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Autodesk Assistantの次の版|製品とプロジェクトをまたいで動くAIのエージェント(2027年から提供)

編集部 読了 約11分

Autodesk Assistantは、AutodeskのAIのアシスタントです。Autodeskは2026年9月15日のAutodesk University 2026(AU 2026)で、その次の版をプレビューしました。今のAssistantは製品の中で使うAIです。次の版は、製品・プロジェクト・チームをまたいで、注意が要ることを示し、作業を進めます。提供は2027年からで、時期・契約の条件・地域は2027年に発表されます。建築の仕事でいま関わるのは、同じ日に発表されたRevitとFormaのAIの機能のほうです。

Autodesk Assistantの次の版は、製品とプロジェクトをまたいで動くAI

Autodeskは、2026年9月15日にラスベガスで開いたAU 2026で、Autodesk Assistantの次の版を発表しました。

今のAutodesk Assistantは、Forma(建築・建設向け)・Fusion(製品の設計と製造向け)・Flow(映像向け)など、多くの製品で一般提供されています。3つは、Autodeskが分野ごとに用意しているクラウドの製品です。どれも、その製品の中で使うAIです。Autodeskは、Assistantを「設計と製造のためのAIの窓口」と説明し、自然な文とプロジェクトの文脈で作業を助けるものとしています。

次の版は、製品・プロジェクト・チームをまたいで動きます。つながったプロジェクトのデータから、質問の背景にあるプロジェクトの文脈を読み取るとしています。どの製品のどの機能を使えばよいかを人が知らなくても、目的から始めて、必要な情報と機能を差し出す形です。製品の外で単独で動くAssistantも、2027年に出す予定です。

AutodeskのCEOのAndrew Anagnost氏は発表で、この業界の制約はアイデアではなく人手の量だと述べています。そのうえで、現実の建物や製品に結果が出る仕事では「たぶん正しい」は間違いと同じだとし、プロジェクトの文脈と設計・解析の機能を組み合わせる理由に挙げています。

次の版は、まだ提供されていません。提供の時期、契約の条件、地域の詳細は、2027年に発表するとしています。

同じ日に、RevitとFormaに入るAIの機能も発表された

AU 2026では、次の版とは別に、建築・建設向けの製品に入るAIの機能も発表されました。AutodeskのAmy Bunszel氏が、Autodeskのニュースでまとめています。

Revit:部屋・注記・図面作成の自動化

Revitでは、次の3つのAIの機能が発表されました。

  • 部屋の要素の自動補完
  • 注記の最適化
  • 複数のビューにまたがる図面作成の自動化

どれも、結果は建築士が確かめて受け入れる形です。

Forma Site Design:敷地への質問と、集合住宅の配置案

Forma Site Designでは、Autodesk Assistantが、敷地について自然な文の質問に答えられるようになります。Building Layout Explorerは、施主の住戸の構成に合わせて集合住宅の配置案をつくり、比べます。そこからForma Building DesignとRevitへ進み、プロジェクトの文脈を持ったまま詳細の設計に入る流れです。

Forma Data Management:図面の検索・版の違い・法規との照合

Forma Data Managementは、Formaのデータの土台です。図面とモデルの版が増えたときに、どれが最新で、承認済みで、何が変わったかを追いやすくします。発表されたのは、次の4つです。

  • Smart Controls:承認の状態などの情報で、見られる人を自動で切り替える。承認済みの情報を必要な人へ渡し、作業中のものは守る
  • Autodesk Assistantが図面の中を検索し、該当のシートへ移る
  • Drawing Change Analysis:版と版の違いのうち、意味のあるものを早く見つける
  • Drawing Compliance Review:図面一式を、建築の法規・設計の基準・施主の要求と照らし、問題になりそうな所を早めに示す。来年の早い時期に出す予定で、専門家の確認は工程に残す

Drawing Compliance Reviewの画面では、図面の上に番号付きの印が付き、左の欄に指摘が並びます。

Drawing Compliance Reviewの画面。平面図の上に番号付きの指摘の印、左に指摘の一覧
Drawing Compliance Reviewの画面の全体です。出典:Autodesk Forma expands connected workflows for AEC(Autodesk のニュース)

左の欄では、指摘が重さで分けられ、Critical(6件)・Major(9件)・Minor(4件)と数が出ます。指摘ごとに、内容と、どの決まりに当たるかの番号が付きます。

Compliance reviewの欄。重さ別の件数と、ドアが壁に近すぎる・壁の寸法が無いの指摘
左の欄を切り出しました。指摘には「Door Too Close to Adjacent Wall(ドアが隣の壁に近すぎて枠を納められない)」と「Missing Wall Dimensions(壁の寸法が足りず、現場で位置を決められない)」が並びます。欄には「AIがつくった内容で、誤りを含むことがある」という注意書きもあります。出典:Autodesk Forma expands connected workflows for AEC(Autodesk のニュース)

欄の下には、照らし合わせる決まりを足すボタンがあります。事務所の設計の基準や施主の要求(Design Standards / Owner Requirements)と、分野をまたぐ調整(Cross-Discipline Coordination)の2つです。

Forma Data Managementと、確認と課題の管理をするForma Boardのつながりも深めます。図面の確認から問題の解決まで、何が・なぜ変わり・次に何をするかの記録を同じ場所に残すとしています。

施工:注意が要ることを示すProject Homeと、話した日報を整える機能

施工の側では、Forma BuildのProject Homeに、Autodesk AIによる注目の欄が出るようになりました。

Forma BuildのProject Home。上に「Your focus today」の欄、下に工程の進み具合
Forma BuildのProject Homeの全体です。出典:Autodesk Forma expands connected workflows for AEC(Autodesk のニュース)

「Your focus today」の欄には、今週注意が要る5件が、工程・コスト・品質に分けて並びます。

Your focus todayの欄。カーテンウォールの取り付け、2階の床のコンクリート打設、ロビーの仕上げの変更、防火区画の検査のカード
注目の欄を切り出しました。各カードに、関わる書類(提出物・課題・質疑)の数が出ます。出典:Autodesk Forma expands connected workflows for AEC(Autodesk のニュース)

ほかに、施工の側では次のものが発表されました。

  • Daily Log Agent:現場の所長が話した内容を、スマホで日報の形に整える
  • Workflow Studio:品質検査の確認の流れなどを組み、承認が要るものを担当者へ回す
  • Forma Bid:Autodeskの入札の管理のサービス(BuildingConnected)の作業をFormaへ持ち込む(対象の契約の人にベータで提供中)
  • 書類の検索・提出物の確認・入札の書類の処理を受け持つ、施工向けのAIのエージェント

次の版でできること:注意が要ることを示し、作業を進め、自社のAIをつなぐ

Autodeskの発表は、次の版の柱を3つ挙げています。

1つ目は、注意が要ることを示す機能です。Personal Pulseが、プロジェクトをまたいで、優先して見るべき課題を出します。Assistant Spacesは、チームとエージェントが1つの課題を調べ、その影響を見るための場です。

2つ目は、作業をまたいで進める機能です。自然な文や声で頼むと、設計・エンジニアリングの機能を組み合わせ、確かめられる結果にします。

3つ目は、自社のAIをつなぐ機能です。Assistant Builderを使うと、自社のAIのエージェントやツール、提携先のサービスを、Autodeskのプロジェクトの文脈につなげます。他社のエージェントは、Design & Make Marketplaceで提供する予定です。

裏では、AI Orchestratorが、正確さ・速さ・安全・費用から、作業ごとに使うAIのモデルを選びます。1つのモデルに頼らない作りです。

発表は、建物の構造を変えたときの例を挙げています。次の版のAssistantは、その変更が製作・工程・コスト・施工の順序・運用に及ぼす影響を示し、必要な設計の機能を差し出すとしています。発表の中で、NorconsultのMarius Jablonskis氏は、プロジェクトのチームは1つの道具や1つの工程だけで働いていないと述べています。そのうえで、自社の道具と知見を持ち込める点を評価しています。

AU 2026の舞台では、単独で動くAssistantの画面が映されました。左の欄には、Home・Spaces・Workflows・Agentsが並びます。中央には「期限を過ぎたもの」「近い予定」「最近の変更」のカードと、最近使ったSpacesがあります。

AU 2026の舞台で映された、単独で動くAutodesk Assistantの画面
舞台の画面に映された、単独で動くAssistantのホームです。出典:AU 2026: Autodesk’s AI Assistant is evolving(engineering.com・画像はAutodesk)

AIの中身を示すカードと、まだ説明されていないこと

Autodeskは、Assistantについて、AI Transparency Cardを公開しています。カードには、使うデータと技術、安全のための仕組み、分かっている限界が書かれています。AU 2026では、このカードの形が新しくなりました。

次の画像は、FormaのBuilding Layout Explorerのカードの、変わる前(左)と後(右)です。

AI Transparency Cardの変わる前と後。FormaのBuilding Layout Explorerの例
新しいカード(右)では、学習に使うデータの種類と出どころ、個人のデータを使わないこと、人の確認があることが項目ごとに並びます。分かっている限界(入力によって結果が変わる・安全に関わる用途には使わない)と、モデルの提供元も載っています。出典:AU 2026: Autodesk’s AI Assistant is evolving(engineering.com・画像はAutodesk)

一方で、AEC Magazineは、エージェントが行う操作の管理について指摘しています。権限の確認・監視・操作の記録・取り消しにあたる仕組みを、Autodeskはまだ説明していないという点です。

建築の仕事では、設計の変更がどこに響くかを追う場面に関わる。使えるのは2027年から

建築の仕事で次の版が関わるのは、設計の変更がほかの図面・工程・コストのどこに響くかを、製品をまたいで追う場面です。発表の構造の変更の例が、この場面にあたります。

ただし、次の版が使えるのは2027年からです。提供の地域もまだ発表されていないため、日本で使えるかどうかも、2027年の発表までは分かりません。建築の仕事でいま関わるのは、Revitの部屋・注記・図面作成の自動化と、Formaの機能です。Drawing Compliance Reviewも、来年の早い時期の予定です。

RevitとFormaの今後についても、Autodeskのニュースは書いています。今はForma Site DesignやForma Building Designで始めて、詳細の設計と図面はRevitへ移る流れです。時間をかけて、設計・解析・調整・図面作成の多くがFormaの中で行われるようになるとしています。急に移行を迫ることはせず、Revitの開発も続け、Formaとのつながりを深めるとしています。

AIにRevitのモデルを直接触らせる別の方法は、Revit MCPでAIにモデルをつくらせるで解説しています。

出典

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