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3DCG · Enscape

EnscapeのVisual Settingsとプリセットの使い方|内観/外観の使い分け

編集部 読了 約11分

Enscape(設計ソフトに組み込んで使うリアルタイムレンダラー)で「同じモデルなのに、内観だと暗いのに外観だと白飛びする」という悩みは、Visual Settings(画作りの設定パネル)を場面ごとに使い分けていないことが原因です。露出や空の設定は、内観と外観で必要な値が大きく変わります。

Enscapeには、この一式の設定をまるごと保存しておける「Settings Presets(設定プリセット)」というしくみがあります。プリセットを内観用・外観用で分けて用意し、保存したビュー(視点)に紐づけておけば、視点を切り替えるだけで最適な画作りに一発で切り替わります。

この記事では、Visual Settingsの各タブが何を制御するのかを整理したうえで、内観と外観で設定をどう使い分けるか、そしてプリセットとして保存・読込・ビュー連携する手順までをまとめます。

(この記事の設定名・仕様はChaos公式ドキュメント(docs.chaos.com)およびChaos公式ページを参照。2026年7月時点の情報です。)

Visual Settingsでできること|画作りをまとめて調整するパネル

Visual Settingsは、レンダリング結果の見た目を決める設定を1か所に集めたパネルです。露出・画角・被写界深度・空・出力解像度などをここで調整し、その一式を「プリセット」として保存します。

Enscapeのツールバーにある目のアイコン(Visual Settings)から開き、上部のタブで設定グループを切り替えます。ここで作った設定は画像・動画・VRのすべての出力に共通で効くため、まず全体像を押さえておくと迷いません。

Visual Settingsで調整できること

  • 露出・ホワイトバランスなどの明るさと色味(Main / Imageタブ)
  • 画角(Field of View)や被写界深度(Depth of Field)といったカメラ表現(Mainタブ)
  • 太陽・夜空・霧などの環境(Atmosphereタブ)
  • 空の種類(プロシージャル空/HDRIスカイボックス)や雲(Skyタブ)
  • 出力解像度・ファイル形式・アルファチャンネル(Outputタブ)

これらが1枚のパネルに集約されているので、明るさを変えたいのに設定が見つからない、という迷いが減ります。触る場所さえ分かれば、あとは値を動かして結果を確認するだけです。

設定は「シーンごとに変わる」のが前提

同じ設定のまま内観と外観を撮ると、どちらかが破綻しやすくなります。内観は暗くなりがちなので露出を上げ、外観は明るいので露出を下げるのが基本の考え方です。

だからこそ、後述の「Settings Presetsで設定を保存・読込する」で解説するプリセットが効いてきます。まずは1シーン1プリセットから始め、慣れたら内観用・外観用を作り分けると、画作りが安定します。

Visual Settingsの各タブでできること

Visual Settingsは主にMain・Image・Atmosphere・Sky・Outputの5つのタブに分かれ、それぞれ担当する領域が違います。タブの役割を把握しておくと、「明るさを変えたいのにどこを触ればいいか分からない」という迷いがなくなります。

ここでは各タブが制御する主要項目を確認します。細かい数値の詰め方は専用の解説記事にゆずり、まずは「何がどのタブにあるか」を地図として押さえてください。

Mainタブ|スタイル・露出・カメラの基本

Mainタブは、画作りの土台になる明るさとカメラを決めるタブです。ここが決まらないと、後のタブでいくら演出を足しても仕上がりが安定しません。

  • レンダリングスタイル(通常のリアル表現のほか、白模型・水彩・鉛筆などの表現切り替え)
  • Exposure(露出)とAuto Exposure(自動露出)による明るさの基準
  • Field of View(画角)で写る範囲の広さを調整
  • Depth of Field(被写界深度)で手前・奥のボケを作る
  • Rendering Quality(描画品質)で画質と描画負荷のバランスを取る

Imageタブ|写真的な後処理を加える

Imageタブは、撮り終えた画に写真風の味付けを重ねるタブです。効果を強くかけすぎると不自然になるため、内観・外観ともに軽めから試すと失敗が減ります。

  • Bloom(明るい部分がにじむ光の表現)で光源まわりを柔らかく見せる
  • Lens Flare(レンズフレア)で太陽など強い光の演出を加える
  • Vignette(周辺減光)で画面の四隅を暗く落として中央へ視線を集める
  • 全体をDSLR(一眼レフ)で撮ったような雰囲気に寄せる調整ができる

Atmosphereタブ|太陽・夜空・霧などの環境

Atmosphereタブは、太陽や霧といった空気の状態を決めるタブです。外観カットの陰影や奥行き感は、ここの設定でおおよそ決まります。

  • Sun Brightness(太陽の明るさ)と夜間のNight Sky Brightness(夜空の明るさ)
  • Shadow Sharpness(影のくっきり具合)で光の硬さを調整
  • Fog(霧・空気感)で奥行きや遠景のかすみを表現
  • Wind(風の強さ)で植栽や旗などの揺れ方を調整

Skyタブ|空と雲、HDRIの切り替え

Skyタブは、背景の空をどう作るかを決めるタブです。外観の第一印象は空でほぼ決まるため、外観プリセットでは特に触る機会が多くなります。

  • Enscape標準のProcedural Sky(プロシージャル空=自動生成の空)
  • Skybox(HDRI=360度撮影した実写の空画像)への差し替え
  • 雲の量・種類の調整で直射日光の入り方が変わる
  • 時間帯や天候の印象を空だけで大きく変えられる

Outputタブ|解像度・形式・書き出しの設定

Outputタブは、完成した画をどのサイズ・形式で書き出すかを決めるタブです。画作りそのものではなく、納品や共有の段階で使う設定がここに集まります。

  • Rendering Resolution(出力解像度。Full HD/Ultra HD/カスタム)
  • ファイル形式の選択(PNG/JPGなど)
  • Alpha Channel(背景を透明にするアルファチャンネル)の書き出し
  • 動画の圧縮品質など、書き出しに関わる項目

出力解像度やアルファチャンネルなど静止画の書き出しを詳しく詰めたい場合は、Enscapeの静止画レンダリングとバッチ出力|解像度・アルファで解説しています。

内観と外観で設定をどう使い分けるか

内観と外観で最初に見直すべきは「露出」と「空」です。内観は光が届きにくく暗く写るため露出を上げ、外観は太陽光で明るいため露出を下げるのが基本で、この一点だけでも仕上がりが大きく変わります。

ここでは、どの設定を場面ごとに変えると効果が大きいかを整理します。ひとつずつ触るより「変える項目の当たり」を先に知っておくと、調整が速くなります。

内観で意識したい設定

内観は自然光が届きにくく、そのまま撮ると暗く沈みがちです。まず露出で全体の明るさを底上げし、そのうえで窓からの光の入り方を整えると、室内の質感が伝わりやすくなります。

  • 露出(Exposure)を高めにして室内の暗さを補う
  • 窓からの光が強すぎて白飛びするならAuto Exposureの効き方を確認する
  • 補助光や人工照明の見え方に合わせてAmbient(環境光)の明るさを調整
  • 狭い空間を広く見せたい場面ではField of Viewをやや広めにとる

外観で意識したい設定

外観は太陽光で全体が明るくなるため、内観とは逆に露出を抑える方向で整えます。そのうえで空と影を作り込むと、建物のボリュームや素材感が締まって見えます。

  • 露出(Exposure)を下げて空や外壁の白飛びを防ぐ
  • SkyタブでHDRIや雲を選び、時間帯・天候の印象を作り込む
  • Atmosphereタブの太陽の明るさ・影のシャープさで陰影を締める
  • 霧(Fog)を弱くかけて遠景の建物やランドスケープに奥行きを出す

露出とボケは専用記事で深掘りする

この記事では「どの設定を使い分けるか」の全体像に集中し、数値の追い込みは専用記事にゆずります。露出やボケは調整幅が広く、単独で1本ぶん解説する価値があるためです。

Settings Presetsで設定を保存・読込する

Settings Presetsは、Visual Settingsで作った設定一式に名前を付けて保存するしくみです。プリセットはデフォルトでCAD(設計ソフト)のプロジェクトファイル自体に保存され、別プロジェクトでも使いたい場合は.jsonファイルとして書き出せます。

つまり、内観用・外観用・夜景用などをプリセットとして用意しておけば、選ぶだけで画作りをまるごと切り替えられます。ここでは保存・管理・書き出しの流れを確認します。

プリセットの作成と管理

プリセットは一から作るより、近いものを複製して調整するほうが失敗しにくくなります。ゼロから全項目を設定すると抜けが出やすく、既存プリセットを土台にすると破綻しにくいためです。

  • Visual Settingsのプリセットメニューから新規作成し、内観用・外観用など分かりやすい名前を付ける
  • Rename(名前変更)・Duplicate(複製)・Delete(削除)で整理する
  • Reset to default(初期状態に戻す)で調整をリセットできる
  • まず既存プリセットをDuplicateして少し変える、という作り方が安全

プロジェクト保存と.jsonファイル書き出しの違い

プリセットは標準ではCADプロジェクトファイルの中に保存されます。ただしそれだけでは、そのプロジェクトを開いているときしか使えません。別案件でも同じ画作りを再現したいなら、.jsonファイルとして書き出しておく必要があります。

  • 他のプロジェクトでも使い回したい場合は.jsonファイルとして書き出す
  • 書き出した.jsonを別プロジェクトで読み込めば、同じ画作りを再現できる
  • チームで画作りを揃えたいときも.json共有が役立つ
  • 案件をまたぐ定番の画作りは、早めに.json化しておくと管理が楽になる

旧バージョンのプリセットを取り込む

過去案件で作った設定資産も、取り込めば引き継げます。Enscape 2.6より前のレガシープリセットもインポートに対応しているためです。

  • 取り込んだあとは、他プロジェクトで使うために.jsonへ保存し直しておく
  • 過去案件の設定を無駄にせず、新しい案件でも同じ画作りを再利用できる

プリセットをビューに紐づけて一発で切り替える

プリセットの本領は、保存したビュー(視点)に紐づけたときに発揮されます。ビューごとに使うプリセットを指定しておけば、視点を切り替えるだけで内観用・外観用の設定へ自動で切り替わり、毎回手動で調整し直す必要がなくなります。

内観・外観・夜景が混在するプレゼンほど、この連携が効いてきます。設定の付け替え忘れによる仕上がりのばらつきも防げます。

ビューとプリセットを連携させる手順

ビュー連携は、視点を保存してからプリセットを割り当てる順番で進めます。先にビューを用意しておくと、どの視点にどの画作りを当てるかを見比べながら決められるためです。

  • View Management(ビュー管理)で内観・外観などの視点を保存する
  • 各ビューに、対応するプリセット(内観用・外観用など)を割り当てる
  • 以降はビューを選ぶだけで画作りが切り替わる
  • 静止画・動画・パノラマなど複数の出力を同じ基準で量産できる

使い分け運用のコツ

運用のコツは、少ない基本セットから始めて必要に応じて派生させることです。最初から場面ごとに細かく作り込むと管理が煩雑になり、かえって使わなくなるためです。

  • 「内観:明るめ露出」「外観:抑えめ露出+空作り込み」の2種を基本セットにする
  • 案件をまたいで使う画作りは早めに.jsonへ書き出して資産化する
  • 夜景や曇天など特殊な場面は、基本プリセットをDuplicateして派生させる
  • プリセット名に用途を書いておくと、後から見て迷わない

Visual Settingsのプリセット運用を編集部が試してみました

編集部が公式ドキュメントの手順どおりにプリセット運用を試してみました。所感としては、いちばん効果を感じたのは「ビューにプリセットを紐づける」工程です。内観・外観・夜景を1つのプロジェクトで切り替えるとき、視点を選ぶだけで露出も空も一緒に切り替わるため、カットごとに設定を直す手戻りがほぼ消えました。

一方で、プリセットをプロジェクト内に保存したままだと別案件で呼び出せない点は、最初につまずきやすいと感じました。定番の画作りができたら、その場で.jsonへ書き出して手元にためておくのが結局いちばん早い運用です。まずは内観用と外観用の2つだけ.json化しておくと、次の案件の立ち上がりが目に見えて速くなります。

応用シーンと次の一歩|画作りを仕組みにして量産する

プリセットとビュー連携がひととおり回るようになったら、次の一歩は「案件をまたいで使える画作りの型」を育てることです。1案件ごとに設定し直すのではなく、内観・外観・夜景の.jsonを手元にそろえておくと、新規案件でもその日のうちに見せられる画が出せるようになります。

たとえば、住宅のリビングを内観プリセットで明るく見せ、同じモデルの外観を外観プリセットで空ごと切り替える、という流れがワンクリックで回せます。プレゼン当日に「夕景も見たい」と言われても、夜景プリセットに切り替えるだけで対応できます。設定を毎回いじる時間を、構図やアングルを練る時間に回せるようになります。

まとめ|プリセットで内観・外観の画作りを仕組み化する

EnscapeのVisual Settingsは、Main・Image・Atmosphere・Sky・Outputの各タブで画作りを調整し、その一式をSettings Presetsとして保存するしくみです。要点を整理すると、次の5点になります。

  • Visual Settingsは露出・カメラ・環境・空・出力を1か所で調整するパネル
  • 各タブの役割を押さえると「どこを触ればいいか」で迷わなくなる
  • 内観は露出を上げ、外観は露出を下げて空を作り込むのが基本の使い分け
  • プリセットはCADプロジェクトに保存され、.jsonで別案件にも持ち出せる
  • ビューにプリセットを紐づければ、視点切り替えだけで画作りが一発で変わる

内観用・外観用のプリセットを一度作ってビューに紐づけておけば、以降のプレゼンは視点を選ぶだけで安定した画作りを再現できます。まずは既存プリセットを複製して、内観・外観の2種から仕組み化してみてください。