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Vectorworksの印刷・PDF/DWG書き出し・パブリッシュ一括ガイド|提出図面の出力5手順

編集部 読了 約12分

Vectorworksの印刷・PDF/DWG書き出し・パブリッシュ一括ガイド|提出図面の出力5手順

Vectorworksで図面を描き終えたあと、最後に待っているのが「紙に印刷する」「PDFで提出する」「協力会社にDWGで渡す」という出力工程です。ここでつまずくと、せっかく整えた図面が用紙からはみ出したり、他CADで開いたときに文字化けしたりします。出力は図面制作の締めくくりでありながら、意外と手順がばらばらに覚えられがちな部分ではないでしょうか。

この記事では、Vectorworksの出力を「使い分けの全体像」「印刷」「PDF書き出し」「DWG/DXF書き出し」「パブリッシュ(一括発行)」の5つの順に、提出物をつくるワークフローとしてまとめました。

用紙と尺度の決まり方、クラスと画層の対応、フォントの文字化け対策、そして複数シートを1操作で出す発行セットの使い方まで、公式ヘルプに沿って解説します。掲載する挙動はすべて Vectorworks 公式Help(product-help.vectorworks.net)で2026年7月24日に確認したものです。

Vectorworksの出力は「1枚書き出し」と「一括発行」で考える

Vectorworksの出力は、1枚・1形式をその場で出す「取り出し(Export)」と、複数シートを束で出す「パブリッシュ(Publish)」の2系統で考えると迷いません。今開いているシートを1枚だけ提出したいのか、図面一式をまとめて出したいのかで、使うコマンドが分かれます。

出力手段コマンド向く場面必要エディション
印刷ファイル > 印刷手元のプリンタで紙に出す全エディション
PDF取り出しファイル > 取り出す > PDFシート1枚をPDFで提出全エディション
DXF/DWG取り出しファイル > 取り出す > DXF/DWG他CADへ渡す全エディション
パブリッシュファイル > パブリッシュ図面一式を一括でPDF・DWG化形式により異なる

この早見表のうち、パブリッシュのPDF・イメージ・プリント一括は上位エディション限定です。エディションごとの対応範囲や価格の横並び比較はVectorworksの製品ページで確認できます。

単発で出す(印刷・PDF取り出し・DWG取り出し)

1枚・1形式をその場で出すなら、目的別に3つのコマンドを使い分けます。印刷は「ファイル > 印刷」、PDFは「ファイル > 取り出す > PDF」、DWG/DXFは「ファイル > 取り出す > DXF/DWG」です。

たとえば「今開いている平面図のシートを1枚だけPDFで施主に送りたい」というときは、パブリッシュを開かずにPDF取り出しで十分です。1案件で1〜2枚を素早く出す場面では、この単発ルートが最も速く済みます。

まとめて出す(パブリッシュ=ファイル > パブリッシュ)

複数のシートを1操作で束にして出すなら、パブリッシュを使います。「ファイル > パブリッシュ」で複数のシートレイヤや登録画面(保存したビュー)を選び、PDFやDWGにまとめて発行できます。

ただし、PDF・イメージ・プリントへの一括発行はデザインシリーズ(Design Suite)以上が対象です。Fundamentals では一括対象がDXF/DWG・DWF・Excel形式に限られます。公式ヘルプでは、対象形式ごとに対応エディションが分かれています(出典: 一括パブリッシュ / VW Guide、2026年7月24日確認)。

印刷とページ設定|用紙・尺度・タイル分割の基本

Vectorworksの印刷は、図面側の用紙(印刷可能領域)とプリンタ側の用紙を分けて持てるのが大きな特徴です。この分離のおかげで、出力するプリンタを変えても図面のレイアウトを組み直さずに印刷できます。

用紙設定で図面の用紙とプリンタ用紙を分ける

用紙設定(Page Setup)では、図面の印刷可能領域を、実際に使うプリンタの用紙とは別に決められます。デザイン画面上に「この範囲を印刷する」という枠を持たせておけるイメージです。

同じ図面をA3プリンタでも大判プロッタでも出す事務所では、この仕組みが効いてきます。プロッタが空いていない日でも、図面側の用紙設定はそのままに、プリンタだけA3へ切り替えれば印刷できます。同じレイアウトを別の出力先で使い回せるわけです(出典: The page boundary / VW Guide、2026年7月24日確認)。

大きな図面を複数用紙にタイル分割する

手元にA4・A3プリンタしかなくても、大判図面はタイル分割で出力できます。1枚の大きな用紙を複数の小さな用紙に自動で割り付け、必要枚数を計算してくれる機能です。

公式ヘルプでは、大判レイアウトをA4横の用紙16枚にタイル状に並べて出す例が示されています。必要枚数(横×縦)は用紙設定の内容に合わせて自動で計算・更新されるため、分割の枚数を手で数える必要はありません。コンペ提出前に自席のプリンタで全体を仮組みして確認したい、といった場面で役立ちます。

印刷される範囲と尺度はどこで決まるか

印刷されるのは、印刷領域の内側にあるものだけです。領域の外にはみ出した部分は印刷されません。用紙の大きさを画面に表示するかどうかは、用紙設定の「用紙の大きさを表示」オプションで切り替えられます。

見た目の縮尺(1/100や1/50といった尺度)は、印刷側ではなくビューポートやレイヤの縮尺で決まります。つまり尺度合わせは印刷工程ではなく図面をつくる工程の仕事です。縮尺を持たせた図面の作り方はシートレイヤーとビューポートでモデルを図面化するで解説しています。

PDFで提出する|単発のPDF取り出しと画質・レイヤ設定

PDF取り出し(ファイル > 取り出す > PDF)は、シート1枚を提出用に素早く出すための基本ルートです。範囲・画質・レイヤ構造の3点を、受け手に合わせて決めるのがポイントになります。

書き出す範囲を選ぶ

PDFにする範囲は、現在のシートレイヤまたは可視のデザインレイヤから選びます。出力の単位は「印刷可能領域全体を1ページとして取り出す」「全ページ」「指定ページのみ」「現在の画面」から指定できます(出典: PDFファイルの取り出し / VW Guide、2026年7月24日確認)。

提出用途では「シート1枚=1ページ」が基本です。実施設計の平面図シートを1枚だけ確認用に送るなら、現在のシートレイヤを1ページとして出せば過不足がありません。

画質・容量・レイヤ構造を決める

解像度は72〜2,500 DPIの範囲で設定でき、ファイルサイズの縮小レベルやJPEG圧縮、作図のラスタライズも指定できます。メール添付なら容量を抑える、印刷業者へ渡すなら高解像度、というように送り先で使い分けましょう。

構造の面で効くのが、PDFのレイヤ機能です。「デザインレイヤをPDFレイヤとして取り出す」「クラスをPDFレイヤとして取り出す」を有効にすると、受け手が対応ビューアでレイヤ表示を切り替えられます。長期保存が目的なら、すべてのレイヤをフラット化して透明度を除くPDF/A-1b形式が選べます。

複数シートをまとめてPDFにしたいとき

複数のシートを1操作でまとめてPDF化するのは、単発のPDF取り出しではなくパブリッシュの役割です。10枚の提出図面を1冊のPDFにする作業は、後半のパブリッシュの節で説明します。

なお、パブリッシュによるPDF一括発行はデザインシリーズ以上が対象です。手元のエディションで一括PDFが選べない場合は、シートごとにPDF取り出しを繰り返す運用になります。

DWG/DXFで渡す|他CADへの受け渡しで失敗しない設定

他CADで開いたら文字がすべて四角に化けていた、という経験はないでしょうか。DWG/DXF取り出しは、クラスを基準に画層構造を保ったまま他CADへ渡せるのが強みです。一方で、単位・縮尺・フォントの取り違えで実寸ズレや文字化けが起きやすく、書き出しダイアログの設定確認が前提になります。

要チェック項目設定の考え方
クラスと画層クラスをDXF/DWGの画層として取り出すのが基本
単位・実寸単位設定が実寸に影響(表示縮尺とは別)
縮尺の正規化異なる縮尺のレイヤを共通縮尺へそろえる
フォントマッピングしたフォントを維持して文字化けを防ぐ
ファイル分割1ファイル統合かレイヤごとの分割かを選ぶ
不可視クラス非表示クラスを出すか除外するかを指定

書き出しコマンドとダイアログの全体像

DWG/DXFは「ファイル > 取り出す > DXF/DWG」から出します。ダイアログは一般(General)、クラス/レイヤ、グラフィック属性、オブジェクトなど複数のペインに分かれています。それぞれのペインで変換ルールを細かく指定できる仕組みです(出典: DXF/DWG and DWF export options / VW Guide、2026年7月24日確認)。

書き出したファイルの拡張子は変更しないでください。拡張子を手で書き換えると、受け取った側のCADで読めなくなることがあります。

クラスと画層のマッピングを合わせる

Vectorworksのクラスは、DWG/DXFの画層(レイヤ)にもっとも近い概念です。そのため「クラスをDXF/DWG/DWFの画層として取り出す」が標準の推奨設定になります。クラス/レイヤペインの「管理」から、どのクラスをどの画層名に対応させるかを設定できます。

取引先ごとに画層の命名規則が違う場合は、マッピングを名前付きで保存しておくと再利用できます。AIA標準の画層名や独自の命名セットを用意しておけば、協力会社Aと協力会社Bで違う命名でも、書き出し時に選ぶだけで揃えられます。

単位・尺度・フォント・ファイル分割の扱い

実寸ズレを防ぐ第一歩は、単位設定の確認です。単位は実寸に影響するため、表示上の縮尺とは別物として扱います。異なる縮尺のデザインレイヤを1本のDWGにまとめるなら、クラス/レイヤペインの縮尺セクションで共通縮尺へ正規化しておくと安全です。

文字化けの主な原因は、受け手側のパソコンに同じフォントが無いことです。「取り出し時にマッピングしたフォントを維持」を有効にすると、マッピング済みのフォントに置き換えて書き出せます。相手先も持っている一般的なフォントへあらかじめマッピングしておくのが、実務での文字化け対策になります。

出力の粒度は、全レイヤを1ファイルに統合するか、レイヤごとに別ファイルへ分割するかを「レイヤを別々のファイルに取り出す」で選べます。非表示のクラスは、不可視レイヤとして書き出すことも、まるごと除外することもできます。なお、IFC形式でのBIMデータの受け渡しはこの記事の範囲外。IFC書き出しの手順はVectorworksのIFC・BIM連携で解説しています。

パブリッシュで図面一式を一括発行する

10枚の図面を1枚ずつPDFにして名前を付けていく作業に、うんざりしたことはないでしょうか。パブリッシュ(ファイル > パブリッシュ)は、提出図面一式を1操作でPDF化・DWG化するための機能です。出す図面の束を選び、出力先と命名ルールを決め、設定を保存して再利用する、という流れで使います。

シートレイヤ・登録画面・ワークシートをリストに追加する

パブリッシュの対象になるのは、シートレイヤ・登録画面(保存したビュー)・ワークシートの3種類です。ワークシートはExcel形式でも一括出力できるため、面積表や建具表を図面と一緒に束ねられます。

現在のファイルや選択したフォルダ内の他ファイルから、「追加」「現在の版を追加」「すべてを追加」でパブリッシュリストへ入れていきます。項目ごとにカラーまたは白黒を指定でき、白黒で出したい平面図とカラーで出したいパースを1つの束に混在させられます(出典: 一括パブリッシュ / VW Guide、2026年7月24日確認)。

出力先・ファイル名・発行ログ

出力先のフォルダには、各ファイル形式ごとにサブフォルダが自動で作られる設定を選べます。ファイル名は図面枠のデータ(物件名・シート番号・改訂番号など)に基づいて自動命名できるため、シートごとに手で名前を付ける手間が減ります。命名のもとになる図面番号やシート名の整え方はタイトルブロックと図面リストを管理するで解説しています。

PDFを1冊にまとめるか個別ファイルに分けるかは「PDF項目ごとに異なるファイルとして取り出す」で切り替えます。処理が終わると、出力フォルダにパブリッシュログが作られ、何がどこに出たかを後から確認できます。

パブリッシュ設定で毎回同じ束を出す

シートの選択・順序・形式・カラー設定は、「設定を保存」でファイル内に残せます。保存した内容は「設定の管理」から呼び出し・編集・削除が可能です。

提出フェーズごとに束を用意しておくと、出力が定型化します。たとえば「確認申請一式PDF」「協力会社向けDWG」「施主説明用カラーPDF」の3セットを作っておけば、次の提出時は該当セットを選んで発行するだけ。人が毎回シートを選び直す運用に比べ、出し忘れや順番の入れ替わりをぐっと減らせます。

Vectorworksの出力設計についての編集部の見解

公式ヘルプ全体を読み解くと、Vectorworksが「取り出し」と「パブリッシュ」を別コマンドに分けているのは、出力を作業量ではなく提出の型で管理させたい設計だと編集部では見ています。1枚を急いで出す操作と、図面一式を定型で回す操作を混ぜないことで、後者を発行セットとして資産化しやすくしているわけです。

コスト・実用面で効いてくるのが、DXF/DWG・DWF・Excelの一括発行がエディションを問わず使える点です。他CADへのDWG受け渡しや面積表のExcel出力は日常的に発生するため、下位エディションでも提出業務の骨格は回せます。一方でPDF・イメージ・プリントの一括はデザインシリーズ以上(またはService Select会員)に限られるので、複数シートを1冊のPDFにまとめる頻度が高い事務所は、この線引きだけ先に確認しておきたいところ。

こうした作り込みが向くのは、同じ体裁の提出物を数多く回す設計事務所や、命名規則の違う複数の協力会社とDWGをやり取りする現場です。逆に、単発の図面を時々出すだけの使い方なら、パブリッシュまで作り込む必要は薄いでしょう。

出力を定型化した先に、提出フローはどう変わるか

出力の手順を覚えるだけでなく、パブリッシュ設定として束を保存しておくと、提出のたびの作業が目に見えて変わります。1枚ずつPDFを出して名前を付けていた作業が、セットを選んで発行する1操作に置き換わります。

出力を場当たりで行っていた頃は、提出直前に「A3で出すかA1で出すか」「白黒かカラーか」「ファイル名の付け方」を毎回決め直していたはずです。これを発行セットに落とし込んでおくと、判断は最初の1回で済み、次からは選ぶだけになります。改訂が入って図面が差し替わっても、同じセットを再発行すれば命名も並び順も崩れません。

さらに、図面枠のデータで自動命名する運用まで進めると、シート番号や改訂番号がファイル名に自動で反映されます。提出物のバージョン管理が名前を見ただけで追えるようになり、協力会社との受け渡しでも「どれが最新か」の行き違いが起きにくくなります。出力を定型化した先に待っているのは、提出作業そのものを速くする効果ではなく、提出物の取り違えを減らす安心感です。

まとめ|図面を作る→情報を入れる→出力する

Vectorworksの出力は、単発の取り出し(印刷・PDF・DWG)と、束のパブリッシュを使い分けるのが基本です。今開いているシートを1枚出すなら取り出し、提出一式をまとめて出すならパブリッシュ、と入口で分けて考えると迷いません。

印刷では図面の用紙とプリンタの用紙を分けて持てば、大判もタイル分割で手元のプリンタから出せます。見た目の尺度が図面をつくる工程で決まる点だけは、押さえておきたいところです。DWG/DXFで他CADへ渡すときの鍵は、クラスと画層のマッピング、単位、そしてフォントの維持をそろえることです。パブリッシュと設定の保存まで使えば、提出図面一式を定型化して繰り返し出せます(PDFの一括発行はデザインシリーズ以上が対象です)。

図面をつくり、文字や寸法で情報を入れ、最後に出力する。この一連の流れの最終工程が、この記事で説明した出力です。前の工程や関連する連携は、次の記事で確認できます。