1. Autodesk Assistantの次の版|製品とプロジェクトをまたいで動くAIのエージェント(2027年から提供)

Autodesk Assistantの次の版|製品とプロジェクトをまたいで動くAIのエージェント(2027年から提供)

編集部 読了 約17分

  • Autodesk Assistantって何?
  • RevitやAutoCADでも使えるの?
  • AutodeskのAIの機能で、何ができるかを知りたい

Autodesk Assistantは、Autodeskの製品の中で使うAIのアシスタントです。今は、Forma・Fusion・Flowなど多くの製品で提供されています。

しかし、製品をまたぐ作業は、人が製品ごとに進める必要がありました。2026年9月15日のAutodeskのイベントでプレビューとして発表されたのが、製品をまたいで動く次の版です。

この記事では、Autodesk Assistantの次の版と、同じ日に発表されたRevitとFormaのAIの機能を解説します。AIが設計の案を出す流れと、使うときの注意も分かります。

次の版は、製品・プロジェクト・チームをまたいで、注意が要る課題を知らせ、作業を進めるAIです。提供は2027年からで、詳しい時期と契約の条件は2027年に発表されます。

Autodesk Assistantの次の版とは

AU 2026の舞台で映された、単独で動くAutodesk Assistantの画面
AU 2026の舞台で映された、次の版の単独で動くAssistantのホームです。左の欄にHome・Spaces・Workflows・Agentsが並び、中央に「期限を過ぎたもの」「近い予定」「最近の変更」のカードがあります。出典:AU 2026: Autodesk’s AI Assistant is evolving(engineering.com・画像はAutodesk)

Autodesk Assistantの次の版は、製品・プロジェクト・チームをまたいで動くAIを指します。

発表の場は、ラスベガスで開いたAutodeskのイベント、Autodesk University 2026(AU 2026)です。

今のAssistantは、Forma・Fusion・Flowなどの中で使うAIです。Autodeskは、今のAssistantを「設計と製造のためのAIの窓口」と説明しています。

2026年7月22日に東京で開かれたDesign & Make Summit Japan 2026の基調講演では、AutoCADに組み込んだAIの例も示されました。

AutoCADでは、自然な文で「図面のコンプライアンスをチェックして」と頼むと、AIが意図をくんで実行します。

ここからは次の版の話です。Autodeskによると、次の版は、プロジェクトのデータから、質問の背景にある文脈を読み取ります。

どの製品のどの機能を使えばよいかを人が知らなくても、目的から始められる作りです。

次の版には、製品の外で単独で動くAssistantも含まれます。

次の版でできることは、次の3つです。

  • 注意が要ることを示す
  • 作業をまたいで進める
  • 自社のAIをつなぐ

注意が要ることを示す

次の版は、プロジェクトをまたいで、注意が要ることを示します。その役を担うのがPersonal Pulseで、優先して見るべき課題を出す機能です。

Assistant Spacesは、チームとエージェントが1つの課題を調べ、その影響を見るための場になります。

作業をまたいで進める

自然な文や声で頼むと、次の版は複数の作業をまたいで仕事を進めます。Autodeskによると、設計・エンジニアリングの機能を組み合わせ、確かめられる形で結果を出します。

CEOのAndrew Anagnost氏は、現実の建物に結果が出る仕事では「たぶん正しい」は間違いと同じだと述べました。AIを設計・解析の機能と組み合わせる理由として挙げた言葉です。

発表が挙げるのは、建物の構造を変えたときの例です。その例では、Assistantが変更の影響を製作・工程・コスト・施工の順序・運用に分けて示し、必要な設計の機能を差し出します。

裏では、AI Orchestratorが、正確さ・速さ・安全・費用から、作業ごとに使うAIのモデルを選びます。1つのモデルに頼らない作りです。

自社のAIをつなぐ

3つ目は、自社のAIをつなぐ仕組みです。Assistant Builderを使えば、自社のAIのエージェントやツール、提携先のサービスを、Autodeskのプロジェクトの文脈につなげられます。

他社のエージェントは、Design & Make Marketplaceで提供する予定です。

RevitとFormaに入るAIの機能

Revitの上に開いたAIの画面。階ごとの窓の数の表
Revitの上に開いたAIの画面です。「How many windows on each level?」への答えとして、階ごとの窓の数(合計172)が表で出ています。左の欄には「Revit MCP server connection」が並びます。出典:Autodesk副社長が語る「AIで描くから“判断する”へ」 Formaで実現するAIネイティブの建設プロセス(BUILT・画像はオートデスク)

AU 2026では、次の版とは別に、RevitとFormaに入るAIの機能も発表されました。日本の講演で示されたAIのエージェントも合わせ、この節の対象は次の5つです。

  • RevitのAIの機能
  • Forma Site DesignのAIの機能
  • Forma Data ManagementのAIの機能
  • 施工のAIの機能
  • 講演で示されたAIのエージェント

RevitのAIの機能

AU 2026で、Revitには3つのAIの機能が発表されました。部屋の要素の自動補完、注記の最適化、複数のビューにまたがる図面作成の自動化です。

どれも、AIが出した結果を建築士が確かめてから受け入れます。

Revit 2027(Revitの2027年版)では、外のAIのアプリをRevitのモデルにつなぐMCPサーバーも使えます。要素を探して数える、パラメータをまとめて直すといった操作が、その例です。

「RevitとFormaに入るAIの機能」の最初の画像は、MCPでRevitのモデルにつないだAIに、階ごとの窓の数を聞いた画面です。日本の講演で示されました。

講演では、Revitに組み込んだAIの例も示されました。「窓とファサードの割合を計算して」と頼むとAIが計算し、「窓の割合を増やして」と頼むと、窓の大きさを変えたり窓を足したりします。

こうしたAIを使うと、窓を数える、圧力のかかりすぎたパイプを見つけるといった作業は、AIを使わない場合の約3倍の速さになる、というのが講演でのAutodeskの説明です。

Forma Site DesignのAIの機能

AU 2026の発表では、Forma Site Designで、敷地について自然な文で聞いた質問に、Autodesk Assistantが答えられるようになります。

Building Layout Explorerは、施主の住戸の構成に合わせて、集合住宅の配置案をつくって比べる機能です。

配置案を決めたら、Forma Building DesignとRevitへ進み、プロジェクトの文脈を持ったまま詳細の設計に入ります。

Forma Data ManagementのAIの機能

Forma Data Managementは、Formaのデータの土台で、前の名前はAutodesk Docsです。図面とモデルの版が増えたときに、どれが最新で何が変わったかを追いやすくします。

AU 2026で発表されたのは、次の4つです。

  • Smart Controls:承認の状態などの情報で、見られる人を自動で切り替える
  • Autodesk Assistantが図面の中を検索し、該当のシートへ移る
  • Drawing Change Analysis:版と版の違いのうち、意味のあるものを早く見つける
  • Drawing Compliance Review:図面一式を、建築の法規・設計の基準・施主の要求と照らし、問題になりそうな所を早めに示す

Drawing Compliance Reviewの画面では、図面の上に番号付きの印が付き、左の欄に指摘が並びます。

Drawing Compliance Reviewの画面。平面図の上に番号付きの指摘の印、左に指摘の一覧
Drawing Compliance Reviewの画面の全体です。出典:Autodesk Forma expands connected workflows for AEC(Autodesk のニュース)

その左の欄では、指摘が重さで分けられ、Critical(6件)・Major(9件)・Minor(4件)と数が出ます。指摘ごとに付くのは、内容と、どの決まりに当たるかの番号です。

Compliance reviewの欄。重さ別の件数と、ドアが壁に近すぎる・壁の寸法が無いの指摘
左の欄を切り出しました。指摘には「Door Too Close to Adjacent Wall(ドアが隣の壁に近すぎて枠を納められない)」と「Missing Wall Dimensions(壁の寸法が足りず、現場で位置を決められない)」が並びます。欄には「AIがつくった内容で、誤りを含むことがある」という注意書きもあります。出典:Autodesk Forma expands connected workflows for AEC(Autodesk のニュース)

欄の下には、照らし合わせる決まりを足すボタンが2つ並びます。

  • Design Standards / Owner Requirements:事務所の設計の基準や施主の要求
  • Cross-Discipline Coordination:分野をまたぐ調整

Drawing Compliance Reviewは、AutoCADの例とは別のFormaの機能で、提供は2027年の早い時期の予定です。専門家の確認は、工程に残すというのがAutodeskの考えです。

Forma Data Managementは、確認と課題を管理するForma Boardとのつながりも深めます。図面の確認から問題の解決まで、変わった内容と理由、次にすることを同じ場所に記録できます。

施工のAIの機能

施工の側で変わるのは、Forma BuildのProject Homeです。AIによる「Your focus today」の欄が加わりました。

Forma BuildのProject Home。上に「Your focus today」の欄、下に工程の進み具合
Forma BuildのProject Homeの全体です。上部に「Your focus today」の欄、その下に工程の進み具合が出ています。出典:Autodesk Forma expands connected workflows for AEC(Autodesk のニュース)

欄の上部に出るのは、注意が要る5件の要約です。その下に、工程(SCHEDULE)・コスト(COST)・品質(QUALITY)などに分けたカードが並びます。

Your focus todayの欄。カーテンウォールの取り付け、2階の床のコンクリート打設、ロビーの仕上げの変更、防火区画の検査のカード
「Your focus today」の欄を切り出しました。工程のカードには、関わる書類(提出物・課題・質疑)の数も出ます。出典:Autodesk Forma expands connected workflows for AEC(Autodesk のニュース)

施工の側で、ほかに発表されたものは次の4つです。

  • Daily Log Agent:現場の所長が話した内容を、スマホで日報の形に整える
  • Workflow Studio:品質検査の確認の流れなどを組み、承認が要るものを担当者へ回す
  • Forma Bid:入札の管理のサービスBuildingConnectedの作業を、Formaへ持ち込む(対象の契約の人にベータで提供中)
  • 書類の検索・提出物の確認・入札の書類の処理を受け持つ、施工向けのAIのエージェント

講演で示されたAIのエージェント

日本の講演では、Autodeskの製品で今使えるAIのエージェントとして、12が示されました(2026年7月時点)。

講演のスライド「現在利用可能なAIエージェント」。12のエージェントのカード
講演のスライドです。仕様書・課題・会議・RFIなど、12のAIのエージェントが並びます(2026年7月時点)。出典:Autodesk副社長が語る「AIで描くから“判断する”へ」 Formaで実現するAIネイティブの建設プロセス(BUILT・画像はオートデスク)

12は、仕様書・課題・会議・RFI・提出資料・多言語サポート・パフォーマンス分析・リスク分析・プロジェクト健全性・ヘルプ・課題作成・スケジュールのエージェントです。

たとえばスケジュールエージェントは、工程のリスクを分析して根本の原因を見つけるものです。

どのエージェントがどの製品に入っているか、AU 2026の施工向けのエージェントとどう重なるかは、公式の情報に書かれていません。

AIが設計の案を出す流れ

講演のスライド「アウトカムベースアプローチ」。成果目標の一覧から、望ましい成果へ向かう矢印
講演のスライド「アウトカムベースアプローチ」です。成果目標の枠に、持続可能性・コスト・デリバリー期間・居住性などが並びます。出典:Autodesk副社長が語る「AIで描くから“判断する”へ」 Formaで実現するAIネイティブの建設プロセス(BUILT・画像はオートデスク)

Autodeskは、ここまでの機能をつないだ先に、AIが設計の案を出す流れを描いています。日本の講演で、副社長のNicolas Mangon氏が「アウトカムベースBIM」として示したものです。

アウトカムベースBIMは、製品の機能でなく、Autodeskが目指す進め方を指します。流れは、次の2段階です。

  • データをForma Data Managementに集める
  • 成果目標からAIが案を出す

データをForma Data Managementに集める

最初に、プロジェクトのデータをForma Data Managementに集めます。BIMのモデルの形だけでなく、工期・設備の仕様書・点検の結果など、モデルの外のデータも対象です。

集めたデータは、ファイルから取り出して細かく分け、互いに関連付けて管理します。Autodeskの説明では、Revitで始めたデータを、変換せずにFormaやCivil 3Dで読み書きできます。

Mangon氏によれば、ファイルから取り出したこのデータがAIの土台です。

成果目標からAIが案を出す

AIは、コストや工期などの成果目標から、建物の案を出します。これに対して、これまでのBIMは、モデルを描いて情報を足していき、人が前の作業を確かめて直す進め方でした。

講演では、2000人規模のネットゼロの学校を、2億ドル以下で2029年までに建てる条件を例にしました。

Autodeskによると、AIは、交通・天候・地盤のデータや建材のコストを使い、条件に合う案を複数つくります。

風・エネルギー・音響のシミュレーションも、AIが短い時間で回すとAutodeskは説明しています。設計者の役は、AIが出した案とシミュレーションの結果を比べ、目標に合う案を選ぶことです。

ただし、今のAIがつくるBIMのモデルの詳細度(LOD)は、まだ粗いとMangon氏は述べています。

Autodesk AIを使うときの注意

AI Transparency Cardの変わる前と後。FormaのBuilding Layout Explorerの例
FormaのBuilding Layout ExplorerのAI Transparency Cardの、変わる前(左)と後(右)です。新しいカードでは、学習に使うデータの種類と出どころ、個人のデータを使わないこと、人の確認があることが項目ごとに並びます。出典:AU 2026: Autodesk’s AI Assistant is evolving(engineering.com・画像はAutodesk)

注意することは、次の3つです。

  • 次の版は2027年から
  • エージェントの操作の管理はまだ説明されていない
  • 日本での提供の時期はまだ分からない

次の版は2027年から

次の版のAutodesk Assistantが使えるのは、2027年からです。詳しい時期と契約の条件も、Autodeskは2027年に発表するとしています。

エージェントの操作の管理はまだ説明されていない

Autodeskは、AIの使うデータ・安全の仕組み・分かっている限界を書いたAI Transparency Cardを公開しています。AU 2026では、このカードの形が新しくなりました。

ただ、2026年10月時点のAutodeskの発表とニュースでは、エージェントが行う操作の権限の確認・監視・記録・取り消しの仕組みは、まだ説明されていません。

日本での提供の時期はまだ分からない

次の版のAssistantは、提供の地域がまだ発表されていません。AU 2026で発表されたRevitとFormaのAIの機能も、日本での提供の時期は公式の情報に書かれていない状況です。

土台のForma Data Managementは、日本にもデータセンターを置いて提供されています。2025年からは、RevitやAutoCADの利用者にもアクセス権が付きました。

次の版を待つあいだに、RevitとFormaのAIの機能を確かめよう

講演のスライド。計画・設計・建設・運用の流れの「現在」と「目指す姿」
講演のスライドです。計画・設計・建設・運用の流れの「現在」と「目指す姿」が並び、目指す姿では計画と設計が1つになっています。出典:Autodesk副社長が語る「AIで描くから“判断する”へ」 Formaで実現するAIネイティブの建設プロセス(BUILT・画像はオートデスク)

Autodesk Assistantの次の版は、製品をまたいで課題を知らせ、作業を進めるAIです。提供は2027年からで、それとは別に、RevitとFormaのAIの機能も発表されています。

AIが設計の案を出す流れは、次の2段階です。

  • データをForma Data Managementに集める
  • 成果目標からAIが案を出す

RevitやFormaを使っているなら、手元の製品で使えるAIの機能を確かめてみてください。

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この記事について

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