search
  1. 不動産広告のパース(完成予想図)の決まり|CGであることの明示と周りの状況

不動産広告のパース(完成予想図)の決まり|CGであることの明示と周りの状況

編集部 読了 約6分

  • 不動産の広告のパースには、どんな決まりがあるの?
  • 「実際とは異なります」と書けば、パースはどう描いてもいいの?
  • 完成予想図で、やってはいけない表示を知りたい

新築分譲マンションは、建物が完成する前に売り出されることが多く、建物そのものの写真を撮れません。そのため、広告には3DCGパースなどで描いた完成予想図を使います。

しかし、「実際とは多少異なります」と注記を書いても、形や周りが実際と違うパースは使えません。注記で誤解が無くなるとは認められない、というのが広告の決まりを運用する公正取引協議会の判断です。

この記事で解説するのは、使うときの決まり、不当表示になる絵、注記を書いても使えない例、完成したあとの扱いの4つです。広告に使える完成予想図と、使えない完成予想図の分かれ目が分かります。

不動産広告の完成予想図とは

新築マンションの販売センターで、若い社員が建物の完成予想図のパネルの横に立ち、来た客に説明している場面
完成予想図で、まだ建っていない建物を見せる場面のイメージ

完成予想図は、まだできていない建物の、完成したときの姿を表した絵や図です。完成予想図には、建物の外や中を目で見たように立体的に表したパースが使われます。

不動産の広告の写真は、取引する建物のものを載せるのが決まりです。完成前で撮れないときに他の建物の写真を使えるのは、同じ施工者が過去に建てた、一定の条件を満たす建物の写真だけです。

建物が完成する前に売り出す青田売りでは、こうした事情から、建物の姿を完成予想図で見せます。完成予想図を使う広告も、工事が終わる前は、建築確認などを受けたあとでなければ出せない決まりです。

完成予想図を使うときの決まり

周りを今のまま描いた完成予想図周りを今のまま描いた完成予想図
前の電柱と電線を消した完成予想図前の電柱と電線を消した完成予想図
同じ建物の完成予想図の例。建物と周りの様子は説明のための例。編集部が作成

不動産の広告の表示には、表示規約(不動産の表示に関する公正競争規約)という業界の決まりがあります。景品表示法にもとづいて業界が定めた広告の決まりで、全国の不動産公正取引協議会が運用しています。

表示規約の対象は、一般の人に向けた住まいの広告です。

表示規約の細かい決まり(施行規則)が、完成予想図や CG について決めていることは、次の2つです。

  • 完成予想図であることを明示する
  • 周りを描くときは今の状態に反しない

完成予想図であることを明示する

宅地や建物の CG・見取図・完成図・完成予想図は、それが CG や完成予想図などであることを明示して使います。施行規則の第9条第23号が決めていることです。

周りを描くときは今の状態に反しない

物件の周りの様子を描くときは、今の状態に反する表示をしません。同じ第23号の、後ろの半分にある決まりです。

CG の完成予想図と周りの風景の写真の合成は、合成であることを明示すれば許される場合があります。ただし、「前の電柱と電線を消した完成予想図」のように周りの物を消すと、この決まりに反します。

不当表示になる完成予想図

マンションの上の階のバルコニーで、若い社員が完成予想図の印刷を手に、実際の外の眺めと見比べている場面
完成予想図の眺めと、実際の眺めを見比べる場面のイメージ

表示規約で、広告でしてはいけない表示とされているのが、不当表示です。完成予想図に関わる主なものは、次の3つです。

  • 建物の規模や形を事実と違えて見せる表示
  • 眺めや景観を事実と違えて見せる表示
  • できない使い方を描いた表示

建物の規模や形を事実と違えて見せる表示

モデルルーム・写真・動画・CG・完成予想図などで、物件の規模・形・構造を事実と違えて見せる表示は、不当表示になります。実際より良いと思わせる表示も含み、規約の第23条第1項第42号に書かれています。

眺めや景観を事実と違えて見せる表示

物件からの眺めや、物件を中心とした景観を示す写真・動画・絵・CG で、事実と違う表示や、実際より良いと思わせる表示も不当表示です。同じ項の第43号にある決まりです。

できない使い方を描いた表示

マンションの管理規約で禁止されている使い方を描いた絵も、不当表示に当たると協議会はしています。たとえば、ルーフバルコニーに植栽やテーブルを置き、家族がバーベキューをしているイラストです。

注記を書いても使えない完成予想図

広告の原稿を前に、若い社員が完成予想図の下の小さな注記の欄を指さし、先輩と話している場面
完成予想図の注記を確かめる場面のイメージ

完成予想図の下に「実際とは多少異なります」などと書いても、不当表示を免れない完成予想図があります。注記で一般の人の誤解が無くなるとは認められない、と協議会はしています。

注記を書いても不当表示とされる完成予想図と合成写真の例は、次の表のとおりです。

完成予想図や合成写真どこが問題か
窓の位置や大きさが実際と違う建物のパース建物の形が事実と違う
建物の前の電柱や電線を消した合成写真周りの様子を変えている
近くの公園から建物を望む写真で、間の建物を消した合成写真眺めを実際より良く見せている
外国の大都市の公園の写真と、物件のパースの合成環境・眺め・立地を実際より良く見せている
販売価格に含まれない門・塀・植栽を描いた完成予想図価格に含まれない物が付いていると思わせる

完成したあとの完成予想図

完成した新築マンションの前の歩道で、若い社員が完成予想図のパネルを掲げ、実際の建物と見比べている場面
完成した建物と完成予想図を見比べる場面のイメージ

建物が完成したあとに、外観の形や色、敷地の樹木が完成予想図と明らかに違うのに、直さずに完成した姿の図として載せるのは不当表示です。

完成予想図であることを示して実際と違う絵を避けよう

新築マンションの販売センターで、若い社員が建物の完成予想図のパネルの横に立ち、来た客に説明している場面
完成予想図で、まだ建っていない建物を見せる場面のイメージ

不動産の広告の完成予想図は、そのことを明示して使い、建物の形や周りの様子を実際と違えて見せないようにします。この記事で解説したのは、次の7つです。

  • 完成予想図であることを明示する
  • 周りを描くときは今の状態に反しない
  • 建物の規模や形を事実と違えて見せる表示
  • 眺めや景観を事実と違えて見せる表示
  • できない使い方を描いた表示
  • 注記を書いても使えない完成予想図
  • 完成したあとの完成予想図

広告に使う完成予想図の周りの様子を、物件の今の周りと見比べてみてください。

あわせて読みたい

会員登録(無料)

記事やテーマのお気に入り・学習履歴・フォローが使えます。

この記事について

PERSC編集部が、建築の制作に関わる知識を実務目線で整理しています。内容は公開・更新日時点の情報にもとづきます。誤りや古い情報にお気づきの場合はお問い合わせよりご連絡ください。

PERSC では、記事の次の段としてオンライン講座とプラグインを用意しています。

あわせて読みたい