Linear Dimension)を引く3クリック

線寸法は、2点間の距離を測って寸法線を描くツールです。公式手順では、ツールを選び設定を確認したうえで、始点をクリック、終点をクリック、最後に引き出したい方向へオフセットしてクリックで確定します(Marking Dimensions(LayOut公式)、2026年7月現在)。始点と終点を決めてから寸法線の位置を決める、という流れです。

線寸法は水平・垂直・2点間に垂直のいずれかに拘束されます。アイソメ表示(立体的に見せた図)に沿った寸法を入れたいときは、Alt(Windows)またはOption(Mac)を押しながら操作すると拘束を外せます。たとえば外構の階段を斜め方向に見せた図で、踏面の奥行きを図の向きにそって記したいとき、この操作が役立ちます。

寸法線・矢印・テキストの見え方は、Shape Styleパネル(線や矢印のスタイル設定)とText Styleパネル(文字のスタイル設定)で整えます。矢印を小さくする、テキストを寸法線の上に載せるといった調整で、図面の密度に合った見やすさに寄せられます。

角度寸法(Angular Dimension)で勾配・開き角を記す

角度寸法は、2本の線がなす角度を測って記すツールです。角を成す1本目の線か点をクリックし、頂点の方向へ動かしてクリックで向きを決め、2本目の線か点をクリック、最後にラベルの位置を決めます(Marking Dimensions(LayOut公式)、2026年7月現在)。

角度の単位は度(degrees)とラジアン(radians)から選べます。建築では度を使うのが一般的です。屋根の勾配を「30°」と記したり、片開きドアの開き角を平面図に「90°」と示したりする場面で使います。勾配を角度で示しておくと、施工側が納まりを判断しやすくなります。

建築の型:単位mmと長さ書式を揃える

長さの表示書式は、Decimal(小数)、Architectural(フィート・インチ)、Engineering(土木系)、Fractional(分数)の4種類があります(Marking Dimensions(LayOut公式)、2026年7月現在)。国内の建築図面では、単位をmm、書式をDecimalにするのが基本です。Architecturalはフィートインチ系の書式で、精度は1インチから1/64インチまで刻めますが、日本のmm図面では使いません。

書式と精度は、寸法を入れ始める前に決めておくのが要点です。あとから全体を変えると、すでに置いた寸法の見た目が一斉に変わって確認が増えます。下の早見表を目安に、案件ごとに最初の1回だけ設定しておくと図面全体で表記が揃います。

設定項目建築図面での推奨補足
単位(Units)mm(ミリメートル)国内建築の標準単位
長さ書式(Length format)Decimal(小数)数値をそのまま表示
精度(Precision)0 または 1桁1mm単位なら「0」、小数1桁なら「0.0」
角度書式(Angle format)Degrees(度)勾配・開き角に使用
角度精度1桁程度「30.0°」など
Auto Scaleオンビューポートの尺度を自動採用

ラベル(引き出し線・注釈)とオートテキストで注記する

ラベルは、引き出し線とテキストをひとまとまりにして、図の一点を指し示す注記です。手打ちで文字を入れることもできますが、SketchUpモデルの要素を指すラベルならオートテキスト(モデル情報を自動で拾って表示する仕組み)が使えて、尺度・コンポーネント名・面積などを自動表示でき、更新漏れがなくなります。

部屋名や仕上げの指示を図に添えるとき、ラベルは施工図・プレゼン図の両方で活躍します。作り方と、モデル情報を自動で呼び出すオートテキストを順に見ていきます。

ラベルの作り方と引き出し線の形(直線/エルボ/曲線)

ラベルは、始点(指し示す対象)から線を引き、テキストを添えて作ります。公式手順では、始点をクリックしてからエルボ(折れ点)をクリックし端点をクリックすると2セグメントの引き出し線になり、ダブルクリックすればエルボ無しの1本線、ドラッグすれば曲線になります(Labeling Items(LayOut公式)、2026年7月現在)。線を引き終えたらテキストを入力し、外側をクリックで確定します。

引き出し線の形は後から変えられます。ラベルを右クリックすると、One-Segment(1本線)、Two-Segment(折れ線)、Curve(曲線)に切り替えられ、矢印や端点のスタイルもShape Styleパネルで変更できます。たとえば天井伏図で照明器具を指すときは細い曲線、外観図で仕上げ材を指すときは折れ線の矢印、といった使い分けができます。

ラベルは、部屋名、床・壁の仕上げ、建具記号など、図の一点に説明を添えたいあらゆる場面で使います。テキストの書式は、Text Styleパネル(Windows)またはFontsダイアログ(Mac)で、フォント・字体・色・サイズを変更できます。

オートテキストでモデル情報を自動注記する

同じラベルでも、対象がSketchUpモデルの要素なら、オートテキストで情報を自動表示させられます。ラベルの入力欄にある青い下矢印から、Auto-Textタグを挿入する仕組みです(Labeling Items(LayOut公式)、2026年7月現在)。手打ちしないぶん、モデルが変わっても注記が自動で追従します。

拾える情報は、指す対象によって変わります。ビューポートを指せばシーン名・説明・尺度や比率(たとえば「1:10」)、コンポーネントやグループを指せば名前・説明・体積、面やエッジを指せば長さ・面積・座標を自動で表示できます。たとえばオフィスの平面図で各室にラベルを付け、面積を自動表示させておけば、間仕切りをモデルで動かすたびに各室の面積表示が更新されます。

この仕組みは建具表とも連動します。建具をコンポーネントにして「AW-01」「SD-02」のような名前を付けておけば、その名前をラベルで自動呼び出しでき、平面図の建具記号と表の記号を一致させられます。名前を1か所直せば図と表の両方に反映されるので、記号の食い違いが起きにくくなります。

建具表・数量表を「作り直さない」表として作る

建具表は手打ちの表でも作れますが、真価が出るのは「モデルの建具コンポーネントを集計してCSVにし、それをLayOutの表として読み込む」流れに乗せたときです。元データを直せば表がまるごと更新されるので、拾い漏れと転記ミスが消えます。

ここでは、LayOutで表そのものを作る操作、Excel/CSVを取り込む方法、そしてSketchUpのGenerate Report(属性を集計してレポートを作る機能)で建具表の元データを起こす流れの3段階で解説します。

LayOutで表を作る・整える基本操作

LayOut上の表(テーブル)は、Tableツールで作ります。ツールを選んで角をクリックしてからドラッグするか、測定ボックスに「3c,4r」(3列4行)のように入力してサイズを指定します(Adding Tables(LayOut公式)、2026年7月現在)。作った表はダブルクリックで編集モードに入れます。

行と列は後から足したり消したりできます。セルを右クリックすると、Insert Row Above/Below(行の挿入)、Insert Column Left/Right(列の挿入)、Delete Row/Column(行列の削除)が選べます。複数のセルを選んでMerge Cells(セル結合)を使えば、見出し行を1つにまとめられます。

罫線や背景は、Shape Styleパネルで整えます。グリッド線の色・幅・破線や、セルの背景色を、表全体・個別セル・特定のグリッド線ごとに指定できます。たとえば建具表なら、最上段の見出し行(記号・寸法・種別・数量)を結合して背景をグレーにし、罫線を実線でそろえると、施工図に載せて読める体裁になります。

Excel/CSVを取り込んで表にする

すでにExcelで建具リストを作っているなら、それをそのまま図面に載せられます。File > Insertで.csvまたは.xlsxを選ぶと、csvは表エンティティとして取り込まれ、xlsxはExcel Reference Options(参照範囲を決めるダイアログ)が開いて範囲を指定できます(Adding Tables(LayOut公式)、2026年7月現在)。

取り込んだ表は、元ファイルとリンクさせておけます。表を右クリックしてCSV Reference Optionsで参照範囲を指定し、Open with Table Editor(元アプリで開く)を選べば、ExcelやCSVを直接編集できます。保存すると、LayOut側の表が自動で更新されます。

この使い方が効くのは、集計をExcelで管理している現場です。たとえば建具の数量を積算担当がExcelで更新している場合、そのファイルをリンクで載せておけば、担当が数量を直すたびに図面の建具表も最新化されます。図面担当が手で打ち直す必要がありません。

Generate Reportで建具表の元データを自動集計する

建具表の元データそのものをモデルから起こすのがGenerate Reportです。SketchUpのFile > Generate Reportを開くと、モデル内のオブジェクトの属性を集計して、列を属性・行を値とした表を作り、CSVでダウンロードできます(Generate Report(SketchUp公式)、2026年7月現在)。

建具表に使うなら、建具をコンポーネント化して名前を付けておくのが前提です。レポートのテンプレートでGroup By(グループ化)に建具名を配置すると、同じ名前のコンポーネントが1行に集約されます。数量は件数や合計で自動集計され、位置・バウンディングボックスの寸法・Tag・Priceといった属性も列に並べられます。コンポーネントの名前付けや使い分けは、この集計の土台になる部分です。

あとは、出力したCSVをLayOutにテーブルとして読み込み、前述のセル結合や背景色で体裁を整えれば建具表になります。モデルの建具を増減させたら、Generate Reportを再実行してCSVを出し直せば、表も最新の数量に更新されます。手拾いで建具を数える作業がなくなるのが、この流れの一番の効きどころです。

なお、建具記号(AWは引き違い窓、SDは片開きドアなど)の意味や、建具表の読み方といった知識は、この記事の範囲外です。ここではあくまで「LayOutで建具表を作る作業手順」に絞っています。

Generate Reportの建具表化を編集部が読み解いた見解

公式ドキュメントを読み解くと、LayOutの作図機能でもっとも実務インパクトが大きいのはGenerate Report経由の建具表化だ、というのが編集部の見立てです。以下は公式手順とその設計思想を踏まえた所感です。

総合的にみると、LayOutの寸法・ラベル・表は「手で描く道具」ではなく「モデルの情報を図面に映す道具」として設計されています。寸法はモデルの実寸を映し、ラベルのオートテキストはコンポーネント名や面積を拾い、表はGenerate ReportのCSVを取り込む。いずれもモデルを一次情報として、図面がその写しになる構造です。

実用面では、この構造が「図面を作り直さない」運用につながります。設計変更が入っても、モデルを直してCSVを出し直せば、寸法・注記・建具表が連鎖して最新化されます。変更が多い実施設計フェーズほど、この自動化の効きが大きくなると考えられます。

一方で制約もあります。Generate Reportの精度は、建具コンポーネントの名前付けと属性整備に完全に依存します。名前がばらついていたり、グループとコンポーネントが混在していたりすると、Group Byの集約が崩れて建具表が正しく組めません。表の自動化を狙うほど、モデル側の命名ルールを先に整える手間が前提になります。

この記事の作図手順を土台にするなら、建具管理でGenerate Reportを本格運用したい実務者に向いています。逆に、単発のプレゼン用に1枚だけ図面を作るなら、表は手打ちでも十分で、まずは寸法とラベルの操作から慣れるのがよいでしょう。

作図を整えた先に広がる図面ワークフロー

ここまでの寸法・ラベル・建具表を一度モデル連動で組んでおくと、その先の図面制作の景色が変わります。1枚を作って終わりではなく、モデルを更新するたびに図面群がまとめて最新化される「回る仕組み」に手が届きます。

たとえば、建具をコンポーネントで管理し名前を付けておいた人は、途中で「窓を2つ追加」という変更が入っても、モデルに追加してGenerate Reportを再実行するだけで、平面図の建具記号(ラベル)と建具表の数量が両方そろって更新されます。一方、表を手打ちで作っていた人は、図と表を別々に直すことになり、記号の付け忘れや数量の食い違いが起きやすくなります。この差は、変更が10回20回と重なる実施設計で決定的になります。

次の一歩として、作図した図面をどう1枚のシートに構成し、PDFで出力するかはLayOutでプレゼンボードを作りPDF出力する方法で解説しています。図面に載せる元ビュー(見せ方)の作り込みは、SketchUp側のシーンとカメラの設定が土台になります。断面カメラや2点透視で見栄えを整えたビューをビューポートに置けば、同じ寸法・注記でも図面の説得力が変わってきます。

まとめ:作図の次は「体裁」と「元ビューの作り込み」へ

LayOutの寸法・注釈・建具表は、モデルを一次情報にして図面をその写しにする仕組みで動きます。要点を整理します。

LayOutの寸法はモデル連動なので、尺度が正しく設定されObject Snapが効いていれば、モデルを直すだけで図面の寸法も自動で正しくなります。線寸法は始点・終点・引き出し方向の数クリックで引け、角度寸法で勾配や開き角も記せます。建築図面では、単位をmm・長さ書式をDecimalに最初にそろえておくのが型です。

ラベルはオートテキストを使うと、コンポーネント名・尺度・面積といったモデル情報を自動で注記でき、更新漏れが消えます。そして建具表は、Generate Report→CSV→LayOutの表という流れで自動化すれば、モデルを直すたびに数量が最新化され、拾い漏れと転記ミスをなくせます。作図を仕上げたら、次はシート全体の体裁づくりと、図面に載せる元ビューの作り込みへ進みましょう。