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3DCG · V-Ray

Chaos Cosmosでモデル・HDRIを配置する|統合アセットライブラリの使い方

編集部 読了 約9分

Chaos Cosmos(チェイオス・コスモス)は、V-Ray や Corona、Enscape に組み込まれた無料の3Dアセットライブラリです。植栽や家具、人物といったモデルから、実写ベースのマテリアル(素材の質感データ)、HDRI スカイ(空と光の環境データ)まで、3万点を超える素材を1つのブラウザから探して配置できます。素材を集める手間を大きく減らせるため、V-Ray を使い始めた建築パース制作者にとって心強い味方になります。

この記事では、Cosmos Browser(アセットを探す専用ウィンドウ)の開き方から、検索と絞り込み、モデルのドラッグ配置、実寸で正しく置くための考え方、HDRI で空と光をあてる導線までを、2026年7月現在の公式情報にもとづいて解説します。3ds Max や SketchUp、Rhino といったソフト別の導入手順は別記事にまとめているため、この記事は全ホスト共通の使い方に絞っています。

Chaos Cosmosでできること|3万点超の統合アセットライブラリ

Chaos Cosmos は「探す・落とす・置く」を1つのブラウザで完結できる共通ライブラリです。モデル・マテリアル・HDRI という3種類の素材が同じ窓の中に揃っているため、外部の素材サイトを何度も巡回する必要がありません。

Chaos Cosmosの中身(モデル・マテリアル・HDRIスカイ)

Cosmos には3万点を超える素材が収録されています(2026年7月現在、Chaos Cosmos 公式ページ)。内訳は大きく3種類です。

モデルは植栽・小物・人物・家具・車両・照明などをカバーします。マテリアルは実物をスキャンして作られた2,500点以上の質感データで、木目やタイル、金属などをそのまま貼り付けられます。HDRI スカイは、空の見た目と屋外の照明環境をセットで持ったデータです。

3種類が同じ検索窓で見つかることには実務上の意味があります。たとえば住宅内観のパースを作るとき、家具モデル・床のマテリアル・窓の外に見える空を、別々のサイトを探し回らずに1か所で揃えられます。素材探しにかかる時間が短くなるぶん、構図や光づくりに時間を回せます。

どのソフト・レンダラーで使えるか

Cosmos は Chaos 社のレンダリング製品に組み込まれており、V-Ray・Corona・Vantage・Envision・Enscape から利用できます(Chaos Cosmos 公式ページ)。V-Ray の場合は、3ds Max や SketchUp、Rhino などに入れた V-Ray プラグインの中から Cosmos を呼び出す形になります。

料金は無料です。V-Ray を導入していれば追加購入なしでそのまま使えるので、素材集めのために別のサブスクリプションを契約する必要はありません。素材ライブラリのコストを気にせず、まず手を動かして試せるのが利点です。

利用にはひとつだけ条件があります。素材を眺めるだけならアカウントは不要ですが、実際に Cosmos Browser を使って素材をダウンロード・配置するには Chaos アカウントでのサインインが必要です(Chaos Docs Cosmos Browser)。V-Ray のライセンスを持っていれば同じ Chaos アカウントでサインインできます。

Cosmos Browserの開き方と検索・絞り込み

Cosmos Browser は、使っているソフトのツールバーから開き、カテゴリ選択と検索窓という2つの経路で目的の素材にたどり着きます。素材が3万点あっても、この2経路を押さえれば迷いません。

Browserを開いてサインインする

Cosmos Browser を使うには、まず Chaos アカウントでのサインインが必要です。アカウントとダウンロード履歴をひも付けることで、一度落とした素材を再利用できるようになるためです。

Browser の開き方はソフトによって場所が変わりますが、いずれも V-Ray(Chaos)のツールバーにある Cosmos のアイコンから開きます。3ds Max なら V-Ray ツールバー、SketchUp なら V-Ray のアセットエディタまわり、Rhino なら V-Ray のツールバーが入口です。初回だけサインインを済ませれば、次回以降は開くだけで使えます。

カテゴリと検索でアセットを絞り込む

Browser を開いたら、上部のカテゴリ(モデル・マテリアル・HDRI)でまず種類を絞り、次にサブカテゴリや検索窓でキーワード検索します。「chair」「tree」「asphalt」のように英語で入力すると目的の素材に早くたどり着けます。

よく使う素材は「お気に入り(Favorites)」に登録しておくと便利です。案件ごとに定番の植栽セットや人物を毎回探し直す手間がなくなり、次の案件でもワンクリックで呼び出せるからです。事務所で使う素材の型が決まっているほど、この登録が効いてきます。

モデルをドラッグ配置する|プロキシとして読み込まれる仕組み

Cosmos のモデルはドラッグ&ドロップでシーンに置け、V-Ray 側では VRayProxy(重いメッシュを外部ファイルとして参照する仕組み)として読み込まれます。そのため、高ポリゴンの素材を並べてもビューポート(作業画面)が重くなりにくいのが特徴です。

ドラッグ配置の基本手順

配置はとてもシンプルで、Browser で選んだモデルを作業画面の床面やオブジェクトの上へドラッグするだけです。手順を分けると次のようになります。

  • Browser でモデルを選ぶ
  • 未ダウンロードならその場でダウンロードされる
  • 作業画面の置きたい場所へドラッグしてドロップする

クリックしてから座標を指定する方式より直感的で、「ここに木を1本」という思考のままマウスで置けます。ドロップ先は床面だけでなく、スプライン(線)や既存オブジェクトの表面も選べます。

VRayProxyで読み込まれると何が変わるか

Cosmos のモデルは VRayProxy として読み込まれます(Chaos Cosmos Browser 公式ドキュメント)。VRayProxy は、重いメッシュ本体を外部ファイルに置いておき、作業画面には軽いプレビュー表示だけを出す仕組みです。レンダリング(3Dデータから画像を作る処理)のときにだけ、フル解像度のメッシュを読み込みます。

この仕組みがあると、葉が細かい木や造形が複雑なソファを何本・何脚並べても、作業画面が固まりにくくなります。ポリゴン数の多い素材ほど、この軽さの恩恵が大きくなります。庭の植栽を大量に置くような外構パースでは、プロキシでなければ作業自体が難しい場面もあります。

大量のプロキシを地面にばらまく散布のテクニックは、V-Ray Proxyと散布で植栽・群衆を軽く量産するで具体的な手順を解説しています。

スケールを正確に保つ|実寸配置の考え方

Cosmos のアセットは実寸データで作られているため、シーンの単位設定が正しければ、そのまま現実と同じ大きさで入ります。手作業でのリサイズを前提にしなくてよいのが大きな利点です。

実寸で入る前提とスケール事故の防ぎ方

家具や人物といったモデルは、現実の寸法を基準に作られています。ですから作業しているシーンの単位(ミリメートルやメートル)が正しく設定されていれば、椅子は椅子の大きさ、人は人の大きさで配置されます。逆に単位設定がずれていると、木が家より大きくなるといったスケール事故が起きます。配置前にシーンの単位を確認しておくと安心です。

マテリアルには、実寸マッピング(real-world scale)で読み込むオプションがあります(Chaos Cosmos Browser 公式ドキュメント)。これを使うと、タイルの目地やフローリングの板幅が現実の寸法で貼り付きます。目地1枚のサイズが実物どおりに入ると、パース全体の説得力が上がります。逆に手動でスケールを合わせると、板幅が不自然に大きい・小さいといった違和感につながりがちです。

HDRIで空と光をあてる|ドームライトへの導線

Cosmos の HDRI スカイはドラッグでドームライトに割り当てられ、空の見た目と全体の照明を同時に決められます。屋外パースの光づくりの最初の一手として使いやすい素材です。

HDRIスカイの割り当てとできること

HDRI(360度で撮影した実写の光情報を持つ画像)は、空の絵柄と環境光をひとつのデータに含んでいます。Cosmos の HDRI をシーンに割り当てると、背景に映る空と、シーン全体を照らす光の両方が一度に決まります。晴天・曇天・夕景といった空を差し替えるだけで、パースの時間帯や雰囲気を大きく変えられます。

割り当てたあとの回転(太陽の向き)や強度の細かい調整、ドームライトのパラメータについては、V-RayのドームライトとHDRIで空と光をつくるで詳しく解説しています。この記事の範囲は、Cosmos から HDRI を持ってきて光の下地を作るところまでです。

Chaos Cosmosを編集部が使ってみました

Chaos Cosmos についての編集部の所感をまとめます。素材集めの時間を大きく縮められる一方で、多用すると「どこかで見た木・人」が並ぶ既視感が出やすい点には気をつけたいところです。

まず良い点として、無料・実寸・プロキシ配置という3つがそのまま実務のスピードにつながります。海外レビューの共通見解でも、V-Ray に含まれる素材ライブラリとして「別サイトを探さずに済む」効果が評価されています。特に HDRI は、屋外パースの光を決める初手として手早く、空を数種類あてて見比べるだけで方向性が固まります。

一方で注意したいのは、人物や定番の植栽は他の制作者も同じものを使うため、被りが起きやすいことです。玄関先に置く木や、ラウンジに座る人物などは、案件の主役から少し外した使い方にすると既視感を抑えられます。素材はあくまで下地と割り切り、主役の見せ場は自作モデルや構図で差をつけるのが実務的な使い分けです。

活用シーン・次の一歩

Chaos Cosmos は「下地づくりの時短ツール」と位置づけ、質感や散布の詰めは専用の手順へ進むのがおすすめです。素材配置のスピードと、仕上げの作り込みを切り分けると迷いません。

活用シーンは幅広く、住宅内観なら家具とマテリアル、外構なら植栽、屋外全般なら HDRI スカイと、パースの種類ごとに主役の素材が変わります。まず Cosmos でおおまかな絵を組み、そこから詰めていく流れが効率的です。

次の一歩として、植栽や群衆を大量に置きたいならV-Ray Proxyと散布で植栽・群衆を軽く量産するへ、屋外の光を突き詰めたいならV-RayのドームライトとHDRIで空と光をつくるへ進むと、Cosmos で置いた下地をそのまま作品レベルまで引き上げられます。

まとめ

Chaos Cosmos の要点を3つに絞ると次のとおりです。

  1. Cosmos は V-Ray などに含まれる無料のアセットライブラリで、3万点超のモデル・マテリアル・HDRI を1つのブラウザから探して配置できます(2026年7月現在)。
  2. モデルはドラッグで置け、VRayProxy として読み込まれるため、高ポリゴンの素材を並べても作業画面が重くなりにくい仕組みです。
  3. アセットは実寸で作られており、シーンの単位が正しければそのまま正しい大きさで入ります。マテリアルは実寸マッピングで貼り付けられます。

Cosmos を使えば、素材探しの時間を減らして構図と光づくりに集中できます。V-Ray 全体の始め方や各ソフトでの導入はV-Ray導入・ホスト連携完全ガイドにまとめているので、Cosmos の前後の流れもあわせて確認してみてください。