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景観と都市計画の説明|パースとフォトモンタージュ

編集部 読了 約6分

  • 景観の届出では、どんな図面や画像を出すの?
  • フォトモンタージュとパースは、どう違うの?
  • 近隣の住民への説明で、何を見せればいいか知りたい

景観計画区域で建物を建てるときは、前もって景観行政団体(都道府県や市)に届け出ます。届出に添えるのは、彩色した立面図や、敷地の周りの写真などです。

しかし、国の決まりの図書に何を足すかは自治体ごとに違い、完成予想図を求める所も、写真に合成した画像を求める所もあります。中高層の建物では、近隣の住民への説明を条例で決めている自治体もあります。

この記事で解説するのは、景観の届出と添える図書、フォトモンタージュとパースの違い、近隣への説明です。国の決まりで添える図書と、自治体が足す物の見分け方が分かります。

景観の届出とは

市役所の窓口で、若い設計者が職員に、色を塗った立面図と街並みの写真を見せて届け出ている場面
市役所の窓口で、景観の届出をしている場面のイメージ

景観の届出は、景観計画区域の中で建物を建てるなどするときに、前もって景観行政団体の長に出す届けです。景観計画区域は、景観行政団体が景観計画で定めた区域です。

景観行政団体は、指定都市や中核市ではその市、そのほかの区域では都道府県が当たります。確認申請は建築主事や指定確認検査機関に、景観の届出は景観行政団体の長に出します。

届出に書くのは、行為の種類・場所・設計や施行の方法・着手予定日などです。届け出た計画が景観計画の制限に合わないときは、設計の変更などの勧告を受けることがあります。

景観行政団体の長が勧告できるのは、届出の日から30日以内です。

届出に添える図書

設計事務所の机で、若い設計者が立面図の外壁に色を塗り、色見本帳と見比べている場面
立面図の外壁の色を、色見本と見比べている場面のイメージ

図書は、届出に添える図面や書類を指します。景観の届出と近隣への説明で使う物は、次の表のとおりです。

使う物何を示すか求める決まり
周りの状況の図と写真敷地と周りの様子国の決まり(景観法施行規則)
建物の位置を示す図敷地の中の建物の位置国の決まり
彩色した立面図(2面以上)外観の色と形国の決まり
完成予想図できたあとの外観自治体の手引き(求める所と、参考にする所がある)
フォトモンタージュ街並みの写真の中での見え方自治体の手引き(横浜市・港区・鳥取市などが名指しする)
配置図・各階平面図・立面図・日影図近隣に説明する建物の位置と形、日影区や市の条例(新宿区の例)

国の決まりにある図書のほかは、自治体が条例で足せます。フォトモンタージュは、写真に CG の建物を合成した画像で、合成パースとも呼ばれる物です。

編集部が届出の手引きを見た12の自治体では、多くが、彩色した立面図に外壁の色をマンセル値で書かせます。マンセル値は、色を色相・明度・彩度の3つの値で表したものです。

外壁の各面で、基本の色と強調の色などの面積の割合を決めている自治体もあります。

完成予想図という呼び名が指す物も、自治体で違います。東京都が別の項目にしているのは、完成予想図(外観パースなど)と、街並みの写真に完成予想図を組み入れた景観シミュレーションです。

渋谷区は、周りの街並みに外観パースを組み入れたものを完成予想図と呼び、京都市は写真と合成したものもスケッチも完成予想図に入れます。

大阪府は「完成後のイメージパースがある場合は、参考として」添える扱いです。

図面と合わせるよう求める自治体もあります。たとえば港区の手引きが求めるのは、外観透視図(外観パース)の開口部(窓や扉)の位置・建物の形・マンセル値を、平面図や立面図と合わせることです。

フォトモンタージュとパースの違い

街角で若い設計者が街並みをカメラで撮り、ノートパソコンにその写真と建物の CG を合成した画像を映している場面
街並みの写真に建物の CG を合成している場面のイメージ

フォトモンタージュは写真をもとにするので、示せる見え方がパースと違います。解説するのは、次の2つです。

  • フォトモンタージュのつくり方
  • パースとの違い

フォトモンタージュのつくり方

建設の業界では、現況の写真に計画の建物を CG で合成した画像を、フォトモンタージュと呼ぶことが多くあります。建物は CG でつくり、見え方を写真に合わせるのが特徴です。

つくるときは、まず計画の3Dモデルをつくります。次に、写真と同じ見え方になるよう、カメラの位置とレンズ(画角)を合わせ、CG の太陽の位置も写真を撮った日と時刻に合わせます。

最後の工程が、仕上げた CG を写真に合成することです。

パースとの違い

国土交通省の「国土交通省所管公共事業における景観検討の基本方針(案)」(2007年)は、フォトモンタージュをスケッチパースや CG と比べています。

フォトモンタージュで示せるのは、写真を撮れる場所から見た姿です。

スケッチパースは、自由な場所と画角で描けます。ただし、描く人によって質が変わり、実際の見え方の再現はフォトモンタージュより劣ります。

写真に合わせずに CG だけでつくる場合の利点は、見る場所を自由に変えられ、一部を直すこともできる点です。

完成予想図やフォトモンタージュを求めるかどうかは、自治体の手引きで決まります。たとえば横浜市の都市景観協議地区で求めるのは、地区で定めた地点から見たフォトモンタージュです。

近隣への説明

集会所で、設計者と建築主の担当が近隣の住民に、大きく印刷した配置図と立面図を見せて説明している場面
近隣の住民に、図面を見せて説明している場面のイメージ

中高層の建物では、近隣の住民への説明を条例で決めている自治体があります。

東京都の条例では、建築主は敷地の見やすい所に標識(建築計画のお知らせ)を立て、近隣の住民から申出があれば、説明会などで計画を説明します。

新宿区・板橋区・京都市の決まりで説明する事項は、建物の規模・構造・用途、敷地の中の位置、工期と工法、日照など周りの暮らしへの影響などです。

新宿区は、説明に使う図面に配置図・各階平面図・立面図・日影図を挙げ、「近隣住民は専門家ではありません」として、求められた図面にはできるだけ応えるよう求めています。

説明する側は、専門用語を避け、図と数字で分かりやすく伝えます。

編集部が見た5つの条例の資料には、説明会の資料としてパースや完成予想図を求めるものはありませんでした。

近隣への説明とは場面が違いますが、国の公共事業については、同じ基本方針(案)が事業のあとの景観を住民に示すとき、スケッチパースやフォトモンタージュを使うとしています。

届出と説明で使う図面と画像を確かめよう

設計事務所の机で、若い設計者が立面図の外壁に色を塗り、色見本帳と見比べている場面
立面図の外壁の色を、色見本と見比べている場面のイメージ

景観の届出では、国の決まりの図書に、自治体によっては完成予想図やフォトモンタージュを足します。

フォトモンタージュは写真を撮れる場所からの見え方を示し、スケッチパースより実際の見え方を再現しやすいものです。

この記事で解説したのは、次の4つです。

  • 景観の届出とは
  • 届出に添える図書
  • フォトモンタージュとパースの違い
  • 近隣への説明

手元の計画の地域で、景観の届出の手引きが何を求めているかを確かめてみてください。

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