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VRayLightで人工照明を配置する|Plane/Sphere/Mesh/IESの使い分け

編集部 読了 約13分

VRayLight(ブイレイライト)は、シーンの中に置く人工の光源です。太陽や空とは別に、ダウンライトや間接照明、スタンドといった「照明器具そのものの明かり」を再現するために使います。形状によってPlane(面光源)、Sphere(球光源)、Mesh(メッシュ光源)、IES(配光ファイル)の4タイプに分かれ、建築パースの室内照明はこの選び分けでほとんど決まります。

この記事では、Plane/Sphere/Mesh/IESの使い分けを軸に、強度の単位・Invisible・No decayといった実務でつまずきやすい設定、さらにLight Genで照明候補をまとめて自動生成する使い方までを解説しています。パラメータ名や単位はChaos公式ドキュメント(2026年7月現在)に沿って確認しました。SketchUp・Rhino・3ds Maxなどホストが違っても、考え方は共通です。

屋外の太陽光はV-Rayライティングの基本|Sun & Skyで自然光を作る、空と反射の環境光はDome Light + HDRIで環境光を作るで解説しています。この記事は、そこに足りない室内の明かりを人工照明で足すパートだと考えてください。

VRayLightは何をする光源か|人工照明の考え方

VRayLightは、太陽・空の光では届かない室内の明かりを作るための光源です。形状で4タイプに分かれていて、照らしたい対象に合わせて選ぶのが基本になります。

なぜ光源を分けるのかというと、光の広がり方が形で決まるからです。細長い蛍光灯のような明かりと、裸電球のような明かりでは、影の出方も反射の映り込みもまるで違います。ここを形で作り分けると、室内が一気にそれらしくなります。

自然光・環境光との役割分担

室内のライティングは、屋外光・環境光・人工照明の3層で考えると迷いません。屋外光はSun & Sky(太陽と空をまとめて再現するしくみ)、環境光はDome Light + HDRI(実写の360度画像で空と反射を作るしくみ)が担当します。

そのうえで、夜のカットや窓から遠い部屋の奥など、自然光だけでは暗く沈む場所を埋めるのがVRayLightの役割です。昼のカットでも、天井のダウンライトを点けておくと生活感が出て、写真らしさが増します。

自然光と環境光の作り方はV-Rayライティングの基本|Sun & Skyで自然光を作るDome Light + HDRIで環境光を作るにまとめてあります。

4タイプの早見表

4タイプの得意分野は、次の一覧で見比べると選びやすくなります。

形状得意な照明特徴
Plane(面光源)天井パネル・間接照明・窓の補助光長方形の面から均一に光る。サイズで明るさと柔らかさが変わる
Sphere(球光源)裸電球・ペンダントライト球から全方向に光る。半径が影の柔らかさを決める
Mesh(メッシュ光源)ネオン・曲線の間接照明・異形のシェード任意の形のメッシュを発光面にできる
IES(配光ファイル)ダウンライト・スポットライトメーカー配光をそのまま使い、実物どおりの光の広がりになる

実務でいちばん出番が多いのはPlaneとIESです。天井や壁の面から照らすシーンはPlane、天井に埋め込む照明器具はIESでほぼ回せます。SphereとMeshは、電球むき出しや変わった形のときに足す、という位置づけで考えると整理しやすいです。

Plane(面光源)とSphere(球光源)の使い分け

面で照らしたいならPlane、電球のような点で照らしたいならSphere、というのが基本の使い分けです。どちらも室内で頻繁に使う光源なので、得意分野を分けて覚えておきましょう。

Planeが得意な照明

Planeは長方形の面から均一に光る光源です。天井のパネル照明や、カーテンウォールの裏に仕込む補助光、間接照明のように「面でふわっと照らす」明かりに向いています。

サイズ(half-length / half-width、面の縦横の半分の長さ)を変えると、明るさと影の柔らかさが同時に変わります。面を大きくすると光が回り込んで影がやわらかくなり、小さくするとくっきりした影になります。だから「影を柔らかくしたい」ときは、強度を下げる前に面を大きくすることを先に試すと、自然な仕上がりになりやすいです。

Sphereが得意な照明

Sphereは球の表面から全方向に光る光源です。ペンダントライトの裸電球や、シェードのないスタンドなど、点に近い光源を再現するのに向いています。

影の柔らかさを決めるのは半径(radius)です。半径を大きくすると発光面が広がるぶん、影のふちがぼけていきます。逆に半径を小さくしすぎると、光源が点に近づいてノイズ(画像のざらつき)が出やすくなります。電球サイズよりやや大きめに置くのが、扱いやすい落としどころです。

共通の実務設定(強度の単位・色温度・Invisible)

PlaneとSphereで共通して押さえたい設定が3つあります。強度の単位、色、そしてInvisibleです。

強度の単位(Units)は、Default(image)とLuminous power(lm、ルーメン)などから選びます。Default(image)は色と倍率がそのまま画面の明るさになる指定で、Luminous powerは実際の照明の明るさ(ルーメン値)で指定する方式です。VRayPhysicalCamera(実際のカメラのように露出を扱う機能)と組み合わせるときは、正しい単位を選ぶことが結果を左右します(VRayLight, V-Ray for 3ds Max、2026年7月現在)。照明のカタログにある「○○lm」をそのまま入れたいなら、Luminous powerを選ぶと合わせやすくなります。

色は、色そのものを指定するモードと、色温度(Temperature、単位はK=ケルビン)で指定するモードがあります。電球色なら3000K前後、昼白色なら5000K前後、というように温度で指定すると、実際の照明の雰囲気に近づけられます。

Invisibleは、光源そのものをカメラに写さない設定です。これをオフのままにすると、Planeの長方形やSphereの球がそのまま白く写り込んでしまいます。間接的に照らすだけの補助光は、Invisibleをオンにして光源を隠すのが基本です。

Mesh(メッシュ光源)で照明器具の形に光らせる

四角や球では近似できない形の照明は、Meshで任意のメッシュをそのまま光らせます。文字型のネオンや、曲線を描く間接照明の溝など、形自体が意味を持つ明かりに使う光源です。

どんなときにMeshを使うか

Meshは、モデリングした形状そのものを発光面にできる光源です。たとえば店舗サインの文字型ネオン、天井の曲線に沿った間接照明のライン、複雑なシェードの内側など、PlaneやSphereでは形が合わないケースで力を発揮します。

見せたいのが「光っている形」そのものであるときに選ぶ、と覚えておくとよいでしょう。逆に、ただ空間を明るくしたいだけならPlaneのほうが軽くて扱いやすいです。

Mesh特有の注意(単位とサイズの関係)

Meshは強度の単位でつまずきやすい光源です。Luminous Power(Lumens)を選ぶと明るさは形状のサイズに依存しませんが、Luminance(lm/m^2/sr)を選ぶと発光面の面積に応じて明るさが変わります(Mesh Light, V-Ray for SketchUp、2026年7月現在)。

これがなぜ重要かというと、同じ設定でも形を大きくした瞬間に明るさが激変することがあるからです。「一定の明るさで出したい」ならLuminous Power、「面積なりに明るくしたい」ならLuminanceを選ぶと、狙いどおりにコントロールできます。なお発光面が複雑な形になるほどサンプリング(光の計算量)の負荷は上がりやすいので、Meshは必要な箇所に絞って使うのがおすすめです。

IES(配光ファイル)で実在の照明器具を再現する

メーカーの配光をそのまま使いたいなら、IESが最短です。ダウンライトの光の広がり方を、実物どおりに再現できます。

IESファイルでできること・どこで手に入るか

IESは、照明がどう光るかを記述したデータファイルです。光がレンズをどう通るか、強度がどれくらいか、距離とともにどう弱まるか(falloff)といった情報が入っていて、実在の照明器具と同じ光の広がりを再現できます(IES Light, V-Ray for SketchUp、2026年7月現在)。IESはIlluminating Engineering Society(北米照明学会)が定めた形式で、多くの照明メーカーが自社製品の配光データを公開しています。

入手先はまずメーカー公式の配光データ(photometricデータ)です。使いたい照明器具のメーカーサイトで配布されていれば、それを読み込むのが最も正確になります。手元に用意がないときは、V-Rayに付属するChaos Cosmos(アセットを検索して配置できるライブラリ)のLightingにもIES光源が入っているので、そこから選ぶ方法もあります。

IESの置き方と強度・色

IES光源は、IESファイルを指定して、あとは強度(lm)と色を現場で調整する、というシンプルな運用になります。光の広がり方はファイルが持っているので、こちらでいじるのは明るさと色味だけで済むのが利点です。

天井に埋め込むダウンライトや、壁を照らすウォールウォッシャー、スポットライトのように「配光の形が仕上がりを左右する」照明では、IESがいちばん実物に近づきます。Cosmosのアセットを使う場合は、Intensity MultiplierとColor Multiplierでまとめて明るさと色を微調整できます。

リアルに見せる共通設定|No decay・Affect・サンプリング

光源のタイプを問わず効く共通スイッチを押さえると、明るさの破綻や画面の汚れが減ります。ここではNo decay、Affect、サンプリングの3点を整理します。

No decay(距離減衰オフ)を使う場面

光は本来、距離が離れるほど弱くなります。これが物理的に正しい状態で、通常はこのまま使います。

No decayは、その距離による減衰をオフにする設定です。どこまで離れても同じ明るさになるので、演出目的で背景を均一に明るくしたいときなど、限られた場面でだけ使います。室内の照明器具を素直に再現したいなら、No decayはオフのままにしておくのが安全です。安易にオンにすると、遠くの壁まで不自然に明るくなって、立体感が失われます。

Affect diffuse / specular / reflections の切り分け

VRayLightには、光がどこに影響するかを個別に切り替えるスイッチがあります。Affect diffuse(拡散光への影響)、Affect specular(ハイライトへの影響)、Affect reflections(映り込みへの影響)の3つです。

たとえば、床のハイライトだけ足したいのに部屋全体が明るくなってしまうときは、Affect diffuseをオフにしてAffect specularだけ残す、という調整ができます。逆に、鏡やガラスに光源が映り込んでほしくないときはAffect reflectionsをオフにします。用途別のおすすめを表にまとめました。

やりたいことAffect diffuseAffect specularAffect reflections
ふつうに空間を照らすオンオンオン
ハイライトだけ足したいオフオンオフでもよい
映り込みに光源を出したくないオンオンオフ

ノイズ対策(サンプリングとDenoiser)

小さくて強い光源ほど、画面にノイズ(ざらつき)が出やすくなります。特に半径を絞ったSphereや、狭い範囲を強く照らすIESで起きがちです。

対策は2つあります。ひとつはサンプリング(Sampling subdivs、光の計算回数)を上げて、ノイズそのものを減らす方法です。もうひとつはDenoiser(ノイズ除去機能)で、レンダリング後にざらつきをならす方法です。計算時間とのバランスで使い分けますが、まずはDenoiserを有効にしておき、それでも残るところをサンプリングで詰める順番が実務では扱いやすいです。GPUごとの処理速度の実測比較は、db.persc.jp のベンチマーク記事(https://db.persc.jp/)で確認できます。

Light Genで照明候補を自動生成する

照明を一つずつ置き始める前に、Light Genでシーン全体のライティング候補をまとめて生成すると、当たりを付けるのが速くなります。複数の光の状態をサムネイルで見比べて、良さそうなものから作り込めます。

Light Genでできること

Light Genは、シーン全体の明るさのパターンを自動でたくさん作る機能です。Sun & SkyやDome Light(HDRI)をベースに、太陽の高さや向き、環境の明るさを変えた候補を大量に生成します。

使うときはまずExterior(屋外)かInterior(室内)かを選びます。Interiorを選ぶと、Light Genは部屋の開口部(窓や入口)を考慮して、その空間に合う候補だけを出してくれます(V-Ray Light Gen, V-Ray for SketchUp、2026年7月現在)。なお自分で用意したHDR画像を使うHDRモードは、Exteriorのときだけ選べます。

候補の適用とLight Mixへの受け渡し

生成された候補はサムネイルで並び、クリックするとその設定が即座にビューに適用されます(V-Ray Light Gen, V-Ray for Revit、2026年7月現在)。気に入った状態を.lightsetファイルとして保存しておけば、あとから読み込んで使い回せます。

実務の流れとしては、Light Genでベースになる明るさの当たりを付けてから、この記事で解説したPlane/Sphere/Mesh/IESの人工照明を足していくとスムーズです。そして人工照明を置いたあとの微調整は、Light Mixで撮影後にライティングを調整するで解説している方法を使うと、再レンダーなしで各光源の強さや色を追い込めます。

建築パースでVRayLightを編集部が使ってみました

室内カットで4タイプをどう組み合わせるとよいか、編集部の所感をまとめました。ここでは公式ドキュメントの仕様と、一般的な建築パースの運用をもとに整理しています。

住宅リビングの夜カットでの組み立て

夜のリビングを例にすると、光源の役割分担はきれいに分かれます。天井のダウンライトはIESで実物の配光を再現し、テレビ裏や棚下の間接照明はPlaneで面から柔らかく、ペンダントの裸電球はSphereで点として置く、という三分担です。

この分け方だと、あとで「もう少し天井を明るく」と言われてもIESの強度だけ触ればよく、修正箇所が迷子になりません。編集部の所感としては、最初にこの役割を決めてから配置するほうが、あとの調整がはるかに楽になります。

つまずきやすいポイント

初めてVRayLightを触る人がよく引っかかるのは3点です。ひとつはInvisibleの入れ忘れで、補助光のPlaneがそのまま白い板として写ってしまうケース。ふたつめはNo decayをオンにしたまま置いて、部屋の奥まで不自然に明るくなるケース。みっつめは半径を絞りすぎたSphereでノイズが出るケースです。

いずれも設定の意味を知っていれば避けられるものばかりです。「補助光はInvisibleオン」「No decayは原則オフ」「Sphereは小さくしすぎない」の3つを最初に習慣にしておくと、やり直しが減ります。

活用シーンと次の一歩

人工照明を置けたら、撮影後の微調整と自然光とのバランス取りに進むと、仕上がりが安定します。ここまでの設定を土台に、次の工程へつなげましょう。

撮影後にライティングを再調整する

VRayLightは、レンダリングが終わったあとでも各光源の強さや色を調整できます。何度もレンダリングし直さずに光を作り込めるので、クライアント確認の往復が多い案件ほど効いてきます。

この再調整のやり方はLight Mixで撮影後にライティングを調整するにまとめてあります。人工照明を置いたあとの仕上げ工程として、あわせて押さえておくと便利です。

自然光とのバランスを取る

室内の人工照明は、屋外光や環境光とのバランスで見え方が決まります。昼のカットで人工照明を強くしすぎると、せっかくの自然光が負けて不自然になります。

Sun & SkyやDome + HDRIの明るさと見比べながら、人工照明はあくまで補う程度に調整するのがコツです。自然光側の作り込みはV-Rayライティングの基本|Sun & Skyで自然光を作るで、より詳しく解説しています。

まとめ

VRayLightの人工照明は、4タイプの役割分担で考えると迷いません。Planeは面や間接照明、Sphereは電球のような点光源、Meshはネオンや異形の照明、IESはメーカー配光を使った実在器具の再現、という切り分けが基本です。

共通の実務設定では、強度の単位をルーメン(lm)系で合わせること、補助光はInvisibleをオンにすること、No decayは演出目的の限定用途にとどめることの3つを押さえておくと、破綻の少ない仕上がりになります。ノイズが出たらDenoiserとサンプリングで対処します。

実務の流れとしては、Light Genでベースの明るさ候補を作ってから人工照明を足し、最後にLight Mixで微調整する順番がスムーズです。まずは天井ダウンライトのIESと間接照明のPlaneから置いてみると、室内カットの完成度が一段上がります。