PBRとは|物理ベースのマテリアル
- PBRマテリアルとは、何のこと?
- PBRマテリアルは、どんな考えで作られているの?
- PBRマテリアルの主な設定項目を知りたい
マテリアルは、3DCG の物の表面の色やつやを決める設定です。色やつやの値は見た目に合わせて好きに入れるものと思うかもしれませんが、PBR のマテリアルには、値の決め方のもとになる考えがあります。
この記事では、PBR マテリアルの意味と、それを支える3つの考え、主な設定項目を解説します。Blender 5.2 で同じマテリアルを2つの光でレンダリングした画像で、PBR の特徴も確かめましょう。
PBR のマテリアルとは、表面を現実の光のふるまいに近づけて作るマテリアルのことです。PBR は、Physically Based Rendering(物理ベースレンダリング)の略です。
PBRマテリアルとは

PBR のマテリアルでは、物の表面で光がどうはね返るかを、感覚ではなく現実の光に近づけて決めるのが基本です。
3DCG のソフトの Unreal Engine の説明は、見た目の感覚だけで値を決める作り方より正確で、多くの場合より自然に見えるとしています。
PBR のマテリアルの特徴は、どんな光の当たり方でも同じようにうまく働くことです。光の当たり方とは、太陽と空の光か、部屋の照明かといった、光の条件を指します。
画像は、Blender 5.2 で、値を変えずに同じ3つのマテリアルを2つの光でレンダリングしたものです。左は太陽と空の光、右は空を暗くして電球色の照明を1つだけ当てた光です。
光の色と明るさで見た目は変わりますが、どちらの光でも、赤い球はつやのある物、金色の球は金属、白い箱はつやの無い物に見えています。
物理ベースを支える3つの考え

PBR のマテリアルは、次の3つの考えで作られています。
- エネルギー保存
- フレネル効果
- 細かな凹凸(マイクロファセット)
エネルギー保存
エネルギー保存とは、表面から出ていく光が、当たった光より多くならないという考えです。3D データの形式 glTF や、マテリアルの仕様 OpenPBR は、計算がこの考えを守るよう求めています。
光は物に当たると、一部が表面ではね返り、残りは物の中へ入ります。そのため、表面ではね返る分が増えれば、中へ入る分はそのぶん減るのです。
フレネル効果
フレネル効果とは、見る角度で反射の割合が変わり、面すれすれの浅い角度から見るほど強く反射することです。正面から見たときの反射は、ガラスやプラスチックのような非金属で、当たった光の数%しかありません。
PBR のマテリアルでは、表面ではね返る分と中へ入る分の割合が、見る角度ごとにこの考えで変わります。
細かな凹凸(マイクロファセット)
マイクロファセットとは、表面にある、目に見えないほど小さな平らな面のことです。PBR のマテリアルでは、表面をこの小さな面の集まりとみなし、面の向きのばらつきで表面の粗さを表します。
小さな面の向きがばらつくほど、はね返った光はいろいろな方向へ散ります。粗い表面ほど映り込みがぼけて見えるのは、このためです。
この粗さを決める値が、ラフネス(粗さ)です。
厳密な物理より分かりやすさを優先した値

物理ベースといっても、設定項目まで厳密な物理の量にしているわけではありません。多くの値は、扱う人の分かりやすさを優先して決められています。
たとえば、ディズニーのアニメーションスタジオが2012年に発表したマテリアルの作り方は、次の方針を立てていました。
- 物理の量ではなく、直感で分かる値を使う
- 値の数はできるだけ少なくする
- 値は、ありうる範囲を0から1で表す
Blender 5.2 のマテリアルの基本の部品も、このディズニーの作り方とそろう値を持っています。メタリックとラフネスは、0から1のあいだの値で決めるものです。
メタリックは0が非金属で1が金属、ラフネスは0が鏡のような映り込みで1がつやの無い面です。値を動かすときは、この0と1の端の意味から確かめましょう。
設定項目をそろえる標準のOpenPBR

PBR のマテリアルの設定項目には、OpenPBR という公開の標準の形があります。どんな項目を持ち、値が何を表すかを決めた仕様で、2026年10月時点の版は v1.1.1 です。
OpenPBR は、Autodesk と Adobe が共同で作りました。もとにしたのは、両社のマテリアルの形(Standard Surface と Standard Material)です。
OpenPBR の値は直感で分かり、物理的にありうる範囲にできるだけ収まるように決められています。
Blender 5.2 では、マテリアルの基本の部品 Principled BSDF(プリンシプル BSDF)が、この OpenPBR に基づいています。
ソフトの PBR のマテリアルの項目は、OpenPBR や Standard Surface などの形にそろってきているのです。
PBRマテリアルの主な設定項目

PBR のマテリアルの主な設定項目は、次の表の9つです。右の列には、Blender 5.2 の Principled BSDF での名前を並べています。
| 項目 | 何を決めるか | Blender 5.2 の名前 |
|---|---|---|
| ベースカラー | 照明の明るさや影を含まない、素材そのものの色 | Base Color |
| メタリック | 金属か非金属か。基本は0か1 | Metallic |
| ラフネス(粗さ) | 細かな凹凸の粗さ。粗いほど映り込みがぼける | Roughness |
| 透過 | 光が中を通り抜けるか。ガラスや水に使う | Transmission |
| 表面下散乱(サブサーフェススキャタリング・SSS) | 中へ入った光が散り、別の所から出てくるか。大理石などに使う | Subsurface |
| コート(クリアコート) | 素材の上に重ねる透明な層。ニスや車の塗装のつやに使う | Coat |
| シーン(Sheen) | 表面のごく細い繊維の反射。布に使う | Sheen |
| 発光 | 面そのものから光を出すか。画面や電球に使う | Emission |
| 不透明度(アルファ) | 画像を使って、面の見える所と見えない所を分ける。葉や金網の切り抜きに使う | Alpha |
画像は、Blender 5.2 で、表の項目を1つずつ効かせた例です。たとえば透過の球は向こうの床が透けて見え、不透明度の金網は、網の目の所が切り抜かれています。
シーンは、3DCG で場面を指す「シーン(Scene)」とは別の言葉です。
PBRマテリアルの3つの値を動かして見比べよう

PBR のマテリアルは、表面を現実の光のふるまいに近づけて作るマテリアルです。この記事で見たことは、次の4つでした。
- どんな光の当たり方でも、同じようにうまく働く
- エネルギー保存・フレネル効果・細かな凹凸の3つの考えで作られている
- 値は、分かりやすさを優先して0から1などで決める
- 設定項目は、OpenPBR などの標準の形にそろってきている
画像の6つの球は、ベースカラーは同じまま、メタリックとラフネスだけを変えています。
メタリック1の段は映り込みがオレンジ色を帯び、右へ行くほど映り込みがぼけています。
Blender なら、Principled BSDF の Base Color・Metallic・Roughness の3つを動かしてみてください。見え方がどう変わるかを確かめられます。
あわせて読みたい
- 「フレネル反射とは|見る角度で変わる反射」(準備中) — 見る角度で反射の割合が変わる仕組みを知りたいとき
- 「PBRのベースカラー|素材そのものの色」(準備中) — ベースカラーにどんな色を入れるかを知りたいとき
- 「PBRのメタリック|金属と非金属の反射の違い」(準備中) — メタリックを0と1のどちらにするかを知りたいとき
- 「PBRのラフネス|表面の細かな凹凸と映り込みのぼけ」(準備中) — ラフネスの値で映り込みがどう変わるかを知りたいとき
- 「シェーディングとは|面の明るさと色の計算」(準備中) — レンダリングで面の明るさと色を計算する仕組みを知りたいとき
会員登録(無料)
記事やテーマのお気に入り・学習履歴・フォローが使えます。
この記事について
PERSC編集部が、建築の制作に関わる知識を実務目線で整理しています。内容は公開・更新日時点の情報にもとづきます。誤りや古い情報にお気づきの場合はお問い合わせよりご連絡ください。