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3DCG · Lumion

Lumionのエフェクト活用ガイド|Styleと個別効果で仕上げのルックを整える

編集部 読了 約12分

モデルはきれいに作れたのに、書き出した画がなんとなく平坦で素っ気ない。Lumion(建築・土木向けのリアルタイムレンダリングソフト)を使い始めた人がまず突き当たるのが、この「見た目の物足りなさ」です。原因の多くは、モデルではなく「仕上げの演出」がまだ整っていないことにあります。

この物足りなさを埋めるのが、Lumionのエフェクト(書き出し前に光や色の見え方を調整する後処理の機能群)です。エフェクトは、レンダリングの画質や解像度を決める設定とは別の工程で、モデルや素材を変えずに写真・動画の印象だけを大きく変えられます。

この記事では、Style(色や光をまとめたプリセットのルック)の選び方と当て方、そして被写界深度・ブルーム・色補正・ノイズ・シャープ・ビネットといった個別エフェクトの役割と調整の勘所を解説します。写真と動画で気をつける点の違いまで押さえれば、Lumion エフェクトの仕上げで迷わなくなります。

Lumionのエフェクトでできること|「仕上げの演出」を担う工程

Lumionのエフェクトは、完成したシーンの光や色の見え方を後から整える「仕上げの演出」です。モデルや素材を変えずに写真・動画の印象を大きく変えられるため、同じシーンでもエフェクト次第で朝の柔らかい光にも、夕方のドラマチックな逆光にも仕上げられます。

まずは、エフェクトがどの場面で使う機能で、Styleと個別エフェクトがどう役割分担しているのかを整理します。ここを押さえておくと、あとの調整で「どこをいじれば良くなるのか」が見えてきます。

エフェクトはPhotoモード・Movieモードで設定する

エフェクトは、シーンを組み立てるビルドモードではなく、書き出し前のPhotoモード(静止画用)とMovieモード(動画用)で設定します。配置や素材はビルドモードで決め、見え方の演出はPhoto/Movieモードで足す、という工程の切り分けです。

この切り分けを意識すると、作業が迷子になりません。「モデルを直したい」のか「見た目だけ調整したい」のかで触る場所が変わるからです。たとえば影の落ち方が気に入らないとき、それが太陽の位置の問題ならビルドモード、明るさや色味の問題ならエフェクト側、と判断できます。

エフェクトは1枚の写真、1本の動画(クリップ単位)それぞれに独立して積めます。同じシーンから昼のカットと夕方のカットを作り分けるといった使い方ができるのは、この独立性のおかげです。

「Style(プリセット)」と「個別エフェクト」の2階層

Lumionのエフェクトは、Styleと個別エフェクトの2階層で考えると整理しやすくなります。Styleは色補正やブルーム、空などをまとめたプリセットで、Realistic や Dusk などを選ぶだけで全体のルックが一発で決まります。

一方の個別エフェクトは、被写界深度・ノイズ・シャープといった効果を1つずつ足して微調整するものです。Styleが「全体の方向性を決める大枠」だとすれば、個別エフェクトは「細部を詰める道具」にあたります。

作業の基本は「まずStyleで方向性を決め、次に個別エフェクトで詰める」の順番です。いきなり個別エフェクトから触ると全体のバランスが取りにくいため、最初にStyleで土台を作るほうが早く仕上がります。

画質・解像度の設定とは別物であることの整理

エフェクト(見た目の演出)と、レンダリングの画質・解像度・出力形式は別の設定です。ここを混同すると「エフェクトをいじっても画質が上がらない」と悩むことになります。

解像度やフレームレート、出力形式(静止画のサイズや動画の書き出し方式)の決め方は、Lumionのレンダリング出力設定完全ガイドで解説しています。演出を整えてから、最後にきれいに書き出すための設定はそちらを参照してください。

なお、光の反射や影の物理的なリアルさを追い込みたい場合は、レイトレーシング(光の進み方を物理的に計算して質感を高める技術)の領域になります。色や光の「演出」を扱うこの記事とは目的が異なるため、Lumionのレイトレーシング設定でリアルな質感を出す方法で解説しています。

Styleの当て方|プリセットで全体のルックを一発で決める

Styleは、見た目づくりで迷ったらまず当てるべき出発点です。Realistic を基準に、時間帯や雰囲気に合わせてプリセットを選ぶだけで、写真・動画の第一印象がほぼ決まります。

Styleを当てると内部で複数のエフェクトがセットで入るため、初心者でも一気にそれらしい見た目に近づけます。ここでは代表的なStyleの傾向と、当てる手順、そして当てた後の微調整の考え方を順に見ていきます。

代表的なStyleと向いている用途

Styleは、目指す雰囲気に合わせて選びます。標準の Realistic は色や光を素直に再現するプリセットで、建築パースの基準として使いやすいものです。朝夕の柔らかい光を演出したいなら Dusk 系、夜景なら Night 系、手描き風のノンフォトリアルな表現なら Watercolor や Sketch 系が候補になります。

Style名や具体的なラインナップはLumionのバージョン(Standard/Pro、年版)で差があります。最新の名称と種類は公式のスタイル解説(Lumion 公式サポート、2026年7月現在)で確認してください。

建築ビジュアルの実務では、まず Realistic を基準に据え、時間帯や季節感に合わせて選ぶのが扱いやすい進め方です。編集部が試してみましたが、いきなり装飾性の強いStyleから入ると全体が作り込みすぎになりやすく、Realistic を土台にしたほうが最終的な調整がしやすいというのが所感です。

Styleはあくまで初期セットです。当てて終わりにせず、このあと個別エフェクトで詰める前提だと考えておくと、プリセットの強すぎる部分にも冷静に対処できます。

Styleを当てる手順

Styleの適用は、PhotoモードまたはMovieモードでスロット(保存枠)を選び、そこにStyleを選択して当てる流れです。1つのスロットが1枚の写真、あるいは1つのクリップに対応します。

Styleを当てると、内部的に色補正・ブルーム・空などのエフェクトがセットで入ります。「Styleを選ぶ=複数のエフェクトをまとめて一括で入れる」と理解しておくと、次の微調整がぐっとわかりやすくなります。どのエフェクトがなぜ効いているのかを追いやすくなるからです。

適用後は、そのStyleが Custom Style(自分で編集できる状態)に切り替わり、含まれる個々のエフェクトを1つずつ調整できるようになります。つまりプリセットを当てた瞬間から、そこを起点に自由な作り込みへ進めるということです。

Style適用後の微調整の考え方

プリセットは完成形ではなく、あくまで叩き台です。強すぎる要素や物足りない要素を、個別エフェクト側で足し引きして自分のシーンに合わせていきます。

よくあるのは、明るさや彩度が強すぎるので色補正で落ち着かせる、光のにじみが多すぎるのでブルームを下げる、といった調整です。プリセットは万能ではなく、シーンの明るさや素材によって効き方が変わるため、当てたままにせず必ず自分の目で見て整えます。

このとき大切なのが「全部盛りにしない」ことです。効果を足せば足すほど良くなるわけではなく、盛りすぎるとかえって不自然でCGらしい画になります。迷ったら足すより引く方向で考えると、上品な仕上がりに近づきます。

押さえておきたい個別エフェクト|役割と調整の勘所

個別エフェクトは、目的ごとに1つずつ足して調整します。ここでは建築ビジュアルで使用頻度が高い代表的なエフェクトを「何のために使うか」から整理します。

種類は多く見えますが、実際に使いこなしたいのは6つほどです。それぞれ「役割・勘所・注意点」の3点に絞って押さえれば、必要な効果を過不足なく選べるようになります。

エフェクト役割主な使いどころやりすぎたときの失敗
被写界深度ピント外をぼかし主対象を際立たせる手前の植栽をぼかして建物を見せるミニチュア風で不自然になる
ブルーム明るい部分に光をにじませる夕景・逆光の演出白飛びして眠い画になる
色補正明るさ・彩度・色温度を整える全体の色味の方向づけ彩度過多でCGっぽくなる
ノイズわずかな粒状感を足すツルッとした質感の緩和ざらつきすぎて汚く見える
シャープ輪郭を強調し精細感を出す全体の締まりを足す輪郭がギザギザになる
ビネット画面四隅を暗くする中央へ視線を集める四隅が黒く沈みすぎる

出典: Lumion 公式サポートの各エフェクト解説(Lumion 公式サポート、2026年7月現在)。スライダー名称や既定値はバージョンで差があるため、公式で最新の表記を確認してください。

被写界深度(Depth of Field)|主役を際立たせるボケ

被写界深度は、ピントを合わせた対象以外をぼかして視線を誘導するエフェクトです。被写界深度とは、ピントの合う奥行きの範囲を指し、この範囲を狭くするほど前後が大きくぼけます。写真のように「見せたいものだけくっきり、それ以外はふんわり」という画を作れます。

調整するのは、ピントを合わせる位置(フォーカス位置)と、ボケの強さの2つが基本です。まずフォーカスを主役の建物に合わせ、次にボケ量で背景や手前をどれだけぼかすかを決める、という順で考えると迷いません。

たとえば住宅外観のパースで、手前の植栽を軽くぼかすと、視線が自然に建物へ集まります。内観でも、奥のダイニングにピントを合わせて手前をぼかせば、空間に奥行きが出ます。

注意したいのは、かけすぎるとミニチュア模型のように見えて不自然になる点です。建築ビジュアルでは控えめが基本で、「言われないと気づかない程度」に留めるとリアルさを保てます。

ブルーム(Bloom)と色補正(Color Correction)|光と色の印象を整える

仕上がりの印象を最も大きく左右するのが、このブルームと色補正の2つです。どちらも光と色という画の骨格に効くため、ここが決まると全体の完成度が一段上がります。

ブルームは、明るい部分がふんわり光を漏らす表現です。窓から差し込む光や夕日の逆光に加えると、やわらかく印象的な画になります。ただし強すぎると全体が白っぽくにじんで、ぼやけた眠い画になるため、光源まわりだけがほんのり光る程度に抑えるのがコツです。

色補正は、明るさ・コントラスト・彩度・色温度・ハイライトやシャドウを整える、仕上げの中核エフェクトです。「暖色に寄せて夕方らしく」「彩度を少し落として上品に」といったように、目指す雰囲気を色でコントロールできます。建築パースでは彩度を上げすぎるとCGっぽくなりやすいので、少し落とし気味にすると落ち着いた印象になります。

この2つは効果が大きいぶん、やりすぎの影響も大きく出ます。色補正で全体の方向性を決め、ブルームで光の余韻を足す、という役割分担で考えると整えやすくなります。

ノイズ・シャープ・ビネット|質感と締まりを足す仕上げ効果

ノイズ・シャープ・ビネットは、最後にほんの少し足して画を締める仕上げ効果です。どれも「うっすら」が基本で、少量ずつ加えるのが共通のコツになります。

ノイズは、わずかな粒状感を加えてCG特有のツルッとした質感を和らげ、写真らしさを足す効果です。実写の写真には必ず微細な粒状感があるため、少量のノイズを乗せると「作り物っぽさ」が抜けて自然に見えます。ただし乗せすぎるとざらついて汚く見えるので、拡大しないと分からない程度に留めます。

シャープは、輪郭を強調して精細感を出す効果です。全体が少し眠く感じるときに軽くかけると締まりが出ます。かけすぎると輪郭がギザギザになったり、細部が不自然に強調されたりするため、こちらも少量が基本です。

ビネットは、画面の四隅を軽く暗くして中央へ視線を集める、写真的な締めの効果です。四隅がすっと落ちることで主役が引き立ちますが、暗くしすぎると四隅が黒く沈んで重い印象になります。中央の被写体をそっと囲む程度に留めると、上品なまとまりが出ます。

写真と動画でエフェクトはどう変わるか

静止画と動画では、同じエフェクトでも注意点が変わります。特に動画は、被写界深度やノイズが動くと粗が目立ちやすいため、静止画より控えめの設定が基本になります。

ここでは、Photoモードで1枚を追い込むときの考え方と、Movieモードでクリップ単位に設定するときの勘所、そして写真・動画に共通する運用のコツを整理します。

Photoモード:1枚ずつ最適なルックを追い込む

Photoモードは、1枚に集中してじっくり演出を詰められるのが強みです。動きがないぶん、被写界深度や色補正を静止画では強めに攻めても粗が出にくく、狙った印象を作り込めます。

構図(カメラアングル)ごとにエフェクトをスロットへ保存できるので、複数カットを作るときも管理しやすくなります。外観・内観・アプローチなど提出用のカットが増えても、それぞれに最適な演出を保存しておけるということです。

建築パースの提出画を想定するなら、まず「このカットの主役は何か」を決め、その主役を引き立てるようにエフェクトを組み立てるのが基本です。主役が決まっていれば、被写界深度やビネットで視線をどう誘導するかも自然に決まります。

Movieモード:クリップ単位でエフェクトを設定する

Movieモードでは、エフェクトをクリップ(区切られた映像の単位)ごとに設定できます。オープニングは明るく爽やかに、後半はドラマチックに、といったようにシーン展開に合わせて演出を変えられるということです。

静止画と大きく違うのは、映像は動くという点です。被写界深度はカメラが動くとフォーカスがずれて見え、ノイズは1コマごとにパターンが変わってちらついて見えます。そのため、写真では効果的だった強めの設定が、動画ではかえって粗として目立ちます。動画では被写界深度もノイズも静止画より控えめにするのが安全です。

カメラの動き方そのもの(ウォークスルーやドローン風の演出)は、エフェクトとは別の領域です。動画のカメラワークを詰めたい場合は、Lumionのカメラパス・プリセットでウォークスルー動画を作る方法で解説しています。

写真・動画に共通する運用のコツ

写真でも動画でも共通して効くのが、Styleを1つに決めて全カット・全クリップの色味を揃えることです。同じ提出物の中でカットごとに色の傾向がバラバラだと、まとまりのない印象を与えます。1つのStyleを軸にすれば、作品全体に統一感が出ます。

もう1つの共通ルールが「情報を足すより引いて整える」意識です。エフェクトはいくつも重ねられるぶん、つい盛りすぎてしまいます。1つ足すごとに「これは本当に必要か」を確認すると、過剰な演出を防げます。

仕上げたら、必ず書き出して等倍(実際に見せるサイズ)で確認します。編集画面の小さなプレビューでは気づかない演出過多やノイズのざらつきが、書き出した実寸では目立つことがあるためです。書き出し前提で最終チェックする習慣をつけると、提出後の作り直しを減らせます。

応用|エフェクトを「シーンの言語」として使いこなす次の一歩

エフェクトの各機能に慣れてきたら、次はそれらを組み合わせて「伝えたい印象」を意図的に作る段階に進みます。個々のエフェクトを覚えるのがゴールではなく、シーンで何を語りたいかから逆算して選べるようになるのが本当の使いどころです。

たとえば同じ住宅外観でも、「朝の清々しさ」を出したいなら Realistic ベースに色温度を少し寒色へ、ブルームは控えめにします。「夕方の温かさ」なら暖色へ寄せてブルームを強めに、といったように、狙う感情からエフェクトの組み合わせを決められるようになります。ここまで来ると、エフェクトは単なる装飾ではなく、シーンの意図を伝える言語として機能します。

自分の中に「朝用」「夕方用」「曇天のしっとり」といった定番のStyle+エフェクトの組み合わせをいくつか持っておくと、案件ごとに一から作り直す必要がなくなります。よく使うルックをテンプレートとして育てていくのが、制作を速く安定させる次の一歩です。

まとめ|Styleで方向性、個別エフェクトで質を詰める

Lumionのエフェクトは「Styleで大枠を決め、個別エフェクトで微調整する」の順で使えば迷いません。演出は足すより整える意識を持ち、主役を引き立てる仕上げを目指しましょう。要点を整理すると、次のとおりです。

  • エフェクトは「仕上げの演出」工程で、画質・解像度を決める設定とは別物です。
  • まずStyleで全体の方向性を決め、個別エフェクトで詰めるのが基本の作業順です。
  • 印象を最も左右するのは色補正とブルーム。被写界深度は主役を引き立てる役割です。
  • ノイズ・シャープ・ビネットは「うっすら」が基本の仕上げ効果です。
  • 動画は動くと粗が目立つため、静止画より控えめに設定します。

見た目の演出が決まったら、次は解像度や出力形式を選んできれいに書き出す工程に進みます。光や反射の物理的なリアルさをさらに上げたい場合や、動画制作の全体像から流れをつかみたい場合も、それぞれ専用の記事にまとめています。