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3DCG · Enscape

Enscapeの動画をなめらかに仕上げるキーフレーム編集のコツ

編集部 読了 約13分

Enscapeのビデオパス(カメラの通り道を設定して動画を書き出す機能)でウォークスルー動画を作ってみたものの、「途中でカクッと速くなる」「曲がり角でカメラが暴れる」「なんとなく安っぽく見える」と感じたことはないでしょうか。動画の印象を決めるのは、じつは書き出しの解像度よりも、キーフレーム(動きの起点と終点を決める点)の打ち方と編集にあります。

この記事では、基本のビデオパス作成が一通りできる方に向けて、Enscapeの動画をワンランクなめらかに仕上げるためのキーフレーム編集のコツを解説します。イージング(加減速のなめらかさ)、Timestampによる速度と尺の調整、カメラの揺れの抑え方、そして「どこにキーフレームを打つか」というカット割りの考え方まで、順番に見ていきます。

まだパス作成そのものが不安な方は、先にEnscapeのビデオパスでウォークスルー動画を作るで基礎を押さえてから戻ってくると、この記事の内容がスムーズに入ってきます。

キーフレーム編集で「なめらかさ」が決まる理由

Enscapeの動画のなめらかさは、キーフレームの「数」と「間隔」でほぼ決まります。高性能なPCや高い解像度を用意しても、キーフレームの打ち方が乱れていればカクついた印象は消えません。

キーフレームが少なすぎるとカメラが勝手に大きくカーブし、多すぎたり間隔がバラバラだったりすると速度が急変してカクついて見えます。だからこそ、書き出し設定を触る前に、まずキーフレームの打ち方を整えることが仕上がりを左右します。

キーフレームは動きの起点と終点を決める点なので、最低でも2つあればカメラは動きます。ただし2点だけだと、Enscapeが2点間を自動でなめらかな曲線でつなごうとするため、意図しない大回りが起きやすくなります(出典: Chaos公式ドキュメント、2026年7月現在)。

キーフレームは「起点・終点・変化点」に打つ

キーフレームは打てば打つほど良いわけではありません。増やしすぎると速度ムラの原因になるため、「動きの意味が変わる場所」だけに絞るのがなめらかさの近道です。

  • キーフレームは、Video Editor(Vキーで開く動画編集画面)のプラス(+)アイコンで、いまのカメラ位置を1点として追加していきます
  • なめらかに見せたいなら、まず「スタート」「ゴール」「大きく向きが変わる場所」の3種類に絞って打つのが基本です
  • 曲がり角・部屋の入口・階段の踊り場など、カメラの向きや高さが変わるポイントを変化点として押さえます
  • 直線区間にキーフレームを打ちすぎると、かえって速度ムラの原因になるので置きすぎないようにします

置く場所を絞る理由は、キーフレームが「速度の区切り」も兼ねているからです。変化点だけに置けば、カメラは各区間をなめらかに移動し、余計な加減速が入り込みません。

カーブが暴れるときは中間キーフレームを1つ足す

曲がり角でカメラが壁にめり込んだり大回りしたりするときは、キーフレームを増やす前に「中間に1つだけ足す」と考えると解決が早くなります。

  • 離れた2点だけだと、Enscapeが両者を結ぶ曲線を大きくふくらませ、壁にめり込んだり大回りしたりすることがあります
  • Chaos公式も、階段など経路が大きく曲がる場面で中間にキーフレームを挿入して経路を定義し直す方法を紹介しています(出典: Chaos公式ドキュメント、2026年7月現在)
  • 中間点を1つ足すだけで曲線の膨らみが抑えられ、通したい経路に沿わせやすくなります
  • 足しすぎると今度は動きが硬くなるため、「1つ足して確認」を繰り返すのがコツです

一気に何点も足すと、どのキーフレームが効いているのか分からなくなります。1つ足すたびにプレビューで確認すれば、最小限の手数で経路を整えられます。

イージングで加減速をなめらかにする

急に動き出して急に止まる動画は、それだけで機械的に見えます。Enscapeにはこれを自動でやわらげるEase In/Out(イーズイン・アウト)があり、これを理解して使うだけで印象が大きく変わります。

Ease In/Outは、動画の出だしと終わりの数秒間の速度を自動で調整し、なめらかな入り・締めにする機能です。既定でオンになっており、動き始めと止まり際の速度を落として自然な動きにします(出典: Chaos公式ドキュメント、2026年7月現在)。

Ease In/Outの効き方を理解する

Ease In/Outは動画全体の出だしと締めに効く機能です。まずはオンのまま書き出して、入りと終わりが自然かを確認するのがおすすめです。既定でオンなので、意図せず等速になっていて機械的に見える、という失敗を防げるからです。

  • Ease In/Outは全体に対して適用され、動画の最初と最後の数秒がなめらかになります
  • 既定でオンのため、まずはオンのまま書き出して、出だしと締まりが自然かを確認します
  • カット素材として途中だけ使う場合など、あえて等速で見せたいときはオフにするという選択肢もあります
  • 出だしがヌルッと動いてほしいか、パッと動いてほしいかで、オン・オフを使い分けます

建築プレゼンの動画では、落ち着いた入りと締めが「丁寧に作った」という印象につながります。とくに冒頭の数秒は視聴者の第一印象を決めるので、ここがなめらかかどうかを最初に確認しておくと安心です。

「急に速くなる」の正体は速度ムラ

「途中で急に速くなる」という悩みの原因は、フレームレート不足ではなく速度ムラであることがほとんどです。原因を取り違えると、フレームレートを上げても改善しません。

  • カクつきの多くはフレームレート不足ではなく、キーフレーム間の距離と時間の配分がそろっていないことが原因です
  • 短い区間に長い時間、長い区間に短い時間が割り当たると、遅い→速いの落差が大きくなり急加速に見えます
  • 対策は次のセクションのTimestampで、各区間の「移動距離あたりの時間」をそろえることです
  • イージングは出だし・締めのケア、Timestampは全体の速度配分と役割が分かれています

つまり、イージングを調整しても速度ムラは消えません。出だし・締めはイージング、区間ごとの速度はTimestamp、と役割を切り分けて考えると、どこを触ればよいか迷わなくなります。

Timestampで速度と尺をコントロールする

なめらかな動画は、キーフレームごとの通過時刻(Timestamp)を意識して作られています。Timestampを編集すれば、動画全体の尺も、区間ごとのカメラの速さも、狙いどおりに調整できます。

Enscapeでは各キーフレームのTimestampを直接編集でき、あるキーフレームの時刻を変えると、その前後の区間の移動速度が変わります。全体の尺(Duration)を変えれば、すべての動きを一律に速くしたり遅くしたりもできます(出典: Chaos公式ドキュメント、2026年7月現在)。

全体の尺は「見せたい情報量」から逆算する

動画の長さは、見せたい部屋数や見どころの数から逆算して決めるのが基本です。尺を先に決めてしまうと、見どころを詰め込みすぎて全体が速くなり、落ち着かない動画になりがちだからです。

  • まず動画全体の長さ(Duration)を、伝えたい部屋数や見どころの数から逆算して決めます
  • 短い尺に見どころを詰め込むと全体が速くなり落ち着かないため、1つの見どころに数秒は割く前提で考えます
  • 尺を伸ばすとカメラ全体がゆっくりになり、落ち着いた高級感のある印象になりやすくなります
  • SNS用の正方形(例: 1080×1080)など尺が制約される場合は、見どころを絞ってから尺を合わせます

たとえばリビング・キッチン・寝室の3室を見せたいなら、1室あたり5秒として最低15秒は欲しい、という考え方です。「何を何秒で見せるか」を先に決めると、あとの速度調整がぐっと楽になります。

区間ごとの時刻を微調整して速度をそろえる

速度ムラを消す実務的なコツは、「距離が長い区間ほど時間も長く」という配分を徹底することです。移動距離と時間のバランスがそろうと、遅い区間と速い区間の落差が消えて動きが均一になります。

  • キーフレームをクリックしてTimestamp(00:08のような時分表示)を直接編集します
  • 見せたい場所(広い部屋・目玉の空間)は前後のキーフレーム間隔を広めにとって、ゆっくり通過させます
  • 通路や移動だけの区間は時間を詰めて、テンポよく抜けます
  • 「距離が長い区間ほど時間も長く」を基本に、移動距離と時間のバランスをそろえると速度ムラが消えます

見せ場はゆっくり、移動はテンポよく、とメリハリをつけるのがプレゼン動画のコツです。視聴者の視線を止めたいところで速度を落とせば、伝えたい空間がしっかり印象に残ります。

カメラの揺れとブレを意図どおりに扱う

「揺れ」には2種類あります。意図せず出てしまう不快な揺れと、あえて加える手持ち風の揺れです。この2つを切り分けて扱えると、動画の質感を自在にコントロールできます。

Enscapeには手持ちカメラ風の揺れを加えるShaky Camera(シェイキーカメラ)があり、意図的にライブ感を出せます。一方で意図しない揺れやカクつきは、キーフレームの打ち方・イージング・書き出し設定側で抑えます(出典: Chaos公式ドキュメント、2026年7月現在)。

意図しない揺れ・カクつきを抑える

不快な揺れの多くは、曲がり角でキーフレームが密集して向きが急変することから生まれます。変化点を1つに絞り、そこへの入り・出をなめらかにするのが基本対策です。

  • 曲がり角の直前直後にキーフレームが密集すると向きが急変し、揺れて見えるので、変化点は1つに絞ります
  • Ease In/Outをオンにして、キーフレームへの入り・出をなめらかにします
  • 速い動きでブレ(モーションブラー)が気になる場合は、書き出し設定でMotion Blur(モーションブラー)をオフにすると輪郭がはっきりします
  • 高さの上下動を減らすと、視聴者が船酔いしたような不快感を覚えにくくなります

とくに高さの上下動は酔いの原因になりやすいので、目線の高さを一定に保つと安心して見られる動画になります。カメラは水平移動を基本にして、高さを変えるのは階段など必要な場面だけに絞るのがおすすめです。

Shaky Cameraは「弱く・短く」から試す

Shaky Cameraは実写風のライブ感を出せる機能ですが、建築プレゼンでは強すぎると安っぽく見えます。まずは弱め・短めから試し、演出として効くかを確認するのが失敗しないコツです。

  • Shaky Cameraは手持ち撮影のような微妙な揺れを加え、実写ドキュメンタリー風の雰囲気を出せます
  • 建築プレゼン用のきれいな動画では、揺れが強いと安っぽく見えるため、まずは弱めに設定して様子を見ます
  • 全編にかけると酔いやすいので、導入カットなど一部の演出として使うと効果的です
  • なめらかさを最優先するプレゼン動画では、あえて使わない判断も十分にあります

演出として使うなら「導入の数秒だけ弱くかける」くらいが無難です。空間の魅力を伝えることが目的なら、揺れは足し算ではなく引き算で考えると失敗しにくくなります。

被写界深度・画角・時刻をキーフレームで演出する

キーフレームで動かせるのはカメラの位置だけではありません。画角・ピント・時刻もキーフレームごとに変えられ、これを使うと動画に映画のような変化を持たせられます。

Enscapeでは、Field of View(画角)、Focal Point(ピントの合う位置)、Time of Day(時刻)もキーフレームごとに設定でき、ズームや被写界深度の変化、昼から夜への移り変わりを表現できます。Focal Pointを使うには、Visual Settingsで被写界深度を有効化しオートフォーカスをオフにする必要があります(出典: Chaos公式ドキュメント、2026年7月現在)。

画角とピントで視線を誘導する

画角とピントを動かすと、視聴者の視線を狙った場所へ誘導できます。ただし変えすぎると酔いやすくなるため、1本の動画で1〜2回の見せ場に絞るのが安全です。

  • Field of Viewをキーフレーム間で変えると、ズームイン・ズームアウトや、寄りながら引くドリーズーム風の効果が作れます
  • Focal Point(ピント位置)を動かすと、手前から奥へピントを送るような被写界深度の演出ができます
  • Focal Pointを使う前に、Visual Settingsで被写界深度をオンにし、オートフォーカスをオフにしておきます(オンだと手動指定が効きません)
  • 画角やピントは変えすぎると酔いやすいので、1本の動画で1〜2回の見せ場に絞ります

静止画側の被写界深度や構図をもっと詰めたい方は、Enscapeの被写界深度・画角で写真的な構図を作るで、ピント位置や画角の考え方を解説しています。動画のピント送りも、この静止画の感覚がそのまま土台になります。

時刻の変化はゆっくり・控えめに

Time of Day(時刻)の変化は高級感の演出に効きますが、短い動画で大きく動かすと不自然になります。変化は控えめにするか、尺を長めにとって光がゆっくり移り変わるようにするのがコツです。

  • Time of Dayをキーフレームごとに変えると、昼から夕方・夜へと光が移り変わる演出ができます
  • 短い動画で時刻を大きく動かすと不自然になりやすいため、変化は控えめにするか、尺を長めにとります
  • 光の移り変わりは高級感の演出に効きますが、あくまで空間そのものを見せるのが目的なので、光の変化が主張しすぎないようにします
  • レンダラー全般の考え方を深めたいときは、建築レンダラー完全比較ガイド2026もあわせて参考になります

昼から夕景への数秒の移り変わりは、それだけで動画の格を上げてくれます。ただし主役はあくまで空間なので、光は空間を引き立てる脇役、という意識でさりげなく使うのがおすすめです。

Enscapeのキーフレーム編集を編集部が試してみました

編集部が実際にEnscapeのビデオパスで短いウォークスルーを組み、キーフレームを整える前後で見比べてみました。所感として最も効果が大きかったのは、キーフレームを減らして「変化点だけ」に絞る作業でした。

最初は不安から曲がり角ごとに細かくキーフレームを打っていたのですが、これがかえって速度ムラとカクつきの原因になっていました。直線区間のキーフレームをいくつか削り、スタート・ゴール・曲がり角の3種類に絞り直したところ、カメラの動きが目に見えて落ち着きました。

もう1つ所感として残ったのは、Timestampの「距離が長い区間は時間も長く」という配分の効果です。広いリビングをゆっくり、廊下をテンポよく、と時間を割り振り直すだけで、同じパスでも見違えるほど印象がなめらかになりました。触ってみて分かったのは、なめらかさは足し算ではなく引き算で作る、ということです。

書き出し設定でなめらかさを最後まで守る|次の一歩

せっかくなめらかに編集しても、書き出し設定を誤ると動画がカクついたり、逆に無駄に重くなったりします。フレームレートと圧縮設定を目的に合わせて選ぶことが、なめらかさを最後まで守る最終工程になります。

Enscapeの書き出しでは、解像度をFull HD(1920×1080)や4Kから選べ、フレームレートは30FPSで映画的な質感、60FPSでよりなめらかな再生になります。圧縮品質はMaximum(最大)でファイルサイズと品質のバランスが取れ、MP4として書き出されます(出典: Chaos公式ドキュメント、2026年7月現在)。

フレームレートは用途で選ぶ

フレームレートは高いほど良いわけではなく、動画の性格に合わせて選びます。落ち着いた映画的な質感なら30FPS、動きの多い場面をなめらかに見せたいなら60FPSが目安です。

  • 落ち着いた映画的な質感を狙うなら30FPS、動きの多い場面をなめらかに見せたいなら60FPSを選びます
  • フレームレートを上げるほど再生はなめらかになりますが、書き出し時間は長くなります
  • 動きがゆっくりのプレゼン動画なら30FPSでも十分になめらかに見えます
  • カクつきが気になる場合、キーフレーム編集を見直す前にフレームレートだけ上げても根本解決にはならない点に注意します

前のセクションで見たとおり、カクつきの原因は多くが速度ムラです。フレームレートを上げる前に、まずキーフレームとTimestampを整えるほうが確実に効きます。

解像度と圧縮はバランスで決める

解像度と圧縮は、用途に応じてバランスで決めます。標準はFull HD、より高精細に見せたい提案には4K、という選び方が目安になります。

  • 解像度はFull HD(1920×1080)が標準的で、より高精細に見せたい提案には4Kを選びます
  • 圧縮品質はMaximumにするとファイルサイズを抑えつつ品質を保てます
  • 最高画質で連番画像として書き出す設定(ロスレス)もあり、後編集で色や速度を調整したいときに向きます
  • 数値・仕様は変わることがあるため、書き出し前に画面の設定項目で最新の選択肢を確認します(2026年7月現在)

次の一歩としては、ここまでのコツを1つずつ既存のパスに足して書き出し直すのがおすすめです。まず変化点だけにキーフレームを絞り、次にTimestampで速度をそろえ、最後に書き出し設定を用途に合わせる、という順番で進めると、少ない手数でなめらかな動画に近づきます。

まとめ

Enscapeの動画をなめらかに仕上げる鍵は、高性能なPCや高い解像度よりも、キーフレームの打ち方と編集にあります。この記事のポイントを整理します。

  • キーフレームは「起点・終点・変化点」に絞って打ち、カーブが暴れるときは中間に1つ足す
  • Ease In/Out(既定オン)で出だしと締めをなめらかにし、急発進・急停止を防ぐ
  • Timestampで全体の尺と区間ごとの速度をそろえ、「距離が長い区間は時間も長く」で速度ムラを消す
  • 揺れは、意図しないものは抑え、Shaky Cameraは弱く短く演出として使う
  • 画角・ピント・時刻のキーフレームは見せ場を1〜2回に絞り、書き出しはフレームレートと圧縮を用途で選ぶ

まずは基本のパスを作り、そこにこの記事のコツを1つずつ足して書き出し直すのが、上達の近道です。