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3DCG · SketchUp

SketchUpの書き出しガイド|IFC(BIM)・OBJ/FBX/glTFの使い分け

編集部 読了 約15分

SketchUpで作ったモデルを、Blenderで仕上げたい、レンダラーできれいに描きたい、BIMソフトへ渡したい。そう思ってメニューを開いたとき、対応形式の多さに戸惑った経験はないでしょうか。形式を間違えると「相手のソフトで開けない」「読み込んだら崩れている」といったつまずきが起きます。

この記事では、SketchUpの3D書き出し形式を「渡す相手」を起点に整理します。

BIMならIFC、Blenderや3ds MaxならDAE/OBJ/FBX、Web表示ならglTF、スマホのAR表示ならUSDZ、3DプリントならSTL。この対応関係さえ押さえれば、形式選びで迷うことはほぼなくなります。あわせて、建築で使う機会が多いIFC(BIM)書き出しの手順と限界も具体的に見ていきます。なお、Jw_cadやAutoCADとやり取りするDWG/DXF(CAD形式)は書き出しの考え方が異なるため、この記事では扱いません。

SketchUpが書き出せる3D形式の全体像

SketchUpはDAE・OBJ・FBX・IFC・glTF・USDZ・STLなど複数の3D形式に書き出せますが、使える形式は契約しているエディションで変わります。まず「自分のプランで何が書き出せるか」を確認するのが出発点です。

3D形式の書き出しは、メニューの「File > Export > 3D Model」から目的の形式を選ぶのが基本の入口です(出典: Using SketchUp Data in Other Programs(公式ヘルプ)、2026年7月時点)。ここで選べる形式の一覧が、そのままSketchUpの対応範囲になります。

形式(拡張子)主な用途データの中身対応エディション
COLLADA(.dae)汎用3D交換(Blender等)形状+マテリアル+テクスチャFree / Go / Pro / Studio
STL(.stl)3Dプリント形状のみ(色・材質なし)Free / Go / Pro / Studio
OBJ(.obj)汎用メッシュ交換形状+UV+マテリアル(.mtl)Go / Pro / Studio
FBX(.fbx)ゲームエンジン・DCC向け形状+マテリアル+階層Go / Pro / Studio
glTF/GLB(.gltf/.glb)Web・リアルタイム・PBR形状+PBRマテリアルPro / Studio
USDZ(.usdz)AR(スマホ表示)形状+PBRマテリアルPro / Studio
IFC(.ifc)BIM連携(Revit/ArchiCAD)形状+分類データPro / Studio

DCC(Digital Content Creation、Blenderや3ds Maxなど3D制作ソフトの総称)向けの形式もあれば、BIMやAR専用の形式もあります。次からは、この一覧を「操作の入口」と「渡す相手」の2つの角度から見ていきます。

書き出しの基本操作と「形式は用途で決まる」という考え方

形式を選ぶときの原則は、「高機能な順」ではなく「渡す相手が読める順」です。どれだけ多くの情報を保持できる形式でも、受け取るソフトが対応していなければ意味がありません。

たとえばBlenderへ渡すのにIFCを選んでも、Blenderは標準ではIFCをうまく扱えません。逆にBIMソフトへメッシュだけのSTLを渡しても、壁や床としては認識されません。つまり、正解の形式は1つではなく、BIM・レンダラー・AR・3Dプリントのどこへ渡すかで最適な形式が入れ替わります。この「渡す相手起点」の判断表は、次のセクションでまとめます。

書き出しの入口自体はどの形式も共通で、「File > Export > 3D Model」から拡張子を選ぶだけです。形式ごとに「Options」ボタンから細かい設定を調整できますが、まずは相手ソフトが読める形式を選ぶことが先決になります。

エディション別に書き出せる形式が違う(無料Web版の注意)

「OBJやFBXがメニューに出てこない」というつまずきの多くは、バグではなくエディションの仕様です。無料のSketchUp Free(ブラウザ版)は書き出せる形式が限られているためです。

無料のSketchUp Free(Web)で書き出せる3D形式は、DAE・STL・KMZ(Google Earth配置用)が中心です(出典: Using SketchUp Data in Other Programs(公式ヘルプ)、2026年7月時点)。OBJ・FBX・3DS・VRMLはGo以上、IFC・glTF・USDZはPro/Studioが対象になります。

この違いを知らないと、「無料版でBlender用のOBJが出せない」と悩んで時間を溶かしがちです。無料版からBlenderへ渡したい場合は、まずDAEで書き出す方法があります。DAEはFree版でも使えて、Blenderが標準で読み込めるためです。DAEで不足する場面や、OBJ/FBXが必要な場面では、Go以上の有料版を検討することになります。

渡す相手で選ぶ|用途別の形式使い分け

形式選びの答えは「何に渡すか」で決まります。BIMならIFC、Blenderや3ds MaxならDAE/OBJ/FBX、Web・リアルタイムならglTF、スマホARならUSDZ、3DプリントならSTL。この対応さえ押さえれば、メニューの前で迷う時間がなくなります。

渡す相手推奨形式理由
BIM(Revit / ArchiCAD)IFC(IFC4)分類・属性を伴う建築の標準交換形式
Blender / 3ds Max / MayaDAE / OBJ / FBXメッシュ+マテリアル。FBXは階層保持に強い
レンダラー(V-Ray / Enscape / Twinmotion / D5)専用プラグイン(次善でFBX/OBJ)ネイティブ連携のほうがファイル書き出しより崩れにくい
Web / リアルタイム表示glTF / GLB軽量でPBRを保持、Web標準
AR(スマホ表示)USDZiOSのAR表示などの標準形式
3DプリントSTLプリンタの標準形式(色・材質なし)

この表の縦軸「渡す相手」を先に決めれば、推奨形式は自動的に絞れます。以下では、建築実務でとくに使う3つのグループを掘り下げます。

DCC・レンダラーへ渡す(Blender/3ds Max/V-Ray系)

モデリングの続きやレンダリング(3Dモデルから写真のような画像を生成する処理)を別ソフトで行う場合は、DAE・OBJ・FBXが定番です。この3つはメッシュとマテリアルをまとめて運べて、主要な3D制作ソフトが標準で読み込めるためです。

3つの中では、FBXが階層構造やマテリアルを保持しやすい形式です。OBJはUV(テクスチャを貼る座標情報)とマテリアル(.mtlファイル)を伴う汎用メッシュで、対応ソフトがとても広い点が強みになります。たとえば住宅の内観モデルをBlenderへ渡してマテリアルを詰めたい場合、FBXなら家具や建具のグループ分けが残りやすく、読み込み後の整理がラクになります。

一方、V-Ray・Enscape・Twinmotion・D5 Renderといったレンダラーへ渡す場合は、ファイル書き出しよりも専用プラグイン(連携アドオン)を使うほうが崩れにくい方法です。プラグインはSketchUpのシーンを直接読むため、マテリアルやカメラの情報が保たれやすくなります。プラグインが用意されていないレンダラーへ渡すときの次善策として、FBXやOBJを使うと考えておくと迷いません。どのレンダラーを選ぶかはSketchUpのレンダリング入門で整理しています。

Web・リアルタイム・ARへ渡す(glTF/USDZ)

Webサイトに3Dモデルを埋め込んだり、スマホでARとして見せたりする場面では、glTFとUSDZが主役になります。どちらもファイルが軽く、PBR(Physically Based Rendering、光の反射を物理的に再現する質感表現)を保持できるためです。

glTF/GLBは、Web・リアルタイム表示向けの軽量な標準形式です。metalness(金属らしさ)やroughness(表面のざらつき)、AO(陰影の焼き込み)といったPBRマップを保持できます(出典: Working with GLTF Files(公式ヘルプ)、2026年7月時点)。物件紹介ページに家具付きの内観を回転表示させたい、といった用途に向いています。

USDZは、スマホのAR表示(iOSのQuick Lookなど)で使われる標準形式です(出典: Working with USDZ Files(公式ヘルプ)、2026年7月時点)。施主にスマホで「実物大の家具を部屋に置いた様子」を見せる、といったプレゼンに使えます。

この2形式は、SketchUp 2025からプラグインなしでネイティブ書き出しできるようになりました(出典: SketchUp Desktop 2025.0 リリースノート(公式)、2026年7月時点)。以前は外部プラグインが必要でしたが、2025以降はPro/Studioの標準機能でWeb・AR連携までつながります。

3Dプリントへ渡す(STL)

模型やパーツを3Dプリンタで出力する場合は、STLを使います。STLは3Dプリンタの標準形式で、無料のFree版を含む全エディションで書き出せるためです。

STLは形状(ジオメトリ)だけを持ち、色やマテリアルの情報は含みません。プリンタは形の情報だけあれば造形できるので、質感は不要という設計です。書き出す前には、モデルを「ソリッド(閉じた立体)」にしておく必要があります。面に穴が空いていたり、線が飛び出していたりすると、プリンタが立体として認識できず造形に失敗するためです。建築模型なら、壁や屋根を厚みのある閉じた形にしてから書き出す、というひと手間が仕上がりを左右します。

BIM連携の要|IFCで書き出す手順と限界

IFCは、RevitやArchiCADなどのBIMソフトと属性付きでやり取りするための標準形式です。ただしSketchUpのIFC書き出しは「形状+分類データ」を渡すもので、すべての情報が完全に変換されるわけではありません。書き出したあとに中身を確認することが前提になります。

項目内容
手順File > Export > 3D Model → 保存形式で「IFC File(*.ifc)」→ Optionsでバージョン等を設定
バージョンIFC4(全OSの既定)/IFC 2x3(SketchUp 2025以前はWindowsのみ、MacはIFC4のみ)
分類Classifierでグループ/コンポーネントにIFCクラス(IfcWall等)を割り当てる
オプション空間階層(IfcSite/IfcBuilding)の生成、選択部分のみ書き出し 等
限界一部のSketchUpエンティティは書き出されない。書き出し直後に必ず確認が必要

出典: Importing and Exporting IFC Files(公式ヘルプ)(2026年7月時点)。以下で手順・分類・限界を順に見ていきます。

IFCで書き出す手順とバージョン選択

IFC書き出しは、保存形式で「IFC File(*.ifc)」を選び、Optionsでバージョンなどを設定するのが基本の流れです。この設定を確認せずに書き出すと、受け側のBIMソフトが想定と違うバージョンで読み込んでしまうことがあります。

バージョンは、IFC4が全OS共通の既定です。IFC 2x3を使いたい場合、SketchUp 2025以前ではWindowsのみが対象で、MacはIFC4のみとなります(出典: Importing and Exporting IFC Files(公式ヘルプ)、2026年7月時点)。受け側のソフトがどちらのバージョンを推奨しているかを先に確認して、それに合わせて選ぶと読み込みトラブルを避けられます。

オプションでは、「Standard IFC Spatial Hierarchy」を有効にすると、IfcProject・IfcSite・IfcBuildingといった空間階層を自動生成できます。敷地・建物・階といった建築の入れ子構造を受け側で再現したいときに役立つ設定です。

Classifierで建築部材を分類する(IfcWall等)

IFC書き出しで属性を活かす鍵は、Classifier(分類ツール)です。これを使ってグループやコンポーネントに「これは壁」「これは床」といったIFCクラスを割り当てないと、受け側のBIMでは意味を持つ部材として扱われません。

具体的には、Classifierでグループ/コンポーネントにIfcWall(壁)やIfcSlab(床・スラブ)などのIFCクラスを割り当てます(出典: Classifying Objects in SketchUp(公式ヘルプ)、2026年7月時点)。この分類は、書き出し時にタグ・コンポーネント・マテリアルの情報とともにIFCへ反映されます。

分類を付け忘れると、その要素はただの形状データとして書き出されます。すると受け側のRevitやArchiCADで「壁」や「床」として認識されず、数量集計やプロパティ編集の対象にできません。プレゼン用にざっくり形だけ渡すなら分類は不要ですが、BIMとして意味のあるデータを渡したいなら、この一手間が欠かせない工程になります。

IFC書き出しの限界と検証

SketchUpのIFC書き出しは、BIMの設計データを丸ごと交換する仕組みとは別物です。公式ヘルプが「一部のSketchUpエンティティは書き出されない。書き出し直後に必ずファイルを確認すること」と明記しているためです(出典: Importing and Exporting IFC Files(公式ヘルプ)、2026年7月時点)。

つまり、すべてのIFCクラスや数量プロパティが完全にマッピングされるわけではありません。書き出したIFCを受け側のソフトやIFCビューアで開き、壁や床が意図どおり分類されているか、抜け落ちた要素がないかを確認する運用が現実的です。この検証を省くと、BIM側で「一部の部材が消えている」「壁が形状データのままだった」といった手戻りにつながります。

なお、SketchUp 2026.0ではIFC4の階層保持が改善され、長いコンポーネント名の分類やOutliner(階層一覧)の構造が維持されやすくなりました(出典: SketchUp Desktop 2026.0 リリースノート(公式)、2026年7月時点)。ただし、受け側のRevit側がIFC壁の一部プロパティを解釈しないなど、受け取るソフト側の制約は残ります。送り出し側と受け取り側の両方で確認する姿勢が、BIM連携では安全策になります。

書き出しで崩れる・欠ける原因と対策

書き出したモデルが相手ソフトで崩れる原因の多くは、「形式の相性」「エディション制限」「モデルの作り込み不足」の3つに集約されます。渡す前のひと手間で、大半のトラブルは防げます。

代表的なつまずきと対策を、原因別に整理します。

  • OBJ/FBXがメニューに出てこない:無料のWeb版(Free)の制限です。DAE経由で渡すか、Go以上の有料版で解決します。
  • 読み込むと面が抜ける・裏返る:面の向き(表と裏)が揃っていないことが原因です。書き出す前に面の向きを統一しておくと防げます。
  • IFCで部材が壁や床として認識されない:Classifierの分類漏れが原因です。書き出し後に受け側で必ず確認する運用にします(公式も書き出し後の確認を推奨)。
  • ファイルが重い・読み込み中に落ちる:不要なジオメトリの削減や、繰り返し要素のコンポーネント化で軽くできます。

面の向きや分類のように、SketchUp側で整えておけば防げるトラブルが大半です。とくにIFCは公式が書き出し後の確認を求めているとおり、「書き出して終わり」ではなく「書き出して確認まで」を1セットにすると失敗が減ります。モデルが重くて書き出しや操作が不安定な場合は、パソコンのスペックが影響していることもあります。快適に動かすための構成はSketchUp完全ガイド|内装設計・建築プレゼンで使われる理由と活用法【2026年版】でも触れています。

書き出し形式ごとの相性を編集部が読み解く

複数の公式ヘルプとリリースノートを読み解くと、SketchUpの書き出しは「形式の多さ」より「渡す相手に合わせた選択」で成否が決まる設計だと分かります。ここでは公式ドキュメントの記述をもとに、編集部の見立てを整理します。

まず、2025でのglTF/USDZネイティブ対応は、Web・AR用途にとって実務的な意味が大きい変化です。以前はプラグイン導入という一手間が必要でしたが、Pro/Studioの標準機能だけで物件のWeb展示やスマホAR提案までつながるようになりました。物件紹介ページやスマホでの現地プレゼンを想定するなら、この一点だけでもPro/Studioを選ぶ理由になり得ます。

一方でIFCについては、公式自身が「書き出し後に必ず確認」と明記している点を軽く見ないほうがよいと考えます。IFCは便利な標準形式ですが、Classifierでの分類という手作業が前提で、しかも完全変換ではありません。BIMの正式な設計データ交換を期待して使うと、受け側での欠落に気づかず手戻りが生じやすくなります。SketchUpのIFCは「形状+分類の受け渡し」と割り切り、検証をセットにする使い方が現実的です。

コストと用途のバランスで見れば、無料のFree版はDAE/STL中心で「Blender連携」「3Dプリント」までは十分カバーできます。BIM(IFC)やWeb/AR(glTF/USDZ)まで必要になった段階でPro/Studioへ切り替える、という段階的な選び方が、建築実務では無理のない判断になりそうです。

書き出しを整えた先に広がる制作フロー

書き出しは、SketchUpの作業を終える工程ではなく、次のソフトへバトンを渡す工程です。ここを整えられると、SketchUpを「モデリングの入口」として、その先の仕上げやプレゼンまで一本の流れでつなげられるようになります。

たとえば、これまでSketchUp内で完結させようとしてレンダリング品質に悩んでいた人が、FBXやプラグインでレンダラーへ渡せるようになると、フォトリアルな内観パースまで手が届きます。DAE/OBJでBlenderへ渡す流れを覚えれば、無料の環境だけで質感を追い込む選択肢も生まれます。glTF/USDZを使えば、静止画だけだった提案が、Webで回せる3DやスマホのARへと広がります。

逆に、書き出しの使い分けを知らないままだと、「相手のソフトで開けない」「毎回崩れる」という理由で、SketchUp単体でできる範囲に作業が縛られがちです。渡す相手ごとの形式を一度押さえておくだけで、BIM連携・レンダリング・Web/AR提案という次の一歩へ進む土台が整います。

まとめ|書き出しは「次のソフトへ渡す」工程

書き出し形式は「渡す相手」で選べば迷いません。要点を振り返ると、次のとおりです。

  • 形式は「高機能な順」ではなく「渡す相手が読める順」で選びます。BIMはIFC、Blender/3ds MaxはDAE/OBJ/FBX、Web・ARはglTF/USDZ、3DプリントはSTLが基本です。
  • 使える形式はエディションで変わります。無料のFree(Web)はDAE/STL中心で、OBJ/FBXはGo以上、IFC/glTF/USDZはPro/Studioが対象です。
  • IFCはClassifierでの分類が前提で、完全変換ではありません。公式が推奨するとおり、書き出し後の確認まで含めて1セットにします。
  • glTFとUSDZはSketchUp 2025からプラグインなしで書き出せるようになり、Web・AR連携がぐっと身近になりました。
  • 崩れ・欠けの多くは、形式の相性・エディション制限・作り込み不足が原因で、渡す前のひと手間で防げます。

書き出しは、レンダリングで仕上げる、BIMへつなぐ、Blenderへ本格移行する、といった次の作業への入口です。次に何をしたいかで、進む先の記事を選んでみてください。