不動産広告のパース(完成予想図)の決まり|CGであることの明示と周りの状況
- 不動産の広告のパースには、どんな決まりがあるの?
- 「実際とは異なります」と書けば、パースはどう描いてもいいの?
- 完成予想図で、やってはいけない表示を知りたい
新築分譲マンションは、建物が完成する前に売り出されることが多く、建物そのものの写真を撮れません。そのため、広告には3DCGパースなどで描いた完成予想図を使います。
しかし、「実際とは多少異なります」と注記を書いても、形や周りが実際と違うパースは使えません。注記で誤解が無くなるとは認められない、というのが広告の決まりを運用する公正取引協議会の判断です。
この記事で解説するのは、使うときの決まり、不当表示になる絵、注記を書いても使えない例、完成したあとの扱いの4つです。広告に使える完成予想図と、使えない完成予想図の分かれ目が分かります。
不動産広告の完成予想図とは

完成予想図は、まだできていない建物の、完成したときの姿を表した絵や図です。完成予想図には、建物の外や中を目で見たように立体的に表したパースが使われます。
不動産の広告の写真は、取引する建物のものを載せるのが決まりです。完成前で撮れないときに他の建物の写真を使えるのは、同じ施工者が過去に建てた、一定の条件を満たす建物の写真だけです。
建物が完成する前に売り出す青田売りでは、こうした事情から、建物の姿を完成予想図で見せます。完成予想図を使う広告も、工事が終わる前は、建築確認などを受けたあとでなければ出せない決まりです。
完成予想図を使うときの決まり
周りを今のまま描いた完成予想図
前の電柱と電線を消した完成予想図不動産の広告の表示には、表示規約(不動産の表示に関する公正競争規約)という業界の決まりがあります。景品表示法にもとづいて業界が定めた広告の決まりで、全国の不動産公正取引協議会が運用しています。
表示規約の対象は、一般の人に向けた住まいの広告です。
表示規約の細かい決まり(施行規則)が、完成予想図や CG について決めていることは、次の2つです。
- 完成予想図であることを明示する
- 周りを描くときは今の状態に反しない
完成予想図であることを明示する
宅地や建物の CG・見取図・完成図・完成予想図は、それが CG や完成予想図などであることを明示して使います。施行規則の第9条第23号が決めていることです。
周りを描くときは今の状態に反しない
物件の周りの様子を描くときは、今の状態に反する表示をしません。同じ第23号の、後ろの半分にある決まりです。
CG の完成予想図と周りの風景の写真の合成は、合成であることを明示すれば許される場合があります。ただし、「前の電柱と電線を消した完成予想図」のように周りの物を消すと、この決まりに反します。
不当表示になる完成予想図

表示規約で、広告でしてはいけない表示とされているのが、不当表示です。完成予想図に関わる主なものは、次の3つです。
- 建物の規模や形を事実と違えて見せる表示
- 眺めや景観を事実と違えて見せる表示
- できない使い方を描いた表示
建物の規模や形を事実と違えて見せる表示
モデルルーム・写真・動画・CG・完成予想図などで、物件の規模・形・構造を事実と違えて見せる表示は、不当表示になります。実際より良いと思わせる表示も含み、規約の第23条第1項第42号に書かれています。
眺めや景観を事実と違えて見せる表示
物件からの眺めや、物件を中心とした景観を示す写真・動画・絵・CG で、事実と違う表示や、実際より良いと思わせる表示も不当表示です。同じ項の第43号にある決まりです。
できない使い方を描いた表示
マンションの管理規約で禁止されている使い方を描いた絵も、不当表示に当たると協議会はしています。たとえば、ルーフバルコニーに植栽やテーブルを置き、家族がバーベキューをしているイラストです。
注記を書いても使えない完成予想図

完成予想図の下に「実際とは多少異なります」などと書いても、不当表示を免れない完成予想図があります。注記で一般の人の誤解が無くなるとは認められない、と協議会はしています。
注記を書いても不当表示とされる完成予想図と合成写真の例は、次の表のとおりです。
| 完成予想図や合成写真 | どこが問題か |
|---|---|
| 窓の位置や大きさが実際と違う建物のパース | 建物の形が事実と違う |
| 建物の前の電柱や電線を消した合成写真 | 周りの様子を変えている |
| 近くの公園から建物を望む写真で、間の建物を消した合成写真 | 眺めを実際より良く見せている |
| 外国の大都市の公園の写真と、物件のパースの合成 | 環境・眺め・立地を実際より良く見せている |
| 販売価格に含まれない門・塀・植栽を描いた完成予想図 | 価格に含まれない物が付いていると思わせる |
完成したあとの完成予想図

建物が完成したあとに、外観の形や色、敷地の樹木が完成予想図と明らかに違うのに、直さずに完成した姿の図として載せるのは不当表示です。
完成予想図であることを示して実際と違う絵を避けよう

不動産の広告の完成予想図は、そのことを明示して使い、建物の形や周りの様子を実際と違えて見せないようにします。この記事で解説したのは、次の7つです。
- 完成予想図であることを明示する
- 周りを描くときは今の状態に反しない
- 建物の規模や形を事実と違えて見せる表示
- 眺めや景観を事実と違えて見せる表示
- できない使い方を描いた表示
- 注記を書いても使えない完成予想図
- 完成したあとの完成予想図
広告に使う完成予想図の周りの様子を、物件の今の周りと見比べてみてください。
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