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  1. 公共建築の発注とBIM|官庁営繕と自治体が設計・工事に求めるBIM

公共建築の発注とBIM|官庁営繕と自治体が設計・工事に求めるBIM

編集部 読了 約6分

  • 国や自治体の建物の設計で、BIM は求められるの?
  • 官庁営繕の EIR って、何を求めているの?
  • 公共建築の設計や工事で、BIM で何をすればいいか知りたい

国の建物(官庁施設)の設計と工事を発注するのは、国土交通省の官庁営繕部などです。官庁営繕部などは2023年度から、新しい建物の設計と工事で、BIM の要件を示しています。

しかし、BIM で何をするかは、建物の大きさや、設計か工事かで違います。国にならって要領をつくった自治体もあり、対象の決め方はそれぞれです。

この記事で解説するのは、官庁営繕と EIR(発注者情報要件)、設計業務と工事で求められること、BIM の目安のデータと図面の納め方、自治体の例です。

公共建築の設計や工事を受けたときに、BIM で何を求められるかが分かります。

官庁営繕と EIR

役所の会議室で、発注者の職員が設計者に、BIM の要件を書いた書類を手渡している場面
発注者が BIM の要件の書類を渡している場面のイメージ

官庁営繕は、国の建物(官庁施設)の整備です。国土交通省の官庁営繕部と、地方整備局などの営繕部が行います。

官庁営繕部などは2023年度から、原則としてすべての新しい建物の設計業務と工事に、EIR を適用しています。EIR は、発注者が BIM で何をしてほしいかを示す要件です。

発注者は、発注のときに渡す書類(発注図書)の一部として EIR を示します。受注者は、BIM をどう使うかを示す BEP(BIM 実行計画書)をつくって応えます。

BIM を使う目的は、設計業務と工事の品質を確保し、事業を円滑に進めることです。それによって、生産性を上げることもめざしています。

設計や工事でつくった BIM のデータを維持管理でも使えるよう、知見をためることも、ねらいの1つです。

設計業務で求められること

設計事務所で、設計者が BIM のモデルから建物の外観の画面と図面を出し、並べて確かめている場面
BIM のモデルから外観の画面と図面を出している場面のイメージ

官庁営繕の設計業務では、発注者が EIR に、BIM で何をするかを指定項目と推奨項目に分けて書きます。指定項目は、BIM で何をするかを受注者と協議して決めるよう、発注者が指定した項目です。

推奨項目は発注者が勧める項目で、するかどうかは受注者の判断によります。建物の大きさで分けると、原則として次の表のとおりです。

項目延べ3,000㎡以上の新しい建物延べ3,000㎡未満の新しい建物
建物の外観と内観(一部)を見せる指定項目推奨項目
実施設計図書(一般図など)をつくる指定項目推奨項目
設計条件と設計図書の整合を確かめる・基本設計の段階で設備計画を検討する・概算工事費を出す・基本設計図書(一部)をつくる・実施設計図書(詳細図など)をつくる推奨項目推奨項目

延べ3,000㎡未満の新しい建物では、原則としてすべてが推奨項目なので、BIM をどこまで使うかは受注者の判断です。

実施設計図書(一般図など)を指定項目にしたときは、その BIM のデータを出すかどうかを、発注者と受注者で協議します。

延べ3,000㎡以上の新しい建物の設計は、2026年度から、原則として BIM 図面審査で申請します。

BIM 図面審査は、BIM のデータから書き出した図書で申請し、審査を受ける方法で、2026年4月に始まりました。

工事で求められること

工事現場の事務所で、施工者の担当が BIM のモデルを見ながら施工図を作図している場面
BIM のモデルを見ながら施工図を作図している場面のイメージ

官庁営繕の工事では、発注者が、施工計画の検討・施工図の作図・干渉チェックなどを推奨項目にしています。BIM のデータの提出は、原則として求めていません。

干渉チェックは、構造と設備などが、設計の上でぶつかっていないかを確かめることです。

BIM の目安のデータと図面の納め方

設計者がモニターで、BIM のデータを開き、部材の入力や設定を一つずつ確かめている場面
BIM のデータで、入力や設定を確かめている場面のイメージ

設計を受けたときに知っておくのが、BIM のつくり方の目安になるデータと、図面の納め方の決まりです。

官庁営繕部は、設計で BIM を使うときの入力や設定の目安として、「営繕BIMモデル」の BIM データを公開しています(2024年10月から)。

官庁営繕の図面をデータで納める(電子納品する)ときの形式は、原則として SXF という CAD の共通の形式です。もとのファイル(ネイティブファイル)も一緒に納めます。

自治体の例

県庁の会議室で、営繕の担当の職員たちが BIM の要領の書類を囲んで話している場面
自治体の職員が BIM の要領を話し合っている場面のイメージ

国の官庁営繕のやり方にならい、発注する建物の設計で BIM を使う要領(決まりの書類)をつくった自治体もあります。編集部が見た要領では、対象の決め方は次の表のとおりです(2026年10月現在)。

自治体いつから対象
川崎市2025年1月設計業務で BIM の活用を試行する。EIR を適用する
京都府2025年4月延べ3,000㎡以上の新しい建物の設計は、原則として BIM を使う
岩手県2025年6月10日以降の公告すべての新しい建物の設計業務。EIR を適用する
東京都財務局2026年3月受注者に BIM を使う意向がある場合
千葉市2026年4月新築のすべての設計業務。推奨項目の費用は受注者の負担
金沢市2026年7月発注者が指定した事業

自治体ではありませんが、都市再生機構(UR)も、新築の建築設計業務で BIM を使う要領を公開しています(2024年7月)。

設計と工事で求められる BIM を確かめよう

設計事務所で、設計者が BIM のモデルから建物の外観の画面と図面を出し、並べて確かめている場面
BIM のモデルから外観の画面と図面を出している場面のイメージ

官庁営繕の設計を受けたら、EIR で指定項目と推奨項目を見て、BEP をつくります。指定項目の中身を決めるのは、発注者との協議です。

この記事で解説したのは、次の5つです。

  • 官庁営繕と EIR
  • 設計業務で求められること
  • 工事で求められること
  • BIM の目安のデータと図面の納め方
  • 自治体の例

受ける業務の EIR や自治体の要領で、BIM で何を求められているかを確かめてみてください。

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