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3DCG · SketchUp

SketchUpアニメーションの作り方|シーンでウォークスルー動画をMP4書き出しする手順

編集部 読了 約12分

SketchUpのアニメーションは、作ったシーンを順番に再生してウォークスルー動画(室内を歩き回る視点の動画)にする機能です。プラグインを入れなくても、通過点をシーンとして保存して並べるだけで、間取りや動線を動きで見せるプレゼン動画が作れます。

この記事では、視点の経路づくりからシーン遷移の設定、MP4など動画ファイルへの書き出し、書き出しがうまくいかないときの対処までを、建築プレゼンの目線で順番に解説します。手順は最新のSketchUp 2026(2025年10月7日リリース、公式リリースノート)を前提にしていますが、基本の流れは近年のバージョンで共通です。

写真のような質感が要るケースとの線引きや、ブラウザ版で動画書き出しができない前提もあわせて押さえておくと、遠回りせずに動画を仕上げられます。

SketchUpのアニメーションは「シーンをつないで動画にする」機能

SketchUpのアニメーションは、保存したシーンを順番に再生し、シーン間のカメラの動きを自動でつないで1本の動画にする機能です。動きを付ける専用のタイムラインを引く必要はなく、見せたい視点をシーンとして並べるだけで動画になります。

シーンを並べると自動で動画になる仕組み

アニメーションの正体は、シーン(カメラ位置や表示状態を記録したスナップショット)を順に切り替えて、間をカメラ移動で補間する再生です。1枚目のシーンから2枚目のシーンへ、カメラが滑らかに移動する様子がそのまま動画になります。

この仕組みのおかげで、プラグインなしでウォークスルー動画を作れます。動画編集ソフトのように動きを1コマずつ付ける作業がいらないので、モデリングに慣れていれば初日から動画化まで進められます。

シーンそのものの作り方、たとえばカメラの高さや2点透視、断面カメラの設定は、SketchUpのシーン・カメラ設定ガイドで解説しています。この記事は、できあがったシーンを「並べて動画にする」工程に絞って進めます。

この記事で作れるもの・作れないもの

SketchUpの標準機能で作れるのは、画面の表示スタイルそのままの動画です。線画やスケッチ風、影付きの表示は動きますが、写真のような光や反射の質感までは再現されません。

打ち合わせで動線やボリューム(建物の大きさや配置)を確認する用途なら、この標準の動画で十分に伝わります。一方で、施主提案用に写真のようなリアルな映像が欲しい場合は、EnscapeやTwinmotionといったレンダラー(3Dモデルから写実的な画像や映像を作るソフト)との連携が前提になります。連携の具体的な手順は、この記事の後半で誘導します。

もうひとつ先に押さえておきたいのが、ブラウザ版の制約です。ブラウザで動くSketchUp(無料のWeb版など)では、動画として書き出す選択肢が用意されていません。動画にするにはデスクトップ版が必要になるため、Web版で作業している場合はこの段階でデスクトップ版に切り替えておくと、あとで書き出せずに手が止まるのを避けられます(SketchUp Community、2026年7月時点)。

ウォークスルー・フライスルーの視点を作る

動画の質は、どこを通ってどう見せるかという視点の経路でほぼ決まります。見せたい通過点ごとにカメラを合わせてシーンを追加していくと、SketchUpが間を補間して1本の経路になります。

ウォークスルー(室内歩き回り)とフライスルー(外観俯瞰)の違い

建築プレゼンで使う視点は、室内を歩き回るウォークスルーと、上空から見下ろすフライスルーの2つが代表的です。どちらを主役にするかで、伝わる内容が変わります。

ウォークスルーは歩行者の目線で室内や動線を見せる動きで、間取りの体感や生活動線を伝えたい内観プレゼンに向いています。目線の高さを実際に歩くときと同じ1.5m前後にそろえると、空間の広さが自然に伝わります。歩行者視点で移動できるWalkツール(歩き回るように視点を動かすツール)を使うと、床に沿った自然な移動になります。

フライスルーは上空や斜め俯瞰で建物全体や外構を見せる動きで、敷地の中での建物の位置や屋根形状を伝えたい外観プレゼンに向いています。俯瞰の視点はPosition Camera(視点の位置と高さを指定するツール)で高さと画角を決めてからシーン化すると、狙ったアングルで安定します。

実務では、外構をフライスルーで見せてから玄関に近づき、そのまま室内のウォークスルーへつなぐと、1本の動画で敷地から室内までの流れを説明できます。施主が「外から見た印象」と「中に入ったときの体感」を続けて確認できるため、提案の納得感が上がります。

通過点でシーンを追加して経路を作る

経路は、見せたい通過点ごとにカメラで視点を合わせ、シーンを追加していく作業の繰り返しで作ります。玄関前、廊下、リビングの入口、窓際といった要所でシーンを打つと、その順番どおりにカメラが移動する動画になります。

動きがカクついたり不自然に感じたりする場合は、シーンの間隔が広すぎるサインです。カクつく区間の途中に通過点のシーンを1枚足して密度を上げると、カメラの移動が細かく補間されて滑らかになります。

通過点ごとにカメラの高さと画角をそろえておくと、目線がブレず落ち着いた映像になります。たとえばリビングを見せる複数のシーンで高さを1.5mに統一しておくと、部屋から部屋へ移っても視線が上下に暴れません。

断面を動かして内部を見せる

断面(建物を切った状態で見せる表現)を少しずつ動かしたシーンを並べると、壁を切りながら内部へ入っていく断面アニメーションになります。外観から間取りへ、視線を途切れさせずに案内できるのが利点です。

平面的な俯瞰から断面へ切り替えるシーンを挟むと、間取り図と実際の空間の関係が結び付いて伝わります。「この平面図のここが、立体だとこの空間です」という説明を、動きだけで表現できます。

断面カメラや断面平面の作り方そのものはSketchUpのシーン・カメラ設定ガイドで解説しています。ここでは、作った断面のシーンを並べて動きにする使い方に集中します。

アニメーション設定で遷移の速さと間を整える

映像のテンポは、シーンの切り替えにかける秒数と、各シーンを静止表示する秒数の2つで決まります。この2つを整えるだけで、酔いにくく情報も読み取りやすい動画になります。

シーン遷移とシーン待機の設定場所

設定は、View(表示)メニューのAnimation(アニメーション)からSettings(設定)を開くか、Window(ウィンドウ)メニューのModel Info(モデル情報)にあるAnimationの項目から開きます(SketchUp Help、2026年7月時点)。

「シーン遷移(Scene Transitions)」を有効にすると、次のシーンへカメラが滑らかに移動し、その移動にかける秒数を指定できます。この秒数が動画の動く速さを決めます。

「シーン待機(Scene Delay)」は、そのシーンを何秒間静止表示してから次へ移るかを決める設定です。見せたいポイントで数秒止めたいときに使います。

建築プレゼンで見やすい秒数の考え方

移動そのものを見せたい動画は、遷移秒数を長めにとってゆっくり動かすと、空間の広がりが伝わりやすくなります。反対に、要所で仕様や寸法を読ませたいシーンは、待機秒数を足して静止時間を作ると、視聴者が情報を追いつけます。

遷移が速すぎると視聴者が酔いやすく、遅すぎると冗長で飽きられます。書き出す前に、View(表示)メニューのAnimationからPlay(再生)でアプリ内プレビューを再生し、テンポを目で確認しておくと、書き出しのやり直しを減らせます。

アニメーションに入れたくないシーン、たとえば作業用に作った視点は、Scene Manager(シーンを一覧管理するパネル)でアニメーションに含めるかどうかを切り替えられます。提出用のシーンだけを含める設定にしておくと、余計な視点が動画に混ざりません。

動画ファイル(MP4など)に書き出す

動画ファイルへの書き出しは、File(ファイル)メニューのExport(エクスポート)からAnimation(アニメーション)を選んで行います。保存先と形式、解像度、フレームレートを決めれば、そのまま共有できる動画が出力されます。

書き出しの基本手順と選べる形式

File(ファイル)からExport、Animationと進み、保存先・解像度・アスペクト比・幅と高さ・フレームレートを指定して書き出します(SketchUp Help、2026年7月時点)。設定を決めて実行すれば、あとはSketchUpが各シーンを順に描画して1本の動画にまとめます。

動画形式は、共有しやすいMP4(H.264)を基本に選ぶと、メールやクラウド、プレゼン用のPCで再生しやすくなります。ほかにAVIやWebMなどの形式も選べますが、施主やチームに渡す動画ならMP4がもっとも汎用的です。

動画のかわりに連番画像(1コマずつJPEGやPNGで書き出す方法)でも出力できます。BGMやテロップを付けたい、色を細かく調整したいなど、動画編集ソフトで仕上げたいときは連番画像で書き出しておくと、後編集の自由度が上がります。

設定項目選べる内容・目安
動画形式MP4(H.264)ほか。共有用途はMP4が基本
連番画像での書き出しJPEG / PNG など。動画編集ソフトで仕上げる場合に選ぶ
解像度1080p(フルHD)/720p(HD)など。提案用は1080p、確認用は720pが目安
フレームレート上げるほど滑らかだがファイルと書き出し時間が増える
ラインスケール倍率動画全体の線の太さを調整(Line Scale Multiplier)

ソース: SketchUp Help: Animating Scenes(2026年7月時点)

解像度・フレームレートの決め方

解像度は、渡す相手と用途で選びます。施主提案やプロジェクターでの上映なら、細部までくっきり見える1080p(フルHD)が安心です。社内での動きの確認や下書き段階なら、書き出しが速くファイルも軽い720p(HD)で十分です。

フレームレートは既定で24fps(1秒あたり24コマ)に設定されています(SketchUp Help、2026年7月時点)。上げるほど動きが滑らかになりますが、そのぶんファイルサイズと書き出し時間が増えます。長い動画や重いモデルでは、まず既定のまま書き出して全体の流れを確認し、本番だけ上げるとやり直しの時間を節約できます。

線が太すぎたり細すぎたりして見づらいときは、ラインスケール倍率(Line Scale Multiplier)で動画全体の線の太さを調整できます。スケッチ風の表示で線を効かせたいときや、逆に線を目立たせたくないときに役立ちます。

書き出しがうまくいかないときの対処

書き出した動画が静止画のように動かない場合は、アニメーションに含まれているシーンが1つしかない可能性が高いです。複数のシーンを作ったうえで、それらがアニメーションに含まれる設定になっているかをScene Managerで確認してください。

モデルが重くて書き出しの途中で止まる場合は、負荷を下げると通りやすくなります。具体的には、解像度を1段階下げる、動画に映らないタグ(旧レイヤー)を非表示にする、影や重い表示スタイルを一時的に軽い設定へ変える、といった対処が効きます。

BGMやテロップを足したい、色を整えたいといった仕上げは、SketchUp単体ではなく動画編集ソフトで行います。連番画像または書き出したMP4を編集ソフトに読み込んで後処理する流れになります。書き出した映像の質を上げる考え方は、SketchUpレンダリングの出力・高速化・仕上げも参考になります。

フォトリアルなウォークスルーが必要なときの選択肢

SketchUp標準の動画は表示スタイルそのままの映像です。写真のような質感で歩き回る映像が必要なら、レンダラー連携に切り替えるのが近道です。どこまで標準で足りて、どこからレンダラーが必要かを線引きしておくと、無駄なやり直しを避けられます。

SketchUp標準とレンダラー動画の境界

動線の確認、ボリュームの説明、打ち合わせ用のラフ動画までなら、SketchUp標準の書き出しで足ります。表示スタイルのままでも、動きさえあれば空間の関係は十分に伝わるからです。

写真のような光・影・反射・素材感で見せたい提案動画になると、標準機能の表示では物足りません。この段階では、リアルタイムに質感を確認できるEnscapeや、映像制作に強いTwinmotionでの書き出しが向いています。

具体的な連携手順は、リアルタイムに歩き回るプレゼンならSketchUp × Enscape 建築パースの始め方、本格的な建築ビジュアライズ映像ならSketchUp × Twinmotion 建築ビジュアライズ入門で解説しています。

SketchUpアニメーションを編集部が試した所感

公式ヘルプと海外レビューを読み解くと、SketchUpのアニメーションは「凝った映像を作る道具」ではなく「設計中のモデルをそのまま動きで説明する道具」として設計されている、というのが編集部の見立てです。専用のタイムラインを持たず、シーンを並べる操作だけで完結する割り切りが、その性格をよく表しています。

海外レビューの共通見解として挙がるのは、映像のなめらかさがシーンの打ち方でほぼ決まるという点です。設定項目が遷移と待機の2つに絞られているぶん、いじって追い込む余地は小さく、通過点のシーンを丁寧に置くことが仕上がりの近道になります。

一方で、フォトリアルな質感を求めると標準機能だけでは頭打ちになる、という指摘も共通しています。動線確認まではSketchUp単体、写真のような提案動画からはレンダラー連携、という役割分担を最初に決めておくのが、遠回りしない進め方だといえます。

SketchUpアニメーションを使い始めた先に変わること

シーンをつないで動画にできるようになると、静止画のパースだけでは伝えきれなかった「空間を移動する体験」を提案に持ち込めます。図面と静止画で説明していた打ち合わせが、動画を1本再生するだけで動線と空間のつながりまで伝わる場になります。

たとえば、玄関から入って廊下を抜け、リビングの窓際まで歩く30秒ほどのウォークスルーを用意しておくと、施主が実際に住んだときの動きをその場でイメージできます。「ここを曲がるとダイニングです」と口頭で補うより、動画のほうがはるかに直感的に伝わります。

動画で見せる習慣が付くと、次はその映像をよりリアルにしたくなります。そこがレンダラー連携やAI建築ビジュアルへ進む入口です。SketchUp標準の動画で「動きで見せる」土台を作っておけば、質感を足す段階へスムーズに進めます。

まとめ|シーン設計が動画の質を決める

SketchUpのアニメーションは、通過点をシーンにして並べ、遷移と待機の秒数で緩急を付け、File(ファイル)からExportのAnimationでMP4に書き出す、という流れで完成します。この3つの工程を押さえれば、プラグインなしでウォークスルー動画を作れます。

見やすさは設定よりもシーンの打ち方で決まります。目線の高さをそろえ、カクつく区間には通過点を足す、という基本を守るだけで、映像は大きく落ち着きます。書き出す前には、プレビューでテンポを必ず確認してください。

写真のような質感が必要ならレンダラー連携に進む、ブラウザ版では動画書き出しができないためデスクトップ版を使う、という2つの前提も忘れずに押さえておくと、遠回りせずに動画を仕上げられます。