公共建築の発注とBIM|官庁営繕と自治体が設計・工事に求めるBIM
- 国や自治体の建物の設計で、BIM は求められるの?
- 官庁営繕の EIR って、何を求めているの?
- 公共建築の設計や工事で、BIM で何をすればいいか知りたい
国の建物(官庁施設)の設計と工事を発注するのは、国土交通省の官庁営繕部などです。官庁営繕部などは2023年度から、新しい建物の設計と工事で、BIM の要件を示しています。
しかし、BIM で何をするかは、建物の大きさや、設計か工事かで違います。国にならって要領をつくった自治体もあり、対象の決め方はそれぞれです。
この記事で解説するのは、官庁営繕と EIR(発注者情報要件)、設計業務と工事で求められること、BIM の目安のデータと図面の納め方、自治体の例です。
公共建築の設計や工事を受けたときに、BIM で何を求められるかが分かります。
官庁営繕と EIR

官庁営繕は、国の建物(官庁施設)の整備です。国土交通省の官庁営繕部と、地方整備局などの営繕部が行います。
官庁営繕部などは2023年度から、原則としてすべての新しい建物の設計業務と工事に、EIR を適用しています。EIR は、発注者が BIM で何をしてほしいかを示す要件です。
発注者は、発注のときに渡す書類(発注図書)の一部として EIR を示します。受注者は、BIM をどう使うかを示す BEP(BIM 実行計画書)をつくって応えます。
BIM を使う目的は、設計業務と工事の品質を確保し、事業を円滑に進めることです。それによって、生産性を上げることもめざしています。
設計や工事でつくった BIM のデータを維持管理でも使えるよう、知見をためることも、ねらいの1つです。
設計業務で求められること

官庁営繕の設計業務では、発注者が EIR に、BIM で何をするかを指定項目と推奨項目に分けて書きます。指定項目は、BIM で何をするかを受注者と協議して決めるよう、発注者が指定した項目です。
推奨項目は発注者が勧める項目で、するかどうかは受注者の判断によります。建物の大きさで分けると、原則として次の表のとおりです。
| 項目 | 延べ3,000㎡以上の新しい建物 | 延べ3,000㎡未満の新しい建物 |
|---|---|---|
| 建物の外観と内観(一部)を見せる | 指定項目 | 推奨項目 |
| 実施設計図書(一般図など)をつくる | 指定項目 | 推奨項目 |
| 設計条件と設計図書の整合を確かめる・基本設計の段階で設備計画を検討する・概算工事費を出す・基本設計図書(一部)をつくる・実施設計図書(詳細図など)をつくる | 推奨項目 | 推奨項目 |
延べ3,000㎡未満の新しい建物では、原則としてすべてが推奨項目なので、BIM をどこまで使うかは受注者の判断です。
実施設計図書(一般図など)を指定項目にしたときは、その BIM のデータを出すかどうかを、発注者と受注者で協議します。
延べ3,000㎡以上の新しい建物の設計は、2026年度から、原則として BIM 図面審査で申請します。
BIM 図面審査は、BIM のデータから書き出した図書で申請し、審査を受ける方法で、2026年4月に始まりました。
工事で求められること

官庁営繕の工事では、発注者が、施工計画の検討・施工図の作図・干渉チェックなどを推奨項目にしています。BIM のデータの提出は、原則として求めていません。
干渉チェックは、構造と設備などが、設計の上でぶつかっていないかを確かめることです。
BIM の目安のデータと図面の納め方

設計を受けたときに知っておくのが、BIM のつくり方の目安になるデータと、図面の納め方の決まりです。
官庁営繕部は、設計で BIM を使うときの入力や設定の目安として、「営繕BIMモデル」の BIM データを公開しています(2024年10月から)。
官庁営繕の図面をデータで納める(電子納品する)ときの形式は、原則として SXF という CAD の共通の形式です。もとのファイル(ネイティブファイル)も一緒に納めます。
自治体の例

国の官庁営繕のやり方にならい、発注する建物の設計で BIM を使う要領(決まりの書類)をつくった自治体もあります。編集部が見た要領では、対象の決め方は次の表のとおりです(2026年10月現在)。
| 自治体 | いつから | 対象 |
|---|---|---|
| 川崎市 | 2025年1月 | 設計業務で BIM の活用を試行する。EIR を適用する |
| 京都府 | 2025年4月 | 延べ3,000㎡以上の新しい建物の設計は、原則として BIM を使う |
| 岩手県 | 2025年6月10日以降の公告 | すべての新しい建物の設計業務。EIR を適用する |
| 東京都財務局 | 2026年3月 | 受注者に BIM を使う意向がある場合 |
| 千葉市 | 2026年4月 | 新築のすべての設計業務。推奨項目の費用は受注者の負担 |
| 金沢市 | 2026年7月 | 発注者が指定した事業 |
自治体ではありませんが、都市再生機構(UR)も、新築の建築設計業務で BIM を使う要領を公開しています(2024年7月)。
設計と工事で求められる BIM を確かめよう

官庁営繕の設計を受けたら、EIR で指定項目と推奨項目を見て、BEP をつくります。指定項目の中身を決めるのは、発注者との協議です。
この記事で解説したのは、次の5つです。
- 官庁営繕と EIR
- 設計業務で求められること
- 工事で求められること
- BIM の目安のデータと図面の納め方
- 自治体の例
受ける業務の EIR や自治体の要領で、BIM で何を求められているかを確かめてみてください。
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