
紙図面をAIでCAD化|日本HPのHP AI ベクタライゼーションで、スキャンした図面をDXFにする
- 紙の図面を、AIでCADにできるの?
- ラスベク変換と何が違うの?
- 無料でどこまで使えるのかを知りたい
CADのデータが無い古い物件や改修工事では、紙の図面やスキャンしたPDFしか残っていないことがあります。その図面をCADで書き直すとなると、手でなぞるトレースが必要です。
しかし、日本HPが2026年9月に日本語版を出したHP Build Workspaceでは、そのトレースをAIが受け持ちます。
この記事では、HP Build WorkspaceのHP AI ベクタライゼーションを解説します。一般的なラスベク変換との違いから、変換の流れ、無料で使える範囲と注意までが分かる内容です。
HP AI ベクタライゼーションは、スキャンした紙図面やラスターのPDFを、AIの読み取りでDXFに変える機能です。できたDXFは、CADで編集できます。
HP AI ベクタライゼーションとは

HP AI ベクタライゼーションは、日本HPがクラウドで提供するHP Build Workspaceの機能です。日本語版の提供は、2026年9月2日に始まりました。
日本語版では、日本語の文字を読み取る機能(OCR)が強化されました。
日本HPによると、図面に特化したAIが、ドア・窓・文字・破線・寸法線などを見分けます。古い図面のノイズや折り目の影も、AIが取り除く対象です。
見分けた要素はレイヤーに分かれ、DXFとして出てきます。
一般的なラスベク変換との違いを、日本HPは次のスライドで比べました。

一般的なラスベク変換では、人が変換の条件を選んで調整し、変換の後に確かめて直します。
HP AI ベクタライゼーションでは、図面をアップロードするとAIが図面の構造を見分け、要素ごとのレイヤーまでつくります。
人に残るのは、確かめてCADで仕上げる作業です。日本HPは、手作業での製図と比べて、作業の時間を最大80%減らせるとしています。
紙図面をDXFにする流れ

紙図面をDXFにする流れは、次の3つです。
- 紙図面をスキャンする
- AIで変換して画面で確かめる
- DXFをダウンロードしてCADで編集する
紙図面をスキャンする
最初に、紙図面をスキャンしてHP Build Workspaceにアップロードします。ラスターのPDFしか残っていない図面でも、変換は同じ流れです。
HP Build Workspaceとつながる複合機では、タッチパネルで「スキャン to AI Vectorize」を選びます。スキャンからアップロード、変換までが自動で進む仕組みです。
複合機を使わないときは、スキャンした図面やPDFを、HP Build WorkspaceのWeb画面からアップロードします。
AIで変換して画面で確かめる
日本HPの説明会のデモでは、朱書きや汚れのある紙図面を複合機でスキャンしました。数分後には、壁・ドア・寸法線・文字を色分けしたDXFができていました。
変換の結果は、HP Build Workspaceの画面で確認します。書き足しや細かな直しは、次の手順のCADで行う作業です。
DXFをダウンロードしてCADで編集する
確認したDXFは、ダウンロードしてCADで開きます。デモでは、AutoCADで開いたDXFの要素がそれぞれ図形として分かれていて、すぐに書き足しや修正ができる状態でした。
ここまでで、紙図面がCADで編集できるデータになります。
HP Build Workspaceのほかの機能

HP Build Workspaceは、紙図面とデジタルの図面をまとめて管理するクラウドのサービスです。HP AI ベクタライゼーションのほかの機能は、次の3つです。
- 図面の版をまとめて管理する
- QRコードで紙図面が最新かを確かめる
- 現場の写真を図面の位置に結ぶ
図面の版をまとめて管理する
プロジェクトに関わる人が、同じ画面で図面の版と変更の履歴を見られます。図面を更新すると新しい版に置き換わり、前の版と変わった所を見比べられる仕組みです。
QRコードで紙図面が最新かを確かめる
HP Build Workspaceから大判のプリンターで図面を出すと、図面の右上にQRコードが印字されます。
現場でそのQRコードをスマホの標準のカメラで読み取ると、専用のアプリを入れなくても、紙図面が最新かどうかが画面に出ます。
説明会では、古い版の紙図面を読み取ると「図面が古くなっています」と赤い字で出ました。その画面からHP Build Workspaceを開くと、つながっているプリンターで最新の図面を出し直せます。
現場の写真を図面の位置に結ぶ
現場で撮った写真や指摘は、図面の上に打ったピンの位置に結び付けてアップロードできます。「階段のこの場所を確かめてほしい」といった頼みを、場所と一緒に伝える使い方です。
HP AI ベクタライゼーションを使うときの注意

注意することは、次の3つです。
- DXFのダウンロードは有料
- 効果は図面の状態で変わる
- 変換のあとは人が確かめる
DXFのダウンロードは有料
DXFをダウンロードするときだけ、有料の利用権(トークン)を使います(2026年10月時点)。1枚のDXFのダウンロードに、1枚分の利用権を使う形です。
利用権は枚数ごとにまとめて買うもので、2026年10月から使えます。金額は、日本HPの発表で確かめてください。
Build Connectedの複合機は、日本HPの販売代理店が扱う製品です。買うと特典として、利用権が1か月に20枚分ずつ、1年の間つきます(合わせて240枚分)。
効果は図面の状態で変わる
最大80%という数字の元は、HPが1,000件以上の図面で行った社内の試験です。日本HPの発表には、効果は図面の複雑さや画像の状態で変わるとも書かれています。
変換のあとは人が確かめる
AIの変換でも、人の確認は欠かせない工程です。変換したDXFは、寸法と文字を元の図面と見比べてから使いましょう。
この記事で引用した変換の例は、どれも英語の図面です。日本語の図面での読み取りの精度は、日本HPの発表には出ていません。
古い紙図面を、AIでCADのデータにしてみよう

スキャンした紙図面やラスターのPDFは、HP AI ベクタライゼーションでCADで編集できるDXFになります。変換と画面での確認までは無料で、お金がかかるのはDXFのダウンロードだけです。
変換の流れは、次の3つです。
- 紙図面をスキャンする
- AIで変換して画面で確かめる
- DXFをダウンロードしてCADで編集する
CADのデータが無い古い物件や改修の図面があれば、まずは無料の範囲で変換を試してみてください。
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