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Vectorworksのワークシートで数量表・集計表を自動作成する方法|図面と連動する数量拾いの基本

編集部 読了 約11分

Vectorworksのワークシートで数量表・集計表を自動作成する方法|図面と連動する数量拾いの基本

Vectorworksで図面を描いたあと、部材の数量や面積を手作業で数えて表にまとめる作業に、時間を取られていないでしょうか。Vectorworksのワークシート(図面のデータを集計して表にする機能)を使うと、数量表・集計表を図面と連動させて自動で作成できます。モデルを直せば表も更新できるので、数え直しの手間がなくなります。

この記事では、ワークシートで数量表・集計表を自動作成する流れを、初心者向けに順を追って解説します。

具体的には、2種類の行の使い分けと、検索条件で対象オブジェクトを絞り込む方法を扱います。あわせて、面積や数量を集計する関数、同じ品物を1行にまとめるサマリー、図面への貼り付けと再計算まで解説します。数量拾い(図面から材料や部材の数を数え上げること)を自動化する土台が、ひととおりつかめます。

ワークシートは「図面と連動する数量拾いの表」

Vectorworksのワークシートは、図面のなかのデータを追いかけて数量表・材料表・コスト表を作り、計算までこなす統合データ管理ツールです。外部の表計算ソフトを開かなくても、Vectorworksのなかだけで数量拾いと積算(数量を集計して材料や費用をまとめる作業)が完結します。

手作業の集計表と何が違うのか

一番の違いは、対象のオブジェクトを条件で自動収集して集計する点です。手打ちの集計表は図面と切り離された別データなので、モデルを直すたびに人が数え直して打ち直す必要があります。

ワークシートの場合は、指定した条件に合う図面オブジェクトを自動で集め、面積・数量・体積などを計算します。たとえば住宅の内装でドアや引き戸を拾って建具表を作るとき、対象の建具を条件で指定しておけば、あとは図面にある分だけ表に並びます。

しかもモデルを描き変えると、表のほうも更新できます。この「描く」と「拾う」がつながっている状態が、記事の後半で解説する再計算につながります。

元データ(レコード)とセットで効く

ワークシートは「オブジェクトが持っている情報」を拾って集計する仕組みなので、集計の精度はオブジェクトに持たせた情報の量で決まります。この情報をオブジェクトに持たせる作業が、レコード(オブジェクトに付ける情報のまとまり)の付与です。

レコードの作り方・付け方はレコードフォーマットでオブジェクトに情報を持たせるで解説しています。品名・寸法・仕様といった情報を持たせておくと、それがそのまま数量表の列になります。

この記事のテーマは、その情報を「集計する側」です。汎用のワークシートで数量表・集計表を自動作成する基本の流れを見ていきます。

ワークシートには2種類の行がある

ワークシートの行には、手入力の「スプレッドシート行」と、図面と連動する「データベース行」の2種類があります。この2つを取り違えると、自動集計させたい表を手入力の表として作ってしまうため、最初に押さえておきたいポイントです。

行の種類入力するもの図面との連動主な用途
スプレッドシート行文字・数値の定数や数式連動しない(手入力)小計・総計・注記・任意の計算
データベース行検索条件(列に関数や属性を指定)連動する(条件に合う分だけ自動で増減)数量表・集計表の本体

表のとおり、数量表・集計表の本体を担うのはデータベース行です。スプレッドシート行は、その集計結果をまとめる総計欄や、注記を書き添える補助の役まわりになります。

スプレッドシート行(定数と数式)

スプレッドシート行は、通常の表計算ソフトのセルとほぼ同じ感覚で使える行です。文字や数値をそのまま打ち込んだり、数式を書いて計算させたりできます。

用途としては、小計・総計の欄、表題や注記、任意の手計算などが向いています。図面オブジェクトの数には自動で連動しないため、「図面に何個あるか」を反映させたい部分には使いません。そこはデータベース行の担当です。

データベース行(見出し行と下位の行)

データベース行は、図面オブジェクトと連動して、条件に合う分だけ行が自動で増える中核の仕組みです。使うにはワークシート本体が必要になります。リソースマネージャ(素材やスタイルを管理するパレット)の新規リソースから作成するか、[ウインドウ]メニューのワークシートで開きます。

データベース行は、1つの「見出し行」と、その下に自動で生成される「下位の行(サブ行)」で構成されます。見出し行に検索条件を設定すると、条件に合うオブジェクト1つにつき下位の行が1行できます。たとえば条件に合う建具が5個あれば、下位の行が5行並びます。

セルの位置は、列がアルファベット、行が数字で表されます。下位の行は「見出し行の番号.連番」で示され、2行目の見出しなら2.1、2.2のように並びます。数量表・集計表の実体は、この自動で増減するデータベース行が受け持ちます。

検索条件で「どのオブジェクトを拾うか」を決める

データベース行の心臓部は検索条件で、ここで「図面のどのオブジェクトを表に載せるか」を決めます。条件の組み方しだいで、拾う対象が建具だけ・特定クラスだけ・特定レコードを持つものだけ、と自在に変わります。

検索条件で対象を絞る

検索条件は、データベース行やワークシート関数が対象にするオブジェクトを指定する条件です。オブジェクトの種類・名前・クラス・レコードの有無や値・選択状態などを組み合わせて絞り込めます。

たとえば店舗設計で什器だけを数えたいときは、什器を入れてあるクラスを条件に指定します。すると、そのクラスのオブジェクトだけが表に集まります。条件を設定すると、合致したオブジェクトの数が示されるので、狙った数がきちんと拾えているかをその場で確かめられます。

列に「表示する情報」を割り当てる

見出し行の各列では、「そのオブジェクトの何を表示するか」を列ごとに指定します。ここで、オブジェクトに付いたレコードのデータフィールド(品名・寸法・仕様など)を列に表示できます。

つまり、あらかじめレコードを持たせておけば、その情報がそのまま数量表の列に並びます。面積や個数といった計測値は、列に関数を入れて表示します。関数の使い方は次の見出しで解説します。

条件は後から見直せる

検索条件は、いつでも見直して拾う範囲を変えられます。見出し行を編集して対象クラスやレコードの条件を変えれば、集める対象がすぐ切り替わります。

図面にオブジェクトを描き足したり消したりしたときも、再計算すれば下位の行が自動で増減します。条件を一度決めれば、あとは図面の変化に表が追いついてくれます。

関数と式で面積・数量・体積を集計する

数量を計算する部分は、ワークシート関数が受け持ちます。関数には2つの系統があり、置く場所によって条件の指定が要るかどうかが変わる点が、最初のつまずきどころです。

関数拾えるもの
AREA面積
VOLUME体積
PERIM周長
LENGTH長さ
HEIGHT / WIDTH高さ・幅
SURFACEAREA表面積
COUNT個数
SUM / MAX / MIN / ROUND合計・最大・最小・丸め(数値の処理)

集計系の関数(面積・カウント・体積)

大文字ではじまる関数は、検索条件で選んだ図面オブジェクトを対象に数量を集計します。面積表なら AREA、個数なら COUNT、体積なら VOLUME というように、拾いたいものに合わせて選びます。

一方、小文字ではじまる関数(sqrtsin など)は、数値やセルの値を扱う数学系で、役割が別です。数量拾いで主に使うのは、面積や個数を集める大文字系の集計関数です。

見出し行とスプレッドシート行で書き方が変わる

同じ関数でも、置く場所によって条件の書き方が変わります。ここが集計を組むうえで最も大事なポイントです。

データベース行の見出しのセルに関数を書くと、各下位の行のオブジェクトへ自動で当てはまり、条件の引数は要りません。たとえば =AREA とだけ書けば、行ごとの面積が並びます。

これに対してスプレッドシートのセルに書くときは、対象を選ぶ条件を自分で指定します。たとえば =AREA(T=RECT) と書くと、長方形の面積の合計が1マスに出ます。「行が自動で増える表」を作るなら見出しに関数、「1マスに合計を出す」ならスプレッドシートに条件付きの関数、と使い分けます。

同じ品物を1行にまとめて数える(サマリーと並べ替え)

検索条件で作った直後のデータベース行は、「オブジェクト1個につき1行」で並びます。同じ品物が複数あると行が増えるだけなので、このままでは実務の数量表になりません。ここで使うのがサマリー(同じ属性の下位の行を1行にまとめる集計操作)です。

サマリーを使うと、同じ品物が1行にまとまり、数量が自動でカウントされます。たとえば同じ規格のドアが5枚あれば、1行にまとまって数量5と表示されます。操作は、列の見出しに出るサマリーのアイコンや、セルのメニューから実行します。日本語版のセルのメニューでは「同じ値を1行で表示」という項目がこれにあたります。

数値の列では、まとめた見出し行のセルに、その列の合計が表示されます。面積の列なら合計面積、数量の列なら総数です(セルのメニューの「値を合計値で表示」で切り替えます)。さらに昇順・降順の並べ替えで下位の行を整列させると、見やすい数量表・建具表・面積表に仕上がります。

なお、汎用のワークシートやサマリー・並べ替えは、Vectorworksの基本機能としてどのエディションでも使えます。一方、ドアや窓、壁などのスタイルと連携した業種別の建具表・壁スケジュールは、上位エディションのスタイル機能が前提になります。エディションごとの機能差や価格は選び方の話になるため、詳しくは db.persc.jp/vectorworks/ にまとめています。

合計・小計とセル参照

総面積や総数量といった締めの数字は、SUMMAXMINROUND などの数値関数や、セル参照で組みます。サマリーでまとめた見出し行の総計セルを、スプレッドシート行から参照すれば、総面積・総数量・総合計の欄を作れます。これが総計欄を組むときの定番の形です。

セルの参照は、初期状態では相対参照です。数式を置いた位置を基準に、列や行がずれて参照されます。行を増やしても参照先をずらしたくないときは、ドル記号 $ を付けて絶対参照にします。こうしておくと、表が伸びても総計欄が正しい位置を指し続けます。

図面に貼り付けて、モデルと一緒に更新する

完成した表は図面に配置でき、モデルの変更に合わせて更新できます。ここまでつなげると、手作業の集計表にはない「モデルと連動する数量表」が実際に手元でかたちになります。

ワークシートを図面に配置する

作った表は、リソースマネージャからワークシートを図面へドラッグ&ドロップすると、図面上のオブジェクトとして配置できます。配置する位置(左上の角)を指定すると、その時点のファイルの情報で表が描かれます。

印刷やPDFの体裁を整えるレイアウト用のシートレイヤー(印刷レイアウト用のレイヤー)に載せておけば、そのまま提出用の数量表・集計表として書き出せます。たとえばA1サイズの図面レイアウトに建具表を載せておくと、レイアウト調整のたびに表を作り直さずに済みます。

再計算で最新の数量に保つ

オブジェクトを追加したり変更したりしたら、再計算すると表の結果が最新になります。再計算は、いくつかの方法で実行できます。オブジェクト情報パレット(選択したオブジェクトの情報を表示・編集するパレット)の[再計算]ボタン、配置した表を右クリックしての再計算、[ファイル]メニューのワークシートの再計算のいずれからでも呼び出せます。

レコードの値を変えるとオブジェクトに反映され、再計算で表にも伝わります。図面の建具を1枚増やして再計算すれば、建具表の数量も自動で1増えます。この「描く・拾う・更新する」の連動が、Vectorworksで数量拾い・積算がラクになる理由です。

ワークシートの数量拾いについての編集部の見解

編集部で公式ドキュメントを読み解くと、Vectorworksのワークシートの強みは、モデルと表が切り離れない点に集約されます。図面が正であり続けるため、拾い直しの二度手間や、図面と数量表の食い違いが起きにくい設計です。編集部では、設計変更が多い実務ほど、この自動更新の効き目が大きくなると見ています。

導入のハードルは、検索条件と関数の書き方に慣れるまでの最初の段階に集中します。逆にいえば、=AREA を見出し行に置くと条件が要らず、スプレッドシートでは =AREA(T=RECT) のように条件が要る、という違いです。このルールを一度つかめば、面積表・数量表・建具表へと同じ考え方で応用できます。最初の1枚を作れれば、2枚目からの負担は一気に軽くなるはずです。

注意したい点として、業種別のスケジュール(建具表や壁スケジュールなど)はスタイル機能を前提とするため、使えるエディションが限られます。汎用のワークシートで数量を拾うだけなら全エディション共通で扱えるので、まずは汎用ワークシートで基本の集計に慣れるのがつまずきにくい順序といえます。

向いているのは、数量拾いや積算に時間を取られている設計者・インテリアの担当者です。図面を描く力とワークシートの集計を組み合わせられると、拾い出しの精度と速さの両方が底上げされます。

ワークシートを使いこなした先に変わる制作フロー

ワークシートを取り入れると、これからの制作フローは「図面を描いたら数量表も同時に育つ」かたちに変わります。数量を拾う人と図面を描く人が分かれている現場でも、モデル1つを正とした集計に寄せられるので、確認のやり取りが減ります。

ワークシートを使わない場合、設計が変わるたびに数量表を人手で作り直し、拾い漏れや転記ミスのリスクが残ります。先述のとおり再計算で最新の数量に更新できるため、空いた時間を検討やプレゼンにまわせます。同じ図面から材料表・面積表・建具表を作り分けることもでき、提案の幅が広がります。

次の一手は、集計の材料を厚くすることと、集計した情報の見せ方を広げることです。数量表に載せる情報をもっと持たせたいならレコードフォーマットでオブジェクトに情報を持たせるで元データの作り方を確認しておくと、拾える項目が増えます。集計した情報を図面上の吹き出しやラベルとして自動で見せたいならデータマネージャとデータタグでBIM情報を管理・注記するが役立ちます。さらに集計や配置そのものを自動化したい段階に進んだら、Marionetteでビジュアルスクリプティング自動化入門で自動化の入口をつかめます。

まとめ|数量拾いを「元データ→集計→注記」でつなぐ

Vectorworksのワークシートは、図面と連動して数量表・集計表を自動作成する機能です。要点を振り返ります。

行にはスプレッドシート行とデータベース行の2種類があり、手入力の総計や注記はスプレッドシート行、条件で自動集計する数量表の本体はデータベース行が担います。検索条件で対象のオブジェクトを絞り、レコードのフィールドや AREACOUNTVOLUME などの関数で列を作ります。見出し行に置く関数は条件が不要で、スプレッドシートに置く関数は条件が必要になります。

同じ品物はサマリーで1行にまとめて数量をカウントし、並べ替えで見やすく整えます。完成した表は図面に配置し、モデルを変えたら再計算で更新します。手作業の集計表と違い、作り直しが要らないのが最大の利点です。数量拾いは、元データ(レコード)を作り、ワークシートで集計し、図面に注記するという流れでつなぐと、無理なく実務に組み込めます。